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Ⅱ
クリフの本音
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「どうだろう。自分で考えてみたら?」
そう言ってリアナが去っていった後、一人残された俺は憤慨した。
「俺がせっかく謝ってやっているというのに何なんだあの態度は!」
そもそもの発端はリアナが昼休みにいきなり俺にキレてきたことだ。何をいきなり、と思ったが話を聞いてみると、どうも俺が最近エルマと仲良くしていることが気に障ったらしい。
だが婚約者がいるからといって他の女としゃべったらいけないという訳ではないし、大体エルマが勉強が出来なくて困っているのに教えてあげることの何がいけないというのか。
そもそもリアナと一緒に過ごすことに少し倦怠感のようなものを感じてきたのが原因ではないか。もしリアナと過ごすのが楽しければ俺もわざわざ他の女としゃべったりはしない。それはリアナサイドにも責任があるのではないか。
リアナはいい人ではあるけど、真面目で一緒にいてもあまりおもしろくない。
俺が授業や宿題をさぼっているとすぐに文句を言ってくる。
間違ってはないが、いつもこんな感じだと正直息苦しい。
とはいえ一応エルマと仲良くしてしまった俺にも非がない訳ではないので、俺も仲直りするために大人の対応をしたつもりだ。それなのにリアナは一方的にそれをはねつけやがった。しかもおそらく俺に隠れて他の男と仲良くしているのだろう。
そう思うと俺はだんだん苛々してくる。この前の勉強会だってリアナはひたすら俺の努力不足や無知をなじるだけで全然分かりやすく教えてくれなかった。分からないから教えて欲しいって言ってるのに、「もっと勉強しろ」「勉強不足」って言ってくるなんて。
大体、そんなこと言って俺が勉強が出来ないのを内心見下しているのではないか。もしくは自分の方が成績がいいからといって優越感に浸っているのではないか。
そうじゃなかったらあんな上からの物言いにはならないだろう。
それに引き換えエルマは俺が勉強を教えるとちゃんと俺に対してリスペクトしてくれるし、感謝もしてくれる。そしてふとした時に俺を見る眼差しや、可憐な微笑みが可愛らしい。婚約者だからっていつもしかめ面で俺にきつく当たってばかりのリアナとは大違いだ。
もういい、そこまで言うならあんな女、俺の方からお断りだ。
俺はそう決意する。
実は今日の昼休み、リアナに怒られた俺はエルマと会う頻度を少し減らすからしばらく勉強会は出来ない、とエルマに言ってしまった。
だがこうなったら話は別だ。
もうリアナのことなど気にせず心ゆくまでエルマと勉強会をしよう。今ならまだエルマも帰ってはないはずだ。
そう考えて俺は隣のクラスに急ぐ。
するとそこにはちょうど荷物をまとめて教室を出ようとするエルマの姿があった。
「や、やあエルマ!」
「あれ、クリフ? リアナと話すんじゃなかったのかしら?」
俺の姿を見てエルマは驚く。
「すまなかったエルマ。俺は婚約者とかいうしがらみにとらわれて大事なことを忘れるところだった。俺にとって本当に大事なのはエルマだ」
「まあ、本当!? 嬉しいわ」
俺の言葉を聞いてエルマは頬を赤くして喜ぶ。今日は俺と勉強出来ないと聞いていたのに、俺がリアナよりもエルマを選んでくれたから喜んでくれているのだろう。
そうだ、やっぱりエルマはリアナと違ってちゃんと俺の好意に対して好意で応えてくれる。やはり俺が選ぶべき女はエルマだ。
「そうだ。だから今日も一緒に勉強しよう」
「ええ、喜んで!」
こうして俺はエルマと二人の勉強会をするのだった。
そしてそれは言うまでもなくリアナと二人の勉強会よりも楽しいものになったのだった。
翌日、俺が席に着いても隣の席に座るリアナはこちらを一瞥するだけでこちらをまともに見ようともしない。
どうやらこれは相当怒っているようだ。
全く、まさかこんな面倒な奴だったとは思わなかった。
とはいえそういう態度をとるなら俺にはエルマがいるから構わない。昨日はちょっと下手に出ようかとも思ったが、そっちがその気なら話は別だ。
そう決めた俺も、リアナを徹底的に無視することにする。
昼休みはエルマとお昼を食べ、放課後はエルマと勉強会をする。
