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2. まぁ!

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「さぁ座って。うちは、パン屋を営んでいるよ。私はマルア。そしてこっちがディヴィス。よろしくね。」

「はい。ありがとうございます。私は、春日凛です。」

「なに?カスガリン?カスガリンはパン、食べれるかい?さあとりあえず食べな。カスガリンが食べてる間、ちょっと片付けしてくるからね。食べたら話を聞かせておくれ。」

「はい。あ、お二人は…?」

「今は二の鐘が鳴った後だからね。私らはさっき食べたばかりなんだ。ゆっくり食べな。ほら、ディヴィスもだよ。見てたらゆっくり食べられないよねぇ。」

 と、二人は早々に出て行ってくれた。
なんだか、春日凛と言ったつもりが、外国人だからうまく伝わらなかったのだろうか?カスガ、リンではなくカスガリンって繋げて呼ばれたような…。
しかも、二の鐘?なんだろ?

 まぁ、でもせっかくなので食事をいただく事にする。
テーブルに置いてくれたのはパンとスープ。
パンは、フランスパンみたいだけれど、少し固め。
スープはかなり薄味で体には良さそう。
パンをスープに浸して食べるとちょうど良いふやけ加減で美味しく食べる事が出来た。
まぁ、頂いたご飯にケチを付けるわけではないけれど、少し変わった食事だった。ヨーロッパ系の外国人みたいだったから、こういう食事なのかしら。

 食べた食器を片付けようとキッチンへと運んで驚いた。
蛇口が無いからだ。隣にポリバケツのような大きな壺の中に水が入っている。これを使うのだろうか…?けれど、分からないからとりあえずシンクの中に食器を入れ、二人を探しに行こうと振り返る。
と、ちょうど二人が戻って来た。

「あらありがとう。終わったかい?ん?どうやるかって?…あんた、庶民じゃないね?その服装もえらく変わっているし。まぁいいか。ここに溜めた水があるだろ?これを使うんだよ。この柄杓ですくってね。」

 と、やり方を見せてくれた。なるほど…やはりそうやるのね。けれど、その溜めた水ってどこから持ってくるのかしら。

「そりゃ、近くの湧き井戸から運んでくるんだよ。重たいし、大変だよー。」

…でしょうね!
てか、湧き井戸があるんだ。無料なのかしら?水道は通してないのね。

「さぁ。こんどはカスガリンの方よ。」

「私?」

「そうさ。あんた、もしかして、異世界から来たのかい?」

………えと、はい?マルアさん、何言ってるんですかね?
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