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竜の巫女
間章Ⅱ 不穏な兆し
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ネクスタ王国王宮にて
「ほら、もっときりきり働け!」
「お前だけ動きが遅いぞ!」
そんな声とともに鞭の音が響く。その音とともに悲鳴が上がった。
これまで繁栄とは言わずとも平和を享受していた国民たちは突然労役に駆り出されていた。当然動きの悪い者も出るが、鞭を持った監督官たちが容赦なく鞭を振るっている。
王子バルクと新聖女アリエラの肝入り政策である王宮改修を実現させるため、周辺の民衆を根こそぎ動員し、神殿が貯めていた資金を使わせ、臨時課税をした結果、王宮の改修工事は急速な勢いで進んでいった。改修を始めて一週間ほどであるのに、すでに新建物の骨組みは完成し、今は外観や内装、そして庭園作りが始まっている。
その様子をバルクとアリエラは離宮でお菓子を食べながらゆっくりと眺めていた。
「さすがアリエラだ。あれほどケチだった神殿を瞬く間に従わせてしまうとは」
「所詮奴らは王国のためを思って工事を止めていたのではなく、我が身が可愛いだけです。なのでちょっと脅せばこんなものですよ」
「やはりな。奴らの言う『国のため』ほど胡散臭いものはないと思っていたのだ」
そう言って二人は高らかに笑い合う。
シンシアを追放してから文句を言ってくる者は数多くいたし、不穏な噂が立っているのも知っていたが、実際のところ工事は恐るべきスピードで進んでいるし、二人の周囲は順調だった。そのためバルクは自分の判断が正しかったことを改めて確信したのである。
すると突然、遠くからかすかに人が揉めるような声が聞こえてくる。遠くといっても建設現場ではなく離宮の奥の方だ。
「何だ?」
バルクが言った時だった。どたどたという足音とともに誰かがこちらに向かってくる。さらに足音に混ざって「お待ちください」「ええい、待っていられるか!」という声まで聞こえてくる。
そしてすぐに二人の部屋がバン、と乱暴に開けられた。
やってきたのは病気で寝ていたはずの大司教グレゴリオである。止めようとする兵士たちともみ合っていたためか、息を切らしている。
「おお、グレゴリオではないか。病気は治ったのか?」
「ご心配いただきありがとうございます。しかしこのグレゴリオ、様々な噂を聞いてもはや気楽に寝ていることもならず、やってきました!」
「待てと言っているだろう!」
「殿下の御前だ!」
そこへ遅れてやってきた兵士たちが追いついてきてグレゴリオを囲む。
普段ならつまみ出せ、と叫ぶところであったが今日のバルクは機嫌が良かった。それに最近は権力を掌握しているという余裕もある。
「まあ待て。確かに聖女交代についてはグレゴリオに説明していなかったな。こちらが新聖女のアリエラだ。おぬしは寝ていたから知らないだろうが、このごろ帝国の陰謀や不吉な出来事が相次いでいてな。やはり聖女には『神巫』などというよく分からない者よりもきちんとした聖女を就けた方がいい」
バルクは和やかに説明するが、グレゴリオからすればたまったものではない。
「殿下! それについてはシンシア殿の聖女就任時に説明した通りでございます! 帝国の策謀は聖女とは関係ありませんし、不吉な噂は全て聖女交代後のものでございます!」
グレゴリオは兵士に囲まれながらもなお口から唾を飛ばす勢いでまくしたてた。それを見て最初は穏やかだったバルクもグレゴリオの強硬な態度に少しずつ機嫌が悪くなっていく。
「言わせておけば好き放題言いおって。おぬしがシンシアにあることないことを吹き込んでこの俺がやろうとすること全てに反対させていたことは知っているんだ」
「当然です。今のこの国にあのような大工事を行う余力はありません」
そう言ってグレゴリオは工事現場を指さす。
それを見てバルクはついに激怒した。
