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Ⅳ
決心
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「本当にこれで良かったの?」
伯爵が部屋を出ていくと、イヴが心配そうに尋ねる。
メイナード家に対抗できるほどの味方を集めるのはただの小娘である私には難しい。それは分かっている。
ただ、それでも私には成し遂げたいことであった。
オスカーに対する敵意や純粋な正義感もなくはない。
それでも一番根底にあるのはカーティスの家を助けたいという気持ちだと思う。
「うん、私が決めたことだから」
「でもそんなことしてもしオスカーに目をつけられたら……」
「大丈夫、もうカーティスが目をつけられてるから」
私が答えると、イヴは苦笑する。
結局あの事件以来評判に陰りが見えたオスカーは、最近また周りに他の生徒を侍らせているが、以前ほど周囲に攻撃的な態度を見せてはいない。
「でも一体どうして? もちろんメイナード家のやり方は強引だし困っている家も多いけど、せいぜい父上に相談するとかその程度でいいんじゃない? リアナが自分でそこまでする?」
イヴの疑問はもっともだ。
本来は「こういうことがあった」と父上に報告してそれで済ませるべきだろう。本来メイナード公爵に対峙するのは当主の役目だし、実際に父上は自分の意志で動いているだろう。
それにそもそも、一令嬢に過ぎない私に出来ることは限られている。
「それはその通り。でも私はカーティスの力になりたくて」
「そうなんだ」
私がそう答えると、イヴはそれだけで納得したようだった。
もしかすると、彼女は私よりも先に私のカーティスに対する気持ちの変化について気づいていたのかもしれない。
最初はクリフに対して毅然とした態度をとるときに相談に乗ってくれた。それから彼の試合を応援したり、私が勉強を教えたりと次第に仲良くなってきた。
とはいえ極めつけはやはりカーティスが私がオスカーに絡まれた時に間に入ってくれたことだろう。そして私のために、というだけでもないだろうが彼はオスカーと対決し、卑怯な手を使われそうになったものの見事な勝利を収めた。
それを見て私はオスカーに対する見方がはっきりと変わったのだろう。
それまでは仲のいい友人でしかなかったが、気が付くと彼のために出来るだけ力になりたいと思うようになっていた。
それは無意識のうちに思っていたことだけど、こうして彼のために困難なことに挑戦するようになっていて初めて気づいたかもしれない。
「でも何かあてはあるの?」
イヴが心配そうに尋ねる。
「とりあえず他の生徒の中からメイナード家にお金を借りて言うことを聞かされている人がいないか探してみる。それで同じように説得してみるよ」
それまであまり出身をひけらかすようなことはしてこなかったが、こういうことになってくると急に自分が公爵家の生まれであることがありがたく思えてくる。
「分かった。じゃあ私もそういう人がいないか探してみるね」
「ありがとう」
下手に動けばオスカーに目をつけられるかもしれないというのにその危険を冒してくれるのは素直に嬉しい。
こうして私たちは改めてメイナード家と向き合うという意志を決めたのだった。
伯爵が部屋を出ていくと、イヴが心配そうに尋ねる。
メイナード家に対抗できるほどの味方を集めるのはただの小娘である私には難しい。それは分かっている。
ただ、それでも私には成し遂げたいことであった。
オスカーに対する敵意や純粋な正義感もなくはない。
それでも一番根底にあるのはカーティスの家を助けたいという気持ちだと思う。
「うん、私が決めたことだから」
「でもそんなことしてもしオスカーに目をつけられたら……」
「大丈夫、もうカーティスが目をつけられてるから」
私が答えると、イヴは苦笑する。
結局あの事件以来評判に陰りが見えたオスカーは、最近また周りに他の生徒を侍らせているが、以前ほど周囲に攻撃的な態度を見せてはいない。
「でも一体どうして? もちろんメイナード家のやり方は強引だし困っている家も多いけど、せいぜい父上に相談するとかその程度でいいんじゃない? リアナが自分でそこまでする?」
イヴの疑問はもっともだ。
本来は「こういうことがあった」と父上に報告してそれで済ませるべきだろう。本来メイナード公爵に対峙するのは当主の役目だし、実際に父上は自分の意志で動いているだろう。
それにそもそも、一令嬢に過ぎない私に出来ることは限られている。
「それはその通り。でも私はカーティスの力になりたくて」
「そうなんだ」
私がそう答えると、イヴはそれだけで納得したようだった。
もしかすると、彼女は私よりも先に私のカーティスに対する気持ちの変化について気づいていたのかもしれない。
最初はクリフに対して毅然とした態度をとるときに相談に乗ってくれた。それから彼の試合を応援したり、私が勉強を教えたりと次第に仲良くなってきた。
とはいえ極めつけはやはりカーティスが私がオスカーに絡まれた時に間に入ってくれたことだろう。そして私のために、というだけでもないだろうが彼はオスカーと対決し、卑怯な手を使われそうになったものの見事な勝利を収めた。
それを見て私はオスカーに対する見方がはっきりと変わったのだろう。
それまでは仲のいい友人でしかなかったが、気が付くと彼のために出来るだけ力になりたいと思うようになっていた。
それは無意識のうちに思っていたことだけど、こうして彼のために困難なことに挑戦するようになっていて初めて気づいたかもしれない。
「でも何かあてはあるの?」
イヴが心配そうに尋ねる。
「とりあえず他の生徒の中からメイナード家にお金を借りて言うことを聞かされている人がいないか探してみる。それで同じように説得してみるよ」
それまであまり出身をひけらかすようなことはしてこなかったが、こういうことになってくると急に自分が公爵家の生まれであることがありがたく思えてくる。
「分かった。じゃあ私もそういう人がいないか探してみるね」
「ありがとう」
下手に動けばオスカーに目をつけられるかもしれないというのにその危険を冒してくれるのは素直に嬉しい。
こうして私たちは改めてメイナード家と向き合うという意志を決めたのだった。
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