24 / 27
番外編
ヤルドレン王弟殿下の愛
しおりを挟む
私はヤルドレン=ヴァン=ケルンベルト。ケルンベルト国の国王の弟だ。
私は、取り返しの付かない事をしてしまった。今なら分かる。やってはいけない事だった。しかし、あの頃はこれが最善だと思っていたんだ…。
☆★☆★☆★☆★☆★
カトリーヌ=ドレイクとの出会いは、王宮内の庭園だった。
俺が、18歳の頃だったか。あの時はまだ王宮本宮の王族が住む区域に住んでいて、第二の庭の近くを歩いていたんだよな。俺の部屋からも程近いし。
そこで生垣の向こうで、何だかブツブツと声が聞こえたのだ。しかし話し声にしては、一人の声しか聞こえないような…と、近寄ってみると、池の畔に帽子が浮いていて、少女が枝で一生懸命取ろうとしていた。
「気を付けて。」
そう声を掛けると、驚いたのか、枝を池の中に落としてしまう。
「あ!」
その拍子に波紋が広がり、帽子が少し遠くへ進んでしまう。
「あー!もうちょっとだったのに!私の帽子…」
最後の方の声が、震えたような気がして、
「ごめん。待ってて。」
と、俺は慌てて帽子の奥に向かって石を投げる。すると、波紋が広がり、今度は帽子が少しこちらに進んできた。
「すごいわ!」
そう言われ、俺は何だか嬉しくなったんだ。
近くまで来たので、落ちていた枝でたぐり寄せ、濡れた帽子の雫を上下に振って少なくし、彼女に渡した。
「どうぞ。お姫様。」
柄にもなく、格好を付けて。
「ありがとう!私は、カトリーヌ=ドレイクよ。この帽子、この前の誕生日にお父様から頂いたのよ。良かった!」
と言って、とても可愛らしく笑うから、
「今日は風が少しあるから、気を付けてね。」
と、優しく言って、その場を去った。
あの太陽のように温かい笑顔が忘れられなかった。
☆★☆★☆★☆★☆★
次に見掛けたのは、ナリアーヌ王妃が亡くなって2ヶ月程してからのガーデンパーティーだった。
パーティーと言っても、派手なものではなく、伯爵以上の貴族の子ども達の顔合わせみたいなものだった。つまり…王妃が亡くなっても王族の力は衰えてないぞ、という意味を込めて王子たちとゆくゆくは婚約者候補となる令嬢の出会いの場だと。
ばかばかしい!まだ少年少女の年齢じゃないか。13歳と10歳の王子と、その年齢に近い令嬢たち。
しかも、第一王子は体が弱いから、初めだけ挨拶してその場を去る。実質10歳の王子の相手を探すようなものだ。
と、俺が窓からその様子を見ていると、あの日帽子を池に落として嘆いていた少女がいた。気になって、下の広場の方まで降りて行き、柱の陰から覗いてみる。
少女は、あの日見た輝いた笑顔ではなかった。扇子で顔を隠し、表情を見えないようにしながらも辺りを伺っていた。
そうか…甥の婚約者候補になったわけか…。
☆★☆★☆★☆★☆★
次に会った時は、彼女は落ち込んでいた。あの日会った王宮内の池の畔の、ベンチに座っていた。
石を、池に投げ込んでいた。
「そんなに石を投げたら、池が埋め立てられるな。」
そう声を掛け、隣のベンチに腰掛ける。
「…。」
返事は無かった。だが、横を見ると、歯を食いしばってるようだった。
「何かあったか?大して知らない奴に話す方が、気が楽になるぞ。」
そう言って、俺も池に石を投げる。しかし、格好良いところを見せたくて、水切りをした。石が、4回跳ねそうな所で、淵に当たり沈んだ。
「え!すごい!」
と、弾んだ声がする。
「どうやるの?」
「こうやるのさ。」
と、手を横に動かして、もう一度見せる。今度も、同じようになった。
「ま、でも密かに何度も練習したな。ここへ来てこっそりとさ。」
「練習かぁ…。」
「やりたくなきゃ、やらなきゃいい。愉しくなかったら意味が無い。」
