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旧演習ホール
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「さぁ!練習しますか!」
と言って気合いを入れ、扉を閉めようとしたが閉まらない。練習の激しい衝撃で曲がっているのかもしれない。
入ってきた時は開いていたし、長らく来ていないと言っていたから本当に放置されていたのかもしれないわ。そう思うと、少し寂しい気がした。天井も一部崩れ落ちてきそうな所もある。ここが無くなったら、私の練習場所が無くなったら困るわ。うーん…そうだ!練習にもなるだろうし、出来るかしら?先生も、好きに使っていいと言って下さったし。
私は、旧演習ホールの真ん中へ行って早速石に対話を始めた。
《石よ。このボロボロな旧演習ホール、昔使われていた時のような壊れる前のように出来るかしら。壁も、天井を支えきれるように真っ直ぐ。天井も、しっかり覆えるように。扉も、しっかり開け閉め出来るように。》
そう言うと、メキメキと音がし始め、建物全体が小刻みに揺れ出した。
私は、若干不安になって、《石よ、大丈夫よね?無理しないでね。出来ないならいいのよ。》と伝える。
すると、優しい風がそよそよと私の体全体を撫でるように吹いた。その風が、外に向かって吹くと、歪んでいた壁が真っ直ぐになり、天井も穴の開いていないしっかりとしたものとなった。
「わぁ!すごい!!」
私が一つ、両手を叩いて喜んだ。
《石よ、ありがとう!あなたは素晴らしいわ!!出来ないかもなんて言ってごめんね。あなたは最高の相棒よ。》
と伝えた。すると、石も、柔らかな光を点滅するように二回光った。
《まぁ!もしかしたら返事をしてくれたの?会話が出来たらなぁと思っていたのよ!あなたは本当に素晴らしいわね!!》
そう対話をしていると、外がガヤガヤとしだし、新しくなって閉まっていた扉を開けられた。
「おい!なんだこれは!?」
「どうなってんだ?大丈夫か?」
「ここって、こんなに綺麗だったか?」
と、次々と先輩の生徒達が話してくる。隣の演習ホールで練習していた生徒だと思う。音がしたので驚いて見に来たのかもしれない。
「あ、すみません。驚かせてしまって。何でもないです。」
と、伝えた。すると、その内の一人の男性が、人をかき分けて私の傍までくると話し掛けてきた。誰かと思ったら、ラルフレッドさんだった。
「エレナール嬢、大丈夫だったか?というか…どうした?この旧演習ホール、ぼろぼろだったよな?それが、新品のようにピカピカだ!まるで時間を戻したかのようだよ。」
時間を戻した?んー…まぁ、確かに昔のようにしてとは石に伝えてみたけれど。
「えーと…それは良かったです。綺麗になって、使いやすくなりますよね?」
だって、どうやったかなんてよくわからないもの。そう言うしかないじゃない?
「まぁ、危険じゃないなら良かったけれどね。先輩方も、さぁ練習に戻りましょう。」
「んーよくわからないが…オンボロだったから倒壊したとかじゃなくて良かった。みんな、戻ろうぜ。」
そう近くの人達と言い合いながら、ガヤガヤと見に来た先輩方は演習ホールに戻って行った。
「で、何があったんだ?もしかしてエレナール嬢の石がやったのか。」
「ええ。…あら?でもラルフレッドさんも演習ホールにいらしたの?」
「いや。俺は、キャスパーとここより上にある特別演習ホールで毎日練習していたからな。こちらで激しい音がしたから驚いてキャスパーと来たんだ。」
「上?…あら。」
ぞろぞろと先輩方が出て行ったあと、一人残っている人がいて、よく見たらキャスパー王子でしたわ。
「ああ。上は特別演習ホールと言って、王族専用なんだ。ほら、王族の出来がさっぱりだと他の人の前で練習するのは恥ずかしいからね。そして、俺も付き合って一緒にやってたんだ。」
「そうでしたの。全く知りませんでしたわ。」
「おい!さっぱりとか言うな!だいぶ出来るようになったんだからな。…エレナール嬢、言うなよ。」
「ふふ。キャスパー王子、大丈夫ですわ。練習って、ひけらかすものではありませんものね。」
「でも、エレナール嬢は一人で?」
「はい。あの…私も恥ずかしながら、なかなか石とうまく対話が出来ませんもので。」
「そうだったのか…。も、もし良ければ、一緒にやるか?」
「まぁ!ラルフレッドさん、よろしいのでしょうか?まだまだ未熟ですので、もう少し扱いが出来るようになったら、ご一緒にお願いしますね。」
ーーーー
「まぁまぁまぁ!!!これはどういう事かしら!?ボロボロだった旧演習ホールが、新品の演習ホールに様変わりしているわ!!これはもしかしたらもしかするのかしら?コンプスター家は兄妹揃って素晴らしい石を相棒に出来る持ち主!?私の株も益々上がるって事かしら??」
