11 / 21
11. 平穏に…
しおりを挟む
ライナス様が私へ結婚してくれと言った。
私は、淡い初恋にも似た感情は持っていたけれど、それも会わなくなって終わった事だと思っていた。
私がゲオルク様の婚約者となって、王族に入る為の教育が少しずつ始まったのと、お兄様もそれと同じ位にとても忙しく勉強が始まったから、お互いに忙しくなりそれに伴ってライナス様と私は会うこともなくなった。
たまに、夜会などで顔を会わせる事もあったが話すまではなかった。
それがなぜ、今ライナス様が私に嫁になれと言ってくるの!?
ライナス様は、半ば言い逃げのような感じで、私にそう言ったあと、怪我を再度心配してくれ、ゲオルクに抗議しておくと言い、忙しいからと早々に帰って行った。
私は、婚約破棄された今、静かで平穏に暮らしていきたかっただけよ?
それなのに…どうして!?どうすればいいのかしら。あとから恥ずかしくなってきて、枕に顔を埋めてしばらく考えていた。
夕食。
今日もお兄様は遅い。
だから、お父様とお母様で食べる。ゆっくりと食堂へ行くと、すでにお父様とお母様は召し上がっていた。
「ねぇ、オリーフィア。今日、ライナスが来たのですって?」
「はい。」
「どんな話だった?私にも聞かせてくれ。」
お母様はなんだかウキウキしたような、嬉しそうな顔をしているけれど、お父様はとても皺の寄った、険しい顔をしているわ。
「怪我の心配をして下さいました。」
「それだけ?」
そう言うとお母様はじーっと私の目を見つめてきます。もしかしたら、部屋の扉は開いていたから聞こえていたのではないでしょうか。一応、未婚の男女が部屋で二人だったので、部屋の扉は開け放たれていたもの。
だからって、私の口から言わせるなんて…お母様、とても恥ずかしいのですけれど。
「あと…俺の嫁になれと。」
「ぶっ!!!」
「あなた!何やってるのお行儀悪いわよ!ちょっと、そこ拭いてちょうだい!」
お父様が飲んでいたスープをいきなり勢いよく吐き出したので、お母様が慌てて壁に控えていた侍女を呼んで拭いてもらっていた。
「それでなんて答えたの?」
「え?いいえ。ちょっと意味が分からなくて…。そもそも、私は平穏に過ごしたくて修道院に行こうとしていたのですから。」
「ほらぁ-。だから言ったでしょう?オリーフィアに結婚を申し込みたい人なんてこれからわんさか来るわよ?あ、でもライナスが立候補するなら牽制になるかしらね。良かったわね!修道院の考えはもう暫く、横に置いときましょ。」
私は、何とも答え難く苦笑いするに留めた。
「はーそれにしても、良かったじゃない!オリーフィア。小さい頃はライナスの事が好きでたまらなかったじゃない?」
「そ、そんな事は…。」
「ゴホッゴフッ」
「あなた-!もう!汚いわよ!!」
お父様、また咳き込んでるわ。どうしたのかしら。
私は、淡い初恋にも似た感情は持っていたけれど、それも会わなくなって終わった事だと思っていた。
私がゲオルク様の婚約者となって、王族に入る為の教育が少しずつ始まったのと、お兄様もそれと同じ位にとても忙しく勉強が始まったから、お互いに忙しくなりそれに伴ってライナス様と私は会うこともなくなった。
たまに、夜会などで顔を会わせる事もあったが話すまではなかった。
それがなぜ、今ライナス様が私に嫁になれと言ってくるの!?
ライナス様は、半ば言い逃げのような感じで、私にそう言ったあと、怪我を再度心配してくれ、ゲオルクに抗議しておくと言い、忙しいからと早々に帰って行った。
私は、婚約破棄された今、静かで平穏に暮らしていきたかっただけよ?
