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9. 夕食は別々に…?
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「フォルラート様!!私もご一緒してよろしいですかぁ?」
そう言って入ってきたのは、真っ赤で腰から下がふわりと広がったドレスに、口紅も真っ赤に塗られたザーラだ。
皆呆気に取られていたが、一番早く動いたのはフォルラートで、壁際に立っていたカスパルに視線を向けると、カスパルが動き出した。
「失礼ですが、何故あなたがいらっしゃったのですか?ここは、フォルラート様とオティーリエ様の夕食会です。あなたは招待されていませんよ。」
「そんな事仰らないで!フォルラート様が私の事を見て下さる機会を奪わないで!わざわざ隣国の王女を連れて来なくても、私がフォルラート様をお支えいたしますわ!私の方がフォルラート様の隣に相応しいのですもの!」
(あぁ、そう言う事…ザーラは、フォルラート様が好きだからそう言っているのね。面倒だわ…)
そう思ったオティーリエは、気分を害し素早く立ち上がった。
「オティーリエ様?」
傍に立っていたイボンヌが怪訝そうな顔をしている。オティーリエは、出入り口の扉へと向かいながら答えた。
「私は部屋に戻らせていただきます。とんだ茶番ですわ。」
そう言うと、ザーラは喜んで、オティーリエが座っていた席に座ろうとした。
が、少し遅れてやって来た衛兵にザーラは腕を掴まれた。
「ち、ちょっと!?なに!?フォルラート様、助けて下さい!怖いですわ!」
「ザーラ様、お戯れが過ぎますと、領地で謹慎となりますよ。オティーリエ様とフォルラート様のご結婚は一月後だと決定事項です。オティーリエ様を無下に扱うのはよして下さい。国際問題になりますから。」
「き、謹慎…!?何故ダメなの!?何故、フォルラート様とご一緒する機会を奪うの!?」
「さぁ、お帰り下さい。…オティーリエ様、申し訳ありません、私共も全く予期せぬ出来事でごさいました。どうぞ、怒りを静めてお座りいただけませんか。フォルラート様も。今日は親睦を深めると仰ったではございませんか!」
「うるさい!カスパル!……ザーラ、決定事項だ。この場にいる事は許さん。早く出て行け!」
フォルラートは先ほどオティーリエと話した時とはまったく違う低い声でザーラへと言い放つ。
ザーラは、思い切り泣きそうな顔をフォルラートへと見せると、オティーリエにも視線を向けた。その顔はまるで鬼の形相だ。
「さぁ、お帰りだよ。迷子にならないように連れて行って差し上げろ。」
カスパルは衛兵へとそう声を掛け、衛兵も令嬢だからと拘束するのは戸惑っていたが、そのように言われたので職務を全うする。
今度は、ザーラも声を出さずに帰って行った。
「どうぞ。」
再度、カスパルはオティーリエへとそう言い、部屋の出口を塞いだので仕方なく席へと戻った。
「フォルラート?」
カスパルが、フォルラートへと早く話し出せというような視線を向けながら一言そう言うと、
「…済まなかった。あれの父親は伯爵なんだが王宮で重要な役割を担っていて、あまり強く出れないんだ。」
「そうでしたか。…先ほど、私との結婚は反対であったと言われたのですが、私はここにいてよろしいのですか?」
と、オティーリエは疑問なのでそう聞いてみると、
「…全く相手の事を知らないというのもよくないと思うのだ。公の場では一緒にいるわけだし。だから…私の仕事が忙しい時は無理だが、これからも夕食を一緒に摂らないか?」
とオティーリエとは視線を合わさず、遠くを見てフォルラートは言った。
(何故視線を合わせようとしないのかしら?)
