【完結】田舎暮らしを都会でしているの?と思ったらここはどうやら異世界みたいです。

まりぃべる

文字の大きさ
上 下
24 / 28

24. 王宮から侯爵家へ

しおりを挟む
 次の日は、なんと王宮から家庭教師を呼んでくれた。
40代か50代くらいの細い眼鏡を掛けた、背の高い、髪をしっかりと結んで纏め上げた女性の先生だ。

 まずは姿勢。
これがかなり難しかった!頭から爪先まで神経を研ぎ澄ませて、やれ力を入れろ、そこは力を抜けと言われた。

 だけれど、三の鐘が鳴る前にどうにか歩き方を褒められるまでになった。
モデルよ、モデル歩き!
優雅に、品良く、だって。出来るかー!と思ったけれど、まぁ最後に褒められたし良かったわ。これからも出来るようにしないとね。

 昼ご飯を食べてからは、この世界の歴史を学んだ。
まぁ、日本や海外とどこも似たような歴史よね。神話のような話から始まって、この国を作った神様が国王陛下の祖先だって。

 貴族の種類も教わった。

 コーフィス侯爵家は、なんと上から数える方が早い地位だった!
私、そんな所に嫁いで大丈夫なのかしら…と思っていたら、この家庭教師の先生は私とクスファーさんとの事を知っているみたいで『大丈夫ですよ、難しいかもしれませんが貴族のしきたりをしっかりと覚えて下されば、案外その生活も楽しいですよ。前国王陛下の奥様であられる、前王妃様も異世界人でしたが、努力され立派に勤め上げたそうですよ。今はご隠居されていますがね。』とも言ってくれた。

 そうよね、どうにかなるわよね!?



 そして、その日の夕方もクスファーさんと一緒にヤマトテイに食べに行って、次の日に侯爵家へ向かう日となった。



 朝食を食べ、部屋で待っているとクスファーさんが来た。

「おはよう。なあリン。王宮でなく、侯爵家へ一緒に行って本当に大丈夫か?」

 え?どういう意味だろう…。

「えっと…クスファーさんどういう意味ですか?私はここに居た方がいいですか?」

「そうじゃない!そうじゃないが…心配になってしまった。侯爵家へ一緒に来るという事はもう、俺の妻になる以外の選択肢は無いよ。いや、あるにはあるが、俺が君を手放せないだろう。もちろん俺は嬉しいし一緒に来て欲しいさ。だけれど、リンの気持ちは大丈夫かと不安になってしまったのだ。」

 まぁ!天下無敵のクスファーさんでも、不安になる事ってあるのね。

「クスファーさん。私、まだまだ未熟で、クスファーさんの侯爵家が国で上から数えた方が早い地位だなんて知らなかったの。だけれど、クスファーさんの傍にいたいと思ってしまった。こうやって話す時間が待ち遠しくなってしまったわ。だから…何の取り柄もない私だけれど…出来るなら一緒に連れて行ってもらえませんか?」

「リン…!」

 クスファーさんはそう言うと両手を広げ私を優しく包み込んでくれた。
あぁ…なんだか温かい。クスファーさんって何だろうとても良い匂いがするわ。

「あぁ、リン!そんな可愛い事言わないでくれ!俺は今すぐ…!いやいやまだまだゆっくりと段階を踏まないとだよな。でもリンと二人で馬車でなんて苦行すぎる!あぁ早く結婚したい!領地経営を早く覚えて、リンを養えるようになるから。幸せにするよ、リン!」

 クスファーさんはそう言いながらギュウギュウと両手に力を入れてくれるから、少し痛い位だわ。
だけれど、こうやって抱き合えるなんて幸せ…!異世界へ来て良かったんじゃないかしら。

「クスファー。そんなに力入れるとリンが潰れちゃうよ。」

「…!」

 あの声は、ダグラスさん!見られていたなんて恥ずかしい…。
ゆっくりとクスファーさんは腕を緩め、私を離して、ダグラスさんを睨んだ。
最も、隠れていてくれてるけれど、侍女にもすでに見られていただろうけれど。

「なんだよ、ダグラス。良いところを邪魔するなよ。」

「ふん。帰るんだろ?挨拶にと思って来たんだからね。まず、僕が見抜いて二人でデートしておいでって言ったんだから、僕にお礼でもあっていいんじゃないの?」

 と、ダグラスさんは言った。そうね確かに、ダグラスさんは二人で出掛けなって言ってくれたんだったわ。
それがなかったら、こんな風になってなかったわよね。

「その節は本当にありがとうございました。」

「お、リンは素直だね-。じゃあ、お礼に、僕の妻と友達になってくれると嬉しいな!」

 え?妻!?

