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第1章 『動き出す世界』
第1話 飛んだ木剣
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───1章『始動』───
───カキイィィィン!!!
石剣が宙を舞った。
鉄剣程ではないが、それなりに重量はあるはずだ。
それが、軽々と飛ばされた。
「もう少し前に踏み込まないと、さっきみたいに剣が弾かれる」
そう言って色黒禿頭の男、戦闘指導者であるリョーダン=ベルドリンドが見本を見せる。
リョーダンが体を倒れ込むように前のめりになった瞬間、
───ダァンッ!!!
目にも止まらぬ早さで踏み込んだ。
呆然と立ち尽くすソランの首には、石剣が添えられている。
また、負けたのだ。
彼の動きに追い付けなかった。立ち尽くしているしかなかった。
「分かったか、分かったらもう一度やって今日はお終いだ。」
「ハイッ!」
リョーダンの剣の鍛錬と称したリョーダンの個人的な日々の鬱憤晴らしが始まって早2時間。
そんなことに子供を使うなと言いたいところだが、当事者であるソランの方にはとある変化があった。
「すぅ」
ソランは木剣の切っ先を少しだけ下に向け、腰を落とす。
ソランの目が見据えるのは、リョーダンの足首。
「はあっ!」
掛け声とともに地を蹴る。
「目でも欺け、それじゃあ守ってくださいと言っているようなもんだぞ」
ソランの視線からソランの狙いを予測したリョーダンはソランに注意をする。
しかし、当のリョーダンは今まで通りの半身になった姿で狙いである足首を守ろうともしなかった。
「はっ!」
ソランはリョーダンの指摘を気にした風もなくそのまま突っ込むと、リョーダンの足首を狙い木剣を払う様に横に凪ぐ。
「だから、バレバレだって...!?」
横凪ぎに足元を狙って迫るソランの木剣を、下におろしていた己の木刀で返そうとする。
しかし、ソランの出した切っ先は突然軌道を変え斜め上に、リョーダンの木剣手首へとその狙いを変えた。
リョーダンがソランの方を見ると、そこには身体を宙に浮かせ回転しているソランの姿が見えた。
「何!?...だが!」
リョーダンは咄嗟に半身にしていた身体を更に後ろに引き、ソランの木剣のリーチから出る。
身体を後ろに引いた勢いをそのままに、リョーダンはソランの腹を蹴った。丁度回し蹴りの様な攻撃だ。
ソランの身体、木剣は軽々と宙を舞う。
「狙いを分からせなかったのはよくやった。だが、それだと避けられたとして攻撃を次に繋げられないぞ」
今回はうまくいったと思ったのだが、まだまだ力の差は歴然のようだ。
また負けてしまった。このままじゃ駄目だ。もっと、強く...
頭を横に振って負に沈みかけた思考を取り戻す
ソランはまた石剣を持ち直し、強く握るとリョーダンへと向かっていく
「はぁぁ!!!───」
───カキイィィィン!!!
石剣が宙を舞った。
鉄剣程ではないが、それなりに重量はあるはずだ。
それが、軽々と飛ばされた。
「もう少し前に踏み込まないと、さっきみたいに剣が弾かれる」
そう言って色黒禿頭の男、戦闘指導者であるリョーダン=ベルドリンドが見本を見せる。
リョーダンが体を倒れ込むように前のめりになった瞬間、
───ダァンッ!!!
目にも止まらぬ早さで踏み込んだ。
呆然と立ち尽くすソランの首には、石剣が添えられている。
また、負けたのだ。
彼の動きに追い付けなかった。立ち尽くしているしかなかった。
「分かったか、分かったらもう一度やって今日はお終いだ。」
「ハイッ!」
リョーダンの剣の鍛錬と称したリョーダンの個人的な日々の鬱憤晴らしが始まって早2時間。
そんなことに子供を使うなと言いたいところだが、当事者であるソランの方にはとある変化があった。
「すぅ」
ソランは木剣の切っ先を少しだけ下に向け、腰を落とす。
ソランの目が見据えるのは、リョーダンの足首。
「はあっ!」
掛け声とともに地を蹴る。
「目でも欺け、それじゃあ守ってくださいと言っているようなもんだぞ」
ソランの視線からソランの狙いを予測したリョーダンはソランに注意をする。
しかし、当のリョーダンは今まで通りの半身になった姿で狙いである足首を守ろうともしなかった。
「はっ!」
ソランはリョーダンの指摘を気にした風もなくそのまま突っ込むと、リョーダンの足首を狙い木剣を払う様に横に凪ぐ。
「だから、バレバレだって...!?」
横凪ぎに足元を狙って迫るソランの木剣を、下におろしていた己の木刀で返そうとする。
しかし、ソランの出した切っ先は突然軌道を変え斜め上に、リョーダンの木剣手首へとその狙いを変えた。
リョーダンがソランの方を見ると、そこには身体を宙に浮かせ回転しているソランの姿が見えた。
「何!?...だが!」
リョーダンは咄嗟に半身にしていた身体を更に後ろに引き、ソランの木剣のリーチから出る。
身体を後ろに引いた勢いをそのままに、リョーダンはソランの腹を蹴った。丁度回し蹴りの様な攻撃だ。
ソランの身体、木剣は軽々と宙を舞う。
「狙いを分からせなかったのはよくやった。だが、それだと避けられたとして攻撃を次に繋げられないぞ」
今回はうまくいったと思ったのだが、まだまだ力の差は歴然のようだ。
また負けてしまった。このままじゃ駄目だ。もっと、強く...
頭を横に振って負に沈みかけた思考を取り戻す
ソランはまた石剣を持ち直し、強く握るとリョーダンへと向かっていく
「はぁぁ!!!───」
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