誰でも職業をもらえる世界で無職と言われた俺は「職業合成師」の力に覚醒する ~剣聖奴隷や王女メイドの最強ハーレムパーティーを作る~

今川幸乃

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無職になった男と奴隷少女リン

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 ドネルたちが諦めて去っていくのを見て俺はほっと胸をなでおろす。

「ありがとう、助かったみんな」
「お前のおかげで色々助かったからな」
「そうだ」
「もう一生職業が変えられないんじゃないかと思って絶望してたんだ」

 ゴルグや、周囲の町人たちが一斉に俺への感謝を述べる。

 神殿でドネルやリオナたちにあそこまで言われた俺がまさかここまで他人に感謝されることになるとは。
 俺は助けてくれたことよりも、そのことに胸が熱くなった。

「ありがとう……」

 しばらくの間俺たちはドネルたちを追い払った余韻に浸っていたが、やがてゴルグはリンに目を留める。

「しかしリン、数日で随分立派になったじゃねえか。一瞬誰だか分からなかったぜ」
「はい、それもご主人様のおかげです」

 そう言ってリンは嬉しそうに俺の腕に体を寄せる。そう言ってもらえるのは嬉しいが、こんなたくさんの人の前でいちゃつくのはやめて欲しいんだが。

「それは運が良かったな。俺ももしかすると、いずれはとんでもない大物になるような男と取引しちまったのかもしれねえ」

 が、やがてゴルグは真剣な表情に変わる。

「俺たちとしてもいつまでもここにいて欲しいが、この街は神殿の力が強い。もしかしたら奴らは今日のことを衛兵あたりに言いつけて、今度は兵士を連れてくるかもしれない。そうなれば俺たちではどうにもならない」

 そんなの言いがかりじゃないか、と思ったが冷静に考えてみると、そもそも俺にも無許可で商売をしているという弱みはある。
 神殿に怒られる筋合いはないが、グローリア神への信仰が篤いという領主の耳に話が入れば面倒なことになりそうだ。場合によっては「怪しげな力を使った」と有無を言わさず殺されるかもしれない。

「確かにそうだ」
「その商売を続けるなら神殿の力が弱い街に行くか、行商の方がいいんじゃないか」
「それはそうだな」

 確かに俺はこの街で生まれ育ちはしたが、正直街自体にはそんなに思い入れはない。知り合いはいるが、逆に知り合いに俺が無職だということを知られたくないという気持ちもあった。

「でもあんな人たちに追い出される形になるなんて……」

 これでは追い出される形になると思ったのか、リンは少し不満気だ。

「それはきっかけに過ぎない。せっかくすごい力があるんだから、もっといろいろな職業を手に入れたいんだ」
「でも、行く宛てはあるんです?」
「ああ、”ダンジョン都市”アルディナだ」

 商売をしながら考えていたが、職業を売買するならこの近くだとそこが一番いいだろう。
 ”ダンジョン都市”アルディナの近くにはダンジョンと呼ばれる魔物の巣窟があり、冒険者を中心には魔物根絶のため、もしくは珍しい素材を手に入れるためにそこに出入りしている。

 そこは冒険者や冒険者相手の商売人、もしくは才覚がなくとも一発当てたいという者が集まっていると聞く。そこは実力、もしくは役に立つ者がえらいという風潮があるらしく、俺のように神殿に睨まれていても役に立つ能力があればやっていけるだろう。

 それに、冒険に命を懸けている者たちであれば互いの職業を交換したいとか、よりよい職業が欲しいとか、そういう要望は普通の人よりも多いはずだから商売機会も多そうだ。

 もっといろいろな職業を手に入れるためにも、これはいい機会だろう。

「確かにそこなら、ご主人様の力を試すにはもってこいですね」
「そうだろう?」

 俺が頷くと、街の人々は寂しそうな目で俺を見る。

「そっか……残念だな」
「もっと珍しい職業が手に入るのを待っていたんだが」
「くそ、神殿の奴らのせいでアレンが行ってしまうなんて!」
「まあまあ皆、そう言わないでくれ。それに珍しい職業を手に入れたらまた戻ってくることもあると思う」

 俺はとりなすように言う。

「なるほど、それならそれを待っているぜ」
「また戻ってきてくれ」
「それなら今日は最後に送別会だ!」
「いいな!」
「ありがとう」

 こうして俺は期せずしてこの街を出ることになった。
 最後の送別会は俺がこれまで経験した中で一番大きな飲み会になったのだった。

アレン 男、15歳 職業:??? レベル2
現在保有している職業
一般職 「詐欺師」、「こそ泥」、「メイド」×3、「使用人」、「奴隷」、「ネズミ捕り」、「毛皮商」、「杖商人」、「農夫」×2
物理戦闘職 「兵士」×2、「剣士」×2、「ならず者」、「ごろつき」

リン 女、15歳 職業:奴隷(剣士奴隷)
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