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5. 思案
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あれから、感謝の会が終わるまでゆっくり休憩をしようとしていた御者に、屋敷に帰る旨を伝えると、慌てて馬車の用意をしてくれ、すぐに帰った。
屋敷でも、私がすぐに帰ってきたので皆驚いていた。
とりあえず部屋に戻ると私は言うと、オルガが手を貸してくれた。
「足、怪我をされたのですか!?とりあえず部屋にいきましょうね。ゆっくり歩いて下さいませ。」
部屋に戻ると、衣装部屋へは行かず、すぐにドレスを脱いで、ドレッサーの傍のスツールに座った。
衣装部屋は続きの間だから行けばいいのだが、なんだかどっと疲れたのもあるし、足がジクジクと痛み出しているからだ。
オルガは多分、聞きたい事がたくさんあったと思うがただ黙って、ゆったりとしたワンピースの着替えを持って来てくれた。
「ソファに座りますか?」
「いいえ。ベッドに入るわ。」
「体調も良くありませんか?」
「大丈夫よ。そうね、甘いミルクティーを持ってきてちょうだい。」
「畏まりました。少しお待ち下さいませ。」
オルガが部屋を出て行き、部屋に一人になると先ほどまでの出来事がまた、頭に浮かんできた。
私はこれからどうすればいいのかしら。
ゲオルク様は、婚約破棄と言った。そうすると、私が王妃にならないということ。きっと、隣にいたジャネットの肩を抱いていたから、結婚相手にしたいのかもしれない。
そういえばジャネット、私と同じような高級な生地のドレスだったわ。
しかも、ゲオルク様の瞳の色と髪色に合わせたような、青い布地に金糸のドレス。
ジャネットは赤い髪色だから、他のドレスの色の方が似合うだろうにと、その不自然な姿が目に焼き付いてしまっていた。
ゲオルク様が先ほどもジャネットにベタベタと触っていたのを思い出して、なぜか不快に思った。
別に、ゲオルク様が好きだったから嫌な気持ちになったわけではない。
ジャネットが王妃教育をしっかり学び、無事に王妃になれるのかと考えた所で、なれないだろうと思ったからだ。
なんせ、ジャネットは侍女見習いの作法も覚えなかったほどだ。
王妃教育なんて、それより遥かに学ぶ量が多い。それを学ばずして、国母になってほしくなかった。
私が今までしてきた努力を、ジャネットが取って代わって果たして出来るのか。
サンダイズ王国は、まだまだ貧しい人もたくさんいる。
そういう人達を見て見ぬ振りをして、国が栄えたと言っていいのだろうかと思っていたし、貴族の限られた人だけ煌びやかな生活をしていいのかと疑問に思っていた。
だからこそ私は、公爵令嬢として、国母となる身で出来る事をしていこうと思っていたのに。
…でも婚約破棄された今は、もう、国母としては無理である。
なら、違う道で生活水準を上げられないか?
私は今まで公爵令嬢としての責務を果たしてきた。うちは裕福でお金がある。だから、慈善事業に寄付をしてきた。
だけれど、きっと、破棄された女に婚約を申し込む人はいないだろう。
これからは、お金ではなく、今まで得た私の知識を必要とする人達に提供すれば、国の為にもなるでしょう。
そこまで考えると、私は卒業したら修道院へ行こうという結論に至った。
あんな、人目を集めてしまった今、貴族社会へ出れば笑われると思った。
それよりも、併設されている孤児院や近所の人達に、知識の提供をし、国の貧しい人達の為に生涯を捧げましょう。
そうすれば、公爵令嬢としての振る舞いも、もうしなくて済むものね。
私の考えがそのようにまとまった所で、オルガがノックして部屋に入ってきた。
屋敷でも、私がすぐに帰ってきたので皆驚いていた。
とりあえず部屋に戻ると私は言うと、オルガが手を貸してくれた。
「足、怪我をされたのですか!?とりあえず部屋にいきましょうね。ゆっくり歩いて下さいませ。」
部屋に戻ると、衣装部屋へは行かず、すぐにドレスを脱いで、ドレッサーの傍のスツールに座った。
衣装部屋は続きの間だから行けばいいのだが、なんだかどっと疲れたのもあるし、足がジクジクと痛み出しているからだ。
オルガは多分、聞きたい事がたくさんあったと思うがただ黙って、ゆったりとしたワンピースの着替えを持って来てくれた。
「ソファに座りますか?」
「いいえ。ベッドに入るわ。」
「体調も良くありませんか?」
「大丈夫よ。そうね、甘いミルクティーを持ってきてちょうだい。」
「畏まりました。少しお待ち下さいませ。」
オルガが部屋を出て行き、部屋に一人になると先ほどまでの出来事がまた、頭に浮かんできた。
私はこれからどうすればいいのかしら。
ゲオルク様は、婚約破棄と言った。そうすると、私が王妃にならないということ。きっと、隣にいたジャネットの肩を抱いていたから、結婚相手にしたいのかもしれない。
そういえばジャネット、私と同じような高級な生地のドレスだったわ。
しかも、ゲオルク様の瞳の色と髪色に合わせたような、青い布地に金糸のドレス。
ジャネットは赤い髪色だから、他のドレスの色の方が似合うだろうにと、その不自然な姿が目に焼き付いてしまっていた。
ゲオルク様が先ほどもジャネットにベタベタと触っていたのを思い出して、なぜか不快に思った。
別に、ゲオルク様が好きだったから嫌な気持ちになったわけではない。
ジャネットが王妃教育をしっかり学び、無事に王妃になれるのかと考えた所で、なれないだろうと思ったからだ。
なんせ、ジャネットは侍女見習いの作法も覚えなかったほどだ。
王妃教育なんて、それより遥かに学ぶ量が多い。それを学ばずして、国母になってほしくなかった。
私が今までしてきた努力を、ジャネットが取って代わって果たして出来るのか。
サンダイズ王国は、まだまだ貧しい人もたくさんいる。
そういう人達を見て見ぬ振りをして、国が栄えたと言っていいのだろうかと思っていたし、貴族の限られた人だけ煌びやかな生活をしていいのかと疑問に思っていた。
だからこそ私は、公爵令嬢として、国母となる身で出来る事をしていこうと思っていたのに。
…でも婚約破棄された今は、もう、国母としては無理である。
なら、違う道で生活水準を上げられないか?
私は今まで公爵令嬢としての責務を果たしてきた。うちは裕福でお金がある。だから、慈善事業に寄付をしてきた。
だけれど、きっと、破棄された女に婚約を申し込む人はいないだろう。
これからは、お金ではなく、今まで得た私の知識を必要とする人達に提供すれば、国の為にもなるでしょう。
そこまで考えると、私は卒業したら修道院へ行こうという結論に至った。
あんな、人目を集めてしまった今、貴族社会へ出れば笑われると思った。
それよりも、併設されている孤児院や近所の人達に、知識の提供をし、国の貧しい人達の為に生涯を捧げましょう。
そうすれば、公爵令嬢としての振る舞いも、もうしなくて済むものね。
私の考えがそのようにまとまった所で、オルガがノックして部屋に入ってきた。
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