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Ⅲ
商人たちの反応
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パーティーの後、私たちは王宮に一泊しました。
そして翌朝、揃って王宮を出ます。
「昨日のパーティーはどうだった?」
男爵が私たちに尋ねます。
「あんなパーティーは初めてだったからいい経験でした」
「はい、あそこまでのパーティーは初めてだったので感心してしまいました。様々な方と挨拶出来ましたし、それにうちが恩賞をいただく前と後で反応が変わる様も見れました」
最後の方はブラッドも苦笑しながらの言葉でした。
もしかしたらうちの父上を思い出したのかもしれません。
「良くも悪くも貴族の人間関係などほとんどがそうだ。だから初めから一線を引いて付き合わなければならないし、逆にそうでない関係性があれば大切にした方がいい」
「はい、心しておきます」
「そうだったか。とはいえあの規模のパーティーはなかなかないから驚いたという点では我らもそんなに変わらないだろう。十年前以前はこの規模のパーティーが開かれることも年に一度ぐらいはあったのだがな」
男爵は懐かしそうに言うのでした。
すると男爵夫人が少し明るい声で言います。
「さて、これから街に行くわよ」
「え、屋敷に帰らないのですか?」
彼女の言葉に私は首をかしげます。
「実は例の服飾商以外にも貧しい時にお世話になった商人が多いのだ。だから恩賞をもらった以上、彼らにお礼を言いつつ高い買い物をしようと思う」
「それに、さすがのあの屋敷も古くなったままだからいつかはリニューアルしないといけないと思っていたしちょうどいいわ」
そんな夫妻の言葉にブラッドが首をかしげる。
「なるほど、でも恩賞をもらってもまだウェーバー港の収入は我が家に入っていないのでは?」
「そうだな。我が家が恩賞をもらったことはすぐに知れ渡るだろう。だからこちらから頼まずとも我らのためにお金を融通してくれる者は多いだろうということだ。それはさっきのパーティーでも学んだだろう?」
「なるほど」
男爵の言葉を聞いて私は感心しました。
恩賞をもらった瞬間、貴族たちがたくさん近づいて来るように商人たちも懇意になりたいと近づいてくるということでしょう。
そう言って男爵は王都の街に繰り出すと、一番賑わっている区画にある大きな建物に向かいます。そこには裕福そうな商人や貴族の家臣と思われる人たちが出入りしていました。
私たちが入ると、早速店主と思われる男が出てきます。
そしてアーノルド男爵に頭を下げました。
「これはアーノルド家の皆様、まずは恩賞の件おめでとうございます」
「ありがとう」
「早速お祝いでございます。あれを持って来なさい」
そう言って彼が部下たちに指示すると、奥から袋を持った店員がやってきます。
男爵はそれを堂々と受け取りましたが、中にはずっしりと金貨が入っていました。袋の中が全て金貨がであれば私が見たこともないような大金です。
「ありがとう。ウェーバー港の管理を任されたはいいが、先立つ物がなかったから助かる」
「いえいえ、今後ともごひいきにお願いします」
「ああ、よろしく頼む」
そう言って店主はぺこぺこと頭を下げるのでした。
男爵はうむ、と頷き店を出るのでしたが、外に出た瞬間ほっとしたように大きく息を吐きます。
「ふう、まさかこれほどのお金がもらえるとは。大金に動揺するのは恥ずかしいと思ってこらえていたが、変ではなかっただろうか」
「堂々として見えたわ」
夫人がそう言うと、男爵はほっとした様子になります。
「ここは何のお店なのですか?」
「元は馬車の業者で王都と他の大都市の商品の輸送を行っていたが、次第に自分でも取引を行うようになったところだ。今後ウェーバー港を治めることになれば、お世話になることはあるだろう」
「なるほど、それでいち早く我が家への献金を用意していたのですね」
ブラッドが感心します。