俺は、自分に言い聞かせるように言った。
「…でも、それでもやらなきゃいけないこともあるわ。」
「意味を見出せるなら、何にでも取り組むのは必要だ。そうではないなら、止めた方が良い。」
もしかしたら、婚約者候補の事で悩んでいるのではないかと思ってしまった。この前のガーデンパーティーも、楽しそうでは無かった。俺は、陰から密かに見ていただけだから、実際は分からないが。
「そうね。意味は見出せるわ。うん。やるしかないのよね。」
「…では、辛くなったらまた、ここに来ればいい。石切りの練習でもしよう。心が空っぽになって、元気が出るぞ。」
「はい!ありがとうございます。」
そう言って、少しはにかんだ笑顔は、幼い頃の笑顔と一緒の、はち切れんばかりの良い顔だった。
自分より年下の令嬢であるのに、何故だかこの笑顔がまた見たいと思ってしまった。
☆★☆★☆★☆★☆★
ルークが大きくなってくると、私の存在が邪魔になってくる輩が居るらしい。だから、仕方なく離宮に住まいを移動する事に決めた。俺は、政権からは遠のくぞというアピールを込めて。
しかしそうすると、あの池にカトリーヌ嬢が来ているのか分からないんだよな。最近は来ていないし、もう来る事はないか。
だが、未練たらしく最後に出掛けてしまった。そして、石切りをする。この池は庭にあるだけだから、小さい。石も4回跳ねれば良い方だ。
「この池が大きければ、もっと跳ねますの?」
振り返ると、カトリーヌ嬢がいた。会えて良かった、という気持ちと、また辛い事でもあったのか?という気持ちが混ざり合って渋い顔をしてしまう。
「返事をして下さらないの?」
「あ、ああ…いや。この倍は跳ねるぞ。どうした?」
「石切りが見たくなりましたの。」
「そうか…。俺は、これからはここにあまり来れなくなる。カトリーヌ、大丈夫か?」
「そうですか…。仕方ありませんね。私は大丈夫ですわよ。侯爵令嬢ですもの。弱音は吐きませんわ。」
「無理はするな。カトリーヌ…その…好いた奴はいるか?」
カトリーヌは、侯爵令嬢。その地位であれば、第一王子でも第二王子でも婚約者となれるだろう。普通であれば、第一王子の婚約者となれば、正妃になる為の教育をする事になる。だが、第一王子は体が弱い。小さい頃は大人になれるかとさえ言われていた。良く持った方とも言える。
カトリーヌは、第一王子か第二王子、どちらかの婚約者となるのだろう。だが、本音を聞いてみたい衝動に駆られた。
「…私は正妃と成るために学んでおります。ですので、それ以外考えてはいけないのです。」
☆★☆★☆★☆★☆★
兄上にも謝った。謝っても謝り切れないが。そうしたら、逆に兄上は泣いてくれていた。【嫌われてなくて良かった-!】と。うむむ、嫌いとかではないのだがな。カトリーヌとを優先しただけで…。
寛大にも、処刑でなく辺境の地へ行けと言われた。生きろ、と。
カトリーヌに、気持ちを伝えろと言われた。異世界から来たとか言う娘…。
小娘の言うことなんか聞くか、と思う反面、伝えてみるか、という気持ちにもさせられた。不思議な娘だ。
…結果的に、カトリーヌとの夢に描いていた生活が送れる事になったからまぁ、感謝してもしきれんがな。
普通だったら、無くしていた命。最愛のカトリーヌと共に…。
やー簡単にめでたしめでたし、とは行かぬな! 辺境の地は、北にあると知ってはいたがいざ来てみると本当に寒い!王宮内でしか生活して来なかった俺、寒さで凍死するんじゃないか?
けれど、ここにはカトリーヌが居る。もう、目の前にだ!こんなに嬉しい事はない!愛も囁き放題。寒いからとくっつき放題。今日も早く仕事を終わらせて、カトリーヌの所へ、行くか!
