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Ⅳ
パーティーⅤ
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「そのことについては僭越ながら私の方から答えさせていただきます!」
私は広間の前方に出るとそう叫ぶ。
私が出ていくと、父上は驚きメイナード公は不快そうに眉を動かす。そして後ろではカーティスが兵士と口論していた。
そんな中、メイナード公は私をぎろりと睨みつける。
オスカーなど比較にならないほどの威圧感だったが、私はどうにか踏みとどまった。
今のメイナード公と父上の対決は王国内の勢力争いがかかっている。ここで少しでも父上に後ろ暗いところがあると思われれば、多くの貴族は「結局はどっちも後ろ暗いことがあるのだからメイナード公に味方して甘い汁を吸おう」となってしまうだろう。
そうなればカーティスやイヴなど、これまでお世話になってきた人の家に対しても良くない影響が出てしまうかもしれない。
そして何より、私の家の命運がかかっている。
突然出てしまった大舞台であったが、私はそれを意識して踏みとどまり、メイナード公を睨み返す。
「いきなり出てきてどこの小童だ」
メイナード公は威圧するような低い声で言った。
「エイミス公の娘、リアナです」
「今はお前のような小僧がしゃべる幕ではない」
「それを言えば、そもそもメイナード公がしゃべる幕でもありませんが」
そう言って前に出てきたのはクリフの父、アンドリュー公であった。そう言えばクリフの方からも父親を説得してくれると言っていたが、その結果はどうだったのだろうか。
手放しにうちに味方してくれた訳ではなさそうだが、少なくともこの場では彼は私に発言させようとしてくれている。
「何だと?」
「別に誰がしゃべろうと、真実が明らかになるのであればそれでいいのではないでしょうか?」
アンドリュー公の言葉にメイナード公は少し考え、やがて思い直したように頷く。
「確かにそうだ。もっとも、こうして出てきたからにはガキであろうと何だろうと、お前の言葉がエイミス公の答えになるということだ。それは分かっているか?」
「その通りです」
「ならせいぜい言ってみるがいい」
元々はメイナード公が煽ったせいで、大勢の貴族たちはこの問題にかなり興味を示しているようだった。
そのため、もし彼が私を黙らせようものなら逆に顰蹙をかいかねないと思ったのだろう。
もしくは私のことをただのガキだと侮っているのか。
いずれにせよ、メイナード公は私が話すのを認めざるを得なかった。
そんな中、父上だけははらはらしながらこちらを見守っていた。普段威厳のある父上があんな表情をしているのを見るのは初めてかもしれない。私は父上を安心させるために頷き返す。
ここ最近、法律や政治について色々学んできたが、その中で自分の家がどうなっているのかについても学んできた。そこで学んだことを今こそ話さなければ。
「では父上の代わりに述べさせていただきます。まずフーバー港の利益についてですが、昨年から我が家では独自の取引を行っています。そのため、我が家が元手を出資した得た利益は当然全て我が家の取り分となります。公爵がおっしゃった七割というのはそれらを全て合算して計算した場合の割合です」
「……」
私の言葉にメイナード公はそれ以上反論しなかった。
私が言っていることを否定する材料はなかったのだろう。
そして矢継ぎ早に次の問いを発する。
「では教会の件は」
「教会の件ですが、我が領内では商業を推し進めています。その際、教会の方も蓄えた財で商売することを許可したのですが、我が家の見解としては教会と言えど商取引をして得た財は普通に課税されると考えております。ただ、この件についてはまだ係争中なのでメイナード公の手を煩わせることはないかと」
私の言葉に周囲の貴族たちの反応は様々だった。
賛否両論だが、中には「そもそも教会が商売で金儲けなどありえない」という声もあった。それから私は残りの事項についても一つずつ反論していく。
それから他にもいくつかの件について尋ねられたが、私はそれらについても順に応えていく。
メイナード公は表情を変えなかったが、私が話し終えるころにはすっかり仏頂面になっていた。