「実際問題、今まさに出来ているではないか! お前たちは王国の威信よりも私腹を肥やすことが大事だったのだろう! 神殿が財をため込んでいたことは知っているのだぞ!」
「はい、その資金は私も確認しました。もうつまらない嘘は通用しませんよ」
アリエラがにやりと笑う。実際に神殿がお金をため込んでいるのは事実であったが、それは飢饉や災害の際に民衆を救うためのお金であり、私腹を肥やしていたわけではない。
「それは私腹を肥やしていた訳ではなく……」
「もういい! こいつを牢に入れろ!」
「そんな!」
なおもグレゴリオは抗議するが、バルクの指示で兵士たちはすぐにグレゴリオを拘束し、牢へと連れていく。本来はここまで軽々しく投獄されていい人物ではないが、二人にとってそんなことは関係なかった。
それを見てバルクはほっと一息つく。
「ふう。アリエラよ、面倒かもしれないが新しい大司教を決めておいてくれ」
「分かりました。幸い、私の言うことをよく聞く神官は何人かいるので大丈夫です」
彼らこそ地位目当てにアリエラにすり寄っている人物なのであるが、この二人にとってそんなことはどうでもよいことだった。
しばらくして、二人の元に今度は国王のベルモスがやってくる。当然ではあるが国王は普通に二人の元に通された。
すでに五十近い国王は最近では体が衰えたせいか、政務を少しずつ後継者であるバルクに任せることも増えてきた。元々バルクを可愛がって甘やかしてきたが、最近はそれに拍車がかかっている。
「父上、今日はどのような用でしょうか?」
「いや、王宮の改修が思いのほか早く進んでいるのでたまには褒めてやろうと思ってな」
「それはありがたきお言葉」
「実はわしも昔からこの古びた王宮をどうにかしたかったのだ。だが神殿の反対でままならなかった。これからもいっそう励むが良い」
それを聞いてバルクは父親でさえ出来なかった偉業を成し遂げた、と喜んだのだった。
「そう言えば父上、大司教がうるさいので牢に放り込みましたが大丈夫でしたか?」
「まあおぬしがそう判断したのであればそれが適切だったのだろう。それよりあの王宮は素晴らしいな。アリエラ、おぬしもバルクを頼むぞ」
「はい、ずっと忠誠を誓います」
こうして国王も一緒に王宮の建設を眺めるのだった。
そしてそんなことがあった約一か月後、王宮の改修は終了した。傷一つないきれいな白い壁に五層からなる壮大な建築、四季折々を表現した美麗な庭園は改修というよりは実質新築のようなものであった。
何より王宮の中心に立つ尖塔はバルクの肝いりで、デュアノス帝国の塔よりも高いと豪語していたものである。
そのころにはすでにバルクやアリエラに対して文句を言う人間はことごとく入牢、もしくは左遷させられ、もしくは自主的に職を辞していった。また大司教の投獄にも神殿から猛反発があったが、グレゴリオの娘エメラルダを中心に反対派をことごとく追放した。
そのため、工事が終了すると王宮中の人間たちが工事を主導したバルクに喝采を送る。そのためバルク自身もますます気を良くした。
工事の完成祝いに集まった貴族や王宮の者たちに向けてバルクは嬉しそうに演説する。
「……と言う訳でめでたく王宮の改修工事は終了した。このきれいな王宮のように、今後も王国はますます栄えていくことだろう」
そう言ってバルクが祝辞を締めようとした時である。
突然、それまで晴れていた空に黒雲が集まる。そして次の瞬間、ごろごろごろっ、という鼓膜をつんざくような音とともに一筋の雷が王宮に落下する。そして王宮の中心にあった高い尖塔へと落ちた。尖塔の根本からぽきりと亀裂が入り、ゆっくりと倒れる。
続いて外に集まっていた者たちへ降ってわいたようにどしゃぶりの雨が襲い掛かる。
「何ということだ! すぐに建て直せ!」
それを見てバルクは表情を変える。素晴らしい日に泥を塗られたようで彼はたちまち不機嫌になった。
そこへさらに、雷雨の中一人の兵士が息をきらしながら走ってくる。