私は、取り返しの付かない事をしてしまった。今なら分かる。やってはいけない事だった。しかし、あの頃はこれが最善だと思っていたんだ…。
☆★☆★☆★☆★☆★
カトリーヌ=ドレイクとの出会いは、王宮内の庭園だった。
俺が、18歳の頃だったか。あの時はまだ王宮本宮の王族が住む区域に住んでいて、第二の庭の近くを歩いていたんだよな。俺の部屋からも程近いし。
そこで生垣の向こうで、何だかブツブツと声が聞こえたのだ。しかし話し声にしては、一人の声しか聞こえないような…と、近寄ってみると、池の畔に帽子が浮いていて、少女が枝で一生懸命取ろうとしていた。
「気を付けて。」
そう声を掛けると、驚いたのか、枝を池の中に落としてしまう。
「あ!」
その拍子に波紋が広がり、帽子が少し遠くへ進んでしまう。
「あー!もうちょっとだったのに!私の帽子…」
最後の方の声が、震えたような気がして、
「ごめん。待ってて。」
と、俺は慌てて帽子の奥に向かって石を投げる。すると、波紋が広がり、今度は帽子が少しこちらに進んできた。
「すごいわ!」
そう言われ、俺は何だか嬉しくなったんだ。
近くまで来たので、落ちていた枝でたぐり寄せ、濡れた帽子の雫を上下に振って少なくし、彼女に渡した。
「どうぞ。お姫様。」
柄にもなく、格好を付けて。
「ありがとう!私は、カトリーヌ=ドレイクよ。この帽子、この前の誕生日にお父様から頂いたのよ。良かった!」
と言って、とても可愛らしく笑うから、
「今日は風が少しあるから、気を付けてね。」
と、優しく言って、その場を去った。
あの太陽のように温かい笑顔が忘れられなかった。
☆★☆★☆★☆★☆★
次に見掛けたのは、ナリアーヌ王妃が亡くなって2ヶ月程してからのガーデンパーティーだった。
パーティーと言っても、派手なものではなく、伯爵以上の貴族の子ども達の顔合わせみたいなものだった。つまり…王妃が亡くなっても王族の力は衰えてないぞ、という意味を込めて王子たちとゆくゆくは婚約者候補となる令嬢の出会いの場だと。
ばかばかしい!まだ少年少女の年齢じゃないか。13歳と10歳の王子と、その年齢に近い令嬢たち。
しかも、第一王子は体が弱いから、初めだけ挨拶してその場を去る。実質10歳の王子の相手を探すようなものだ。
と、俺が窓からその様子を見ていると、あの日帽子を池に落として嘆いていた少女がいた。気になって、下の広場の方まで降りて行き、柱の陰から覗いてみる。
少女は、あの日見た輝いた笑顔ではなかった。扇子で顔を隠し、表情を見えないようにしながらも辺りを伺っていた。
そうか…甥の婚約者候補になったわけか…。
☆★☆★☆★☆★☆★
次に会った時は、彼女は落ち込んでいた。あの日会った王宮内の池の畔の、ベンチに座っていた。
石を、池に投げ込んでいた。
「そんなに石を投げたら、池が埋め立てられるな。」
そう声を掛け、隣のベンチに腰掛ける。
「…。」
返事は無かった。だが、横を見ると、歯を食いしばってるようだった。
「何かあったか?大して知らない奴に話す方が、気が楽になるぞ。」
そう言って、俺も池に石を投げる。しかし、格好良いところを見せたくて、水切りをした。石が、4回跳ねそうな所で、淵に当たり沈んだ。
「え!すごい!」
と、弾んだ声がする。
「どうやるの?」
「こうやるのさ。」
と、手を横に動かして、もう一度見せる。今度も、同じようになった。
「ま、でも密かに何度も練習したな。ここへ来てこっそりとさ。」
「練習かぁ…。」
「やりたくなきゃ、やらなきゃいい。愉しくなかったら意味が無い。」
俺は、自分に言い聞かせるように言った。
「…でも、それでもやらなきゃいけないこともあるわ。」
「意味を見出せるなら、何にでも取り組むのは必要だ。そうではないなら、止めた方が良い。」
もしかしたら、婚約者候補の事で悩んでいるのではないかと思ってしまった。この前のガーデンパーティーも、楽しそうでは無かった。俺は、陰から密かに見ていただけだから、実際は分からないが。
「そうね。意味は見出せるわ。うん。やるしかないのよね。」
「…では、辛くなったらまた、ここに来ればいい。石切りの練習でもしよう。心が空っぽになって、元気が出るぞ。」
「はい!ありがとうございます。」
そう言って、少しはにかんだ笑顔は、幼い頃の笑顔と一緒の、はち切れんばかりの良い顔だった。
自分より年下の令嬢であるのに、何故だかこの笑顔がまた見たいと思ってしまった。
☆★☆★☆★☆★☆★
ルークが大きくなってくると、私の存在が邪魔になってくる輩が居るらしい。だから、仕方なく離宮に住まいを移動する事に決めた。俺は、政権からは遠のくぞというアピールを込めて。
しかしそうすると、あの池にカトリーヌ嬢が来ているのか分からないんだよな。最近は来ていないし、もう来る事はないか。
だが、未練たらしく最後に出掛けてしまった。そして、石切りをする。この池は庭にあるだけだから、小さい。石も4回跳ねれば良い方だ。
