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終わらないジェットコースター
しおりを挟む子供達のあどけない笑顔。
それを見て微笑む大人達。
「次はアレに乗りたい!!」
日常には無い誰が考え生み出したのかさえ知りもしない乗り物達に惹かれ、子供達は親の手を掴み取って走って行く。
ここは遊園地。
人々を笑顔に変える場所。
そこには長い長いジェットコースターがあった。
螺旋状に渦を巻き高く雲の上へと伸びて行ったと思えば、すぐさま地面スレスレまで落下し、またしても目視出来ない程上空へと舞い上がって行く。
ゴール地点は恐らくこのスタート地点だと思われる。
私はこのジェットコースターが動いているのを見たことがなかった。
メリーゴーランド。
バイキング。
カップコースター。
様々な乗り物には長蛇の列が出来ているのにも関わらず、このジェットコースターには列はおろか、店員さん以外誰も居なかった。
普段絶叫系が苦手な私は足早にその場を去る。
どんどんと離れて行くジェットコースターの乗り口。
「さて、何に乗ろうかな?」
何事も無かったかの様に次に乗る乗り物を品定めしていた。
「え。」
私は気付けば座っており、体を支えるためのバーが私の肩とお腹を押さえつける。
私はいつしかあのジェットコースターに乗っていた。
「やだ、降ろして!ホントにやだ!ヤダヤダヤダ!!」
私は涙を浮かべて叫んだ。
他に誰も乗っていないジェットコースターの中でその声は発射音と共にかき消えて行った。
プォーーーッ
「それでは、良い旅を。」
それまで無口だった店員さん。
満面の笑みで私に手を振ってきた。
「いやーーーっ」
凄いスピードでジェットコースターは加速し、何を言おうと風の音で全てが無に帰される。
ーーーーーーー。
もう、どれくらい経ったのだろうか。
不思議と気分は悪くない。
全然終わる気がしないジェットコースター。
流れる景色を楽しめるくらいの余裕も出てきた。
私は一つの結論に達した。
「あぁ、これは高速道路みたいなものか。」
と。
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