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第5話
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「おーい、優ちょっといいか?」
ふすまの向こうから突然かけられた声。清志だ!
「ちょっ、ちょっと待って今開けるから!」
実の兄の登場で高志くんは飛び退き、僕は急いで身を整えた。
「お待たせ!・・・何か用・・・?」
「高志の事で話が・・・もしかしてお邪魔だったか?」
「おおおおお邪魔じゃないよ!」
僕たち二人を見て物騒なことを言う清志の背中を押してそそくさと部屋を後にする。
高志くん、ごめん!置いてけ堀にするけど今回ばかりは許して。
「僕は淫乱なのかもしれない・・・」
しんと静まり返った清志の部屋。
先ほどの自分の痴態を思い出し、一人ごちる。
僕は僕自身が恐ろしくなり、清志に先ほどの事をオブラートに包んで相談すると、なんだお前知らないのか、と。
「桜庭と橘の身体の相性、遺伝的に良いなんて一族内では周知の事実だろ」
「何それ知らないよ!」
清志によると僕らの家系同士は先祖代々身体の相性は最高で子宝にも恵まれている組み合わせなのだとか。
だから高志くんに撫でられただけであんなになってしまったの、か・・・?
高志くんの指先を思い出す。
彼は僕の事を勘違いや思い違いなんかではなく、本気でそういう対象として見ていたのがさっきの事で身に染みて分かった。
「高志とお前の事でこっちも家族会議よ。お前が死ぬほどいやだって言うなら取り下げるが、うちは正式に高志とお前の縁談申し込むつもりだ」
養子になる点だけは揉めたそうだが橘の家では高志くんの希望を優先するそうだ。
「高志はお前にベタ惚れだし、身体の相性は先祖代々お墨付き。俺が言うのもなんだがお前さえよければいい縁談だぞ?」
親父に続き、清志も賛成派の様だ。
そうなのだ。この縁談客観的に見れば断る理由がないのだ。
養子に来てくれ橘家は安泰、家柄も申し分なく、愛情深く(ちょっと怖いくらいだが)身体の相性も良い、とくれば32歳一族では行き遅れの僕は諸手を挙げて受け入れる様な話なのだ。
ただ、ただ!
あそこまでされても高志くんを見ると幼かったころの純真な姿が重なって見えるのだ。
その純真な存在と深い仲になるというのが僕の中の倫理観を刺激する。どうしてもブレーキがかかってしまう。
「子供相手に手を出しているような気分になるんだよ~」
「あいつももう二十歳だぞ、認めてやれよ」
「二十歳なんてついさっきまで未成年じゃないか」
「そのさっきまで未成年と宜しくやってたのはどこのどいつだよ」
「うぐ・・・ッ!」
「まぁ結婚云々は置いといて、せめてあいつの本気には応えてやってくれよ」
これでも弟と親友の幸せを願っているのよ、と。
僕は一体どうしたら良いのだろうか・・・。
ふすまの向こうから突然かけられた声。清志だ!
「ちょっ、ちょっと待って今開けるから!」
実の兄の登場で高志くんは飛び退き、僕は急いで身を整えた。
「お待たせ!・・・何か用・・・?」
「高志の事で話が・・・もしかしてお邪魔だったか?」
「おおおおお邪魔じゃないよ!」
僕たち二人を見て物騒なことを言う清志の背中を押してそそくさと部屋を後にする。
高志くん、ごめん!置いてけ堀にするけど今回ばかりは許して。
「僕は淫乱なのかもしれない・・・」
しんと静まり返った清志の部屋。
先ほどの自分の痴態を思い出し、一人ごちる。
僕は僕自身が恐ろしくなり、清志に先ほどの事をオブラートに包んで相談すると、なんだお前知らないのか、と。
「桜庭と橘の身体の相性、遺伝的に良いなんて一族内では周知の事実だろ」
「何それ知らないよ!」
清志によると僕らの家系同士は先祖代々身体の相性は最高で子宝にも恵まれている組み合わせなのだとか。
だから高志くんに撫でられただけであんなになってしまったの、か・・・?
高志くんの指先を思い出す。
彼は僕の事を勘違いや思い違いなんかではなく、本気でそういう対象として見ていたのがさっきの事で身に染みて分かった。
「高志とお前の事でこっちも家族会議よ。お前が死ぬほどいやだって言うなら取り下げるが、うちは正式に高志とお前の縁談申し込むつもりだ」
養子になる点だけは揉めたそうだが橘の家では高志くんの希望を優先するそうだ。
「高志はお前にベタ惚れだし、身体の相性は先祖代々お墨付き。俺が言うのもなんだがお前さえよければいい縁談だぞ?」
親父に続き、清志も賛成派の様だ。
そうなのだ。この縁談客観的に見れば断る理由がないのだ。
養子に来てくれ橘家は安泰、家柄も申し分なく、愛情深く(ちょっと怖いくらいだが)身体の相性も良い、とくれば32歳一族では行き遅れの僕は諸手を挙げて受け入れる様な話なのだ。
ただ、ただ!
あそこまでされても高志くんを見ると幼かったころの純真な姿が重なって見えるのだ。
その純真な存在と深い仲になるというのが僕の中の倫理観を刺激する。どうしてもブレーキがかかってしまう。
「子供相手に手を出しているような気分になるんだよ~」
「あいつももう二十歳だぞ、認めてやれよ」
「二十歳なんてついさっきまで未成年じゃないか」
「そのさっきまで未成年と宜しくやってたのはどこのどいつだよ」
「うぐ・・・ッ!」
「まぁ結婚云々は置いといて、せめてあいつの本気には応えてやってくれよ」
これでも弟と親友の幸せを願っているのよ、と。
僕は一体どうしたら良いのだろうか・・・。
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