「この池が大きければ、もっと跳ねますの?」
振り返ると、カトリーヌ嬢がいた。会えて良かった、という気持ちと、また辛い事でもあったのか?という気持ちが混ざり合って渋い顔をしてしまう。
「返事をして下さらないの?」
「あ、ああ…いや。この倍は跳ねるぞ。どうした?」
「石切りが見たくなりましたの。」
「そうか…。俺は、これからはここにあまり来れなくなる。カトリーヌ、大丈夫か?」
「そうですか…。仕方ありませんね。私は大丈夫ですわよ。侯爵令嬢ですもの。弱音は吐きませんわ。」
「無理はするな。カトリーヌ…その…好いた奴はいるか?」
カトリーヌは、侯爵令嬢。その地位であれば、第一王子でも第二王子でも婚約者となれるだろう。普通であれば、第一王子の婚約者となれば、正妃になる為の教育をする事になる。だが、第一王子は体が弱い。小さい頃は大人になれるかとさえ言われていた。良く持った方とも言える。
カトリーヌは、第一王子か第二王子、どちらかの婚約者となるのだろう。だが、本音を聞いてみたい衝動に駆られた。
「…私は正妃と成るために学んでおります。ですので、それ以外考えてはいけないのです。」
☆★☆★☆★☆★☆★
兄上にも謝った。謝っても謝り切れないが。そうしたら、逆に兄上は泣いてくれていた。【嫌われてなくて良かった-!】と。うむむ、嫌いとかではないのだがな。カトリーヌとを優先しただけで…。
寛大にも、処刑でなく辺境の地へ行けと言われた。生きろ、と。
カトリーヌに、気持ちを伝えろと言われた。異世界から来たとか言う娘…。
小娘の言うことなんか聞くか、と思う反面、伝えてみるか、という気持ちにもさせられた。不思議な娘だ。
…結果的に、カトリーヌとの夢に描いていた生活が送れる事になったからまぁ、感謝してもしきれんがな。
普通だったら、無くしていた命。最愛のカトリーヌと共に…。
やー簡単にめでたしめでたし、とは行かぬな! 辺境の地は、北にあると知ってはいたがいざ来てみると本当に寒い!王宮内でしか生活して来なかった俺、寒さで凍死するんじゃないか?
けれど、ここにはカトリーヌが居る。もう、目の前にだ!こんなに嬉しい事はない!愛も囁き放題。寒いからとくっつき放題。今日も早く仕事を終わらせて、カトリーヌの所へ、行くか!
10
お気に入りに追加
592
あなたにおすすめの小説
逃げた先の廃墟の教会で、せめてもの恩返しにお掃除やお祈りをしました。ある日、御祭神であるミニ龍様がご降臨し加護をいただいてしまいました。
下菊みこと
恋愛
主人公がある事情から逃げた先の廃墟の教会で、ある日、降臨した神から加護を貰うお話。
そして、その加護を使い助けた相手に求婚されるお話…?
基本はほのぼのしたハッピーエンドです。ざまぁは描写していません。ただ、主人公の境遇もヒーローの境遇もドアマット系です。
小説家になろう様でも投稿しています。
私のことが大好きな守護竜様は、どうやら私をあきらめたらしい
鷹凪きら
恋愛
不本意だけど、竜族の男を拾った。
家の前に倒れていたので、本当に仕方なく。
そしたらなんと、わたしは前世からその人のつがいとやらで、生まれ変わる度に探されていたらしい。
いきなり連れて帰りたいなんて言われても、無理ですから。
そんなふうに優しくしたってダメですよ?
ほんの少しだけ、心が揺らいだりなんて――
……あれ? 本当に私をおいて、ひとりで帰ったんですか?
※タイトル変更しました。
旧題「家の前で倒れていた竜を拾ったら、わたしのつがいだと言いだしたので、全力で拒否してみた」
【完結】気づいたら異世界に転生。読んでいた小説の脇役令嬢に。原作通りの人生は歩まないと決めたら隣国の王子様に愛されました
hikari
恋愛
気がついたら自分は異世界に転生していた事に気づく。
そこは以前読んだことのある異世界小説の中だった……。転生をしたのは『山紫水明の中庭』の脇役令嬢のアレクサンドラ。アレクサンドラはしつこくつきまとってくる迷惑平民男、チャールズに根負けして結婚してしまう。
「そんな人生は嫌だ!」という事で、宿命を変えてしまう。アレクサンドラには物語上でも片思いしていた相手がいた。
王太子の浮気で婚約破棄。ここまでは原作通り。
ところが、アレクサンドラは本来の物語に無い登場人物から言い寄られる。しかも、その人物の正体は実は隣国の王子だった……。
チャールズと仕向けようとした、王太子を奪ったディアドラとヒロインとヒロインの恋人の3人が最後に仲違い。
きわめつけは王太子がギャンブルをやっている事が発覚し王太子は国外追放にあう。
※ざまぁの回には★印があります。
乙女ゲームの主人公になったけど、やる気ゼロです。
こうじゃん
恋愛
私エリカ14歳。
酔っ払いのおじさんに、ジャンピングトルネードヘッドアタックをおみまいした衝撃で、
前世を思い出しました。
いやあああ、これって、乙女ゲームの世界だわ!!!!!
