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14. 体調を崩す
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オティーリエは簡単に栄養が取れるタマネギやジャガイモなどの野菜と牛肉が入ったトマトベースのスープを無事に作り終えた。あとは保管庫にあった黒パンを付けたら出来上がりだ。
「オティーリエ様!ありがとうございます!!僕、クビにならずに済みそうです!!」
ベンノが涙を流しながら叫んでいる所に、やっとニダが帰ってきた。
「オティーリエ様、伝えてきました!医務院は、大変な事になっていました…。でも、お医者様にオイスターが原因ではないかとお伝えすると、お医者様が喜んでおりましたよ。それなら対処しやすいと。毒かと、緊迫しておりましたから。それで、人手が足りないと少しお手伝いしてきてしまいました…遅くなって申し訳ありません!まだオティーリエ様がこちらにいて下さって良かったです。」
ニダは、走ってきたのか肩で息をしながら、両手で太股を押さえ中腰になって体のバランスを取りながらそう言った。
「ニダ、ご苦労さま。そんなに急いで来なくても良かったのよ。でも、ちゃんと手伝いまでしてきて偉かったわ。伝えてもくれたのでしょう?さぁ、水を飲んで!
ベンノも、夕食の時間に間に合って良かったわ。よく頑張ったわね!あとの盛り付けや片づけは出来る?」
オティーリエは、夕食の前に身だしなみを整えないといけない為、そろそろ部屋に戻ろうと思ったのだ。
「はい!あとは分かります!本当に助かりました!」
「いいのよ。食事はじゃああとで部屋で頂くわね。」
オティーリエは、水を飲み終わったニダを連れて部屋へと戻った。
☆★
翌日。
目が覚めたオティーリエは、昨日よりも寒いと思って足先を擦り合わせ、布団を頭から被り体を丸めた。
(はぁ寒過ぎ…肌寒いってものではないわ!昨日よりも寒いし。おかけで起き上がれない…。)
ブルブルと震えながらも昨日、料理した事を思い出し、俄に微笑んだ。
(勝手に料理しちゃったけど、緊急事態だから、仕方ないわよね。あぁ、でも美味しかったわ…!フォルラート様も私が作ったのをすでにご存じで驚いていたけれど、美味しいと言って下さったし。良かったわ。
テューロビンゲン国では、肉といえば羊だったのに、ここは牛の肉をよく食べるらしいもの。牛肉、美味しいのよね。)
そう考えていると、扉が叩かれ、イボンヌがニダを連れて入ってきた。
「おはようございま…す、オティーリエ様?大丈夫ですか?」
「ええ。二人とも偉いのね、ちゃんと起きてて。寒いから布団から出たくないのよ。いえ、布団も寒いのだけど。」
と、声を掛けられた為にはしたなくも布団から頭を少しだけ出してイボンヌへ視線を向ける。
「まぁまぁ!ニダ、昨日の下着だけでは足りなかったのね。もう一枚、持ってきてちょうだい!あと、羽織るものもね。」
そうイボンヌが言うと、ニダは衣装部屋へといき、すぐに暖かい素材の下着と羽織りものを持ってきた。
「こちらです。…オティーリエ様、申し訳ありません!」
「ニダ、どうしました?」
ニダが、その下着をイボンヌへ渡すと頭を下げ謝ってきた。それを聞き、イボンヌは質問する。
「オティーリエ様が寒いのは、下着を着ていないからです!ザーラさんが、必要ないって言うから…すみません!」
「え!?何ですって?」
イボンヌは、その間に素早くオティーリエを起こし、夜着を上だけ袖と首を外すと暖かい下着を着せ、また袖と首を通した。そのあと、羽織りものを肩へと掛けた。
ニダが泣きそうになりながら説明するには、どうやら一昨日の夜も昨日の夜も、本来であれば暖かい下着を着た後に夜着を着るはずだった。が、ザーラが必要ないの一点張りで、準備を怠ったのだ。ニダはザーラに注意したが、年上で爵位も上の私に逆らうのかと言われ、悔しながらに従ったと言っていた。
ザーラは昼間は洗濯係と一緒にそちらの仕事をしていたが、乾いた物を取り込んでからオティーリエの部屋に渋々戻ってきた。そして夕食前にオティーリエの着替えを手伝い、帰って行ったのだ。
(どうりで寒かったのね…。)
「申し訳ありません…私の確認不足です。確かに、ここバンニュルンベルクで育った者だったら肌寒いくらいだから暖かい下着は必要なかったでしょう。けれどまだ慣れていないオティーリエ様だから、お風邪を召さないようにと思って準備させたのですが…」
ザーラにやってもらう仕事は、イボンヌなりに選んでさせていたのに裏目に出たとはとイボンヌもまた悔しがっていた。
オティーリエを着替えさせる為に体に触れた際、体が熱いと思ったから余計にだ。オティーリエは熱が上がっているのだ。
イボンヌは、ザーラの事をやはり報告しようと思った。
「仕方ないわ。ところで、ザーラはいないのね?」
と、オティーリエは聞く。
「ザーラは…遅刻です。」
ザーラは、いつもの時間に来なかったのだ。イボンヌはいない方が仕事が捗ると思い、居ないならとニダだけ連れて仕事に来たのだった。
「そう…。」
そこまで話すと、まだ一日が始まったばかりなのに酷く疲れたと思い、大きく息を吐いた。
「オティーリエ様、調子は如何ですか。今日は一日、ベッドの上で暖かくして過ごしましょう。ニダ、衣装部屋から毛布を一枚、持ってきなさい。太陽が昇れば、気温が上がりますから毛布は要らなくなるかもしれませんがね。」
そうイボンヌに言われ、オティーリエはベッドへと再び横にされると、
(でも日が出てきたなら起きないと…)
と思ったが、ニダが持ってきた毛布を掛けられると体が温まってきてすぐにまた眠りについた。
「オティーリエ様!ありがとうございます!!僕、クビにならずに済みそうです!!」
ベンノが涙を流しながら叫んでいる所に、やっとニダが帰ってきた。
「オティーリエ様、伝えてきました!医務院は、大変な事になっていました…。でも、お医者様にオイスターが原因ではないかとお伝えすると、お医者様が喜んでおりましたよ。それなら対処しやすいと。毒かと、緊迫しておりましたから。それで、人手が足りないと少しお手伝いしてきてしまいました…遅くなって申し訳ありません!まだオティーリエ様がこちらにいて下さって良かったです。」
ニダは、走ってきたのか肩で息をしながら、両手で太股を押さえ中腰になって体のバランスを取りながらそう言った。
「ニダ、ご苦労さま。そんなに急いで来なくても良かったのよ。でも、ちゃんと手伝いまでしてきて偉かったわ。伝えてもくれたのでしょう?さぁ、水を飲んで!