リアナの態度には少し腹が立ったが、エルマとの生活は案外悪くないものだった。
この時の俺はそう信じていた。
そう言ってリアナが去っていった後、一人残された俺は憤慨した。
「俺がせっかく謝ってやっているというのに何なんだあの態度は!」
そもそもの発端はリアナが昼休みにいきなり俺にキレてきたことだ。何をいきなり、と思ったが話を聞いてみると、どうも俺が最近エルマと仲良くしていることが気に障ったらしい。
だが婚約者がいるからといって他の女としゃべったらいけないという訳ではないし、大体エルマが勉強が出来なくて困っているのに教えてあげることの何がいけないというのか。
そもそもリアナと一緒に過ごすことに少し倦怠感のようなものを感じてきたのが原因ではないか。もしリアナと過ごすのが楽しければ俺もわざわざ他の女としゃべったりはしない。それはリアナサイドにも責任があるのではないか。
リアナはいい人ではあるけど、真面目で一緒にいてもあまりおもしろくない。
俺が授業や宿題をさぼっているとすぐに文句を言ってくる。
間違ってはないが、いつもこんな感じだと正直息苦しい。
とはいえ一応エルマと仲良くしてしまった俺にも非がない訳ではないので、俺も仲直りするために大人の対応をしたつもりだ。それなのにリアナは一方的にそれをはねつけやがった。しかもおそらく俺に隠れて他の男と仲良くしているのだろう。
そう思うと俺はだんだん苛々してくる。この前の勉強会だってリアナはひたすら俺の努力不足や無知をなじるだけで全然分かりやすく教えてくれなかった。分からないから教えて欲しいって言ってるのに、「もっと勉強しろ」「勉強不足」って言ってくるなんて。
大体、そんなこと言って俺が勉強が出来ないのを内心見下しているのではないか。もしくは自分の方が成績がいいからといって優越感に浸っているのではないか。
そうじゃなかったらあんな上からの物言いにはならないだろう。
それに引き換えエルマは俺が勉強を教えるとちゃんと俺に対してリスペクトしてくれるし、感謝もしてくれる。そしてふとした時に俺を見る眼差しや、可憐な微笑みが可愛らしい。婚約者だからっていつもしかめ面で俺にきつく当たってばかりのリアナとは大違いだ。
もういい、そこまで言うならあんな女、俺の方からお断りだ。
俺はそう決意する。
実は今日の昼休み、リアナに怒られた俺はエルマと会う頻度を少し減らすからしばらく勉強会は出来ない、とエルマに言ってしまった。
だがこうなったら話は別だ。
もうリアナのことなど気にせず心ゆくまでエルマと勉強会をしよう。今ならまだエルマも帰ってはないはずだ。
そう考えて俺は隣のクラスに急ぐ。
するとそこにはちょうど荷物をまとめて教室を出ようとするエルマの姿があった。
「や、やあエルマ!」
「あれ、クリフ? リアナと話すんじゃなかったのかしら?」
俺の姿を見てエルマは驚く。
「すまなかったエルマ。俺は婚約者とかいうしがらみにとらわれて大事なことを忘れるところだった。俺にとって本当に大事なのはエルマだ」
「まあ、本当!? 嬉しいわ」
俺の言葉を聞いてエルマは頬を赤くして喜ぶ。今日は俺と勉強出来ないと聞いていたのに、俺がリアナよりもエルマを選んでくれたから喜んでくれているのだろう。
そうだ、やっぱりエルマはリアナと違ってちゃんと俺の好意に対して好意で応えてくれる。やはり俺が選ぶべき女はエルマだ。
「そうだ。だから今日も一緒に勉強しよう」
「ええ、喜んで!」
こうして俺はエルマと二人の勉強会をするのだった。
そしてそれは言うまでもなくリアナと二人の勉強会よりも楽しいものになったのだった。
翌日、俺が席に着いても隣の席に座るリアナはこちらを一瞥するだけでこちらをまともに見ようともしない。
どうやらこれは相当怒っているようだ。
全く、まさかこんな面倒な奴だったとは思わなかった。
とはいえそういう態度をとるなら俺にはエルマがいるから構わない。昨日はちょっと下手に出ようかとも思ったが、そっちがその気なら話は別だ。
そう決めた俺も、リアナを徹底的に無視することにする。
昼休みはエルマとお昼を食べ、放課後はエルマと勉強会をする。
リアナの態度には少し腹が立ったが、エルマとの生活は案外悪くないものだった。
この時の俺はそう信じていた。
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