婚約者がある男性を攻略なんて、やりません!
・ 学校で魔法を覚えよう、学園ライフを楽しもう!
・ 攻略は、しないで、平穏にくらそう!
を、目標に、毎日楽しく頑張ります!
(小説家になろうに掲載済みを少々直してUPしてます。完結しました。)
完結 貴族生活を棄てたら王子が追って来てメンドクサイ。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の婚約者になってから様々な嫌がらせを受けるようになった侯爵令嬢。
王子は助けてくれないし、母親と妹まで嫉妬を向ける始末。
貴族社会が嫌になった彼女は家出を決行した。
だが、有能がゆえに王子妃に選ばれた彼女は追われることに……
氷の貴公子と呼ばれている婚約者が、私を愛しすぎている
瑠美るみ子
恋愛
ほぼ没落している侯爵家の長女ラヴァンダが、雪の精霊の先祖返りのせいで文字通り「氷」の貴公子である公爵子息のウィステリアを助けた結果、婚約するはめになった挙句、溺愛されるようになった話。
ラブコメです。
*小説家になろう様とカクヨム様にても掲載しております
【完結】夫である王太子に浮気された公爵令嬢ですが、たとえ悪女と呼ばれても策略の限りを尽くして愛と幸せを手に入れます
綾森れん
恋愛
マルタ・サンティス公爵令嬢は、美形で女性にだらしない王太子の婚約者。貴族学園時代から数々の浮名を流していた王太子だったが、国王陛下が厳しいため婚約破棄はなかった。
結婚後は立場への責任感から落ち着くかと期待したものの、案の定、男爵令嬢への浮気が発覚した。
裏切られたマルタは、厳しい王妃教育で徹底された気高い倫理観をかなぐり捨て、悪女となってでも、自らの幸せを手に入れることを誓う。
マルタの計画を献身的に支えるのは、侍女のルネ。だがルネの正体は、侍女に変装して王宮についてきた美少年。
王太子とそっくりな顔立ちをしていたため、ルネは孤児院から公爵家に引き取られ、教育をほどこされたのだ。
マルタより一歳年下のルネは、マルタを姉と慕って育ち、マルタの幸せを誰よりも願っていた。
マルタのためならどんな手段もいとわないルネの協力で、策略は成功した。
王太子と男爵令嬢は断罪され、マルタは王太子妃として溺愛される幸せな日々を手に入れる。
たとえ破滅するとしても婚約者殿とだけは離れたくない。だから、遅れてきた悪役令嬢、あんたは黙っててくれないか?
桜枕
ファンタジー
【あなたは下半身のだらしなさにより、その身を破滅させるのです】
謎の電子音によって前世の記憶を取り戻した俺は、一度もプレイしたことがない乙女ゲームの世界に転生していた。
しかも、俺が転生しているのはゲーム内で顔も名前も出てこないモブ男。婚約者が居るにもかかわらず、他の令嬢に手を出してヒロインから婚約破棄されるキャラクターだったのだ。
破滅したくない一心で幼少期から煩悩を消しながら、婚約者殿と交流していた俺はいつしか彼女に惹かれて始めていた。
ある日の観劇デートで俺達の距離は一気に縮まることになる。
そして、迎えた学園入学。
ゲーム内のイケメン攻略対象キャラや悪役令嬢が次々と現れたにも関わらず、何も知らずに普通に交流を持ってしまった。
婚約者殿との仲を深めつつ、他のキャラクターとの友情を育んでいた矢先、悪役令嬢の様子がおかしくなって……。
後輩の攻略対象キャラも迎え、本格的に乙女ゲーム本編が始まったわけだが、とにかく俺の婚約者殿が可愛すぎる。
「やめて! 破滅しちゃう! え、隠しキャラ? なにそれ、聞いてない」
これは、俺が破滅の未来ではなく、愛する婚約者殿との未来を掴むために奮闘する物語である。
※カクヨム、小説家になろうでも併載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる