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チャーリー視点
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「チャーリー殿下、ヒューム伯が出したこの命令は有効なのでしょうか」
「チャーリー殿下、カール殿下に確認したいことがあるのですが、会わせてもらえません」
「大変です、殿下の決裁書類にこのようなことが……」
「アシュリー様に仕えていたのですが、やはり殿下の婚約者でなくなった以上立ち去った方がいいのでしょうか」
兄の婚約破棄以降、そんなことを言う文官たちが次々と僕の元に駆け込んできて僕は頭を抱えた。
僕としては一刻も早くカールの決断を変えさせるために動きたかったが、ひっきりなしにやってくる文官の対応でそれどころではなかった。
これまで王宮に勤めていた文官たちは基本的にカールよりもアルベルトや大臣のアダムの指示を受けて行動することが多かった。しかし突然アルベルトは追放され、大臣ではなくヒューム伯から命令が来るようになったためどうしたらいいのか分からなくなったのだろう。
(僕らの視点であれば)誰が見てもヒューム伯のやっていることはよろしくないことなのだが、殿下の決裁を経た命令であるため手続き的には正当である。だからその命令を聞かなければならないが、本当にいいだろうか、という問い合わせが相次いだ。
また、アシュリーが婚約破棄されたからそれまで王宮でアシュリーに仕えていた者たちは必然的に役目を失うのだが、それで本当にいいのか、とかそういう問題が色々発生していた。
そういう問い合わせは全て大臣に言ってくれ、と言うことも出来たがアダムはアダムでカールの元に何度も直訴しており忙しそうだ。
仕方なく僕は、
「とりあえず適当な理由をつけて処理するのを遅らせてくれ」
「アシュリーの元を出ていくのはやむを得ないが、いつでも元に戻れるように他の職には就かないでくれ」
などと個別に話を聞いて、それらに命令を出さざるを得なかった。
そして何よりも一番多かったのが、
「どうにか婚約破棄を翻意させてください!」
「アルベルト様を解放するよう殿下に言ってください!」
などの嘆願だ。
正直僕も最善を尽くしているのに何人もの人からそれを言われるとげんなりしてしまうところはあるが、かといって彼らの気持ちは至極もっともだ。
だから無下に扱うことも出来ずにそれぞれきちんと対応せざるを得ず、結果として時間をとられてしまっていた。
それらが全てひと段落すると、それだけでいつも夕方になってしまっている。
「一体どうしたものか。しかしカールの説得は大臣や将軍がすでに行っていると聞くから、これ以上やると逆に相手を頑なにさせてしまうだろう。となればいっそ今殿下と親しくしている者たちの本性を暴く方が意味がなるか」
現在殿下に味方しているのはヒューム伯を筆頭とすると、中級・下級貴族たちが主である。彼らはこれまで大貴族中心で行われる政治でいい目を見なかった者たちや、アシュリー、将軍、大臣の誰かに恨みがあるという人物が多い。
彼らからすればカールは「殿下のおっしゃることは全てもっともです! 苦言を呈する彼らは殿下のために働く心が足りません」などと言っておけばいいのだから扱いやすい存在だろう。そうすればカールは彼らを信用し、何かをしても咎めなくなるだろう。
自分の過ちは認めようとしないカールでも、自分の周りにいる者たちの本性を知れば心が変わるだろう。
「よし、ヒューム伯他殿下と親しい貴族たちを探れ」
こうして僕は彼らの真の目的を探ることにしたのだった。
「チャーリー殿下、カール殿下に確認したいことがあるのですが、会わせてもらえません」
「大変です、殿下の決裁書類にこのようなことが……」
「アシュリー様に仕えていたのですが、やはり殿下の婚約者でなくなった以上立ち去った方がいいのでしょうか」
兄の婚約破棄以降、そんなことを言う文官たちが次々と僕の元に駆け込んできて僕は頭を抱えた。
僕としては一刻も早くカールの決断を変えさせるために動きたかったが、ひっきりなしにやってくる文官の対応でそれどころではなかった。
これまで王宮に勤めていた文官たちは基本的にカールよりもアルベルトや大臣のアダムの指示を受けて行動することが多かった。しかし突然アルベルトは追放され、大臣ではなくヒューム伯から命令が来るようになったためどうしたらいいのか分からなくなったのだろう。
(僕らの視点であれば)誰が見てもヒューム伯のやっていることはよろしくないことなのだが、殿下の決裁を経た命令であるため手続き的には正当である。だからその命令を聞かなければならないが、本当にいいだろうか、という問い合わせが相次いだ。
また、アシュリーが婚約破棄されたからそれまで王宮でアシュリーに仕えていた者たちは必然的に役目を失うのだが、それで本当にいいのか、とかそういう問題が色々発生していた。
そういう問い合わせは全て大臣に言ってくれ、と言うことも出来たがアダムはアダムでカールの元に何度も直訴しており忙しそうだ。
仕方なく僕は、
「とりあえず適当な理由をつけて処理するのを遅らせてくれ」
「アシュリーの元を出ていくのはやむを得ないが、いつでも元に戻れるように他の職には就かないでくれ」
などと個別に話を聞いて、それらに命令を出さざるを得なかった。
そして何よりも一番多かったのが、
「どうにか婚約破棄を翻意させてください!」
「アルベルト様を解放するよう殿下に言ってください!」
などの嘆願だ。
正直僕も最善を尽くしているのに何人もの人からそれを言われるとげんなりしてしまうところはあるが、かといって彼らの気持ちは至極もっともだ。
だから無下に扱うことも出来ずにそれぞれきちんと対応せざるを得ず、結果として時間をとられてしまっていた。
それらが全てひと段落すると、それだけでいつも夕方になってしまっている。
「一体どうしたものか。しかしカールの説得は大臣や将軍がすでに行っていると聞くから、これ以上やると逆に相手を頑なにさせてしまうだろう。となればいっそ今殿下と親しくしている者たちの本性を暴く方が意味がなるか」
現在殿下に味方しているのはヒューム伯を筆頭とすると、中級・下級貴族たちが主である。彼らはこれまで大貴族中心で行われる政治でいい目を見なかった者たちや、アシュリー、将軍、大臣の誰かに恨みがあるという人物が多い。
彼らからすればカールは「殿下のおっしゃることは全てもっともです! 苦言を呈する彼らは殿下のために働く心が足りません」などと言っておけばいいのだから扱いやすい存在だろう。そうすればカールは彼らを信用し、何かをしても咎めなくなるだろう。
自分の過ちは認めようとしないカールでも、自分の周りにいる者たちの本性を知れば心が変わるだろう。
「よし、ヒューム伯他殿下と親しい貴族たちを探れ」
こうして僕は彼らの真の目的を探ることにしたのだった。
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