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ダークドワーフのオルギム
作戦開始
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作戦を決めようと言ったものの、俺たちの人数はマキナ、ミリア、オルギムの四人だけ。対して敵の情報もよく分からない。強いて言えばあの城にゴルゴールというオーガの親玉がいることぐらいだろう。
オーガは最初に戦った四天王のガウゼルとは違い、どちらかというと大柄の体躯と怪力が特徴の種族だ。とはいえ、魔王軍四天王クラスの存在であれば強力な魔法も使うことが出来るだろう。
そしておそらく城のどこかにダークドワーフたちが捕まっているとは思いつつも、具体的にどこにどう捕まっているのかは分からない。
そのため必然的に作戦は大ざっぱなものとなる。
「とりあえず、今回はオーガたちの注意を惹きつける担当と城に入り、救出を目指す担当に分かれようと思う。当然オルギムはダークドワーフたちの救出担当に入ってもらおうと思う。そしてミリアとマキナは二人とも戦闘力があるから注意を惹きつける担当に回ってもらおうと思う。そして余った俺はオルギムと一緒に城に向かう」
「え、私なんかよりもアルスさんの方がよほど強いと思いますが……」
ミリアは少し戸惑ったように言う。
「俺は魔術師相手だと戦えるが、オーガのように体力でごり押ししてくるタイプにはあまり強くない」
前に魔力を威力に変換する魔剣は作ったが、剣というのはそもそも相手に当たらなければどれだけ強い剣を造っても意味がない。
「だから今回のような場合は、オーガたちの注意を惹きつけるような広範囲魔法を無尽蔵に撃てるミリアと、肉弾戦では最強のマキナが適任だろう」
「それは確かに」
マキナが頷く。マキナはある程度までなら魔王の力を完全に制御したまま使うことが出来るようになってきた。そしてその状態のマキナはとんでもない怪力を発揮する。おそらく四天王クラスのオーガにもひけをとらないだろう。
「それに俺はどちらかというと、派手な戦闘より細かなことに役立つものが多いからな」
「もちろんわしは異存はない」
オルギムも頷き、分担はこれで決まる。
「作戦だが、相手の情報はよく分からないから大ざっぱに決める。まずはミリアが少し離れたところから、街に向かって広範囲の目立つ魔法を放って欲しい。出来れば城は巻き込まないで欲しいが、多少なら問題ない。そしてオーガたちの主力がミリアに反応したところで俺たちが城に乗り込む。マキナはミリアの護衛を頼む」
「分かった」「分かりました」
単純な作戦だったので特に疑問などもなさそうだった。
「もしお互い、もしイレギュラーが生じた際は臨機応変に行動しよう」
「分かりました。一応、もし何かあった時は炎魔法を空に打ち上げます」
「そうだな、俺もそうしよう。では俺たちはここを離れるから、少ししたら街に攻撃してくれ」
「分かりました」
こうして簡単な打ち合わせをして俺たちは別れる。
オルギムと一緒に山を降りていくと、彼は感心したように言う。
「いいな、簡単な打ち合わせで済むと言うことは互いを信頼しているからだろう?」
「どうせ大した情報がない上に急ぎだからな。とはいえ、言われてみればそうだな」
俺はミリアの実力を知っているため、どうにかうまくやってくれるだろうという思いがある。マキナの本気は未知数だが、逆に言えば俺が知っている実力だけでも任せるに足るということでもある。
「わしらは長年一緒に暮らして来たから強固な信頼関係があると思ったが、全くそんなことはなかった」
「別に俺だって十数年いた王宮からは追い出されたし、そんなものだろう」
俺の言葉にオルギムは苦笑する。
そんなことを話しながら俺たちは山を下り、ドグラの街の端に辿り着く。
すると、山の上からミリアが得意とする風の槍が大量に街に降り注ぐ。大きくて頑丈な家屋も降り注ぐ風の槍に次々と穴が空いていく。これまで平和に暮らしていたオーガたちは突然の事態に驚愕する。こうして見ると相変わらずミリアの魔力はすさまじいものであった。
とはいえオーガの生命力は旺盛であり、いくら魔法の槍で身体を貫かれても、彼らはすぐに攻撃者に対する反撃に移る。そして魔法の発生源である山に向かって駆けあがっていった。
一方、重傷のオーガや幼体のオーガは家の中に駆け込んでいった。
