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1巻
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しおりを挟むプロローグ
「お姉様、ケビン殿下は素敵な方ですよね」
ある日のこと、妹のシシリーが何げない風を装って私に話しかけてきます。
それを聞いて私は内心「またか」と思ってしまいました。
私、エリサ・オルロンドはローザン王国有数の貴族であるオルロンド公爵家の長女です。
この国では貴族が大きな力を持っており、重要事はおおむね貴族の合議で決定されます。また、王家の妻は有力貴族から迎えることが慣例です。
そして父上と国王の利害の一致により、私がこの国の王太子であるケビン殿下の元に嫁ぐことが数年前から決まっていました。いわゆる政略結婚です。
私と殿下はともに現在十四歳。この国では一般的に十五歳で成人するため、そろそろ正式に結婚する時も近いでしょう。
ケビン殿下は王家の血筋を引いているせいか、凛々しい眉に整った鼻筋、そして引き締まった口元ときれいな顔立ちをしています。その上、武勇に優れており、貴族令嬢ばかりか国中の女性に大人気です。殿下に嫁げばゆくゆくは王妃となることが約束されています。
シシリーもご多分に漏れず、私が殿下と婚約していることを羨ましがっているのでしょう。
「そうね、整ったお顔立ちでいらっしゃるわね」
シシリーがそういう言動をするのは初めてではないので私は適当に流そうとします。
彼女が何と言っても、これは父上と陛下が決めた政略結婚。私たちの気持ちで覆していいものではありません。
シシリーは今年で十二歳。嫁ぐのは少し先にしても、そろそろ彼女の婚約者が決まってもおかしくない年齢です。
まだあどけなさはあるものの、透き通った白い肌に大きめで愛くるしい瞳、少し色気のある口元が魅力的で、明るいブロンドの髪もきれいな巻き毛にしていてとても可愛らしい。しかも常にフリルがふんだんにあしらわれた豪奢なドレスを纏っており、姉である私から見ても大変美しい容姿です。
一方の私は緩やかにウェーブがかかった暗いブロンドの髪に、オルロンド公爵家の血筋によるきれいな青色の瞳です。自ら言うのは口幅ったいのですが、整った顔立ちではあるはずです。しかし、屋敷にいる時はいつも伏し目がちで、動きやすさを重視した飾り気のないワンピースばかり好んで着ているため、あまり公爵令嬢らしくは見えないのでしょう。
性格もどちらかというとおてんばで食いしん坊の気がある私と違って、シシリーはおしとやかでお菓子作りや編み物など家庭的な趣味も多彩。殿下と同じく国中の男性の注目の的で、両親には可愛がられて育てられたせいか、少し我が儘に育っており、しかも幼いころの些細な出来事が原因で私に対して対抗意識を抱いているようです。
話を早く切り上げたいものの、私は彼女の言い方に嫌な予感がしました。
私が何と言おうか少し困っていると、彼女は媚びるような声色で言います。
「お姉様、ケビン殿下の婚約者の地位を私に譲ってくださいませんか?」
やはりそうきましたか。
普段なら彼女は羨ましがっていることをもっと遠回しに伝え、そのたびに私はいろいろなものを与えてきました。
私が周囲の貴族令嬢が好む高価なドレスや装飾品にあまり執着しなかったというのもありますし、一度彼女の遠回しな要求を無視していたら、母上に「姉なのにどうして聞いてあげないの⁉」と怒られたということもあります。
今日のシシリーはいつもより直接的に訴えてきました。
やはり私と殿下の結婚が迫っているせいでしょうか。
とはいえ、婚約はアクセサリーや服ではありませんし、こればかりは私にどうすることもできません。
「それは私には決められません。そもそも婚約者を譲るという考え自体が間違っていますよ」
「でも、お姉様と私が父上に言えば、父上もきっと考えてくださるわ。それともお姉様はやはりケビン殿下と私が結ばれるのはお嫌ですか?」
私の答えにシシリーは不満げな顔をしました。そして嫌な尋ね方をしてきます。
もし彼女の頼みを断れば、私がシシリーに意地悪をしたいから彼女の願いを断わっているようです。
しかし、私は彼女の言葉を聞いて数日前に行った、ケビン殿下とのお茶会を思い出しました。
◇ ◇ ◇
王宮内のとある一室。王宮の侍従や侍女たちが事前に準備をしていると聞いていた私が部屋に入ると、ケビン殿下は先に席に着いていました。
殿下が座っていると彼の美しさや品位ある姿のあまり、豪華な部屋の内装も用意された高級なお茶菓子も殿下に比べると全て色あせて見えます。
まるで神が丹精込めて作ったかのようにパーツの大きさも形も整った顔立ち、長身で鍛えていながらすらりとした体つき、そして涼やかな瞳。
彼の容姿はどの角度から見ても完璧でした。
彼を一目見た女性が皆恋に落ちるのもわかるというものですね。
「相変わらず今日もきれいだね」
そんな殿下が少し高いトーンのきれいな声で言いました。
容姿ばかりか声も美しく、彼の歌声には本職の歌い手ですら感嘆するとか。
「あ、ありがとうございます」
あまり容姿を彼に褒められたことのなかった私は、いきなりの言葉に少し戸惑います。
すると殿下は少しむっとした顔になりました。
「何を言っているんだ? 今のは僕の容姿に決まっているだろ?」
「え?」
私は殿下の言葉に困惑しましたが、言われてみればちょうど今私が立っている辺りの壁に鏡が置いてあります。殿下は私ではなく後ろの鏡を見て言ったのですね……
そう、実はケビン殿下は極度のナルシスト。こういう言動は日常茶飯事で、話題は常に自分のことばかり。彼が他人を褒めることは滅多にありません。
そのことをうっかり失念していました。
いつもの態度だわ、と私はそっけない態度に切り替えます。一瞬でも動揺したのが馬鹿みたいです。
「それは失礼いたしました」
「それで君はどう思う?」
「今日もおきれいですね」
仕方なく私は何の感情もこもっていない声で答えました。
「まあいいだろう。次はもっと僕にふさわしい褒め言葉を考えておいてくれ」
「……わかりました」
確かに完璧な容姿かもしれませんが、褒め言葉というのは相手に要求されて口に出すものではありませんよね。
相手が王子もしくは婚約者でなければ、私は今日だけですでに二回は激怒していたでしょう。
殿下と会って一分ほどで早くも疲れ果て、席に座りました。
その後は殿下と目を合わせるのも会話するのも嫌で、私はひたすらお菓子を食べることに集中していました。
殿下はひたすら「今日は香水を替えてみた」「トレーニングのメニューをきつくした」など自分語りをしています。
いくら容姿がいいとはいえ、なぜこんな人物が期待の王子とされているのかといえば、彼が公的な場では至極真っ当な王子として振る舞っているためです。
このような自分本位な態度を見せるのは王族や婚約者の私、それに極めて身近な使用人や家臣相手の時だけのようでした。
王子として振る舞うことでストレスが溜まっているのか、それとも私相手なら何をしてもいいと思っているのか、二人きりになった時はひたすらこんな調子。
初めてこのモードの殿下と会話した時は双子の弟とでも入れ替わったのかと疑いましたし、できることなら私とて婚約を解消したいと思ったぐらいです。
◇ ◇ ◇
とはいえ、殿下がこんな人物と知っている以上、妹に押し付ける訳にもいきません。自分の希望が叶って当然という環境で育ってきたシシリーでは、殿下と出会って二秒も我慢できなくなるでしょう。
かといって、国中の人に素晴らしい王子と思われ、その上婚約者でもある彼の悪口を言いふらすのもあまりいいことではない――
そのため、私はシシリーの提案には黙って首を横に振るほかありませんでした。
そもそも私が父上に「婚約者を代えてください」と言ったところで、「我が儘を言うな」、もしくは「我が家を潰したいのか」と言われて終わるでしょう。
「まあ、お姉様がそこまでお嫌なら私は構いませんが」
「いや、私がどうとかそういう問題ではなく……」
「そういうことなら私にも考えがあります」
私の煮えきらない態度にシシリーはなおも不満そうでしたが、それ以上言ってもどうにもならないと思ったのか、捨て台詞のようなことを言って去っていきました。
いくらシシリーでも、さすがに渡せるものとそうでないものがあるということはわかるはず。
もしかしたら別件で何か要求してくるのかもしれませんが、それはまたその時に考えればいいわ。
この時の私は、この件が後にあんな大事になるとは夢にも思わなかったのです。
それから一週間ほど経ったある日のこと。
「話がある」
父上が唐突に険しい表情で私を呼び出しました。
父上は普段から女の子らしく振る舞うシシリーばかりを可愛がり、おしゃれに無頓着で食べ物にばかり関心がある私に冷淡です。そんな父上から私に話があるなんて珍しいこともあるのね。
「何でしょう」
「ついてこい」
何だろうとついていくと、そこにはすでに母上やシシリーほか、一家が勢ぞろいしており、明らかに緊迫した空気が流れていました。いないのは領地で政務の勉強をしているオレイン兄上だけでしょう。
私は一家の皆に囲まれるようにして空いているところに座るよう促されます。
私が座ると、正面にいた父上が厳めしい声で言いました。
「エリサ、最近お前は頻繁に、さまざまな男の元に出入りしているそうだな」
「え?」
何の話かさっぱりわかりません。
困惑する私に父上は畳みかけるように言います。
「出入りの商人や他家の料理人にまで色目を使っているそうではないか!」
「そ、そのようなことはありません!」
要するに私が婚約者もいる嫁入り前の娘なのに、ほかの男に色目を使ってけしからんということでしょうか。
もちろん、そんなことはしていません。私は慌てて否定しますが、すでに父上には確信があるのか、私の言葉で心が動いた様子はありません。
「だがお前が多くの男に声をかけているのは事実だろう!」
「違います! 声をかけたといっても、いずれもほかの方々がいるところでのこと。二人きりで話したことはございません!」
確かに私は食べることが大好きなので、おいしい食材を持ってきてくださる商人に産地を尋ねたり、他家に招かれた時にそのお食事がおいしければ料理人に直接感謝を述べたりすることはありました。しかし、それ以上のことはありません。感謝を述べる時も特に二人きりの場所に呼び出したり連れ出したりなどしていません。
今までにも何度か、父上に公爵家令嬢としてはしたないと言われたことや、母上がそのような私の言動をあまり好ましく思っていないということはありましたが、まさかこんなことを言われるとは思ってもみませんでした。
「それで納得できる訳があるか! ケビン殿下からもわしに苦情が入ったのだぞ!」
「ケビン殿下から⁉」
それまではただ困惑するだけでしたが、さすがに殿下から苦情が入ったと聞いて私は事態が抜き差しならなくなっていると察しました。
「口答えするな! 問題なのはそういう風聞が立っているということだ! 王家に嫁入りするというのに自覚が足りないのではないか⁉」
父上にそう言われては反論しづらいですね。王家に嫁ぐ以上、噂が立つだけでも受け入れられないというところはあるでしょう。
しかし冷静に考えると、私の行動は別に婚約前から変わっていません。
ここ最近になって急に風聞が立つというのはおかしな話です。
父上は続けます。
「全く何ということだ。我が家から王妃を出すという悲願をこんなことで諦める訳にはいかん」
確かに王妃を出した家は貴族の中で一番発言力が大きくなると言っても過言ではありません。
私の縁談もそのために父上が必死に国王陛下を説得してとりつけたものです。
が、次の一言は耳を疑うようなものでした。
「幸い、シシリーは王妃には申し分ない娘だ。仕方がないからエリサの代わりにシシリーを嫁にやることにする」
「え?」
そんな身に覚えのない噂だけで、このような重大事が決められるのでしょうか。
「聞こえなかったか? お前ではなくシシリーを殿下の婚約者にすると言っているんだ!」
「はい、私でしたらそのような風聞が立つことはないと約束できます……姉様と違って」
突然の決定のはずなのに、シシリーは特に動揺することもなく、私にあてつけるように言いました。が、彼女の口元には隠しきれなかったのでしょう、笑みが浮かんでいるのが見えます。
それを見て私はようやくわかりました。
恐らく、ケビン殿下と婚約し、未来の王妃になりたかった彼女は意図的に私を貶めるような噂を流したのでしょう。そしてシシリーを可愛がっている男連中がそれを信じてさらに広めた、というのが本当のところではないでしょうか。
シシリーもほかの人の前では本性を出さないため、噂を聞いた人々もまさか彼女が嘘をついているとは思わずに信じてしまったのですね。
一体なぜそのようなことをするのか。
いくらケビン殿下が美しい男性とはいえ、実の姉を陥れてまで手に入れたいものなの?
妹の心理はよくわかりませんが、シシリーが私にやたら突っかかるのには一つだけ心当たりがあります。
あれは私がまだ十歳のころでした。私は両親とシシリーとともにとある貴族のパーティーに向かったのですが、そこで一人の男性に出会いました。
「まあ、素敵な方」
その人物を見たシシリーは思わず感嘆の声をあげます。彼は恐らく当時十五歳ほどだったのでしょう、年上で体格もいいこともあって確かに凛々しい人物だなと思いました。
「確かにそうね」
「お姉様、私、あの方と仲良くなりたいです!」
「あ、ちょっと⁉」
そう叫ぶと彼女は私が止めるのも聞かずに彼の元に駆け寄りました。
「すみません、少しお話してもよろしいですか⁉」
私が十歳だったということはシシリーは八歳。そんな少女に話しかけられても困るだけでしょう、彼は苦笑しながら答えます。
「ほら、子供が一人で歩いていると迷子になってしまうよ、ここは人が多いからね」
「そんな、私は子供ではありません!」
シシリーは少しむっとした様子で答えますが、会場は大変混雑しており、少し目を離せばシシリーの姿を見失ってしまいそうです。
「あ、僕はちょっと用があるから」
「そんな、少しで構いません!」
それでもシシリーが食い下がろうとしました。私は彼女を止めるため、人混みをかき分けて彼の元に向かいます。
「こら、シシリー、あまり他人を困らせるものではありません」
「お、お姉様⁉ 私は別に困らせている訳では……」
「でも困っているでしょう?」
私が言うと、彼女はとても不満げな顔をしてみせます。
一方の彼は私の方を向いて、助かったというように笑みを浮かべました。
「君は彼女の姉かい?」
「はい、エリサと申します」
「エリサか、ありがとう」
そう言って彼は去っていきました。その後パーティーの合間にその彼に一度声を掛けられましたが、それっきりです。今は多分もう結婚もしていると思います。
私からすればその程度のことをそんなに気にするなんてとは思いますが、シシリーの私に対する態度が変わったタイミングは思い返してみるとその日だったと思います。
それ以来、シシリーは何かにつけて私に対抗心を燃やしているようでした。
まさかここまでのことをしてくるなんて。
私はシシリーがあのような殿下と結ばれるのは可哀想と思っていましたし、婚約者を代えてほしいと頼むような真似はするまいと我慢していたのですが、彼女がそこまでするのであれば仕方がありません。もはやなるようになるでしょう。
父上は重ねて私に告げます。
「エリサよ。噂が立った以上、お前はもう王都近くの貴族には嫁がせることができん。ロンドバルド辺境伯に嫁げ」
「は、はい」
