浮気中の婚約者が私には塩対応なので塩対応返しすることにした

今川幸乃

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パーティー

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「最近頑張っているらしいじゃないか」

 クリフと話した日から数日後、家に帰ると珍しく父上が声をかけてくれる。
 頑張っている、というのはメイナード家絡みのこと以外ありえないだろう。私が直接父上に学園で何をしているのかを報告している訳ではないが、私が声をかけた生徒からその家に話が伝わり、父上の耳にも入っているのだろう。

「は、はい。あくまで微力ながら、ですが」
「多くの家は、わしにもメイナード公にもいい顔をして、最終的に勝つ方に味方しようと必死で、未だに決定打はない。とはいえリアナのおかげでこれまでメイナード公にべったりだった家もわしに慌ててよしみを通じてくるようになった。よくやった」

 恐らく彼らも色んな状況判断でそうしているのであって、私のおかげだけという訳ではないと思うが、父上にそう言ってもらえると嬉しい。

「ありがとうございます」
「そして今週末、王宮にて国王陛下の誕生日パーティーが行われる。基本的に国中の貴族が集まる機会は少ないから、恐らくそこで決着をつけようとお互い動くだろう」
「は、はい」

 ちなみにここスターリッジ王国では貴族の権限が強く、王族が独断で重要事項を決めることはない。そして貴族の主導権は常に表でも裏でも争いが行われていた。
 今回の件でも、どちらかというと貴族内の勢力争いという構図が強く、王族は意図的に距離をとっている節があった。

 とはいえ国王の誕生日パーティーとなれば全員の貴族が参加するし、普段王都に現れないような小さい家の当主もやってくる。

 そのため、そこで多数の味方を作ることが出来ればそちらがかなり優勢になるに違いない。
 これまで様子見をしていた貴族たちもこのパーティーでどちらかが優勢になったと分かれば、雪崩を撃ってそちらに味方する可能性が大いにある。

「と言う訳でリアナも参加するように。当然他家の令息・令嬢も参列するだろう」
「分かりました」

 ちなみに、貴族の子女しか通っていないうちの学園は王宮で大きな行事があると頻繁に休みになる。生徒がいなくなるのももちろんだが、教員側も関係者が多いためだ。

「だから心して準備しておくように」
「分かりました」

 そう言って父上はまた自室に戻っていく。

 準備しておくように、というのは当然パーティーに参加する準備というのもあるが、メイナード家を倒すためにパーティーで何か動くつもりであれば準備しておけということだろう。

 当主である父上はあくまで自分の力でメイナード家に対抗するつもりで、私のことは「役に立てば儲け物」ぐらいにしか思っていないのだろう。頼ってもらえないのは少しだけ寂しいが、父上なりの責任感と思いやりの表れなのだろうと思った。

 私は改めてパーティーに向けて自分にも出来ることはないかと考えるのだった。
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