「……と言う訳ですが皆様いかがでしょうか」
そう言って私は居並ぶ貴族たちの方を見る。
私は広間の前方に出るとそう叫ぶ。
私が出ていくと、父上は驚きメイナード公は不快そうに眉を動かす。そして後ろではカーティスが兵士と口論していた。
そんな中、メイナード公は私をぎろりと睨みつける。
オスカーなど比較にならないほどの威圧感だったが、私はどうにか踏みとどまった。
今のメイナード公と父上の対決は王国内の勢力争いがかかっている。ここで少しでも父上に後ろ暗いところがあると思われれば、多くの貴族は「結局はどっちも後ろ暗いことがあるのだからメイナード公に味方して甘い汁を吸おう」となってしまうだろう。
そうなればカーティスやイヴなど、これまでお世話になってきた人の家に対しても良くない影響が出てしまうかもしれない。
そして何より、私の家の命運がかかっている。
突然出てしまった大舞台であったが、私はそれを意識して踏みとどまり、メイナード公を睨み返す。
「いきなり出てきてどこの小童だ」
メイナード公は威圧するような低い声で言った。
「エイミス公の娘、リアナです」
「今はお前のような小僧がしゃべる幕ではない」
「それを言えば、そもそもメイナード公がしゃべる幕でもありませんが」
そう言って前に出てきたのはクリフの父、アンドリュー公であった。そう言えばクリフの方からも父親を説得してくれると言っていたが、その結果はどうだったのだろうか。
手放しにうちに味方してくれた訳ではなさそうだが、少なくともこの場では彼は私に発言させようとしてくれている。
「何だと?」
「別に誰がしゃべろうと、真実が明らかになるのであればそれでいいのではないでしょうか?」
アンドリュー公の言葉にメイナード公は少し考え、やがて思い直したように頷く。
「確かにそうだ。もっとも、こうして出てきたからにはガキであろうと何だろうと、お前の言葉がエイミス公の答えになるということだ。それは分かっているか?」
「その通りです」
「ならせいぜい言ってみるがいい」
元々はメイナード公が煽ったせいで、大勢の貴族たちはこの問題にかなり興味を示しているようだった。
そのため、もし彼が私を黙らせようものなら逆に顰蹙をかいかねないと思ったのだろう。
もしくは私のことをただのガキだと侮っているのか。
いずれにせよ、メイナード公は私が話すのを認めざるを得なかった。
そんな中、父上だけははらはらしながらこちらを見守っていた。普段威厳のある父上があんな表情をしているのを見るのは初めてかもしれない。私は父上を安心させるために頷き返す。
ここ最近、法律や政治について色々学んできたが、その中で自分の家がどうなっているのかについても学んできた。そこで学んだことを今こそ話さなければ。
「では父上の代わりに述べさせていただきます。まずフーバー港の利益についてですが、昨年から我が家では独自の取引を行っています。そのため、我が家が元手を出資した得た利益は当然全て我が家の取り分となります。公爵がおっしゃった七割というのはそれらを全て合算して計算した場合の割合です」
「……」
私の言葉にメイナード公はそれ以上反論しなかった。
私が言っていることを否定する材料はなかったのだろう。
そして矢継ぎ早に次の問いを発する。
「では教会の件は」
「教会の件ですが、我が領内では商業を推し進めています。その際、教会の方も蓄えた財で商売することを許可したのですが、我が家の見解としては教会と言えど商取引をして得た財は普通に課税されると考えております。ただ、この件についてはまだ係争中なのでメイナード公の手を煩わせることはないかと」
私の言葉に周囲の貴族たちの反応は様々だった。
賛否両論だが、中には「そもそも教会が商売で金儲けなどありえない」という声もあった。それから私は残りの事項についても一つずつ反論していく。
それから他にもいくつかの件について尋ねられたが、私はそれらについても順に応えていく。
メイナード公は表情を変えなかったが、私が話し終えるころにはすっかり仏頂面になっていた。
「……と言う訳ですが皆様いかがでしょうか」
そう言って私は居並ぶ貴族たちの方を見る。
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