と、またも疑問に思ったが、それはそこまで気にする事はないかと思った。
それに確かに公の場では二人一緒に行動する場合もある為、多少はお互いの事を知っておいた方がいいだろうとその点は納得したので頷いた。
「そうですね、よろしくお願い致しますわ。」
そしてまたも、オティーリエはにっこりとフォルラートに微笑んだ。
そう言って入ってきたのは、真っ赤で腰から下がふわりと広がったドレスに、口紅も真っ赤に塗られたザーラだ。
皆呆気に取られていたが、一番早く動いたのはフォルラートで、壁際に立っていたカスパルに視線を向けると、カスパルが動き出した。
「失礼ですが、何故あなたがいらっしゃったのですか?ここは、フォルラート様とオティーリエ様の夕食会です。あなたは招待されていませんよ。」
「そんな事仰らないで!フォルラート様が私の事を見て下さる機会を奪わないで!わざわざ隣国の王女を連れて来なくても、私がフォルラート様をお支えいたしますわ!私の方がフォルラート様の隣に相応しいのですもの!」
(あぁ、そう言う事…ザーラは、フォルラート様が好きだからそう言っているのね。面倒だわ…)
そう思ったオティーリエは、気分を害し素早く立ち上がった。
「オティーリエ様?」
傍に立っていたイボンヌが怪訝そうな顔をしている。オティーリエは、出入り口の扉へと向かいながら答えた。
「私は部屋に戻らせていただきます。とんだ茶番ですわ。」
そう言うと、ザーラは喜んで、オティーリエが座っていた席に座ろうとした。
が、少し遅れてやって来た衛兵にザーラは腕を掴まれた。
「ち、ちょっと!?なに!?フォルラート様、助けて下さい!怖いですわ!」
「ザーラ様、お戯れが過ぎますと、領地で謹慎となりますよ。オティーリエ様とフォルラート様のご結婚は一月後だと決定事項です。オティーリエ様を無下に扱うのはよして下さい。国際問題になりますから。」
「き、謹慎…!?何故ダメなの!?何故、フォルラート様とご一緒する機会を奪うの!?」
「さぁ、お帰り下さい。…オティーリエ様、申し訳ありません、私共も全く予期せぬ出来事でごさいました。どうぞ、怒りを静めてお座りいただけませんか。フォルラート様も。今日は親睦を深めると仰ったではございませんか!」
「うるさい!カスパル!……ザーラ、決定事項だ。この場にいる事は許さん。早く出て行け!」
フォルラートは先ほどオティーリエと話した時とはまったく違う低い声でザーラへと言い放つ。
ザーラは、思い切り泣きそうな顔をフォルラートへと見せると、オティーリエにも視線を向けた。その顔はまるで鬼の形相だ。
「さぁ、お帰りだよ。迷子にならないように連れて行って差し上げろ。」
カスパルは衛兵へとそう声を掛け、衛兵も令嬢だからと拘束するのは戸惑っていたが、そのように言われたので職務を全うする。
今度は、ザーラも声を出さずに帰って行った。
「どうぞ。」
再度、カスパルはオティーリエへとそう言い、部屋の出口を塞いだので仕方なく席へと戻った。
「フォルラート?」
カスパルが、フォルラートへと早く話し出せというような視線を向けながら一言そう言うと、
「…済まなかった。あれの父親は伯爵なんだが王宮で重要な役割を担っていて、あまり強く出れないんだ。」
「そうでしたか。…先ほど、私との結婚は反対であったと言われたのですが、私はここにいてよろしいのですか?」
と、オティーリエは疑問なのでそう聞いてみると、
「…全く相手の事を知らないというのもよくないと思うのだ。公の場では一緒にいるわけだし。だから…私の仕事が忙しい時は無理だが、これからも夕食を一緒に摂らないか?」
とオティーリエとは視線を合わさず、遠くを見てフォルラートは言った。
(何故視線を合わせようとしないのかしら?)
と、またも疑問に思ったが、それはそこまで気にする事はないかと思った。
それに確かに公の場では二人一緒に行動する場合もある為、多少はお互いの事を知っておいた方がいいだろうとその点は納得したので頷いた。
「そうですね、よろしくお願い致しますわ。」
そしてまたも、オティーリエはにっこりとフォルラートに微笑んだ。
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