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ランチ
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こうして私はブライアンとキャシーの仲を応援すると決めた訳だが、翌日の昼に早速チャンスが訪れた。
「カフェテリア行こうぜ」
四限の授業が終わると、ブライアンはいつものように私とキャシーをカフェテリアに誘う。これまで他の生徒からは「いくら幼馴染とはいえ、女二人男一人でいつも一緒にいるのはどうなのか」などと言われたこともあった。
その時は「私たちはそんなんじゃないけど」などと否定したが、そう思っていたのは私だけで、実際のところ二人はずっとそういう気持ちだったということだろう。
が、その日は彼が誘うとなぜかキャシーが私の方をちらりと見て微妙な表情をする。
そうか、告白したばかりだからやはり二人きりになりたいということか。というかあんなことがあったのに私たち両方に声をかけるなんてブライアンもちょっと無神経じゃないだろうか。いくら幼馴染だからってそこは恋人関係を優先して欲しい。
それを理解した私は早速二人きりにすることにする。
「ごめん、私ちょっと今日先生に呼ばれているから、先に行ってて!」
「え? カーラが先生に呼ばれることなんてあるか?」
私の言葉にブライアンは首をかしげる。私は別に素行も成績も悪くないのでこれまで先生に呼ばれたことなどなかった。
まずい、その場で考えた言い訳だから問い返されると何も言えなくなる。
「そういうことなら仕方ないですわ。二人で行きましょう」
が、そこへうまくキャシーが間に入ってくれる。きっと私の意図を察してくれたのだろう。
「じゃあ、そういうことだから!」
その隙に私は小走りでその場を離れる。
「お、おい、カーラ!?」
後ろからブライアンが呼ぶ声が聞こえてくるが、今は聞こえない振りをしよう。
その後二人がカフェテリアに行ったのを確認して、私は教室に戻る。
「珍しいね、一人でご飯食べてるなんて」
私が弁当を取り出すと、隣の席に座っていたルーシーが声を掛けてくる。
彼女は気さくな性格で、クラスの誰とでも分け隔てなく話すタイプだ。
私も席が近い縁でよく話すが、私はブライアンとキャシーの三人で行動することが多かったので、そこまで深い仲でもなかった。
せっかくなので私もこの機に仲を深めてみたいと思う。
「うん、これまだ秘密だけどブライアンとキャシー、実は付き合ってるみたいで」
「え!? 嘘!?」
私の言葉にルーシーは驚く。そりゃそうだろう、私も二人が付き合っていると最初に知った時は驚いた。
「でも二人がきちんと話してくれるまでは私も気づいていない体でいようと思う」
「そうなんだ。でも仲良し幼馴染三人で行動してて、二人が付き合ったら辛くない?」
ルーシーは少し心配そうに尋ねる。
「うん……でも二人とも相思相愛みたいだから、私は陰から応援してあげようと思う」
「すごい、カーラさんってば健気なんだね。それなら私も陰ながら手伝ってあげる」
「え、手伝う?」
斜め上の言葉に私は若干戸惑う。
が、彼女はなぜか自信満々に頷く。
「大丈夫、うまくやってみせるから」
「う、うん」
そして、ルーシーが実際に手伝ってくれたのはすぐ後のことだった。
「カフェテリア行こうぜ」
四限の授業が終わると、ブライアンはいつものように私とキャシーをカフェテリアに誘う。これまで他の生徒からは「いくら幼馴染とはいえ、女二人男一人でいつも一緒にいるのはどうなのか」などと言われたこともあった。
その時は「私たちはそんなんじゃないけど」などと否定したが、そう思っていたのは私だけで、実際のところ二人はずっとそういう気持ちだったということだろう。
が、その日は彼が誘うとなぜかキャシーが私の方をちらりと見て微妙な表情をする。
そうか、告白したばかりだからやはり二人きりになりたいということか。というかあんなことがあったのに私たち両方に声をかけるなんてブライアンもちょっと無神経じゃないだろうか。いくら幼馴染だからってそこは恋人関係を優先して欲しい。
それを理解した私は早速二人きりにすることにする。
「ごめん、私ちょっと今日先生に呼ばれているから、先に行ってて!」
「え? カーラが先生に呼ばれることなんてあるか?」
私の言葉にブライアンは首をかしげる。私は別に素行も成績も悪くないのでこれまで先生に呼ばれたことなどなかった。
まずい、その場で考えた言い訳だから問い返されると何も言えなくなる。
「そういうことなら仕方ないですわ。二人で行きましょう」
が、そこへうまくキャシーが間に入ってくれる。きっと私の意図を察してくれたのだろう。
「じゃあ、そういうことだから!」
その隙に私は小走りでその場を離れる。
「お、おい、カーラ!?」
後ろからブライアンが呼ぶ声が聞こえてくるが、今は聞こえない振りをしよう。
その後二人がカフェテリアに行ったのを確認して、私は教室に戻る。
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私が弁当を取り出すと、隣の席に座っていたルーシーが声を掛けてくる。
彼女は気さくな性格で、クラスの誰とでも分け隔てなく話すタイプだ。
私も席が近い縁でよく話すが、私はブライアンとキャシーの三人で行動することが多かったので、そこまで深い仲でもなかった。
せっかくなので私もこの機に仲を深めてみたいと思う。
「うん、これまだ秘密だけどブライアンとキャシー、実は付き合ってるみたいで」
「え!? 嘘!?」
私の言葉にルーシーは驚く。そりゃそうだろう、私も二人が付き合っていると最初に知った時は驚いた。
「でも二人がきちんと話してくれるまでは私も気づいていない体でいようと思う」
「そうなんだ。でも仲良し幼馴染三人で行動してて、二人が付き合ったら辛くない?」
ルーシーは少し心配そうに尋ねる。
「うん……でも二人とも相思相愛みたいだから、私は陰から応援してあげようと思う」
「すごい、カーラさんってば健気なんだね。それなら私も陰ながら手伝ってあげる」
「え、手伝う?」
斜め上の言葉に私は若干戸惑う。
が、彼女はなぜか自信満々に頷く。
「大丈夫、うまくやってみせるから」
「う、うん」
そして、ルーシーが実際に手伝ってくれたのはすぐ後のことだった。
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