【完結】異国へ嫁いだ王女は政略結婚の為、嫌がらせされていると思い込んだが、いつの間にか幸せを掴みました。

まりぃべる

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12. 庭の手入れ

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 温かいシチューの朝食を終えると、やっと体も温まってきたのでオティーリエは外を見た。

 昨日よりも草が抜かれすっきりとした場所がある。

(フーゴ、あれから頑張ったのね。偉いわ!)

 ごそごそとまた、動く草の一帯があったので、オティーリエはフーゴが外で作業しているのだろうと外へ出ようと立ち上がる。


「ザーラ、あなたは下がっていいわ。」

「やった!」
「こら、ザーラ!」

 オティーリエが侍女達に向かってそう言うと、ザーラは手を叩いて喜び、イボンヌは素早く叱る。ニダはといえば、驚いていた。

「ザーラ、あなたは違う仕事をさせてもらいなさい。ニダは残って。イボンヌは…部屋の掃除でもよろしく。」

「オティーリエ様は何を?」
「じゃ、私休憩室行くわね-!」

「ダメです!ザーラ!!」

 イボンヌがオティーリエに聞くが、ザーラが部屋を出て行こうと扉へそそくさと向かうので慌てている。

「イボンヌ、私はここに居るから気にしないで。ザーラに別の仕事を与えて来なさい。天気がいいから洗濯なんて良さそうね。」

 そうオティーリエがイボンヌへと言葉を向けると、イボンヌは視線をオティーリエへと向け、一つ頷くと扉へと向かったザーラの近くへと急ぐ。

「はぁ?洗濯!?なんで私が…!」

 ザーラは振り返り、あろう事かオティーリエに刃向かっている。

「あなたは侍女なんでしょ?言われた仕事はきちんとしなさい。」

「だからなんであんたなんかに…!」

「はいはい、じゃあザーラ、行きますよ。言葉遣いは改めなさいね。オティーリエ様、申し訳ありません。」

 イボンヌは、ザーラの腕を掴み部屋を出て行った。ザーラは腕が痛いと叫んでいた。


 扉が閉まるとオティーリエは早速、

「ニダ、手伝いなさい。草むしりはした事ある?」

「はい、え?く、草むしりですか?」

 ニダは不思議そうにオティーリエを見つめる。

「ええ、難しいなら少しでもいいから手伝ってちょうだい。管轄が違うのだものね。」

 オティーリエはニダに付き合わせてしまうからやった事がないのなら教え、出来栄えは期待せずに出来る所だけやってもらおうと思った。

 外への扉をあけ、オティーリエは庭へと出る。

「フーゴ?」

「はい!」

 ガサガサっと草むらが激しく動き、立ち上がったのはフーゴだ。

「フーゴ、そっち、ちゃんと綺麗に出来たのね。」

「はい!お姉さん…じゃなかった!オティーリエ様に教わったやり方をしたら、すっかり綺麗になりました!」

「偉いわ、良く出来たわね。ねぇ、綺麗にしたらここはどうするつもりなの?」

「それはもう、花を植えようと思ってます!思ってたよりも時間が掛かってしまっててもう、ここに植える前に咲いてしまってるのですけど…」

「そう。植え方は教わっているの?」

「あ…いえ。」

「では私が植えてもいいかしら?」

「え?オティーリエ様がですか?」

「そうよ。花はどこにあるの?」

「王宮の裏手です。あ、でしたら、重いので持ってきます!」

「一人で大丈夫なの?」

「はい!手押し車は僕、慣れていますから!」

「そう。ニダも手伝ってくれるの。必要かしら?」

「えっと…」

 フーゴは少し悩んだ。一人より二人の方が早く、手押し車に花を載せれるだろうと思ったのだ。

「じゃあ、ニダ、フーゴを手伝って来て。私はここで草むしりしているから。」

「え?オティーリエ様がですか?でも…」

「大丈夫よ、ここにいるもの。早く行ってきてくれる?早くここを癒しの場所にしたいのよ。」

「わ、分かりました!」

 フーゴとニダは花を取りにそこを離れた。


 オティーリエは早速、しゃがみ込んで草むしりをし始める。自国にいた時も、毎朝少しだけ庭師のタイルの元へ行き教わっていたのだ。

(草むしりは基本だものね。面倒だけれど、やってやるわよ!こうなったら、私好みにこの辺り一帯、植えてやるんだから!)

 オティーリエは、そう思いながらどんな花があるのか、どうやって植えようかと考えながら草むしりをしていた。





☆★

「!オティーリエ様!?」

 オティーリエが無心で草を取っていると部屋の方から声が聞こえ、後ろを振り返るとイボンヌが慌てて近づいてくるのが見えた。

「イボンヌ?」

「オティーリエ様!何をされていたのですか!?」

 ハァハァと肩で息をしながらオティーリエに聞いた。

「どうしたのよ、そんなに慌てて。見れば分かるわよね?草を抜いているのよ。」

「いえ、それは分かります!」

「フーゴがやってくれているから、私も手伝おうと思ったのよ。ザーラは?ちゃんと仕事をさせてきたの?」

「え?あ、はい…。確かにこうも天気がいいと洗濯が捗りますからね。洗濯係には喜ばれましたよ。ってそうではなく!」

「イボンヌ、落ち着きなさい。私は、ここの気候に慣れるようにと言ってもらったわよね?だから、そのようにしているのよ。でも、それだけでは退屈なの。だから、自分好みの庭にさせてもらおうと思うのよ。フーゴもしっかりやってくれてて、思ったよりも花が植えれそうな一角があるもの。」

「は、はぁ…。」

 イボンヌは、王女だったオティーリエが自ら?と疑問に思った。
けれども、昨日も息子のフーゴに草むしりのやり方を教えていた。フーゴからもオティーリエ様はとても優しい人だった!やり方もわかりやすく適切だった!と聞いていて、オティーリエは庭弄りが好きなのかと思う。それなら、好きな事をさせた方がいいかと思った。

 イボンヌは当初、庭を綺麗に整えられていないのにオティーリエがこの部屋に住む事になってしまい、オティーリエから叱咤が有るのでは無いかと思ったのだ。そうではなく、自らも庭を造ろうとする姿に、ただの高慢な王女ではないのだと感じるのであった。
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