こうして街の中を普通に歩いているオーガはほぼいなくなる。
「よし、行くぞ」
「分かった」
こうして俺たちはゴルゴールの城へと向かったのである。
オーガは最初に戦った四天王のガウゼルとは違い、どちらかというと大柄の体躯と怪力が特徴の種族だ。とはいえ、魔王軍四天王クラスの存在であれば強力な魔法も使うことが出来るだろう。
そしておそらく城のどこかにダークドワーフたちが捕まっているとは思いつつも、具体的にどこにどう捕まっているのかは分からない。
そのため必然的に作戦は大ざっぱなものとなる。
「とりあえず、今回はオーガたちの注意を惹きつける担当と城に入り、救出を目指す担当に分かれようと思う。当然オルギムはダークドワーフたちの救出担当に入ってもらおうと思う。そしてミリアとマキナは二人とも戦闘力があるから注意を惹きつける担当に回ってもらおうと思う。そして余った俺はオルギムと一緒に城に向かう」
「え、私なんかよりもアルスさんの方がよほど強いと思いますが……」
ミリアは少し戸惑ったように言う。
「俺は魔術師相手だと戦えるが、オーガのように体力でごり押ししてくるタイプにはあまり強くない」
前に魔力を威力に変換する魔剣は作ったが、剣というのはそもそも相手に当たらなければどれだけ強い剣を造っても意味がない。
「だから今回のような場合は、オーガたちの注意を惹きつけるような広範囲魔法を無尽蔵に撃てるミリアと、肉弾戦では最強のマキナが適任だろう」
「それは確かに」
マキナが頷く。マキナはある程度までなら魔王の力を完全に制御したまま使うことが出来るようになってきた。そしてその状態のマキナはとんでもない怪力を発揮する。おそらく四天王クラスのオーガにもひけをとらないだろう。
「それに俺はどちらかというと、派手な戦闘より細かなことに役立つものが多いからな」
「もちろんわしは異存はない」
オルギムも頷き、分担はこれで決まる。
「作戦だが、相手の情報はよく分からないから大ざっぱに決める。まずはミリアが少し離れたところから、街に向かって広範囲の目立つ魔法を放って欲しい。出来れば城は巻き込まないで欲しいが、多少なら問題ない。そしてオーガたちの主力がミリアに反応したところで俺たちが城に乗り込む。マキナはミリアの護衛を頼む」
「分かった」「分かりました」
単純な作戦だったので特に疑問などもなさそうだった。
「もしお互い、もしイレギュラーが生じた際は臨機応変に行動しよう」
「分かりました。一応、もし何かあった時は炎魔法を空に打ち上げます」
「そうだな、俺もそうしよう。では俺たちはここを離れるから、少ししたら街に攻撃してくれ」
「分かりました」
こうして簡単な打ち合わせをして俺たちは別れる。
オルギムと一緒に山を降りていくと、彼は感心したように言う。
「いいな、簡単な打ち合わせで済むと言うことは互いを信頼しているからだろう?」
「どうせ大した情報がない上に急ぎだからな。とはいえ、言われてみればそうだな」
俺はミリアの実力を知っているため、どうにかうまくやってくれるだろうという思いがある。マキナの本気は未知数だが、逆に言えば俺が知っている実力だけでも任せるに足るということでもある。
「わしらは長年一緒に暮らして来たから強固な信頼関係があると思ったが、全くそんなことはなかった」
「別に俺だって十数年いた王宮からは追い出されたし、そんなものだろう」
俺の言葉にオルギムは苦笑する。
そんなことを話しながら俺たちは山を下り、ドグラの街の端に辿り着く。
すると、山の上からミリアが得意とする風の槍が大量に街に降り注ぐ。大きくて頑丈な家屋も降り注ぐ風の槍に次々と穴が空いていく。これまで平和に暮らしていたオーガたちは突然の事態に驚愕する。こうして見ると相変わらずミリアの魔力はすさまじいものであった。
とはいえオーガの生命力は旺盛であり、いくら魔法の槍で身体を貫かれても、彼らはすぐに攻撃者に対する反撃に移る。そして魔法の発生源である山に向かって駆けあがっていった。
一方、重傷のオーガや幼体のオーガは家の中に駆け込んでいった。
こうして街の中を普通に歩いているオーガはほぼいなくなる。
「よし、行くぞ」
「分かった」
こうして俺たちはゴルゴールの城へと向かったのである。
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