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Ⅱ
クリフ視点 破局
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「全く、どいつもこいつも俺を悪者にしやがって」
イヴとカーティスがそんな相談をしている一方、俺はむしゃくしゃしていた。
ちょっとエルマと一緒にいただけで皆俺が許されざる大罪を犯したような目で見やがって。
が、そう思いつつも授業が始まるとすぐに現実に引き戻される。
最近、特にエルマとの勉強会を始めるようになってから学園の授業に全然ついていけないのだ。今日は歴史の小テストがあったが、点数が半分をきるという大惨事だった。必死で他の人に見られないようにしたが、これまで頭が悪いと内心馬鹿にしてきたクラスメイトたちも50~60点ほどはとっていた。そんな彼らよりも低い点数をとってしまったのはさすがにショックだった。
これまではリアナに教わっていたのに、今はエルマに勉強を教えているのだから勉強時間が減るのは当然なのだが、だからといってここまでとは思わなかった。
そう思ってまたリアナに勉強を教えて欲しいと軽く頼んでみたが、まさかそれだけであそこまで言われるなんて。
これではまるでリアナに教わっていた勉強会に大きな意味があったみたいじゃないか。そう思うと余計に腹が立ってくる。確かにリアナは勉強が出来るが、俺の成績が悪いからって「努力が足りない」「もっと勉強しろ」などと辛辣な言葉をぶつけてくるので俺は毎回我慢を強いられていた。そんな教え方の方がエルマとの和気あいあいとした勉強会よりも役に立っていたなんて認めるのは癪だ。
授業についていけない焦りとそんな苛々を抱えて放課後を迎えた。
すると、俺の元にいつものようにエルマがやってくる。
俺のささくれ立った心はエルマの微笑みを見て少しだけ癒される。
「クリフ、今日も勉強を教えて欲しいわ」
「ああ。……なあエルマ、俺は勉強が出来ると思うか?」
突然俺は不安になる。
そもそも俺はここまで授業についていけていないのにそんな俺に勉強を教わって何か意味があるのだろうか。
だが、エルマならきっと優しい言葉をかけてくれるはずだ。
俺の質問に、エルマは一瞬真顔になったがすぐにいつものような愛くるしい笑顔に戻る。
「もちろん、クリフの教え方は分かりやすいわ。おかげほら、今日の小テストもいい点とれたし」
「それは良かったな。何点だったんだ?」
気をよくしたクリフは軽い気持ちで尋ねる。
そしてエルマも何の気なしに答えた。
「65点」
「え?」
それを聞いて俺は言葉に詰まる。
今日の小テストで俺がとった点数は47点だった。その俺が教えたエルマがクリフよりいい点数をとれるはずがない。もちろん、2点3点の差なら運が良かったとかたまたまとかで説明がつくが、ここまで点数の差があるということは俺よりもエルマの方が勉強が出来ることは明白だろう。
エルマは俺に勉強を教えて欲しいとか、俺の教え方が分かるとか色々言ってくれていたが、それは全て嘘だったのではないか。あのテストで65点とれる人に俺が教えられることなど何もない。
そんな俺の戸惑いを見てエルマも自分の失言に気づいたようで、慌てて口に手を当てる。
「あ、ご、ごめん、今のは別の小テストの話で、歴史は」
「別の小テストなんて最近なかっただろ」
今の誤魔化そうとした発言で俺の疑いは決定的になった。
やはりエルマは俺よりも成績がいいのに、俺のことを馬鹿にするためにわざと勉強が出来ない振りを装っていたんだ。
「ち、違うの、私は……」
「もういい! どいつもこいつも俺を馬鹿にしやがって!」
エルマだけは俺のことを本気で愛してくれていると信じていたのに。
そうと分かると俺は目の前が真っ暗になっていくのを感じた。
イヴとカーティスがそんな相談をしている一方、俺はむしゃくしゃしていた。
ちょっとエルマと一緒にいただけで皆俺が許されざる大罪を犯したような目で見やがって。
が、そう思いつつも授業が始まるとすぐに現実に引き戻される。
最近、特にエルマとの勉強会を始めるようになってから学園の授業に全然ついていけないのだ。今日は歴史の小テストがあったが、点数が半分をきるという大惨事だった。必死で他の人に見られないようにしたが、これまで頭が悪いと内心馬鹿にしてきたクラスメイトたちも50~60点ほどはとっていた。そんな彼らよりも低い点数をとってしまったのはさすがにショックだった。
これまではリアナに教わっていたのに、今はエルマに勉強を教えているのだから勉強時間が減るのは当然なのだが、だからといってここまでとは思わなかった。
そう思ってまたリアナに勉強を教えて欲しいと軽く頼んでみたが、まさかそれだけであそこまで言われるなんて。
これではまるでリアナに教わっていた勉強会に大きな意味があったみたいじゃないか。そう思うと余計に腹が立ってくる。確かにリアナは勉強が出来るが、俺の成績が悪いからって「努力が足りない」「もっと勉強しろ」などと辛辣な言葉をぶつけてくるので俺は毎回我慢を強いられていた。そんな教え方の方がエルマとの和気あいあいとした勉強会よりも役に立っていたなんて認めるのは癪だ。
授業についていけない焦りとそんな苛々を抱えて放課後を迎えた。
すると、俺の元にいつものようにエルマがやってくる。
俺のささくれ立った心はエルマの微笑みを見て少しだけ癒される。
「クリフ、今日も勉強を教えて欲しいわ」
「ああ。……なあエルマ、俺は勉強が出来ると思うか?」
突然俺は不安になる。
そもそも俺はここまで授業についていけていないのにそんな俺に勉強を教わって何か意味があるのだろうか。
だが、エルマならきっと優しい言葉をかけてくれるはずだ。
俺の質問に、エルマは一瞬真顔になったがすぐにいつものような愛くるしい笑顔に戻る。
「もちろん、クリフの教え方は分かりやすいわ。おかげほら、今日の小テストもいい点とれたし」
「それは良かったな。何点だったんだ?」
気をよくしたクリフは軽い気持ちで尋ねる。
そしてエルマも何の気なしに答えた。
「65点」
「え?」
それを聞いて俺は言葉に詰まる。
今日の小テストで俺がとった点数は47点だった。その俺が教えたエルマがクリフよりいい点数をとれるはずがない。もちろん、2点3点の差なら運が良かったとかたまたまとかで説明がつくが、ここまで点数の差があるということは俺よりもエルマの方が勉強が出来ることは明白だろう。
エルマは俺に勉強を教えて欲しいとか、俺の教え方が分かるとか色々言ってくれていたが、それは全て嘘だったのではないか。あのテストで65点とれる人に俺が教えられることなど何もない。
そんな俺の戸惑いを見てエルマも自分の失言に気づいたようで、慌てて口に手を当てる。
「あ、ご、ごめん、今のは別の小テストの話で、歴史は」
「別の小テストなんて最近なかっただろ」
今の誤魔化そうとした発言で俺の疑いは決定的になった。
やはりエルマは俺よりも成績がいいのに、俺のことを馬鹿にするためにわざと勉強が出来ない振りを装っていたんだ。
「ち、違うの、私は……」
「もういい! どいつもこいつも俺を馬鹿にしやがって!」
エルマだけは俺のことを本気で愛してくれていると信じていたのに。
そうと分かると俺は目の前が真っ暗になっていくのを感じた。
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