【完結】田舎暮らしを都会でしているの?と思ったらここはどうやら異世界みたいです。

まりぃべる

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8. パン屋の接客

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「いらっしゃいませー!」

 朝から、パン屋はとても忙しい。

 このシラグリン国では、朝ご飯を作らない人もいるみたいで手に籠を下げて買いにくる人が結構いた。
初めはものすごく緊張したし、合っているのかそわそわしながら対応していたけれど、慣れてくると楽しくなってきた。

 売っているパンの種類はなぜかフランスパンみたいなやつ一つだけ。だから計算もしやすかった。
それに、王都とはいえ早朝だからか住んでいる人がこれを目当てに来るので、お釣りもそこまで多くはない金額を渡せば良かった。

 二の鐘が鳴る前にパンはすべて無くなって販売終了したので、ディヴィスさんを呼びに行くと驚かれた。

「もう終わったのか?」

「はい。で、あとはどう片付ければいいですか?」

「とりあえずは、おれがやる。ありがとう。上で休んでてくれ。」

 そう言ってくれたので、入れ替わりに二階へ行くと、マルアさんが起きてダイニングテーブルに座っていた。

「もう終わったのかい?お疲れさま。早かったねぇ。コップ、その棚から持って来て。紅茶、少し冷めたかもしれないけれど飲むかい?」 

 と言ってくれた。少し喉が渇いたので、冷めた方がいいからとありがたく頂戴した。

「どうだったかい?ちょっと激しかったかい?」

「ええ、活気がありますね。でも皆礼儀正しくて良かったです。いつも見ない私がいたからか、『おかみさん、生まれたのか?』って皆に聞かれました。大事にされてますね!」

 

 お客さんは開店と同時に店に入って来て、店がぎゅうぎゅうになるほどだったけれど私がまず声を掛けたのだ。

「すみません!今日から私が店番をします。初めてなので慣れないとは思いますが、間違えないようにやるのでお願いします!」

 と頭を下げた。すると、一番初めに入って来た女の人が、『マルアさん大丈夫かい?よし、じゃあ順番に並ぼうよ!ここにいる人の分は無くなりはしないだろうからね!』と言ってくれた。その後も順序良く並んでくれて、私に声を掛けてくれたり、『おかみさんによろしく!』と言ってくれる人がいたのだ。



「そうかい?まぁ、王都はみんな知り合いみたいなもんさね。」

「それにしても、他のパンは売らないのですか?」

 と、疑問に思っている事を言った。すると、驚くべき言葉が返ってきたのだ。

「パンといえばバケットだろう?他って、黒パンかい?黒パンは売らないよ。あれはここじゃ売れないからね。」

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