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Ⅳ
ロイド家でのパーティー
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そんなある日、たまたまフランクの父であるロイド男爵の誕生日になり、ロイド家の屋敷で小規模なパーティーが開かれるとの知らせがありました。そして親交がある我が家にも招待状が届きます。
それを見て父上は首を捻りました。
「ロイド男爵か……世話になっているから行きたいが、こんな時期だしな」
現在周囲には私がメルヴィン子爵と関係を持ち、それと引き換えにヘレンの身柄を受け取ったという話がまことしやかにささやかれています。
もしそんな中のこのこと他家に出向けば、それらの噂が私たちに牙を剥くでしょう。
それは重々承知しています。
「とはいえここで行かなければ逆に変な勘ぐりをされてしまいます。それに我が家が他人を招こうとしているのに、他家のパーティーの誘いを辞退するというのもいかがなものかと」
「それならわしが一人で行こう」
確かに噂は主に私やシエラについてのものが多いので、父上が向かう分には白い目で見られるぐらいで済むでしょう。それに別にパーティーは一家全員で出向く必要はありませんし、シエラに限っては今回は自宅で謹慎のままになるでしょう。
ですが、
「いえ、私も行きます」
ここで屋敷に引きこもっている訳にはいきません。
ロイド家、特にフランクにはシエラの件で迷惑を掛けているので誠意を示しておきたいというのもありますが、それよりもこの場で逃げたと思われたくないという気持ちがあります。ここで屋敷に引きこもっていれば本当に子爵と後ろめたいことがあり、それを気にしていると思われかねません。
結局私が子爵とそういうことがあったのかないのかに明確な証拠はない以上、印象だけで真実は決まってしまうでしょう。
「ここはむしろ堂々としていた方がこちらが正しいと思われるでしょう。万一ウィルが来なければ、むしろこちらの方が正しかったと周囲を思わせることが出来るかもしれません」
「それは確かにそうだが……しかしいいのか? お前も分かっていると思うが、貴族の中にはかなり性格の悪い者もいる。中にはお前が出向けば直接的に悪口を言ってくる口さがない者もいる。しかもそういうことをするのはえてして我が家よりも身分が高いような者ばかりだ」
同格の方であれば言い返すことも出来ますが、爵位が上の家の方が相手であればあまり激しく反論することも憚られます。とはいえ、ここで退く訳にはいきません。
「いえ、ここで引きこもれば、一生外で言われ続けるかもしれません。それにロイド家は我が家に同情的ですからそこに集う人々もまだましな方でしょう。ロイド家のパーティー、そしてそれに続く我が家のパーティーで世間に印象をつけたいのです」
「……分かった。確かにそうだ。ただ途中で辛くなったらいつでも言ってくれ。適当に体調を崩したことにして帰そう」
「ありがとうございます」
「いや、礼を言われるようなことではない。むしろウィルの件ではあんなことになってしまったからな……」
そう言って父上は肩を落とします。
どうも自分が持ってきた縁談で私に負担をかけたことを反省しているようです。確かにあの時はウィルと決裂するまで我慢してしまい、あのようなことになってしまいました。それもあって父上はいろいろ気を遣ってくれているのでしょう。
私はここで引く気はありませんが、父上を安心させるために頷きます。
「分かりました、もしそういうことがあれば今度は言いますね」
そう言って私はパーティーに向かう準備を始めました。
それを見て父上は首を捻りました。
「ロイド男爵か……世話になっているから行きたいが、こんな時期だしな」
現在周囲には私がメルヴィン子爵と関係を持ち、それと引き換えにヘレンの身柄を受け取ったという話がまことしやかにささやかれています。
もしそんな中のこのこと他家に出向けば、それらの噂が私たちに牙を剥くでしょう。
それは重々承知しています。
「とはいえここで行かなければ逆に変な勘ぐりをされてしまいます。それに我が家が他人を招こうとしているのに、他家のパーティーの誘いを辞退するというのもいかがなものかと」
「それならわしが一人で行こう」
確かに噂は主に私やシエラについてのものが多いので、父上が向かう分には白い目で見られるぐらいで済むでしょう。それに別にパーティーは一家全員で出向く必要はありませんし、シエラに限っては今回は自宅で謹慎のままになるでしょう。
ですが、
「いえ、私も行きます」
ここで屋敷に引きこもっている訳にはいきません。
ロイド家、特にフランクにはシエラの件で迷惑を掛けているので誠意を示しておきたいというのもありますが、それよりもこの場で逃げたと思われたくないという気持ちがあります。ここで屋敷に引きこもっていれば本当に子爵と後ろめたいことがあり、それを気にしていると思われかねません。
結局私が子爵とそういうことがあったのかないのかに明確な証拠はない以上、印象だけで真実は決まってしまうでしょう。
「ここはむしろ堂々としていた方がこちらが正しいと思われるでしょう。万一ウィルが来なければ、むしろこちらの方が正しかったと周囲を思わせることが出来るかもしれません」
「それは確かにそうだが……しかしいいのか? お前も分かっていると思うが、貴族の中にはかなり性格の悪い者もいる。中にはお前が出向けば直接的に悪口を言ってくる口さがない者もいる。しかもそういうことをするのはえてして我が家よりも身分が高いような者ばかりだ」
同格の方であれば言い返すことも出来ますが、爵位が上の家の方が相手であればあまり激しく反論することも憚られます。とはいえ、ここで退く訳にはいきません。
「いえ、ここで引きこもれば、一生外で言われ続けるかもしれません。それにロイド家は我が家に同情的ですからそこに集う人々もまだましな方でしょう。ロイド家のパーティー、そしてそれに続く我が家のパーティーで世間に印象をつけたいのです」
「……分かった。確かにそうだ。ただ途中で辛くなったらいつでも言ってくれ。適当に体調を崩したことにして帰そう」
「ありがとうございます」
「いや、礼を言われるようなことではない。むしろウィルの件ではあんなことになってしまったからな……」
そう言って父上は肩を落とします。
どうも自分が持ってきた縁談で私に負担をかけたことを反省しているようです。確かにあの時はウィルと決裂するまで我慢してしまい、あのようなことになってしまいました。それもあって父上はいろいろ気を遣ってくれているのでしょう。
私はここで引く気はありませんが、父上を安心させるために頷きます。
「分かりました、もしそういうことがあれば今度は言いますね」
そう言って私はパーティーに向かう準備を始めました。
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