8 / 28
8. パン屋の接客
しおりを挟む
「いらっしゃいませー!」
朝から、パン屋はとても忙しい。
このシラグリン国では、朝ご飯を作らない人もいるみたいで手に籠を下げて買いにくる人が結構いた。
初めはものすごく緊張したし、合っているのかそわそわしながら対応していたけれど、慣れてくると楽しくなってきた。
売っているパンの種類はなぜかフランスパンみたいなやつ一つだけ。だから計算もしやすかった。
それに、王都とはいえ早朝だからか住んでいる人がこれを目当てに来るので、お釣りもそこまで多くはない金額を渡せば良かった。
二の鐘が鳴る前にパンはすべて無くなって販売終了したので、ディヴィスさんを呼びに行くと驚かれた。
「もう終わったのか?」
「はい。で、あとはどう片付ければいいですか?」
「とりあえずは、おれがやる。ありがとう。上で休んでてくれ。」
そう言ってくれたので、入れ替わりに二階へ行くと、マルアさんが起きてダイニングテーブルに座っていた。
「もう終わったのかい?お疲れさま。早かったねぇ。コップ、その棚から持って来て。紅茶、少し冷めたかもしれないけれど飲むかい?」
と言ってくれた。少し喉が渇いたので、冷めた方がいいからとありがたく頂戴した。
「どうだったかい?ちょっと激しかったかい?」
「ええ、活気がありますね。でも皆礼儀正しくて良かったです。いつも見ない私がいたからか、『おかみさん、生まれたのか?』って皆に聞かれました。大事にされてますね!」
お客さんは開店と同時に店に入って来て、店がぎゅうぎゅうになるほどだったけれど私がまず声を掛けたのだ。
「すみません!今日から私が店番をします。初めてなので慣れないとは思いますが、間違えないようにやるのでお願いします!」
と頭を下げた。すると、一番初めに入って来た女の人が、『マルアさん大丈夫かい?よし、じゃあ順番に並ぼうよ!ここにいる人の分は無くなりはしないだろうからね!』と言ってくれた。その後も順序良く並んでくれて、私に声を掛けてくれたり、『おかみさんによろしく!』と言ってくれる人がいたのだ。
「そうかい?まぁ、王都はみんな知り合いみたいなもんさね。」
「それにしても、他のパンは売らないのですか?」
と、疑問に思っている事を言った。すると、驚くべき言葉が返ってきたのだ。
「パンといえばバケットだろう?他って、黒パンかい?黒パンは売らないよ。あれはここじゃ売れないからね。」
朝から、パン屋はとても忙しい。
このシラグリン国では、朝ご飯を作らない人もいるみたいで手に籠を下げて買いにくる人が結構いた。
初めはものすごく緊張したし、合っているのかそわそわしながら対応していたけれど、慣れてくると楽しくなってきた。
売っているパンの種類はなぜかフランスパンみたいなやつ一つだけ。だから計算もしやすかった。
それに、王都とはいえ早朝だからか住んでいる人がこれを目当てに来るので、お釣りもそこまで多くはない金額を渡せば良かった。
二の鐘が鳴る前にパンはすべて無くなって販売終了したので、ディヴィスさんを呼びに行くと驚かれた。
「もう終わったのか?」
「はい。で、あとはどう片付ければいいですか?」
「とりあえずは、おれがやる。ありがとう。上で休んでてくれ。」
そう言ってくれたので、入れ替わりに二階へ行くと、マルアさんが起きてダイニングテーブルに座っていた。
「もう終わったのかい?お疲れさま。早かったねぇ。コップ、その棚から持って来て。紅茶、少し冷めたかもしれないけれど飲むかい?」
と言ってくれた。少し喉が渇いたので、冷めた方がいいからとありがたく頂戴した。
「どうだったかい?ちょっと激しかったかい?」
「ええ、活気がありますね。でも皆礼儀正しくて良かったです。いつも見ない私がいたからか、『おかみさん、生まれたのか?』って皆に聞かれました。大事にされてますね!」
お客さんは開店と同時に店に入って来て、店がぎゅうぎゅうになるほどだったけれど私がまず声を掛けたのだ。
「すみません!今日から私が店番をします。初めてなので慣れないとは思いますが、間違えないようにやるのでお願いします!」
と頭を下げた。すると、一番初めに入って来た女の人が、『マルアさん大丈夫かい?よし、じゃあ順番に並ぼうよ!ここにいる人の分は無くなりはしないだろうからね!』と言ってくれた。その後も順序良く並んでくれて、私に声を掛けてくれたり、『おかみさんによろしく!』と言ってくれる人がいたのだ。
「そうかい?まぁ、王都はみんな知り合いみたいなもんさね。」
「それにしても、他のパンは売らないのですか?」
と、疑問に思っている事を言った。すると、驚くべき言葉が返ってきたのだ。
「パンといえばバケットだろう?他って、黒パンかい?黒パンは売らないよ。あれはここじゃ売れないからね。」
15
お気に入りに追加
229
あなたにおすすめの小説