「妻!?」

「あれ?聞いてない?僕も今日でここを去って、領地で結婚式を挙げるんだ-。僕は伯爵家の跡取りだからね。妻は幼馴染みでね。同じ領地の、子爵家のお嬢様さ。また会った時はよろしく!じゃあね、幸せにしてもらいなね!」

 とだけ言うと、『早く領地へ帰って会いに行こっと!』とさっさと部屋を出て行った。

「全く、あいつは…。じゃあ俺達も行こう。忘れ物はないか?」

「はい。」

 私達は領地へと向かう為、この立派な部屋を出た。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】ペンギンの着ぐるみ姿で召喚されたら、可愛いもの好きな氷の王子様に溺愛されてます。

櫻野くるみ
恋愛
笠原由美は、総務部で働くごく普通の会社員だった。 ある日、会社のゆるキャラ、ペンギンのペンタンの着ぐるみが納品され、たまたま小柄な由美が試着したタイミングで棚が倒れ、下敷きになってしまう。 気付けば豪華な広間。 着飾る人々の中、ペンタンの着ぐるみ姿の由美。 どうやら、ペンギンの着ぐるみを着たまま、異世界に召喚されてしまったらしい。 え?この状況って、シュール過ぎない? 戸惑う由美だが、更に自分が王子の結婚相手として召喚されたことを知る。 現れた王子はイケメンだったが、冷たい雰囲気で、氷の王子様と呼ばれているらしい。 そんな怖そうな人の相手なんて無理!と思う由美だったが、王子はペンタンを着ている由美を見るなりメロメロになり!? 実は可愛いものに目がない王子様に溺愛されてしまうお話です。 完結しました。

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。

朝日みらい
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。 宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。 彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。 加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。 果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?

貧乏伯爵家の妾腹の子として生まれましたが、何故か王子殿下の妻に選ばれました。

木山楽斗
恋愛
アルフェンド伯爵家の妾の子として生まれたエノフィアは、軟禁に近い状態で生活を送っていた。 伯爵家の人々は決して彼女を伯爵家の一員として認めず、彼女を閉じ込めていたのである。 そんな彼女は、ある日伯爵家から追放されることになった。アルフェンド伯爵家の財政は火の車であり、妾の子である彼女は切り捨てられることになったのだ。 しかし同時に、彼女を訪ねてくる人が人がいた。それは、王国の第三王子であるゼルーグである。 ゼルーグは、エノフィアを妻に迎えるつもりだった。 妾の子であり、伯爵家からも疎まれていた自分が何故、そんな疑問を覚えながらもエノフィアはゼルーグの話を聞くのだった。

聖獣の卵を保護するため、騎士団長と契約結婚いたします。仮の妻なのに、なぜか大切にされすぎていて、溺愛されていると勘違いしてしまいそうです

石河 翠
恋愛
騎士団の食堂で働くエリカは、自宅の庭で聖獣の卵を発見する。 聖獣が大好きなエリカは保護を希望するが、領主に卵を預けるようにと言われてしまった。卵の保護主は、魔力や財力、社会的な地位が重要視されるというのだ。 やけになったエリカは場末の酒場で酔っ払ったあげく、通りすがりの騎士団長に契約結婚してほしいと唐突に泣きつく。すると意外にもその場で承諾されてしまった。 女っ気のない堅物な騎士団長だったはずが、妻となったエリカへの態度は甘く優しいもので、彼女は思わずときめいてしまい……。 素直でまっすぐ一生懸命なヒロインと、実はヒロインにずっと片思いしていた真面目な騎士団長の恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID749781)をお借りしております。

ゆるふわな可愛い系男子の旦那様は怒らせてはいけません

下菊みこと
恋愛
年下のゆるふわ可愛い系男子な旦那様と、そんな旦那様に愛されて心を癒した奥様のイチャイチャのお話。 旦那様はちょっとだけ裏表が激しいけど愛情は本物です。 ご都合主義の短いSSで、ちょっとだけざまぁもあるかも? 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

処理中です...