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探索の儀 始まり

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 入学して一ヶ月。
 
 学校にも、クラスにも少しずつ慣れて参りました。

 そして、さまざまな特性を持つ石を見つける『探索の儀』の日となりました。

 学校は、広さも必要な為、王都の端にあります。
 学校の裏手にある道を、王都とは反対に進んで行くと、右側に聖なる山へと続く道があります。

 その聖なる山の頂上の石場へ、授業の一環として向かいます。
 そこで自分を呼ぶ、煌めいた、魔力を秘めた石を手にする事が出来るのです。


 今日は、学校ではなくその山の麓で集合となります。

 みなさま距離があるため馬車で来るので、広い場所が必要であるし、学校からこの場所までも距離があるからです。
かなり昔は、学校で集合してそこから歩いてきていたみたいなので、すごいですわ。
 貴族というのは、特に女性はあまり体力がないので、今日の石場まで登るというのだけでも、かなり時間がかかると思われますもの。


「エレナール。今日は楽しみね!」

「サイメーラ。ええそうね。でも、山、登れるのかしら。」

「大丈夫よ!そんなに急ではないわ。ただ、緩やかではあるけれど、いつも部屋で編み物をしている貴族然としている人には辛い行程かもしれないわね。」

 それは、サイメーラは当てはまらないという事ね?サイメーラは公爵令嬢ではあるけれど、とても行動派だもの。馬術にも優れているし、フットワークも軽いから、華奢な見た目とは裏腹に体力もあるものね。

 私は…まぁ、私も庭の散策が趣味でしたから、一般的な貴族の令嬢よりは体力があるかと思いますわ。



 石場へは、班毎に少しずつ登って行く。

 私達の班は、サイメーラに、男爵家のラリアー=ハルスリン。

 学校では、身分関係なく交流をという教えがあるため、貴族も庶民も関係なくクラスわけがされております。

 いろいろな人達と交流が出来ますけれども、下の階級の人達は高位貴族には遠慮をされる傾向があります。
敢えて学校内では遠慮されない人、学校外では切り替えて敬ってくれる人、その教えを逆手に取って交流を此処ぞとばかりになされている人さまざまです。


 ラリアーは、貿易会社を営んでいる男爵家であるからか、社交的です。他国の人々も会社を行き来されているからかもしれませんわ。
だからか、サイメーラともよく話が合うみたいなのです。歯に衣着せぬ物言いをする所も、気が合うのでしょう。幼い頃から知り合いだったみたいですし。

 ですので、私もとても楽しみですわ。


「次は私達の番ですわね。」

 ここは『聖なる山』とされていて、国の管轄であるため普段は入り口に警備の者がいて普通は入れない。だからどんな山なのか、初めてでとてもワクワクいたします。

 警備の者も、今日は私達がいるため、にこやかに手を振ってくれていた。

 道の途中には、先生達が各所にいて、迷子にならないように気を配ってくれているみたいです。


 と、歩いていると早速前方から声がしてきました。

「あとどれくらいありますの!?もう歩けないですわ…。救護の先生を呼んで来て下さらないかしら。」

 え!?出発してまだ数十分しか経っていないのですけれど…足でも挫いたのかしら?

「まぁ!あの女…シュタリーよ。庶民の癖に、貴族よりも体力が無いというの!?」

「あり得ないですわ。大方、あの男性班に抱えてもらおうとか良からぬ事を画策しているのではないかしら。」

 そうですの?サイメーラと、ラリアーがそう言っています。

「え?怪我をされたのではなくて?」

 私は応答した。

「相変わらずエレナールはぬるいですわ!あの女が怪我なんてするはずないじゃないの!入学式の日にエレナールにぶつかっても平気で歩いていたのよ!?」

 た、確かに…。サイメーラはよく覚えていらっしゃるわ。

「それに、つい最近まで庶民として生活されていたのです。少しの怪我でも気にしていたら生活出来ないハズですわ。」

 ラリアーも、会社をお父様が経営されて庶民を雇っているだけあってよくご存じですわね。

「あ、そこのあなた!お願いいたしますわ。私を助けていただけません事?」

 シュタリーは、同じ班の子が反応してくれないからか、近くにいた男性班に声を掛けてらっしゃるわ。
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