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4. やばくない!?
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私は、婚約者のゲオルク様にドンと押され、高いヒールの靴を履いていた事もありバランスを崩して倒れてしまった。
足と手首に、痛みが走り思わず目をギュッと瞑った所で、なぜか唐突に『これってちょっと良くないんじゃない!?』と思った。
そうよ、ここは、大ホール。人もたくさん集まってきているわ。そんな中悪目立ちするなんて、淑女らしからぬ行為だわ!
私は、慌てて目を開けると、まだ私を罵っているゲオルク様を見る事もせず、どうにか立ち上がると、『申し訳ありません、王太子殿下。どうか寛大なお心で、今までの数々の無礼をお許し下さいませ。』とだけ言って、何かまだ言っているゲオルク様を尻目に、私は足を引きずって大ホールを退出した。
わー!なんて恥ずかしい事をしたの!!
あんな、大勢の前で転ぶなんて…!
ゲオルク様が大きな声を出していたからそれだけでかなりの視線を集めていたのに!
言い返さなくて良かったわよね。それこそ目立つもの。
あぁ、恥ずかしい!もう人の前には出たくないわ!!公爵家の令嬢として、恥ずかしくない振る舞いを昔からしっかりと心掛けていたのに…。
しかも、婚約破棄を言い渡されるなんて!私、もうお嫁になんていけないわね。破棄なんてされた私には、どこからも貰い手なんてきっと無いわ。
確かに、王太子であるのにも関わらず、自分から努力もしないゲオルク様に嫁ぐのはいささか疑問ではあったけれど…。
途中から、妻となる私が優秀であれば、どうにかなるでしょうと思っていた節はあるけれども。
実際、王妃教育を受けていた時、先生達が私にも何度も言っていたものね。『うまく王太子を転がしなさい。決して自尊心を傷つけないように。あなたが国を陰で支えるのです。』と。
でも、結局ゲオルク様は私の言う言葉なんて一度も聞いては下さらなかった。
ジャネットの件だけでなく、王太子教育についても。
『ゲオルク様も積極的に学びましょう』と言ったり、『もう少し勉学に励みましょう?他の生徒に示しがつきません』と言っても無理だったわ。ゲオルク様、学院の成績は下の下だったもの。
私がそう言う度に、『お前は何故そうも嫌味を言ってくる?オレだってしっかりやっている!王太子教育に忙しいから学院の勉強まで手が回らないだけだ!オレにいちいち口答えするな!!』としか言われませんでしたもの。
だから…先生達には本当に申し訳ないわ。それからよくして下さった王妃様も。
国王陛下も王妃様も、ゲオルク様には一人息子だからかなんというか…甘いのよね。だから私がしっかりしないとと余計思っていたのに。
あぁ…早く自分の部屋に籠もりたい!ベッドに入って…今日はもう寝ましょう!
私は足を引きずりながら、入場してくる人の波をかき分けながら御者が待機している部屋へと急いだ。
足と手首に、痛みが走り思わず目をギュッと瞑った所で、なぜか唐突に『これってちょっと良くないんじゃない!?』と思った。
そうよ、ここは、大ホール。人もたくさん集まってきているわ。そんな中悪目立ちするなんて、淑女らしからぬ行為だわ!
私は、慌てて目を開けると、まだ私を罵っているゲオルク様を見る事もせず、どうにか立ち上がると、『申し訳ありません、王太子殿下。どうか寛大なお心で、今までの数々の無礼をお許し下さいませ。』とだけ言って、何かまだ言っているゲオルク様を尻目に、私は足を引きずって大ホールを退出した。
わー!なんて恥ずかしい事をしたの!!
あんな、大勢の前で転ぶなんて…!
ゲオルク様が大きな声を出していたからそれだけでかなりの視線を集めていたのに!
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あぁ、恥ずかしい!もう人の前には出たくないわ!!公爵家の令嬢として、恥ずかしくない振る舞いを昔からしっかりと心掛けていたのに…。
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実際、王妃教育を受けていた時、先生達が私にも何度も言っていたものね。『うまく王太子を転がしなさい。決して自尊心を傷つけないように。あなたが国を陰で支えるのです。』と。
でも、結局ゲオルク様は私の言う言葉なんて一度も聞いては下さらなかった。
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あぁ…早く自分の部屋に籠もりたい!ベッドに入って…今日はもう寝ましょう!
私は足を引きずりながら、入場してくる人の波をかき分けながら御者が待機している部屋へと急いだ。
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