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EX 勘違い女の末路Ⅰ
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「助けてください父上、アイザックが私のことは婚約者にふさわしくないなどと言うのですわ!」
パーティーが終わった直後、泣きはらしていたジュリーは父親の元へ走っていく。
衆目の前でアイザックに罵られ、アイザックはローラとかいうつまらない女の婚約者であることが発覚した。その上軽蔑していたはずのクレアには彼女が婚約者とイチャイチャしているところを見せつけられる形となった。
元々プライドの高いジュリーには一連の事件は堪えられないことだった。
絶対に彼ら彼女ら全員を見返してやりたい。
そのためにはアイザックやジャックを上回る素晴らしい婚約者を手に入れる必要があった。なぜかアイザックとの婚約は失敗したが、逆に行けば彼を上回る婚約者を手に入れるチャンスでもある。そして彼が自分ではなくローラをとったことを後悔させてやる。
ジュリーの中ではすでにアイザックは憧れの男からやり返すべき仇敵に反転していた。
ジュリーが走っていくと、彼女の父であるパウエル伯は険しい表情で待っていた。
そして彼女が近づいていくなり怒鳴りつける。
「ジュリー、何と言うことをしてくれたんだ!」
「ち……父上?」
味方だと思っていた父にまで怒られ、ジュリーは思わず呆然としてしまう。
が、父は構わずに続ける。
「お前のせいで我が家の評判はガタ落ちだ! パーティーの途中からどうも周囲のわしに対する視線がおかしいと思ったらまさかお前があんな失態を犯していたとは!」
「そ、そんな……私はただ……」
「これまでお前が欲しがる物を全て与え、ドレスもお前の言う通りの物を仕立てさせてやったというのにこれまでのわしの努力を全て無に帰しやがって!」
「でも、婚約者は……」
そもそも父上が婚約者の件さえきちんとアイザックと話をつけていればこんなことにはならなかったのに、と言おうとしたジュリーだったが、それを全て口にする前に言われてしまった。
「うるさい! 婚約者の件だってうまくいきそうだったのに、成就しなかったのは、先方がお前の器量に不満があったからだ!」
「そんな……」
それを聞いてジュリーは目の前が真っ暗になる。
アイザックとの婚約が流れたのは政治的な理由だと思っていたのに、まさか自分が原因だったなんて。
「もうほとほと愛想が尽きた。今後お前の我がままは一切聞いてやらない」
「そんな! すみません、今回のことは私が悪かったです!」
ジュリーも薄々分かってはいた。自分の他人に自慢していたことは家柄にせよドレスにせよ、全て親の物、もしくは親にもらった物に過ぎないと。
そのジュリーが父親に諦められてしまえば、文字通り何も残らない。
「そんな……お待ちください、父上!」
だが、父はジュリーを振り返ることなく歩いていく。
そしてその場にはその落ち込み用には不似合いな綺麗なドレスのジュリーだけが遺されたのだった。
パーティーが終わった直後、泣きはらしていたジュリーは父親の元へ走っていく。
衆目の前でアイザックに罵られ、アイザックはローラとかいうつまらない女の婚約者であることが発覚した。その上軽蔑していたはずのクレアには彼女が婚約者とイチャイチャしているところを見せつけられる形となった。
元々プライドの高いジュリーには一連の事件は堪えられないことだった。
絶対に彼ら彼女ら全員を見返してやりたい。
そのためにはアイザックやジャックを上回る素晴らしい婚約者を手に入れる必要があった。なぜかアイザックとの婚約は失敗したが、逆に行けば彼を上回る婚約者を手に入れるチャンスでもある。そして彼が自分ではなくローラをとったことを後悔させてやる。
ジュリーの中ではすでにアイザックは憧れの男からやり返すべき仇敵に反転していた。
ジュリーが走っていくと、彼女の父であるパウエル伯は険しい表情で待っていた。
そして彼女が近づいていくなり怒鳴りつける。
「ジュリー、何と言うことをしてくれたんだ!」
「ち……父上?」
味方だと思っていた父にまで怒られ、ジュリーは思わず呆然としてしまう。
が、父は構わずに続ける。
「お前のせいで我が家の評判はガタ落ちだ! パーティーの途中からどうも周囲のわしに対する視線がおかしいと思ったらまさかお前があんな失態を犯していたとは!」
「そ、そんな……私はただ……」
「これまでお前が欲しがる物を全て与え、ドレスもお前の言う通りの物を仕立てさせてやったというのにこれまでのわしの努力を全て無に帰しやがって!」
「でも、婚約者は……」
そもそも父上が婚約者の件さえきちんとアイザックと話をつけていればこんなことにはならなかったのに、と言おうとしたジュリーだったが、それを全て口にする前に言われてしまった。
「うるさい! 婚約者の件だってうまくいきそうだったのに、成就しなかったのは、先方がお前の器量に不満があったからだ!」
「そんな……」
それを聞いてジュリーは目の前が真っ暗になる。
アイザックとの婚約が流れたのは政治的な理由だと思っていたのに、まさか自分が原因だったなんて。
「もうほとほと愛想が尽きた。今後お前の我がままは一切聞いてやらない」
「そんな! すみません、今回のことは私が悪かったです!」
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そのジュリーが父親に諦められてしまえば、文字通り何も残らない。
「そんな……お待ちください、父上!」
だが、父はジュリーを振り返ることなく歩いていく。
そしてその場にはその落ち込み用には不似合いな綺麗なドレスのジュリーだけが遺されたのだった。
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