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「だが…。」
二人共うまいと何度も言ってペロリと平らげたあと、クスファーさんが考えながら声を上げた。
「なんでしょう?なんでも言って下さい!」
「昼間にここで売るのは難しいかもな。」
「え!どうしてですか?」
渋い顔をして言ったクスファーさんに私は食い気味に聞いた。
「まず、ここは王都でも、大通りに面していてとても人通りが多い。早朝は、裏通りに住んでいる人達や、店を営む者が買いにくるのだろうが、昼間はその客は裏通りで家事をしたり、大通りで商売をしていて、この店には来れない。だからといって、ターゲットを変えるにしても昼間は難しいんじゃないか?歩きながら食べるというのも、こう人が多いんじゃ出来ないしな。」
「なるほどねー。そう言われるとそうだよね。ここは大通りで、王宮に用がある人が通るんだよ。要は仕事で、急いでいる人ね。だからそんな人が仕事前には買ってくれない。まぁ、仕事終わって帰る時に買ってくれるのをターゲットにしてもいいんだろうけど、初めての物は買いづらいかもね。」
そうか…。
私は、クスファーさんとダグラスさんの意見に最もだと頷いた。
「ありがとうございます!そうなんですね…。じゃあ、夕方も難しいでしょうか?」
「夕方か。どうだろうな。ただ、店を閉める奴は買うかもしれんな。裏通りにも、この店は夕方もやっていると広まれば買いに来るかもしれんぞ。」
「そうだねー。まずは店を営業していると知らせないとね。そうしたら、売れるかもしれないよ。だって、夕方の見回り、裏通りはすごいよ-!女性方は夕飯の準備に忙しいみたいだし、でも子供のお世話も…みたいな感じでどこの家も罵声が飛んでいるよ。そんな中夕飯にも出せるパンが売っているとなったら、女性方は喜ぶんじゃない?」
「ダグラス、期待はさせすぎてはいかんぞ。でもそうなるといいがな。」
「分かりました。売り込みですね。お二人共、ご指導ありがとうございます!またディヴィスさんとマルアさんに相談してみます。」
と、私はニッコリと笑った。
素晴らしい判断だわ!私だったらその考えは全く浮かばなかった。人が多いから買ってくれると思ったけれど、皆目的があってこの道を歩いていただけなのね。確かに仕事中じゃあ、買い物なんて出来ないわよね。
「……それ、包めるか?」
「え?」
「販売してるんだろ?うまかったから…全部買うよ。」
「い、いいえ!これは、日持ちしませんから!こんなに食べたらお腹壊してしまいます!」
「大丈夫だ。騎士団の皆で食べる。うまいからな。」
いいのかしら…買ってくれるなら助かるし、いいわよね!
「ありがとうございます!」
私は満面の笑みで言葉を返した。
二人共うまいと何度も言ってペロリと平らげたあと、クスファーさんが考えながら声を上げた。
「なんでしょう?なんでも言って下さい!」
「昼間にここで売るのは難しいかもな。」
「え!どうしてですか?」
渋い顔をして言ったクスファーさんに私は食い気味に聞いた。
「まず、ここは王都でも、大通りに面していてとても人通りが多い。早朝は、裏通りに住んでいる人達や、店を営む者が買いにくるのだろうが、昼間はその客は裏通りで家事をしたり、大通りで商売をしていて、この店には来れない。だからといって、ターゲットを変えるにしても昼間は難しいんじゃないか?歩きながら食べるというのも、こう人が多いんじゃ出来ないしな。」
「なるほどねー。そう言われるとそうだよね。ここは大通りで、王宮に用がある人が通るんだよ。要は仕事で、急いでいる人ね。だからそんな人が仕事前には買ってくれない。まぁ、仕事終わって帰る時に買ってくれるのをターゲットにしてもいいんだろうけど、初めての物は買いづらいかもね。」
そうか…。
私は、クスファーさんとダグラスさんの意見に最もだと頷いた。
「ありがとうございます!そうなんですね…。じゃあ、夕方も難しいでしょうか?」
「夕方か。どうだろうな。ただ、店を閉める奴は買うかもしれんな。裏通りにも、この店は夕方もやっていると広まれば買いに来るかもしれんぞ。」
「そうだねー。まずは店を営業していると知らせないとね。そうしたら、売れるかもしれないよ。だって、夕方の見回り、裏通りはすごいよ-!女性方は夕飯の準備に忙しいみたいだし、でも子供のお世話も…みたいな感じでどこの家も罵声が飛んでいるよ。そんな中夕飯にも出せるパンが売っているとなったら、女性方は喜ぶんじゃない?」
「ダグラス、期待はさせすぎてはいかんぞ。でもそうなるといいがな。」
「分かりました。売り込みですね。お二人共、ご指導ありがとうございます!またディヴィスさんとマルアさんに相談してみます。」
と、私はニッコリと笑った。
素晴らしい判断だわ!私だったらその考えは全く浮かばなかった。人が多いから買ってくれると思ったけれど、皆目的があってこの道を歩いていただけなのね。確かに仕事中じゃあ、買い物なんて出来ないわよね。
「……それ、包めるか?」
「え?」
「販売してるんだろ?うまかったから…全部買うよ。」
「い、いいえ!これは、日持ちしませんから!こんなに食べたらお腹壊してしまいます!」
「大丈夫だ。騎士団の皆で食べる。うまいからな。」
いいのかしら…買ってくれるなら助かるし、いいわよね!
「ありがとうございます!」
私は満面の笑みで言葉を返した。
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