婚約者の心の声が聞こえるようになったけど、私より妹の方がいいらしい

今川幸乃

文字の大きさ
上 下
26 / 28

レイトと公爵家

しおりを挟む
    ある博士の所に助手が息を切らしながら駆け込んできた。

    「なんじゃ、そんなに慌てて」

    「とうとう完成したんですよ。ほら、僕が前から言っていたあれですよ」

    「あれというと、タケなんとかいうやつか?」

    「タケコプターですよ。あのドラえもんに出てくるやつです。ほら見てください」

    助手は肩にかけていたカバンからそれを取り出した。

    「これ、ほんとに飛べるのか?こんなちっさいもので?」

    博士は聞いた。確かに一見全く飛べそうには見えない。だが助手は答えた。

    「飛べますよ。僕も実際試して飛べましたから。ほんの数センチだけですが確かに飛べました」

    「ほう、それはすごいな」

    「そして僕がここにもう1つの理由はこれくぉ博士にも試してもらいたいんです。僕より軽い博士ならきっともっと高く飛べると思うんで」

    だが博士は断固拒否した。

    「いいや、絶対ためさん。助手が作ったものなど信用できるか」

    これを聞いて助手はむっとして言った。

    「絶対大丈夫ですって。いいからやってみてくださいよ、ほら」

    助手は無理矢理にでも博士の頭に装着してこようとしてくる。

    「や、やめろ!わしを怒らす気か!」

    「1回飛べたら絶対に感動しますから。じゃあスイッチ押しますね」

    「やめろぉぉ」

    助手は博士の頭に装着してからスイッチを押した。

    すると博士の髪の毛が一瞬にして無くなった。助手は呆然とした。

    博士はカツラだったのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫の書斎から渡されなかった恋文を見つけた話

束原ミヤコ
恋愛
フリージアはある日、夫であるエルバ公爵クライヴの書斎の机から、渡されなかった恋文を見つけた。 クライヴには想い人がいるという噂があった。 それは、隣国に嫁いだ姫サフィアである。 晩餐会で親し気に話す二人の様子を見たフリージアは、妻でいることが耐えられなくなり離縁してもらうことを決めるが――。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。 使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。 優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。 婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。 「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。 優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。 父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。 嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの? 優月は父親をも信頼できなくなる。 婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

見えるものしか見ないから

mios
恋愛
公爵家で行われた茶会で、一人のご令嬢が倒れた。彼女は、主催者の公爵家の一人娘から婚約者を奪った令嬢として有名だった。一つわかっていることは、彼女の死因。 第二王子ミカエルは、彼女の無念を晴そうとするが……

こんな人とは頼まれても婚約したくありません!

Mayoi
恋愛
ダミアンからの辛辣な一言で始まった縁談は、いきなり終わりに向かって進み始めた。 最初から望んでいないような態度に無理に婚約する必要はないと考えたジュディスは狙い通りに破談となった。 しかし、どうしてか妹のユーニスがダミアンとの縁談を望んでしまった。 不幸な結末が予想できたが、それもユーニスの選んだこと。 ジュディスは妹の行く末を見守りつつ、自分の幸せを求めた。

いつか彼女を手に入れる日まで

月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

城内別居中の国王夫妻の話

小野
恋愛
タイトル通りです。

処理中です...