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合同練習
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「どうしてあなた達もいるのです!?」
シュタリーさんが、特別演習ホールに来て早々そう、大きな声で言い放った。
「どうして?どうしてって俺が誘ったからさ。どうせなら大勢の方が良いだろう?なに?問題でもあった?」
と、素早くラルフレッドさんが口を挟んでくれた。申し訳ないけれどそうさせてもらいましょう。
「なんだ。差別をするなと言ったのは君だろう?問題があるなら止めればいい。私は、君と練習するにあたって何のメリットもないのだから。」
キャスパー王子が面倒くさそうに言うと、シュタリーさんは頬を膨らませて、恨み言を言った。
「もう…!キャスパー王子はそんなに恥ずかしがり屋さんだったのですか?仕方ないですわね。いいわ。許して差し上げます。」
…!許して差し上げますって、王族相手によくもまあ言えたものですわ。確かに、学校の中では身分関係なく、というのが教育方針にありますけれど、ヒヤヒヤしますわ。
私は、サイメーラと顔を見合わせて肩をすくめ合った。
ちなみに、ライアーはやっぱり、家業のお手伝いがあったようで『とても残念ですわ。絶対に面白い事があるはずですのに。明日、何があったか教えてよ!!』と、念を押して帰って行った。
キャスパー王子と、ラルフレッドさんは睨んでおりますけれども、気づいてない感じですわね。
「まぁでも時間が惜しいから、早速やろう。コーデル嬢。対話はどこまで出来るのだ?」
キャスパー王子は、さっさと進め始めた。確かに、彼女と話していると、全く話が通じなくて疲れる事もありますものね。
「それが、なかなか反応してくれないのです。私が、お願いしているのに。」
「どんな風にだ?まさか、『さっさとやれよ、この屑石!あほんだら-!』とかお願いしているのか?」
「ま…!そそそ、そんな訳ないじゃないですか!」
あら。顔を真っ赤にして弁解していますけれども、あれじゃあ図星ですって言っているようなものね。
「そんな事やっているから、石がこちらの気持ちを汲んで魔力を発動してくれないんだぞ。それ位もわからないのか。ああ、わからないからここまで来てしまったんだな。俺は今、ものすごく大事な事を教えてやったぞ。まぁ、いつもの先生もそうやって教えてくれているがな。」
と、腕を組み胸を反らせてキャスパー王子は言うと、
「さぁ。コーデル嬢。君との練習は終わりだ。あとは自分で学んでいってくれ。俺はこれから自分の為の練習をしなければならない。ここは元々王族専用なんだ。分かったら出て行ってくれ。」
「なんですって?これで終わり?5分も経ってないですわ!こう、もっと手取り足取り教えて下さいませ!」
「あのな。石を扱う事に関して、個々でやり方は違うと初歩の授業の際先生も言っていただろう。俺が教える事はもうない。何を期待していたのかは知らないが、入学して努力も碌にしてこなかった奴に今さら何を教えるって言うんだ。精進している奴をバカにしているのか?時間を無駄にする奴の相手をするのもばかばかしい。では、また明日。」
そう、言うだけ言うとキャスパー王子は、手をヒラヒラと振って早く出て行けと言わんばかりに出入り口の扉に目を向けた。
「まぁ!失礼にもほどがありますわ!気分が優れませんので帰らせていただきます!けれど、あなた達も帰りなさいな!」
いきなりそう言ったシュタリーさんは、鋭い視線を私達へと向けた。
「言っただろう。君は人の話した言葉をすぐに忘れてしまうのかい?彼女達は俺が誘ったと。それに元々、サイメーラ嬢も公爵家だ。現国王陛下の妹君が母親であらせられる立派な王族だよ。エレナール嬢も国王陛下の元、重役に就いている方が父親の侯爵家だよ。君がどうこう言う筋合いはないね。さぁ。今のうちにお帰り。あまり酷い事を言うと、不敬罪で罪に問われるけれどいいのかい?」
「え!?学校では、身分関係なくという教えがありますわよ!」
「それは建前だよね。そんな事もわからないようでは、貴族社会は生きていかれないよ。コーデル男爵に迷惑かけないようにしないと、コーデル男爵も一緒に罪に問われちゃうね。残念だなぁ。」
と、ラルフレッドさんも加わって言った。さすがにコーデル男爵の事を出されたからなのか、それとも罪に問われると言われたからなのか、それ以上は何も言わず、帰っていった。
「はー!ずいぶん賑やかだったなぁ。それにしてもあんなに辛辣な言葉を浴びせて良かったのかい?キャスパー。」
「は!俺に教えを願うとは100年、いや1000年早いわ!ましてや、サイメーラに酷い言葉を浴びせたんだろう?やり返してやらなきゃ気が済まないね。だろう?サイメーラ。どうだ?すっきりしたか?お前も言いたかっただろうが、良く我慢したな。偉いぞ。」
そう言いながらキャスパー王子は、サイメーラに近づいて頭を撫でた。
「ま…!こ、ここではお止めくださいまし!エレナールもいるのですもの。恥ずかしいですわ!」
「そうかい?愛するサイメーラに正直に愛を伝えたいのに、君はそれを断るのかい?」
まぁ!一気に雰囲気が変わりましたわ…ちょっと帰った方がよさそうですわね。私は二人から顔を逸らし、出口へ向かおうとした。