【完結】ペンギンの着ぐるみ姿で召喚されたら、可愛いもの好きな氷の王子様に溺愛されてます。
櫻野くるみ
恋愛
笠原由美は、総務部で働くごく普通の会社員だった。
ある日、会社のゆるキャラ、ペンギンのペンタンの着ぐるみが納品され、たまたま小柄な由美が試着したタイミングで棚が倒れ、下敷きになってしまう。
気付けば豪華な広間。
着飾る人々の中、ペンタンの着ぐるみ姿の由美。
どうやら、ペンギンの着ぐるみを着たまま、異世界に召喚されてしまったらしい。
え?この状況って、シュール過ぎない?
戸惑う由美だが、更に自分が王子の結婚相手として召喚されたことを知る。
現れた王子はイケメンだったが、冷たい雰囲気で、氷の王子様と呼ばれているらしい。
そんな怖そうな人の相手なんて無理!と思う由美だったが、王子はペンタンを着ている由美を見るなりメロメロになり!?
実は可愛いものに目がない王子様に溺愛されてしまうお話です。
完結しました。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
朝日みらい
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?

貧乏伯爵家の妾腹の子として生まれましたが、何故か王子殿下の妻に選ばれました。
木山楽斗
恋愛
アルフェンド伯爵家の妾の子として生まれたエノフィアは、軟禁に近い状態で生活を送っていた。
伯爵家の人々は決して彼女を伯爵家の一員として認めず、彼女を閉じ込めていたのである。
そんな彼女は、ある日伯爵家から追放されることになった。アルフェンド伯爵家の財政は火の車であり、妾の子である彼女は切り捨てられることになったのだ。
しかし同時に、彼女を訪ねてくる人が人がいた。それは、王国の第三王子であるゼルーグである。
ゼルーグは、エノフィアを妻に迎えるつもりだった。
妾の子であり、伯爵家からも疎まれていた自分が何故、そんな疑問を覚えながらもエノフィアはゼルーグの話を聞くのだった。
聖獣の卵を保護するため、騎士団長と契約結婚いたします。仮の妻なのに、なぜか大切にされすぎていて、溺愛されていると勘違いしてしまいそうです
石河 翠
恋愛
騎士団の食堂で働くエリカは、自宅の庭で聖獣の卵を発見する。
聖獣が大好きなエリカは保護を希望するが、領主に卵を預けるようにと言われてしまった。卵の保護主は、魔力や財力、社会的な地位が重要視されるというのだ。
やけになったエリカは場末の酒場で酔っ払ったあげく、通りすがりの騎士団長に契約結婚してほしいと唐突に泣きつく。すると意外にもその場で承諾されてしまった。
女っ気のない堅物な騎士団長だったはずが、妻となったエリカへの態度は甘く優しいもので、彼女は思わずときめいてしまい……。
素直でまっすぐ一生懸命なヒロインと、実はヒロインにずっと片思いしていた真面目な騎士団長の恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID749781)をお借りしております。

ゆるふわな可愛い系男子の旦那様は怒らせてはいけません
下菊みこと
恋愛
年下のゆるふわ可愛い系男子な旦那様と、そんな旦那様に愛されて心を癒した奥様のイチャイチャのお話。
旦那様はちょっとだけ裏表が激しいけど愛情は本物です。
ご都合主義の短いSSで、ちょっとだけざまぁもあるかも?
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる