黒とオメガの騎士の子育て〜この子確かに俺とお前にそっくりだけど、産んだ覚えないんですけど!?〜

せるせ

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三十一話 なんか孵っちゃった

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 ゴホン、突然ですがこんにちは。俺の名前は、宮田みやたヒロキです。

 俺には好きな人がいます。
 同じクラスのみなみハルカです。

 俺と南は幼稚園からずっと一緒。家も近くて家族ぐるみで仲がいい。いわゆる幼馴染みってやつだ。もちろん、幼馴染みとして、1人の友人として南のことが好きだった。

 でも

 中学2年生の頃、あいつはクラスの女子に告白された。その時、俺の中で黒い感情がふつふつと湧き上がった。

 まぁ、告白は秒で断っていたが。

 しかし!!それからというもの、俺はことある事にあいつを意識してしまうようになった。

 意識してからというもの、俺はあいつのことを名前で呼ぶことができなくなり、〝南〟と苗字で呼ぶようになった。

 でもこのままじゃダメなんだ!!!

 南はものすごーくモテる。柔らかいウェーブのかかった茶色の髪に、タレ目で優しい顔。身長こそ俺とあまり変わらないが、体がシュッとしているせいかスタイルが良く見える。
 そんなあいつは老若男女問わずモテる!!
 この間も1個年上の女の先輩から告白されていた。

 俺達も高校生になったんだ。きっとあいつだっていつかは彼女を作るに決まっている。
 だから俺は〝しない後悔〟より〝する後悔〟を選ぶことにしたのだ。

 今日、俺は南ハルカに告白をする。

 付き合えなくたっていい。友達で居られなくなってもいい。いや良くは無いが。

 でもそんなリスク、俺の愛の前にすればちっぽけなんだ。もし、告白をして断られても、南に嫌われても、俺はこの先ずっと南だけを愛する。

 それくらい大好きだ。




ジャリッ

「宮田…?どうしたの?わざわざ校舎裏になんて呼び出して。」

 南は俺が苗字呼びすると同時に、合わせるように〝宮田〟と呼ぶようになった。それが今は心苦しい。

「南、お前にさ、言いたいことがあって。」

サァアアアアア

 肌寒い風が降りかかる。

「俺さ、」

「うん」

 もし拒絶されたら。
 もし嫌われたら。
 もし、もうこの先一生話してくれなくなったら。

 ついさっきした決意が揺らぐ。

 でも言いたい。

 誰かに盗られる前に。誰かの大事な人になる前に。

「お、おれ、南のことが」

 ギュッと拳を握り震える。
 でも最後の言葉だけは、南の目を真っ直ぐ見て伝えよう。


「好きだ。」


 南の茶色い目と俺の黒い目が交差する。

 本当は怖くて逃げ去りたい。
 返事を聞きたくない。

 タッと音が聞こえたかと思うと目の前に南が来る。

 ギュウウウウウっと俺を抱きしめる大好きな人。


「僕も、宮田が、ヒロキのことが好きだよ」


 そしてバッと離したか思うと、南は俺を見る。

「僕もね、宮田が大好きなんだ。これから2人で幸せになろうね。」

「うん、うん」


 あぁ、君に好きだと伝えてよかった。





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