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パーティーⅣ
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舞台で跳ね回るユニコーンを見て来賓の貴族たちからは喝采が降り注ぐ。拍手を受けながらベラは自分もダンスを見せ、ひと段落したところで満足げな笑みを浮かべて頭を下げる。
そして浮かれた足取りで控室に戻ってくるのだった。
部屋に入った彼女は私と目が合うと彼女は勝ち誇ったように笑う。
「見ました? 今の来賓の反応。どうします? 今なら体調が悪くなったとかで回避できますが」
「別に体調は万全だけど」
「そ、そう。あくまで恥をかきにいくというなら好きにすればいいわ」
ベラは私が全く動じていないことに若干苛立ちを感じながらも、それでも自分の魔法に自信があったためかそれ以上は何も言わなかった。
そんなベラとすれ違いつつ私は入れ替わりに舞台へ上がる。
「皆さん初めまして、レイラ・レイノルズと申します。それでは私の魔法をご覧ください」
私が言うと、客席からはどよめきが起こった。そしてすぐに、「確かオールストン公爵の娘だろう?」「でも家を追い出されたのでは?」「だがこの間マロード公爵を魔法で追い返したらしい」「まぐれじゃないか?」「というかこの晴れ舞台に見すぼらしい格好だな」などと様々な会話が交わされる。
やはりここで一度実力を見せておく必要があるようだ。
とはいえ、使う魔法は考えた方がいい。先ほどベラが披露したユニコーンは確かに見た目が美しかったし、見栄えも良かった。ここでノームを召喚し、珍しい植物を並べたりしても見栄えは微妙だ。第一、細かい魔法だと遠くからはよく見えない。かといって威力の高い魔法を使うのは式典に不向きだ。
となるとここはベラの真似をし、そしてベラを上回るのがいいだろう。
「サモン・ユニコーン」
私が魔法を唱えると客席は再びざわめく。
普通に考えて前の人の魔法に被せるのは非常識だからだ。
とはいえ、私の魔法はベラのそれとは比較にならない。
「サモン・ユニコーン」
私は一頭だけでなく次々とユニコーンを召喚していく。
そして瞬く間にステージには金色の角を伸ばし、きらめくたてがみをなびかせる美しい獣が五頭になった。一頭だけ召喚するのもすごいのに、同時に五頭ともなればそんなことが出来る可能性があるのは父上ぐらいのものではないか。
それを見て客席のざわめきの質が変わる。
最初は私の非常識を咎めるものだったが、途中からすっかり驚きに変わっていた。
私はベラと違って自分が美しく踊ることは出来ないが、これはあくまで魔法の技術を披露する場だ。
舞台上を舞い踊る五頭のユニコーンに客席の視線は釘付けになり、しばらくしてユニコーンたちが動きを止めると、やがて万雷の拍手が鳴り響いた。
私はそれに対して一礼すると、満足して控室に戻るのだった。
そして浮かれた足取りで控室に戻ってくるのだった。
部屋に入った彼女は私と目が合うと彼女は勝ち誇ったように笑う。
「見ました? 今の来賓の反応。どうします? 今なら体調が悪くなったとかで回避できますが」
「別に体調は万全だけど」
「そ、そう。あくまで恥をかきにいくというなら好きにすればいいわ」
ベラは私が全く動じていないことに若干苛立ちを感じながらも、それでも自分の魔法に自信があったためかそれ以上は何も言わなかった。
そんなベラとすれ違いつつ私は入れ替わりに舞台へ上がる。
「皆さん初めまして、レイラ・レイノルズと申します。それでは私の魔法をご覧ください」
私が言うと、客席からはどよめきが起こった。そしてすぐに、「確かオールストン公爵の娘だろう?」「でも家を追い出されたのでは?」「だがこの間マロード公爵を魔法で追い返したらしい」「まぐれじゃないか?」「というかこの晴れ舞台に見すぼらしい格好だな」などと様々な会話が交わされる。
やはりここで一度実力を見せておく必要があるようだ。
とはいえ、使う魔法は考えた方がいい。先ほどベラが披露したユニコーンは確かに見た目が美しかったし、見栄えも良かった。ここでノームを召喚し、珍しい植物を並べたりしても見栄えは微妙だ。第一、細かい魔法だと遠くからはよく見えない。かといって威力の高い魔法を使うのは式典に不向きだ。
となるとここはベラの真似をし、そしてベラを上回るのがいいだろう。
「サモン・ユニコーン」
私が魔法を唱えると客席は再びざわめく。
普通に考えて前の人の魔法に被せるのは非常識だからだ。
とはいえ、私の魔法はベラのそれとは比較にならない。
「サモン・ユニコーン」
私は一頭だけでなく次々とユニコーンを召喚していく。
そして瞬く間にステージには金色の角を伸ばし、きらめくたてがみをなびかせる美しい獣が五頭になった。一頭だけ召喚するのもすごいのに、同時に五頭ともなればそんなことが出来る可能性があるのは父上ぐらいのものではないか。
それを見て客席のざわめきの質が変わる。
最初は私の非常識を咎めるものだったが、途中からすっかり驚きに変わっていた。
私はベラと違って自分が美しく踊ることは出来ないが、これはあくまで魔法の技術を披露する場だ。
舞台上を舞い踊る五頭のユニコーンに客席の視線は釘付けになり、しばらくしてユニコーンたちが動きを止めると、やがて万雷の拍手が鳴り響いた。
私はそれに対して一礼すると、満足して控室に戻るのだった。
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