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嫌がらせⅡ
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「一体どうすれば……」
「調査をしてもいいが、本当にオールストン公爵家がバックにいるなら証拠を出すようなことはないだろう」
レイノルズ侯爵は苦い表情で言う。
「とりあえず今後は重要なものを運ぶ際にオールストン公爵家の領地には近づかないようにするしかないだろう」
とはいえ、話はそれだけでは終わらなかった。
むしろその事件は発端に過ぎなかったと言える。
その翌日のこと、再び家臣が慌てた様子で駆け込んでくる。
「大変です、領地から運んでいた小麦の隊列が賊に襲われました!」
「何だと!?」
その場にいたロルスがぎょっとした声を上げる。
思わず私は彼と顔を見合わせた。
「幸い追い返すことは出来、我らは護衛の兵士とともに追尾したのですが、逃げていった賊はオーガスト公爵家の領地に入ってしまい、そこで追い返されてしまいまして」
「オーガスト公爵家!? ブランドの家ではないか!」
それを聞いたロルスは怒りで声を震わせた。
「はい、賊の捕縛はこちらで行うから兵士の侵入は困る、と言われてそれ以上強行することも出来ず……」
同じ国といえども貴族の領地はそれぞれの人物により治められているため、他家の兵士が入ることを拒否することは時々起こる。
とはいえ、このタイミングで起ったということを考えると、おそらくオーガスト公爵家の息がかかった賊だったに違いない。
「くそ、卑怯な真似をしやがって!」
「大きな声が聞こえたが、一体何があったのだ」
そこにレイノルズ侯爵もやってきた。
「今度はブランドにやられた!」
ロルスは怒気を露わにそう言い、それから報告があったことをまくし立てるように伝える。それを聞いたレイノルズ侯爵は怒りというよりはどんどん表情が険しくなっていく。
そして聞き終えると、吐き捨てるように言った。
「くそ、こちらが小さい家だと侮っているのか!」
「このようなことは許せません、どうにか仕返しする方法はあるのでしょうか?」
「落ち着けロルス、とりあえずオーガスト公爵に賊を引き渡すよう書状を送るところから始める他あるまい」
「分かりました。しかし、このままでは……」
今回はたまたま撃退することが出来たから良かったが、今後たびたびこのような襲撃を受ければたまったものではない。
もちろんこんなことが続けば向こうも怪しまれるだろうが、王国内で最有力のオーガスト家とオールストン家の両家が手を結んでしまっているため、なかなかそれに物申せる家はないだろう。
父上が絶対にオールストン家に私を輿入れさせようとした理由が皮肉なことに身を持って理解してしまったのだった。
「調査をしてもいいが、本当にオールストン公爵家がバックにいるなら証拠を出すようなことはないだろう」
レイノルズ侯爵は苦い表情で言う。
「とりあえず今後は重要なものを運ぶ際にオールストン公爵家の領地には近づかないようにするしかないだろう」
とはいえ、話はそれだけでは終わらなかった。
むしろその事件は発端に過ぎなかったと言える。
その翌日のこと、再び家臣が慌てた様子で駆け込んでくる。
「大変です、領地から運んでいた小麦の隊列が賊に襲われました!」
「何だと!?」
その場にいたロルスがぎょっとした声を上げる。
思わず私は彼と顔を見合わせた。
「幸い追い返すことは出来、我らは護衛の兵士とともに追尾したのですが、逃げていった賊はオーガスト公爵家の領地に入ってしまい、そこで追い返されてしまいまして」
「オーガスト公爵家!? ブランドの家ではないか!」
それを聞いたロルスは怒りで声を震わせた。
「はい、賊の捕縛はこちらで行うから兵士の侵入は困る、と言われてそれ以上強行することも出来ず……」
同じ国といえども貴族の領地はそれぞれの人物により治められているため、他家の兵士が入ることを拒否することは時々起こる。
とはいえ、このタイミングで起ったということを考えると、おそらくオーガスト公爵家の息がかかった賊だったに違いない。
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「大きな声が聞こえたが、一体何があったのだ」
そこにレイノルズ侯爵もやってきた。
「今度はブランドにやられた!」
ロルスは怒気を露わにそう言い、それから報告があったことをまくし立てるように伝える。それを聞いたレイノルズ侯爵は怒りというよりはどんどん表情が険しくなっていく。
そして聞き終えると、吐き捨てるように言った。
「くそ、こちらが小さい家だと侮っているのか!」
「このようなことは許せません、どうにか仕返しする方法はあるのでしょうか?」
「落ち着けロルス、とりあえずオーガスト公爵に賊を引き渡すよう書状を送るところから始める他あるまい」
「分かりました。しかし、このままでは……」
今回はたまたま撃退することが出来たから良かったが、今後たびたびこのような襲撃を受ければたまったものではない。
もちろんこんなことが続けば向こうも怪しまれるだろうが、王国内で最有力のオーガスト家とオールストン家の両家が手を結んでしまっているため、なかなかそれに物申せる家はないだろう。
父上が絶対にオールストン家に私を輿入れさせようとした理由が皮肉なことに身を持って理解してしまったのだった。
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