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婚約破棄
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「リッタ、残念ながら君との婚約はもううんざりだ。今日で婚約破棄させてもらう」
「え……?」
私、リッタ・アストリーは突然の婚約者の宣言に思わず呆然としてしまいます。
ですが、目の前の婚約者、バート・オレットは私のことを強い決意を秘めた目で見つめています。
彼がここまで強い口調で何かを言ったのは初めてです。
「い、一体なぜでしょうか?」
私は震える声で尋ねます。
私はアストリー男爵家という貧乏貴族の娘で、領地が隣り合っている縁で幼いころからバートと婚約していました。
私たちの婚約はいわゆる政略結婚によるもので、特に仲が良くも悪くもなかったと思います。他家の白い結婚の話など聞く限りだと、むしろいい方と言えるでしょう。
実際、バートと二人でお出かけしたり、お互いの屋敷でゆっくり話したりするのはそれなりに楽しかったです。
ですから突然このようなことを言われて私は驚きが止められませんでした。
「あの、私に何か悪い所でもありましたか?」
「そんなことはない。だがいかんせん君の家は貧乏過ぎる。今日だってせっかく遊びに来たというのに、出てくるのは庶民が飲むような紅茶だし、お菓子だって、まだ商人の方がいいものを食べてるってぐらいだ」
そう言って彼はテーブルの上に乗っている紅茶とお菓子を指さします。
そう言われてしまえば私は何も反論出来ませんでした。というのも我がアストリー家は王国内でも貧乏貴族で有名でした。過去に大きな災害に見舞われて以来、領地では農作物をとることも出来ず、領地の立地が悪いため商人も集まりません。
その上、父上はこれまで雇っていた家臣や使用人を解雇するのは不義理だ、と言って雇い続けているので財政状況は厳しくなる一方です。
そのしわ寄せは主に私たちの暮らしにきていました。
そのため、バートの言うことに私は反論することは出来ません。
「それはそうですが……でも私たちはまあまあうまくやってきたじゃないですか」
「それはそうだ。だが僕はもう限界だ! 来るたびに出る料理の質は落ちていくし、君を始め家族はいつも古着を着ている!」
「それは……」
彼の言っていることは確かにそうなのですが、だからといって急に婚約破棄を宣言すると言われても受け入れることは出来ません。
「うちの父上やバートの父上は知っているのでしょうか?」
「言ってない。だけど誰が反対しようと、僕はもうこんなのはうんざりなんだ!」
元々両親が決めた婚約なのにそんなことはあるのでしょうか。
私は唖然としますが、バートの決意は固いようです。
そもそも私の家は婚約したときから大分貧しかったのでなぜ急にそんなことを言いだしたのでしょうか。
「でも、何でこんな急に……?」
「これまで僕はこの家にしか来たことがなかった。だからどこもこんなものかと思っていた。でも違うということがようやく分かったんだ。だからもう我慢できない」
が、そこで私は彼の目がわずかに泳いでいるのに気が付きます。
もちろん我慢出来ない、というのも嘘ではないのでしょうが、何かそれ以外にも理由があるような気がします。
一体何でしょうか。
そこで一つ心当たりが浮かびます。
「え……?」
私、リッタ・アストリーは突然の婚約者の宣言に思わず呆然としてしまいます。
ですが、目の前の婚約者、バート・オレットは私のことを強い決意を秘めた目で見つめています。
彼がここまで強い口調で何かを言ったのは初めてです。
「い、一体なぜでしょうか?」
私は震える声で尋ねます。
私はアストリー男爵家という貧乏貴族の娘で、領地が隣り合っている縁で幼いころからバートと婚約していました。
私たちの婚約はいわゆる政略結婚によるもので、特に仲が良くも悪くもなかったと思います。他家の白い結婚の話など聞く限りだと、むしろいい方と言えるでしょう。
実際、バートと二人でお出かけしたり、お互いの屋敷でゆっくり話したりするのはそれなりに楽しかったです。
ですから突然このようなことを言われて私は驚きが止められませんでした。
「あの、私に何か悪い所でもありましたか?」
「そんなことはない。だがいかんせん君の家は貧乏過ぎる。今日だってせっかく遊びに来たというのに、出てくるのは庶民が飲むような紅茶だし、お菓子だって、まだ商人の方がいいものを食べてるってぐらいだ」
そう言って彼はテーブルの上に乗っている紅茶とお菓子を指さします。
そう言われてしまえば私は何も反論出来ませんでした。というのも我がアストリー家は王国内でも貧乏貴族で有名でした。過去に大きな災害に見舞われて以来、領地では農作物をとることも出来ず、領地の立地が悪いため商人も集まりません。
その上、父上はこれまで雇っていた家臣や使用人を解雇するのは不義理だ、と言って雇い続けているので財政状況は厳しくなる一方です。
そのしわ寄せは主に私たちの暮らしにきていました。
そのため、バートの言うことに私は反論することは出来ません。
「それはそうですが……でも私たちはまあまあうまくやってきたじゃないですか」
「それはそうだ。だが僕はもう限界だ! 来るたびに出る料理の質は落ちていくし、君を始め家族はいつも古着を着ている!」
「それは……」
彼の言っていることは確かにそうなのですが、だからといって急に婚約破棄を宣言すると言われても受け入れることは出来ません。
「うちの父上やバートの父上は知っているのでしょうか?」
「言ってない。だけど誰が反対しようと、僕はもうこんなのはうんざりなんだ!」
元々両親が決めた婚約なのにそんなことはあるのでしょうか。
私は唖然としますが、バートの決意は固いようです。
そもそも私の家は婚約したときから大分貧しかったのでなぜ急にそんなことを言いだしたのでしょうか。
「でも、何でこんな急に……?」
「これまで僕はこの家にしか来たことがなかった。だからどこもこんなものかと思っていた。でも違うということがようやく分かったんだ。だからもう我慢できない」
が、そこで私は彼の目がわずかに泳いでいるのに気が付きます。
もちろん我慢出来ない、というのも嘘ではないのでしょうが、何かそれ以外にも理由があるような気がします。
一体何でしょうか。
そこで一つ心当たりが浮かびます。
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