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8. アーサー視点
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「おい、なんだこの請求書は。」
濃い金色の髪色のライナスが僕に向かって言ってきた。
僕は、アーサー。アーサー=ホーキンス。ホーキンス公爵家の長男さ。
この国の王太子の、側近をしている。
だけど、なりたくてなった訳じゃない。
いとこでもある王太子のゲオルクが頼りなくて仕方なくだ。
僕だけじゃ癪だから、同じ公爵家で同じ年齢のライナスも道連れさ。
ライナスは、現国王の父親の弟が祖父。だから、はとこだな。
ライナスは僕と同じく優秀だ。このサンダイス王国という未来を共に支えるのに相応しい奴だ。
現国王は子供がゲオルクしかいない。
だから、ゲオルクがゆくゆくは国王になるのだが…なかなかの怠け癖がある。まぁ、与えられた仕事があまり多くなければこなせるから、僕達があとはほとんどフォローしている。
僕の三歳年下の妹の、オリーフィアが幼い頃よりゲオルクの婚約者となった。
理由は、まぁ、あれだ。
ちょうどいい家柄で、それなりに優秀な奴が婚約者となったわけだ。別に相思相愛なわけではない。典型的な政略結婚だな。
王太子妃が優秀であれば、僕達と共にゲオルクを支えればいいって事だ。
僕の妹だから、優秀ではある。が、性格があれではな。
ちょっと高飛車なんだ。僕が婚約者だったら嫌だね。
でも、なんだかんだで妹の助けになるならと側近をやっている。
だが、今ライナスに突きつけられた請求書、金額が一桁多いぞ!?ドレスの代金と書いてある。
ゲオルクの奴、オリーフィアにそんな大層な物を送ったのか!?珍しい事もあるな。婚約者のくせに、必要以上に交流を深めようという事もしてこなかったのに。
さすがにもうすぐ卒業であるから、ドレスを送ったのか?やるじゃないか、見直したぞ。
…だが、金額が多いぞ?オリーフィアにそんな高いもの…まさかあいつが強請ったのか!?
「ゲオルクにしては、贈り物をしたのは褒めてやらねばな。だが、オリーフィアにいきなり高いもの与えすぎじゃないか?国庫が圧迫される。あいつが強請ったのか?」
くっ…ライナスにまで、そう見られたか…。
「知らん。僕は聞いてない。だが、今日は感謝の会だろう。それでドレスを送ったんじゃないのか。」
「妹に何も言われてないのか?珍しいな。あいつの事だ、自慢しそうなのにな。しかし…ゲオルクが夕方来たら、少し金額が高すぎだと文句言わねばな。」
ゲオルクは学院に通っているが、少しずつ王太子としての仕事を慣らしていくため、学院が終わってから三時間ほど、仕事をさせている。
ゲオルクが学院に行っている日中も僕達が仕事をこなしたり、ゲオルク用に振り分けたりしているので、僕達は残業だ。働かせすぎだと思う。
「おいゲオルク。お前、オリーフィアに購入したドレス、高過ぎだぞ。」
ゲオルクが執務室にやってきて早々、ライナスがそう言った。
「は?オリーフィア?何言ってるんだ。オリーフィアにドレスは買ってやってない。ドレスはジャネットに送ったんだ。」
「「ジャネット!?」」
なんだ?ゲオルクは何を言っている?
「あぁ。それから、アーサー。悪いがお前の妹のオリーフィアとは婚約破棄したから。オレ、ジャネットと結婚する。そのようにしてくれ。」
なんだって!?何がどうなっている?
濃い金色の髪色のライナスが僕に向かって言ってきた。
僕は、アーサー。アーサー=ホーキンス。ホーキンス公爵家の長男さ。
この国の王太子の、側近をしている。
だけど、なりたくてなった訳じゃない。
いとこでもある王太子のゲオルクが頼りなくて仕方なくだ。
僕だけじゃ癪だから、同じ公爵家で同じ年齢のライナスも道連れさ。
ライナスは、現国王の父親の弟が祖父。だから、はとこだな。
ライナスは僕と同じく優秀だ。このサンダイス王国という未来を共に支えるのに相応しい奴だ。
現国王は子供がゲオルクしかいない。
だから、ゲオルクがゆくゆくは国王になるのだが…なかなかの怠け癖がある。まぁ、与えられた仕事があまり多くなければこなせるから、僕達があとはほとんどフォローしている。
僕の三歳年下の妹の、オリーフィアが幼い頃よりゲオルクの婚約者となった。
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僕の妹だから、優秀ではある。が、性格があれではな。
ちょっと高飛車なんだ。僕が婚約者だったら嫌だね。
でも、なんだかんだで妹の助けになるならと側近をやっている。
だが、今ライナスに突きつけられた請求書、金額が一桁多いぞ!?ドレスの代金と書いてある。
ゲオルクの奴、オリーフィアにそんな大層な物を送ったのか!?珍しい事もあるな。婚約者のくせに、必要以上に交流を深めようという事もしてこなかったのに。
さすがにもうすぐ卒業であるから、ドレスを送ったのか?やるじゃないか、見直したぞ。
…だが、金額が多いぞ?オリーフィアにそんな高いもの…まさかあいつが強請ったのか!?
「ゲオルクにしては、贈り物をしたのは褒めてやらねばな。だが、オリーフィアにいきなり高いもの与えすぎじゃないか?国庫が圧迫される。あいつが強請ったのか?」
くっ…ライナスにまで、そう見られたか…。
「知らん。僕は聞いてない。だが、今日は感謝の会だろう。それでドレスを送ったんじゃないのか。」
「妹に何も言われてないのか?珍しいな。あいつの事だ、自慢しそうなのにな。しかし…ゲオルクが夕方来たら、少し金額が高すぎだと文句言わねばな。」
ゲオルクは学院に通っているが、少しずつ王太子としての仕事を慣らしていくため、学院が終わってから三時間ほど、仕事をさせている。
ゲオルクが学院に行っている日中も僕達が仕事をこなしたり、ゲオルク用に振り分けたりしているので、僕達は残業だ。働かせすぎだと思う。
「おいゲオルク。お前、オリーフィアに購入したドレス、高過ぎだぞ。」
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「は?オリーフィア?何言ってるんだ。オリーフィアにドレスは買ってやってない。ドレスはジャネットに送ったんだ。」
「「ジャネット!?」」
なんだ?ゲオルクは何を言っている?
「あぁ。それから、アーサー。悪いがお前の妹のオリーフィアとは婚約破棄したから。オレ、ジャネットと結婚する。そのようにしてくれ。」
なんだって!?何がどうなっている?
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