ロンドバルド辺境伯はその名の通り、王都から遠く離れた魔物や異民族の棲む地との国境を守る貴族です。軍勢の指揮には長けていても、性格は頑固で偏屈、王都にいるきらびやかな貴族たちを敵視しているとか。加えて年齢は三十を越えていると聞きます。これでは夫というよりは父親に近いぐらいです。
しかも相手は辺境伯とはいえ、公爵家である我が家とは明らかに家格が釣り合っていません。位が低い相手であれば、変な噂があっても引き取ってくれるということでしょうか。
要するに、変な噂が立った娘を厄介払いしたいのですね。
私はケビン殿下に未練はありませんし、商人が持ってくるおいしい果物や野菜の中には辺境でしか作られていないものもあります。
そう思うと、そちらに嫁ぐのも悪くないのかもしれません。
「……わかりました。ですが、これだけは言わせてください。噂はただの噂であり、私にやましいことは何一つありません」
「うるさい! まだ口答えするのか!」
私の言葉に父上は再び怒鳴りました。そう言われてしまうと返す言葉もありません。
こうして、私は不本意な噂のおかげで、辺境行きが決まったのでした。
第一章 辺境伯への輿入れ
数日して、瞬く間に出発の前日になりました。
辺境伯家に何があって何がないのか想像もつきません。輿入れするにあたり、私は何を持っていけばよいのか、ずっと悩んでいました。
シシリーはきっとうきうきとした様子でケビン殿下と会う時に着るドレスを選んでいるはず。その隣の部屋で、私は旅支度に励まなければなりません。
部屋の姿見に映る自信なさげな自分の姿を見ると、辺境伯にも公爵令嬢には見えないと言われるかもしれませんね……
こんなことだから殿下の相手にふさわしくないと言われてしまったのでしょうか。
つい自分が悪いような気分になってしまいます。
そこへシシリーがノックもせずに私の部屋に入ってきました。
「お姉様、いよいよ明日は出発ですね」
その声は少し弾んでいて、そんなに私がいなくなるのが嬉しいのでしょうか。それとも私の婚約者を取り上げたのが嬉しいのでしょうか。
あれ以来まともに顔も合わせていませんでしたが、出発するのであれば最後に話ぐらいはしてもいいでしょう。
私は手を止めて彼女の方を向きます。
「なぜあんなことをしたの?」
「だって、お姉様のような地味な方にケビン殿下は似合わないですよね。私のように可憐な娘の方がお相手にふさわしいと思いませんか?」
もはや私の辺境行きは覆らないと知ったからか、シシリーは言いたい放題でした。
あからさまに勝ち誇ったような態度にさすがにむっとします。いくら私がシシリーに比べると華やかさに欠けるからといって、何もそんな噂を流して汚名を着せなくても。そんなことをすれば私だけでなく家全体の汚名になるというのに。
そもそも私は好きでケビン殿下と婚約した訳ではなく、家のために我慢して付き合いを続けていたのだから。
「それはそうかもしれないけど、だからといってここまでするなんて酷いわ」
「私は何もしていません。きっと運命がお互いにとってふさわしい相手とくっつけようとした結果なのでしょう」
シシリーは余裕の笑みを浮かべます。
シシリーの言うこともある意味一理ありますね。殿下とシシリーは実は結構似た者同士なのです。
ケビン殿下はかなりのナルシスト。シシリーも言葉の端々から、自分を相当高く評価している気持ちが見え隠れします。
また、ケビン殿下もシシリーも私の前以外では完璧な人間を演じ、周囲からの人気が高いという点も共通しています。
ある意味お似合いの二人と言えるかもしれません……相性は最悪でしょうが。
「そうかもしれないわね」
「……えらく素直じゃない。最初からそう言えば、こんなことにはならなかったのに」
私が皮肉のつもりで肯定すると、シシリーは少し驚いて言いました。
そこまで言うなら殿下の本性についてはご自分で見ていただきましょう。
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