ベンノも、夕食の時間に間に合って良かったわ。よく頑張ったわね!あとの盛り付けや片づけは出来る?」
オティーリエは、夕食の前に身だしなみを整えないといけない為、そろそろ部屋に戻ろうと思ったのだ。
「はい!あとは分かります!本当に助かりました!」
「いいのよ。食事はじゃああとで部屋で頂くわね。」
オティーリエは、水を飲み終わったニダを連れて部屋へと戻った。
☆★
翌日。
目が覚めたオティーリエは、昨日よりも寒いと思って足先を擦り合わせ、布団を頭から被り体を丸めた。
(はぁ寒過ぎ…肌寒いってものではないわ!昨日よりも寒いし。おかけで起き上がれない…。)
ブルブルと震えながらも昨日、料理した事を思い出し、俄に微笑んだ。
(勝手に料理しちゃったけど、緊急事態だから、仕方ないわよね。あぁ、でも美味しかったわ…!フォルラート様も私が作ったのをすでにご存じで驚いていたけれど、美味しいと言って下さったし。良かったわ。
テューロビンゲン国では、肉といえば羊だったのに、ここは牛の肉をよく食べるらしいもの。牛肉、美味しいのよね。)
そう考えていると、扉が叩かれ、イボンヌがニダを連れて入ってきた。
「おはようございま…す、オティーリエ様?大丈夫ですか?」
「ええ。二人とも偉いのね、ちゃんと起きてて。寒いから布団から出たくないのよ。いえ、布団も寒いのだけど。」
と、声を掛けられた為にはしたなくも布団から頭を少しだけ出してイボンヌへ視線を向ける。
「まぁまぁ!ニダ、昨日の下着だけでは足りなかったのね。もう一枚、持ってきてちょうだい!あと、羽織るものもね。」
そうイボンヌが言うと、ニダは衣装部屋へといき、すぐに暖かい素材の下着と羽織りものを持ってきた。
「こちらです。…オティーリエ様、申し訳ありません!」
「ニダ、どうしました?」
ニダが、その下着をイボンヌへ渡すと頭を下げ謝ってきた。それを聞き、イボンヌは質問する。
「オティーリエ様が寒いのは、下着を着ていないからです!ザーラさんが、必要ないって言うから…すみません!」
「え!?何ですって?」
イボンヌは、その間に素早くオティーリエを起こし、夜着を上だけ袖と首を外すと暖かい下着を着せ、また袖と首を通した。そのあと、羽織りものを肩へと掛けた。
ニダが泣きそうになりながら説明するには、どうやら一昨日の夜も昨日の夜も、本来であれば暖かい下着を着た後に夜着を着るはずだった。が、ザーラが必要ないの一点張りで、準備を怠ったのだ。ニダはザーラに注意したが、年上で爵位も上の私に逆らうのかと言われ、悔しながらに従ったと言っていた。
ザーラは昼間は洗濯係と一緒にそちらの仕事をしていたが、乾いた物を取り込んでからオティーリエの部屋に渋々戻ってきた。そして夕食前にオティーリエの着替えを手伝い、帰って行ったのだ。
(どうりで寒かったのね…。)
「申し訳ありません…私の確認不足です。確かに、ここバンニュルンベルクで育った者だったら肌寒いくらいだから暖かい下着は必要なかったでしょう。けれどまだ慣れていないオティーリエ様だから、お風邪を召さないようにと思って準備させたのですが…」
ザーラにやってもらう仕事は、イボンヌなりに選んでさせていたのに裏目に出たとはとイボンヌもまた悔しがっていた。
オティーリエを着替えさせる為に体に触れた際、体が熱いと思ったから余計にだ。オティーリエは熱が上がっているのだ。
イボンヌは、ザーラの事をやはり報告しようと思った。
「仕方ないわ。ところで、ザーラはいないのね?」
と、オティーリエは聞く。
「ザーラは…遅刻です。」
ザーラは、いつもの時間に来なかったのだ。イボンヌはいない方が仕事が捗ると思い、居ないならとニダだけ連れて仕事に来たのだった。
「そう…。」
そこまで話すと、まだ一日が始まったばかりなのに酷く疲れたと思い、大きく息を吐いた。
「オティーリエ様、調子は如何ですか。今日は一日、ベッドの上で暖かくして過ごしましょう。ニダ、衣装部屋から毛布を一枚、持ってきなさい。太陽が昇れば、気温が上がりますから毛布は要らなくなるかもしれませんがね。」
そうイボンヌに言われ、オティーリエはベッドへと再び横にされると、
(でも日が出てきたなら起きないと…)
と思ったが、ニダが持ってきた毛布を掛けられると体が温まってきてすぐにまた眠りについた。
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