その後私たちは今後付き合っていくであろう商家を何軒か回り、献金を受け取るのでした。まさか恩賞一つでここまで世界が変わるとは思わなかったのでかなり驚きました。
そして翌朝、揃って王宮を出ます。
「昨日のパーティーはどうだった?」
男爵が私たちに尋ねます。
「あんなパーティーは初めてだったからいい経験でした」
「はい、あそこまでのパーティーは初めてだったので感心してしまいました。様々な方と挨拶出来ましたし、それにうちが恩賞をいただく前と後で反応が変わる様も見れました」
最後の方はブラッドも苦笑しながらの言葉でした。
もしかしたらうちの父上を思い出したのかもしれません。
「良くも悪くも貴族の人間関係などほとんどがそうだ。だから初めから一線を引いて付き合わなければならないし、逆にそうでない関係性があれば大切にした方がいい」
「はい、心しておきます」
「そうだったか。とはいえあの規模のパーティーはなかなかないから驚いたという点では我らもそんなに変わらないだろう。十年前以前はこの規模のパーティーが開かれることも年に一度ぐらいはあったのだがな」
男爵は懐かしそうに言うのでした。
すると男爵夫人が少し明るい声で言います。
「さて、これから街に行くわよ」
「え、屋敷に帰らないのですか?」
彼女の言葉に私は首をかしげます。
「実は例の服飾商以外にも貧しい時にお世話になった商人が多いのだ。だから恩賞をもらった以上、彼らにお礼を言いつつ高い買い物をしようと思う」
「それに、さすがのあの屋敷も古くなったままだからいつかはリニューアルしないといけないと思っていたしちょうどいいわ」
そんな夫妻の言葉にブラッドが首をかしげる。
「なるほど、でも恩賞をもらってもまだウェーバー港の収入は我が家に入っていないのでは?」
「そうだな。我が家が恩賞をもらったことはすぐに知れ渡るだろう。だからこちらから頼まずとも我らのためにお金を融通してくれる者は多いだろうということだ。それはさっきのパーティーでも学んだだろう?」
「なるほど」
男爵の言葉を聞いて私は感心しました。
恩賞をもらった瞬間、貴族たちがたくさん近づいて来るように商人たちも懇意になりたいと近づいてくるということでしょう。
そう言って男爵は王都の街に繰り出すと、一番賑わっている区画にある大きな建物に向かいます。そこには裕福そうな商人や貴族の家臣と思われる人たちが出入りしていました。
私たちが入ると、早速店主と思われる男が出てきます。
そしてアーノルド男爵に頭を下げました。
「これはアーノルド家の皆様、まずは恩賞の件おめでとうございます」
「ありがとう」
「早速お祝いでございます。あれを持って来なさい」
そう言って彼が部下たちに指示すると、奥から袋を持った店員がやってきます。
男爵はそれを堂々と受け取りましたが、中にはずっしりと金貨が入っていました。袋の中が全て金貨がであれば私が見たこともないような大金です。
「ありがとう。ウェーバー港の管理を任されたはいいが、先立つ物がなかったから助かる」
「いえいえ、今後ともごひいきにお願いします」
「ああ、よろしく頼む」
そう言って店主はぺこぺこと頭を下げるのでした。
男爵はうむ、と頷き店を出るのでしたが、外に出た瞬間ほっとしたように大きく息を吐きます。
「ふう、まさかこれほどのお金がもらえるとは。大金に動揺するのは恥ずかしいと思ってこらえていたが、変ではなかっただろうか」
「堂々として見えたわ」
夫人がそう言うと、男爵はほっとした様子になります。
「ここは何のお店なのですか?」
「元は馬車の業者で王都と他の大都市の商品の輸送を行っていたが、次第に自分でも取引を行うようになったところだ。今後ウェーバー港を治めることになれば、お世話になることはあるだろう」
「なるほど、それでいち早く我が家への献金を用意していたのですね」
ブラッドが感心します。
その後私たちは今後付き合っていくであろう商家を何軒か回り、献金を受け取るのでした。まさか恩賞一つでここまで世界が変わるとは思わなかったのでかなり驚きました。
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