それなのに…どうして!?どうすればいいのかしら。あとから恥ずかしくなってきて、枕に顔を埋めてしばらく考えていた。
夕食。
今日もお兄様は遅い。
だから、お父様とお母様で食べる。ゆっくりと食堂へ行くと、すでにお父様とお母様は召し上がっていた。
「ねぇ、オリーフィア。今日、ライナスが来たのですって?」
「はい。」
「どんな話だった?私にも聞かせてくれ。」
お母様はなんだかウキウキしたような、嬉しそうな顔をしているけれど、お父様はとても皺の寄った、険しい顔をしているわ。
「怪我の心配をして下さいました。」
「それだけ?」
そう言うとお母様はじーっと私の目を見つめてきます。もしかしたら、部屋の扉は開いていたから聞こえていたのではないでしょうか。一応、未婚の男女が部屋で二人だったので、部屋の扉は開け放たれていたもの。
だからって、私の口から言わせるなんて…お母様、とても恥ずかしいのですけれど。
「あと…俺の嫁になれと。」
「ぶっ!!!」
「あなた!何やってるのお行儀悪いわよ!ちょっと、そこ拭いてちょうだい!」
お父様が飲んでいたスープをいきなり勢いよく吐き出したので、お母様が慌てて壁に控えていた侍女を呼んで拭いてもらっていた。
「それでなんて答えたの?」
「え?いいえ。ちょっと意味が分からなくて…。そもそも、私は平穏に過ごしたくて修道院に行こうとしていたのですから。」
「ほらぁ-。だから言ったでしょう?オリーフィアに結婚を申し込みたい人なんてこれからわんさか来るわよ?あ、でもライナスが立候補するなら牽制になるかしらね。良かったわね!修道院の考えはもう暫く、横に置いときましょ。」
私は、何とも答え難く苦笑いするに留めた。
「はーそれにしても、良かったじゃない!オリーフィア。小さい頃はライナスの事が好きでたまらなかったじゃない?」
「そ、そんな事は…。」
「ゴホッゴフッ」
「あなた-!もう!汚いわよ!!」
お父様、また咳き込んでるわ。どうしたのかしら。
125
お気に入りに追加
3,718
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄はしたいけれど傍にいてほしいなんて言われましても、私は貴方の母親ではありません
すだもみぢ
恋愛
「彼女は私のことを好きなんだって。だから君とは婚約解消しようと思う」
他の女性に言い寄られて舞い上がり、10年続いた婚約を一方的に解消してきた王太子。
今まで婚約者だと思うからこそ、彼のフォローもアドバイスもしていたけれど、まだそれを当たり前のように求めてくる彼に驚けば。
「君とは結婚しないけれど、ずっと私の側にいて助けてくれるんだろう?」
貴方は私を母親だとでも思っているのでしょうか。正直気持ち悪いんですけれど。
王妃様も「あの子のためを思って我慢して」としか言わないし。
あんな男となんてもう結婚したくないから我慢するのも嫌だし、非難されるのもイヤ。なんとかうまいこと立ち回って幸せになるんだから!
私と結婚したくないと言った貴方のために頑張りました! ~帝国一の頭脳を誇る姫君でも男心はわからない~
すだもみぢ
恋愛
リャルド王国の王女であるステラは、絶世の美女の姉妹に挟まれた中では残念な容姿の王女様と有名だった。
幼い頃に婚約した公爵家の息子であるスピネルにも「自分と婚約になったのは、その容姿だと貰い手がいないからだ」と初対面で言われてしまう。
「私なんかと結婚したくないのに、しなくちゃいけないなんて、この人は可哀想すぎる……!」
そう自分の婚約者を哀れんで、彼のためになんとかして婚約解消してあげようと決意をする。
苦労の末にその要件を整え、満を持して彼に婚約解消を申し込んだというのに、……なぜか婚約者は不満そうで……?
勘違いとすれ違いの恋模様のお話です。
ざまぁものではありません。
婚約破棄タグ入れてましたが、間違いです!!