「大変です! ウルク村で農民たちが反乱を起こしました!」
「何だと」
ウルク村というのは王都の近くの小さい農村である。王都に近かったことが災いし、過酷な労役と重税を課された村のうちの一つである。
「すぐに軍勢を出せ!」
バルクは怒りのままに側にいた将軍に怒鳴りつける。
しかし反乱の火の手はこれが始まりに過ぎなかった。
「ほら、もっときりきり働け!」
「お前だけ動きが遅いぞ!」
そんな声とともに鞭の音が響く。その音とともに悲鳴が上がった。
これまで繁栄とは言わずとも平和を享受していた国民たちは突然労役に駆り出されていた。当然動きの悪い者も出るが、鞭を持った監督官たちが容赦なく鞭を振るっている。
王子バルクと新聖女アリエラの肝入り政策である王宮改修を実現させるため、周辺の民衆を根こそぎ動員し、神殿が貯めていた資金を使わせ、臨時課税をした結果、王宮の改修工事は急速な勢いで進んでいった。改修を始めて一週間ほどであるのに、すでに新建物の骨組みは完成し、今は外観や内装、そして庭園作りが始まっている。
その様子をバルクとアリエラは離宮でお菓子を食べながらゆっくりと眺めていた。
「さすがアリエラだ。あれほどケチだった神殿を瞬く間に従わせてしまうとは」
「所詮奴らは王国のためを思って工事を止めていたのではなく、我が身が可愛いだけです。なのでちょっと脅せばこんなものですよ」
「やはりな。奴らの言う『国のため』ほど胡散臭いものはないと思っていたのだ」
そう言って二人は高らかに笑い合う。
シンシアを追放してから文句を言ってくる者は数多くいたし、不穏な噂が立っているのも知っていたが、実際のところ工事は恐るべきスピードで進んでいるし、二人の周囲は順調だった。そのためバルクは自分の判断が正しかったことを改めて確信したのである。
すると突然、遠くからかすかに人が揉めるような声が聞こえてくる。遠くといっても建設現場ではなく離宮の奥の方だ。
「何だ?」
バルクが言った時だった。どたどたという足音とともに誰かがこちらに向かってくる。さらに足音に混ざって「お待ちください」「ええい、待っていられるか!」という声まで聞こえてくる。
そしてすぐに二人の部屋がバン、と乱暴に開けられた。
やってきたのは病気で寝ていたはずの大司教グレゴリオである。止めようとする兵士たちともみ合っていたためか、息を切らしている。
「おお、グレゴリオではないか。病気は治ったのか?」
「ご心配いただきありがとうございます。しかしこのグレゴリオ、様々な噂を聞いてもはや気楽に寝ていることもならず、やってきました!」
「待てと言っているだろう!」
「殿下の御前だ!」
そこへ遅れてやってきた兵士たちが追いついてきてグレゴリオを囲む。
普段ならつまみ出せ、と叫ぶところであったが今日のバルクは機嫌が良かった。それに最近は権力を掌握しているという余裕もある。
「まあ待て。確かに聖女交代についてはグレゴリオに説明していなかったな。こちらが新聖女のアリエラだ。おぬしは寝ていたから知らないだろうが、このごろ帝国の陰謀や不吉な出来事が相次いでいてな。やはり聖女には『神巫』などというよく分からない者よりもきちんとした聖女を就けた方がいい」
バルクは和やかに説明するが、グレゴリオからすればたまったものではない。
「殿下! それについてはシンシア殿の聖女就任時に説明した通りでございます! 帝国の策謀は聖女とは関係ありませんし、不吉な噂は全て聖女交代後のものでございます!」
グレゴリオは兵士に囲まれながらもなお口から唾を飛ばす勢いでまくしたてた。それを見て最初は穏やかだったバルクもグレゴリオの強硬な態度に少しずつ機嫌が悪くなっていく。
「言わせておけば好き放題言いおって。おぬしがシンシアにあることないことを吹き込んでこの俺がやろうとすること全てに反対させていたことは知っているんだ」
「当然です。今のこの国にあのような大工事を行う余力はありません」