先生の呟きが、演習ホールに響き渡りました。
と言って気合いを入れ、扉を閉めようとしたが閉まらない。練習の激しい衝撃で曲がっているのかもしれない。
入ってきた時は開いていたし、長らく来ていないと言っていたから本当に放置されていたのかもしれないわ。そう思うと、少し寂しい気がした。天井も一部崩れ落ちてきそうな所もある。ここが無くなったら、私の練習場所が無くなったら困るわ。うーん…そうだ!練習にもなるだろうし、出来るかしら?先生も、好きに使っていいと言って下さったし。
私は、旧演習ホールの真ん中へ行って早速石に対話を始めた。
《石よ。このボロボロな旧演習ホール、昔使われていた時のような壊れる前のように出来るかしら。壁も、天井を支えきれるように真っ直ぐ。天井も、しっかり覆えるように。扉も、しっかり開け閉め出来るように。》
そう言うと、メキメキと音がし始め、建物全体が小刻みに揺れ出した。
私は、若干不安になって、《石よ、大丈夫よね?無理しないでね。出来ないならいいのよ。》と伝える。
すると、優しい風がそよそよと私の体全体を撫でるように吹いた。その風が、外に向かって吹くと、歪んでいた壁が真っ直ぐになり、天井も穴の開いていないしっかりとしたものとなった。
「わぁ!すごい!!」
私が一つ、両手を叩いて喜んだ。
《石よ、ありがとう!あなたは素晴らしいわ!!出来ないかもなんて言ってごめんね。あなたは最高の相棒よ。》
と伝えた。すると、石も、柔らかな光を点滅するように二回光った。
《まぁ!もしかしたら返事をしてくれたの?会話が出来たらなぁと思っていたのよ!あなたは本当に素晴らしいわね!!》
そう対話をしていると、外がガヤガヤとしだし、新しくなって閉まっていた扉を開けられた。
「おい!なんだこれは!?」
「どうなってんだ?大丈夫か?」
「ここって、こんなに綺麗だったか?」
と、次々と先輩の生徒達が話してくる。隣の演習ホールで練習していた生徒だと思う。音がしたので驚いて見に来たのかもしれない。
「あ、すみません。驚かせてしまって。何でもないです。」
と、伝えた。すると、その内の一人の男性が、人をかき分けて私の傍までくると話し掛けてきた。誰かと思ったら、ラルフレッドさんだった。
「エレナール嬢、大丈夫だったか?というか…どうした?この旧演習ホール、ぼろぼろだったよな?それが、新品のようにピカピカだ!まるで時間を戻したかのようだよ。」
時間を戻した?んー…まぁ、確かに昔のようにしてとは石に伝えてみたけれど。
「えーと…それは良かったです。綺麗になって、使いやすくなりますよね?」
だって、どうやったかなんてよくわからないもの。そう言うしかないじゃない?
「まぁ、危険じゃないなら良かったけれどね。先輩方も、さぁ練習に戻りましょう。」
「んーよくわからないが…オンボロだったから倒壊したとかじゃなくて良かった。みんな、戻ろうぜ。」
そう近くの人達と言い合いながら、ガヤガヤと見に来た先輩方は演習ホールに戻って行った。
「で、何があったんだ?もしかしてエレナール嬢の石がやったのか。」
「ええ。…あら?でもラルフレッドさんも演習ホールにいらしたの?」
「いや。俺は、キャスパーとここより上にある特別演習ホールで毎日練習していたからな。こちらで激しい音がしたから驚いてキャスパーと来たんだ。」
「上?…あら。」
ぞろぞろと先輩方が出て行ったあと、一人残っている人がいて、よく見たらキャスパー王子でしたわ。
「ああ。上は特別演習ホールと言って、王族専用なんだ。ほら、王族の出来がさっぱりだと他の人の前で練習するのは恥ずかしいからね。そして、俺も付き合って一緒にやってたんだ。」
「そうでしたの。全く知りませんでしたわ。」
「おい!さっぱりとか言うな!だいぶ出来るようになったんだからな。…エレナール嬢、言うなよ。」
「ふふ。キャスパー王子、大丈夫ですわ。練習って、ひけらかすものではありませんものね。」
「でも、エレナール嬢は一人で?」
「はい。あの…私も恥ずかしながら、なかなか石とうまく対話が出来ませんもので。」
「そうだったのか…。も、もし良ければ、一緒にやるか?」
「まぁ!ラルフレッドさん、よろしいのでしょうか?まだまだ未熟ですので、もう少し扱いが出来るようになったら、ご一緒にお願いしますね。」
ーーーー
「まぁまぁまぁ!!!これはどういう事かしら!?ボロボロだった旧演習ホールが、新品の演習ホールに様変わりしているわ!!これはもしかしたらもしかするのかしら?コンプスター家は兄妹揃って素晴らしい石を相棒に出来る持ち主!?私の株も益々上がるって事かしら??」
先生の呟きが、演習ホールに響き渡りました。
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