申し訳ありません<(_ _)>
政略結婚相手に本命がいるようなので婚約解消しようと思います。
ゆいまる
恋愛
公爵令嬢ミュランは王太子ハスライトの政略結婚の相手として選ばれた。
義務的なお茶会でしか会うこともない。
そして最近王太子に幼少期から好いている令嬢がいるという話を偶然聞いた。
それならその令嬢と婚約したらいいと思い、身を引くため婚約解消を申し出る。
二人の間に愛はないはずだったのに…。
本編は完結してますが、ハスライトSideのお話も完結まで予約投稿してます。
良ければそちらもご覧ください。
6/28 HOTランキング4位ありがとうございます
父の大事な家族は、再婚相手と異母妹のみで、私は元より家族ではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
フィロマという国で、母の病を治そうとした1人の少女がいた。母のみならず、その病に苦しむ者は、年々増えていたが、治せる薬はなく、進行を遅らせる薬しかなかった。
その病を色んな本を読んで調べあげた彼女の名前は、ヴァリャ・チャンダ。だが、それで病に効く特効薬が出来上がることになったが、母を救うことは叶わなかった。
そんな彼女が、楽しみにしていたのは隣国のラジェスへの留学だったのだが、そのために必死に貯めていた資金も父に取り上げられ、義母と異母妹の散財のために金を稼げとまで言われてしまう。
そこにヴァリャにとって救世主のように現れた令嬢がいたことで、彼女の人生は一変していくのだが、彼女らしさが消えることはなかった。
【完結】どうぞお気遣いなく。婚約破棄はこちらから致しますので。婚約者の従姉妹がポンコツすぎて泣けてきます
との
恋愛
「一体何があったのかしら」
あったかって? ええ、ありましたとも。
婚約者のギルバートは従姉妹のサンドラと大の仲良し。
サンドラは乙女ゲームのヒロインとして、悪役令嬢の私にせっせと罪を着せようと日夜努力を重ねてる。
(えーっ、あれが噂の階段落ち?)
(マジか・・超期待してたのに)
想像以上のポンコツぶりに、なんだか気分が盛り下がってきそうですわ。
最後のお楽しみは、卒業パーティーの断罪&婚約破棄。
思いっきりやらせて頂きます。
ーーーーーー
捨てた私をもう一度拾うおつもりですか?
ミィタソ
恋愛
「みんな聞いてくれ! 今日をもって、エルザ・ローグアシュタルとの婚約を破棄する! そして、その妹——アイリス・ローグアシュタルと正式に婚約することを決めた! 今日という祝いの日に、みんなに伝えることができ、嬉しく思う……」
ローグアシュタル公爵家の長女――エルザは、マクーン・ザルカンド王子の誕生日記念パーティーで婚約破棄を言い渡される。
それどころか、王子の横には舌を出して笑うエルザの妹――アイリスの姿が。
傷心を癒すため、父親の勧めで隣国へ行くのだが……
穏便に婚約解消する予定がざまぁすることになりました
よーこ
恋愛
ずっと好きだった婚約者が、他の人に恋していることに気付いたから、悲しくて辛いけれども婚約解消をすることを決意し、その提案を婚約者に伝えた。
そうしたら、婚約解消するつもりはないって言うんです。
わたくしとは政略結婚をして、恋する人は愛人にして囲うとか、悪びれることなく言うんです。
ちょっと酷くありません?
当然、ざまぁすることになりますわね!
婚約破棄しようがない
白羽鳥(扇つくも)
恋愛
「アンリエット、貴様との婚約を破棄する!私はリジョーヌとの愛を貫く!」
卒業式典のパーティーでばかでかい声を上げ、一人の男爵令嬢を抱き寄せるのは、信じたくはないがこの国の第一王子。
「あっそうですか、どうぞご自由に。と言うかわたくしたち、最初から婚約してませんけど」
そもそも婚約自体成立しないんですけどね…
勘違い系婚約破棄ものです。このパターンはまだなかったはず。
※「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる