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第1章 『動き出す世界』
第5話 魔法はどうだ?
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「シーナ、ソランはどうだ?」
偶然シーナが通りかかったので、アトラはソランの魔法の上達具合について聞いた
「姫様。ソラン君ですか?うーん。理解して魔力を練ることは出来てるんですが、実際にやってみると出来ないんですよ。見た感じかなりの魔力量があるはずなんですけど。」
「そうか...ソランが魔法を使うことは出来るのか?」
「それが分からないんですよね。ちゃんと魔力を練ることもできているし、外へ放出させることもできている。でもそこまでなんです。」
「そういう事なんだ?」
「いざ魔法を発現させようとすると今までの魔力が嘘の様に霧散するんです。まるで何か外側から力がかかっているかのように。それにあの子、なんか焦っている気がするんです。どう焦っているかまでは分からないんですが、それも関係しているように思えます。」
リョーダンの心配が、アトラの心配が確信へと変わった。
ソランは、強くなることに焦っている。
魔法を習い初めて1ヶ月経つ。進歩出来ているとは言い難い。
もう誰も失う訳にはいかないのだろう。
だから力を求める。強くなることを求める。
「でも、あの子を見ていると貴方のことを思い出すのよ。」
「私の事?」
アトラは剣術の才はあったが、魔法の才はあまりなかった。
魔法を初めて9年経つ今でも使えるのは中位の身体強化魔法だけだ。
魔法ついては位があり、下から
下位魔法
↓
中位魔法
↓
上位魔法
↓
王級魔法
↓
帝級魔法
↓
皇級魔法
↓
神代魔法
だが、神代魔法だけは神が顕現していた時代の神の魔法なので、厳密には別物だ。
また、術師にも階級があり、
魔法使い(上位、中位、下位)
↓
魔導師
↓
王級魔導士
↓
帝級魔導士
↓
皇級魔導士
↓
賢者
↓
魔導賢者
となっている
「あの子、すっごい頑張っているんですよ。」
「ソランもソランなりに、か。」
ソランなりに努力しているのか。
強さを求めたのに裏目に出てしまう、か。
何と度し難い世界なのだろう。
「そういえば、もう1ヶ月経ちますけどソランくんは陛下と顔合わせしたのですか?」
「丁度今日会談から戻ってくる頃だ。
これから父に会いに行こうと思う」
「そうですか。ソランくんを見た陛下は何と仰るのですかね。」
「そうだな。怒られないといいが。」
「あの陛下の事ですから、ソラン君も脅かしにかかるに決まっています。」
「シーナにそう言ってもらえるのなら大丈夫そうだ」
「姫様。」
シーナは柔らかい笑みを、真剣なものに戻し、アトラに向き直った。アトラも首をかしげながらシーナの方を向く。
「アトラ姫様。どうか、どうかソラン君をしっかりと見てあげてください。あの子は誰かに頼ることを知らないと感じました。姫様は、ソラン君が頼れるよう、近くにいてあげてください。」
「ああ。そのために、私も精進しなくてはな。」
ぐぅぅ、とシーナのおなかが鳴る。今は午後2時ごろ、急遽ソランの授業を入れてしまったがために、シーナの食事はまだ終わっていない。先程の空気は何処へやら、完全に毒気を抜かれた二人は、暫くの間廊下の中心で小さく笑い合った。
偶然シーナが通りかかったので、アトラはソランの魔法の上達具合について聞いた
「姫様。ソラン君ですか?うーん。理解して魔力を練ることは出来てるんですが、実際にやってみると出来ないんですよ。見た感じかなりの魔力量があるはずなんですけど。」
「そうか...ソランが魔法を使うことは出来るのか?」
「それが分からないんですよね。ちゃんと魔力を練ることもできているし、外へ放出させることもできている。でもそこまでなんです。」
「そういう事なんだ?」
「いざ魔法を発現させようとすると今までの魔力が嘘の様に霧散するんです。まるで何か外側から力がかかっているかのように。それにあの子、なんか焦っている気がするんです。どう焦っているかまでは分からないんですが、それも関係しているように思えます。」
リョーダンの心配が、アトラの心配が確信へと変わった。
ソランは、強くなることに焦っている。
魔法を習い初めて1ヶ月経つ。進歩出来ているとは言い難い。
もう誰も失う訳にはいかないのだろう。
だから力を求める。強くなることを求める。
「でも、あの子を見ていると貴方のことを思い出すのよ。」
「私の事?」
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魔法を初めて9年経つ今でも使えるのは中位の身体強化魔法だけだ。
魔法ついては位があり、下から
下位魔法
↓
中位魔法
↓
上位魔法
↓
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↓
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↓
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だが、神代魔法だけは神が顕現していた時代の神の魔法なので、厳密には別物だ。
また、術師にも階級があり、
魔法使い(上位、中位、下位)
↓
魔導師
↓
王級魔導士
↓
帝級魔導士
↓
皇級魔導士
↓
賢者
↓
魔導賢者
となっている
「あの子、すっごい頑張っているんですよ。」
「ソランもソランなりに、か。」
ソランなりに努力しているのか。
強さを求めたのに裏目に出てしまう、か。
何と度し難い世界なのだろう。
「そういえば、もう1ヶ月経ちますけどソランくんは陛下と顔合わせしたのですか?」
「丁度今日会談から戻ってくる頃だ。
これから父に会いに行こうと思う」
「そうですか。ソランくんを見た陛下は何と仰るのですかね。」
「そうだな。怒られないといいが。」
「あの陛下の事ですから、ソラン君も脅かしにかかるに決まっています。」
「シーナにそう言ってもらえるのなら大丈夫そうだ」
「姫様。」
シーナは柔らかい笑みを、真剣なものに戻し、アトラに向き直った。アトラも首をかしげながらシーナの方を向く。
「アトラ姫様。どうか、どうかソラン君をしっかりと見てあげてください。あの子は誰かに頼ることを知らないと感じました。姫様は、ソラン君が頼れるよう、近くにいてあげてください。」
「ああ。そのために、私も精進しなくてはな。」
ぐぅぅ、とシーナのおなかが鳴る。今は午後2時ごろ、急遽ソランの授業を入れてしまったがために、シーナの食事はまだ終わっていない。先程の空気は何処へやら、完全に毒気を抜かれた二人は、暫くの間廊下の中心で小さく笑い合った。
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