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4. 騎士団
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「こんにちは-。おばちゃん?大丈夫-??」
と、階下で子供の声がして、ディヴィスさんと共に声の主は階段を登って来た。
「おお、来たね。ケルン、悪いけど、このカスガリンを騎士団の所まで連れて行ってくれないかい?異世界人らしくてね。登録しないといけないんだ。カスガリン、この子は隣の八百屋の息子で、ケルン。この街は王都だから人も多いからね。道案内がいた方がいいだろうよ。」
「へー。姉ちゃん異世界人なの?オレ、ケルンよろしくな!ついてこいよ。おばちゃん、王都にある、騎士団でいいんだよな?」
「ああそうだよ。そこでどうすればいいのか聞いておくれ。もしかしたら、王宮の方まで行かないといけないかもしれないけどね。あたいはやった事無いから分からくて。」
「分かった!」
ケルンはそう言って、私を見て、よろしく!と手を差し出してきた。握手をするのね。
10歳位のその子は、小さな手だけれどとてもごつごつとしていた。八百屋と言っていたから、家族のお手伝いでもしているのかしら。
「じゃあよろしくね!」
「行ってきます。」
店の外へ出ると、人がたくさん歩いていた。歩道は幅があるけれど、うかうかしていると通りすがりの人とぶつかってしまいそうだった。
「ほらよ。」
「?」
ケルンはまた、片手を私に差し出した。また握手?と怪訝な顔をしたら、
「迷子になると困るだろう?ほら。」
再度手をヒラヒラと動かした。手を繋いで連れて行ってくれるということね。
「ありがとう。」
私は言って、自分の手をケルンの手に重ねた。
「結構歩くの?」
「いや。ほら、あの三階建ての建物。旗が靡いてる所。あそこだよ。」
そこは、目視でも確認出来る距離で、程なくしてたどり着ける場所だった。
たいていの建物は二階建てだが、その騎士団の建物だけは三階建てで、外に騎士団の旗なのだろうか。風に靡いているのですぐ分かった。
ここなら案内なしても来れたような気がするが、初めての世界だから何があるのか分からなかったから、小さな案内人がいるだけでも心強かった。
「すみませーん!」
ケルンが入り口で、声を掛けつつ入って行く。初対面の時も思ったが、とても礼儀正しい子だ。
「おお、なんだ?迷子か?」
入り口入ってすぐ右手にある、カウンターに座っている人が声を返してくれた。
騎士団のものなのか、格好良い軍服のような濃紺の制服を着ている。
「なわけねぇだろ!この姉ちゃんが用があるんだ。オレはれっきとした案内人だぜ!?異世界人の受付ってここでいいのかよ?」
「い、異世界人!?ちょっと待ってろ!その壁際のベンチにでも座ってな!」
と、壁際のベンチを指差して言うと、その男の人は急いで階上へと駆け出して行った。
「ここじゃねぇのかな-。ま、座ろうぜ。」
そう言って、ケルンはすぐさまベンチへと腰掛けた。私も後に続いた。
あの受付の人、ものすごく急いで行ってしまったわ。異世界人ってやっぱり珍しいのかしら。
と、階下で子供の声がして、ディヴィスさんと共に声の主は階段を登って来た。
「おお、来たね。ケルン、悪いけど、このカスガリンを騎士団の所まで連れて行ってくれないかい?異世界人らしくてね。登録しないといけないんだ。カスガリン、この子は隣の八百屋の息子で、ケルン。この街は王都だから人も多いからね。道案内がいた方がいいだろうよ。」
「へー。姉ちゃん異世界人なの?オレ、ケルンよろしくな!ついてこいよ。おばちゃん、王都にある、騎士団でいいんだよな?」
「ああそうだよ。そこでどうすればいいのか聞いておくれ。もしかしたら、王宮の方まで行かないといけないかもしれないけどね。あたいはやった事無いから分からくて。」
「分かった!」
ケルンはそう言って、私を見て、よろしく!と手を差し出してきた。握手をするのね。
10歳位のその子は、小さな手だけれどとてもごつごつとしていた。八百屋と言っていたから、家族のお手伝いでもしているのかしら。
「じゃあよろしくね!」
「行ってきます。」
店の外へ出ると、人がたくさん歩いていた。歩道は幅があるけれど、うかうかしていると通りすがりの人とぶつかってしまいそうだった。
「ほらよ。」
「?」
ケルンはまた、片手を私に差し出した。また握手?と怪訝な顔をしたら、
「迷子になると困るだろう?ほら。」
再度手をヒラヒラと動かした。手を繋いで連れて行ってくれるということね。
「ありがとう。」
私は言って、自分の手をケルンの手に重ねた。
「結構歩くの?」
「いや。ほら、あの三階建ての建物。旗が靡いてる所。あそこだよ。」
そこは、目視でも確認出来る距離で、程なくしてたどり着ける場所だった。
たいていの建物は二階建てだが、その騎士団の建物だけは三階建てで、外に騎士団の旗なのだろうか。風に靡いているのですぐ分かった。
ここなら案内なしても来れたような気がするが、初めての世界だから何があるのか分からなかったから、小さな案内人がいるだけでも心強かった。
「すみませーん!」
ケルンが入り口で、声を掛けつつ入って行く。初対面の時も思ったが、とても礼儀正しい子だ。
「おお、なんだ?迷子か?」
入り口入ってすぐ右手にある、カウンターに座っている人が声を返してくれた。
騎士団のものなのか、格好良い軍服のような濃紺の制服を着ている。
「なわけねぇだろ!この姉ちゃんが用があるんだ。オレはれっきとした案内人だぜ!?異世界人の受付ってここでいいのかよ?」
「い、異世界人!?ちょっと待ってろ!その壁際のベンチにでも座ってな!」
と、壁際のベンチを指差して言うと、その男の人は急いで階上へと駆け出して行った。
「ここじゃねぇのかな-。ま、座ろうぜ。」
そう言って、ケルンはすぐさまベンチへと腰掛けた。私も後に続いた。
あの受付の人、ものすごく急いで行ってしまったわ。異世界人ってやっぱり珍しいのかしら。
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