そう言ってグレゴリオは工事現場を指さす。
それを見てバルクはついに激怒した。
「実際問題、今まさに出来ているではないか! お前たちは王国の威信よりも私腹を肥やすことが大事だったのだろう! 神殿が財をため込んでいたことは知っているのだぞ!」
「はい、その資金は私も確認しました。もうつまらない嘘は通用しませんよ」
アリエラがにやりと笑う。実際に神殿がお金をため込んでいるのは事実であったが、それは飢饉や災害の際に民衆を救うためのお金であり、私腹を肥やしていたわけではない。
「それは私腹を肥やしていた訳ではなく……」
「もういい! こいつを牢に入れろ!」
「そんな!」
なおもグレゴリオは抗議するが、バルクの指示で兵士たちはすぐにグレゴリオを拘束し、牢へと連れていく。本来はここまで軽々しく投獄されていい人物ではないが、二人にとってそんなことは関係なかった。
それを見てバルクはほっと一息つく。
「ふう。アリエラよ、面倒かもしれないが新しい大司教を決めておいてくれ」
「分かりました。幸い、私の言うことをよく聞く神官は何人かいるので大丈夫です」
彼らこそ地位目当てにアリエラにすり寄っている人物なのであるが、この二人にとってそんなことはどうでもよいことだった。
しばらくして、二人の元に今度は国王のベルモスがやってくる。当然ではあるが国王は普通に二人の元に通された。
すでに五十近い国王は最近では体が衰えたせいか、政務を少しずつ後継者であるバルクに任せることも増えてきた。元々バルクを可愛がって甘やかしてきたが、最近はそれに拍車がかかっている。
「父上、今日はどのような用でしょうか?」
「いや、王宮の改修が思いのほか早く進んでいるのでたまには褒めてやろうと思ってな」
「それはありがたきお言葉」
「実はわしも昔からこの古びた王宮をどうにかしたかったのだ。だが神殿の反対でままならなかった。これからもいっそう励むが良い」
それを聞いてバルクは父親でさえ出来なかった偉業を成し遂げた、と喜んだのだった。
「そう言えば父上、大司教がうるさいので牢に放り込みましたが大丈夫でしたか?」
「まあおぬしがそう判断したのであればそれが適切だったのだろう。それよりあの王宮は素晴らしいな。アリエラ、おぬしもバルクを頼むぞ」
「はい、ずっと忠誠を誓います」
こうして国王も一緒に王宮の建設を眺めるのだった。
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そのため、工事が終了すると王宮中の人間たちが工事を主導したバルクに喝采を送る。そのためバルク自身もますます気を良くした。
工事の完成祝いに集まった貴族や王宮の者たちに向けてバルクは嬉しそうに演説する。
「……と言う訳でめでたく王宮の改修工事は終了した。このきれいな王宮のように、今後も王国はますます栄えていくことだろう」
そう言ってバルクが祝辞を締めようとした時である。
突然、それまで晴れていた空に黒雲が集まる。そして次の瞬間、ごろごろごろっ、という鼓膜をつんざくような音とともに一筋の雷が王宮に落下する。そして王宮の中心にあった高い尖塔へと落ちた。尖塔の根本からぽきりと亀裂が入り、ゆっくりと倒れる。
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「何ということだ! すぐに建て直せ!」
それを見てバルクは表情を変える。素晴らしい日に泥を塗られたようで彼はたちまち不機嫌になった。
そこへさらに、雷雨の中一人の兵士が息をきらしながら走ってくる。
「大変です! ウルク村で農民たちが反乱を起こしました!」
「何だと」
ウルク村というのは王都の近くの小さい農村である。王都に近かったことが災いし、過酷な労役と重税を課された村のうちの一つである。
「すぐに軍勢を出せ!」
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