「じゃあ、俺達は退散するとしよう。」
ラルフレッドさんも同じ気持ちだったのね。
シュタリーさんが、特別演習ホールに来て早々そう、大きな声で言い放った。
「どうして?どうしてって俺が誘ったからさ。どうせなら大勢の方が良いだろう?なに?問題でもあった?」
と、素早くラルフレッドさんが口を挟んでくれた。申し訳ないけれどそうさせてもらいましょう。
「なんだ。差別をするなと言ったのは君だろう?問題があるなら止めればいい。私は、君と練習するにあたって何のメリットもないのだから。」
キャスパー王子が面倒くさそうに言うと、シュタリーさんは頬を膨らませて、恨み言を言った。
「もう…!キャスパー王子はそんなに恥ずかしがり屋さんだったのですか?仕方ないですわね。いいわ。許して差し上げます。」
…!許して差し上げますって、王族相手によくもまあ言えたものですわ。確かに、学校の中では身分関係なく、というのが教育方針にありますけれど、ヒヤヒヤしますわ。
私は、サイメーラと顔を見合わせて肩をすくめ合った。
ちなみに、ライアーはやっぱり、家業のお手伝いがあったようで『とても残念ですわ。絶対に面白い事があるはずですのに。明日、何があったか教えてよ!!』と、念を押して帰って行った。
キャスパー王子と、ラルフレッドさんは睨んでおりますけれども、気づいてない感じですわね。
「まぁでも時間が惜しいから、早速やろう。コーデル嬢。対話はどこまで出来るのだ?」
キャスパー王子は、さっさと進め始めた。確かに、彼女と話していると、全く話が通じなくて疲れる事もありますものね。
「それが、なかなか反応してくれないのです。私が、お願いしているのに。」
「どんな風にだ?まさか、『さっさとやれよ、この屑石!あほんだら-!』とかお願いしているのか?」
「ま…!そそそ、そんな訳ないじゃないですか!」
あら。顔を真っ赤にして弁解していますけれども、あれじゃあ図星ですって言っているようなものね。
「そんな事やっているから、石がこちらの気持ちを汲んで魔力を発動してくれないんだぞ。それ位もわからないのか。ああ、わからないからここまで来てしまったんだな。俺は今、ものすごく大事な事を教えてやったぞ。まぁ、いつもの先生もそうやって教えてくれているがな。」
と、腕を組み胸を反らせてキャスパー王子は言うと、
「さぁ。コーデル嬢。君との練習は終わりだ。あとは自分で学んでいってくれ。俺はこれから自分の為の練習をしなければならない。ここは元々王族専用なんだ。分かったら出て行ってくれ。」
「なんですって?これで終わり?5分も経ってないですわ!こう、もっと手取り足取り教えて下さいませ!」
「あのな。石を扱う事に関して、個々でやり方は違うと初歩の授業の際先生も言っていただろう。俺が教える事はもうない。何を期待していたのかは知らないが、入学して努力も碌にしてこなかった奴に今さら何を教えるって言うんだ。精進している奴をバカにしているのか?時間を無駄にする奴の相手をするのもばかばかしい。では、また明日。」
そう、言うだけ言うとキャスパー王子は、手をヒラヒラと振って早く出て行けと言わんばかりに出入り口の扉に目を向けた。
「まぁ!失礼にもほどがありますわ!気分が優れませんので帰らせていただきます!けれど、あなた達も帰りなさいな!」
いきなりそう言ったシュタリーさんは、鋭い視線を私達へと向けた。
「言っただろう。君は人の話した言葉をすぐに忘れてしまうのかい?彼女達は俺が誘ったと。それに元々、サイメーラ嬢も公爵家だ。現国王陛下の妹君が母親であらせられる立派な王族だよ。エレナール嬢も国王陛下の元、重役に就いている方が父親の侯爵家だよ。君がどうこう言う筋合いはないね。さぁ。今のうちにお帰り。あまり酷い事を言うと、不敬罪で罪に問われるけれどいいのかい?」
「え!?学校では、身分関係なくという教えがありますわよ!」
「それは建前だよね。そんな事もわからないようでは、貴族社会は生きていかれないよ。コーデル男爵に迷惑かけないようにしないと、コーデル男爵も一緒に罪に問われちゃうね。残念だなぁ。」
と、ラルフレッドさんも加わって言った。さすがにコーデル男爵の事を出されたからなのか、それとも罪に問われると言われたからなのか、それ以上は何も言わず、帰っていった。
「はー!ずいぶん賑やかだったなぁ。それにしてもあんなに辛辣な言葉を浴びせて良かったのかい?キャスパー。」
「は!俺に教えを願うとは100年、いや1000年早いわ!ましてや、サイメーラに酷い言葉を浴びせたんだろう?やり返してやらなきゃ気が済まないね。だろう?サイメーラ。どうだ?すっきりしたか?お前も言いたかっただろうが、良く我慢したな。偉いぞ。」
そう言いながらキャスパー王子は、サイメーラに近づいて頭を撫でた。
「ま…!こ、ここではお止めくださいまし!エレナールもいるのですもの。恥ずかしいですわ!」
「そうかい?愛するサイメーラに正直に愛を伝えたいのに、君はそれを断るのかい?」
まぁ!一気に雰囲気が変わりましたわ…ちょっと帰った方がよさそうですわね。私は二人から顔を逸らし、出口へ向かおうとした。
「じゃあ、俺達は退散するとしよう。」
ラルフレッドさんも同じ気持ちだったのね。
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