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三十八話 誰がフェアリーだって?
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今日は本当に次から次へと色んなことが立て続けに起こりすぎて、セルジュの頭の中はキャパオーバーで爆発寸前だった。
「え、何だって? エミールがフェアリー?」
「そうだよ」
「そんなはずないだろ。だってあんなに俺にそっくりで、目だって緑……」
セルジュははっと突拍子もない事を思いついた。
「まさか俺はクロードとの前に、緑眼のフェアリーと体の関係を持っていた?」
「何言ってんの? セルジュ、覚えて無いの?」
「だって怪我が原因で記憶を失ってる間に、あいつの子供を出産したってクロードが……」
手袋をしている手から血を流しながらも、クロードは両手で挟んだ剣をフランソワの好きにはさせなかった。フランソワは額から汗を流しながらも、冷やかすような口調でクロードに話しかけた。
「まさかフエリト村でフェアリーの赤ん坊を一匹取りこぼしているとは驚きましたよ。しかもちゃっかりステヴナン伯爵が自分の子供として育ててるなんてね。まあでもいい保険になりましたよ。閉じ込めたフェアリーが一匹逃げ出すなんて想定外でしたから」
「お、お前、俺たちをどうするつもりなんだ?」
勇気を振り絞って叫んだシモンを、フランソワは流し目で冷たく睨んだ。
「なぜそんな事をわざわざ君に説明しなければならないんだ? というか、この私がフエリト村にあの日いた人間だとよく分かったな。顔は隠していたはずなんだが」
「フェアリーを舐めるなよ! 俺たちは弱小種族な分、身を守るための特殊な察知能力を持ってるんだ。それよりお前中央の騎士団員なんだろ? 国民を守るのが仕事なんじゃないのか? それなのに罪のない村人を殺して、部下まで殺そうとするなんて。みんな、い、良い人たちだったのに!」
「私は別になりたくて騎士になったわけじゃない」
セルジュは驚いてフランソワを見た。
「フランソワ?」
「そんなことは今はどうでもいい。そろそろ日付が変わってしまう。マルク、そのガキを閉じ込めろ」
マルクは頭のてっぺんからつま先までガタガタ震えていたが、フランソワがさっと投げてよこした琥珀の塊を拾うために、膝をガクガクさせながらゆっくりかがみこんだ。
「マルク!」
「も、申し訳ありません、伯爵。中央にいる子供たちを人質に取られているんです」
セルジュがすぐに飛び出して琥珀に手を伸ばしたが、横からヒヤリと鋭い気配を感じ、すんでのところで体を捻って地面に再び転がった。
「スティーブ!」
「セルジュ、お前どうやって逃げ出したんだ?」
剣を構えたスティーブは丸腰のセルジュを見て余裕の表情を浮かべていたが、フランソワに睨まれて途端に笑顔が消えた。
「この役立たずが。フェアリー一匹まともに連行できないのか」
「申し訳ありません! 邪魔が入りまして、私も気絶させられて今さっき目覚めたばかりなんです」
「仕事もろくにできないオメガのくせに、言い訳だけは一丁前だな。さっさとセルジュを始末するんだ」
スティーブはギリ、と歯を食いしばると、セルジュに向かって剣を振り下ろした。
(まずい! 俺もやるか? 真剣白刃取り!)
クロードと同じ芸当が自分にできるはずがなかったが、避けるのはもっと難しそうだった。そもそも真剣に熟考する時間など無く、セルジュはほとんど反射的に両手をぱっと額の前に上げた。
「セルジュ!」
クロードとシモンが同時に叫び、手が切られる痛みを感じる前に、キンッ! と鋭い音がセルジュの耳に届いた。
「う、ぐああああぁぁ!」
スティーブが剣を取り落として地面にひっくり返っていた。セルジュの左手薬指の指輪から緑の光が伸びて、棘のある植物のような形を取ってスティーブの体に絡み付いている。
「え、何だこれ?」
驚いたセルジュが左手を動かすと、スティーブは光に体をより締め付けられてさらに叫び声を上げた。
「それ、その指輪からは、魔法生物の強い怒りを感じるよ」
シモンがそう言うと同時に、締め上げられたスティーブがかはっと血を吐いた。
「ちょ、これ以上は死んじゃうって! 一体どうすれば……」
「念じてみて! 所有者はセルジュなんだ。今はまだ創作者の意志に引きずられてるんだよ!」
セルジュは慌てて右手でそっと左手の指輪を包み込んだ。
(なんかよく分からないけど、俺の言うことを聞いてくれないか? こいつは罪人で、聞かなければならないこともまだあるし、俺の一存で殺すわけにはいかないんだ)
セルジュの願いが届いたのか、光の植物はスティーブを締め上げるのをやめ、ポワッと拡散するように光を散らして姿を消した。
(良かった。何とかコントロールできたみたいだ。あれ、でも胸に刺さってる光の棘が消えてないんだが……)
「うわああああああぁぁぁ!」
突然スティーブが絶叫した。
「スティーブ!?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
スティーブは胸をかきむしりながら地面の上を転げ回っている。
「逆らえなくて! オメガは普通の方法じゃ騎士にはなれないんです!」
スティーブは地面に落ちている自分の剣を拾い上げると、逆手に持って自分の胸を突き刺そうとした。
「ちょっと!」
セルジュが慌ててスティーブの手を押さえつけると、スティーブは血走った目をカッと見開いてセルジュを睨みつけた。
「放せ!」
「落ち着けって! 急にどうしたんだ?」
「お前が! お前らが俺のことを責めるからだろ!」
スティーブは錯乱状態なのか、口角から泡を飛ばして訳のわからない事を叫んでいた。
「お前だって普通の方法じゃ騎士になんかなれなかったくせに!」
「それはそうかもしれないけど、だからって……」
「俺は知ってるぞ! フランソワは危険な仕事や骨の折れる仕事の依頼が来た時、自分の代わりにお前を行かせてたんだ。そのためにフエリト村から拾ってきたんだからな」
「……え?」
セルジュが彼の言葉に一瞬気を取られた隙に、スティーブは押さえつけられていた手をさっと振り払うと、ちょうど心臓真上に刺さっていた棘めがけて両手で剣を突き刺した。
「あっ!」
胸に剣を突き刺して絶命したスティーブを、セルジュはただただ茫然と見下ろすしかなかった。
(そんな……)
「何してるんだマルク! 早くガキを……」
フランソワの鋭い声が、セルジュを現実へと引き戻した。
(しまった! そっちが……)
「や、やっぱりできません!」
マルクは琥珀を一度は拾い上げたものの、再び地面に放り投げて弱々しい声で叫んだ。
「こ、こんな小さな子供を……」
フランソワはちっと舌打ちすると、剣を捨ててマルクに向かってだっと駆け出した。セルジュも慌ててマルクに向かって腕を伸ばした。
「マルクさん! エミールを渡して!」
「え……」
マルクは怯えたような表情で隠すようにエミールを抱え込んだ。
「早く!」
その時、視界の端に赤い光が見えた気がして、セルジュははっと振り返った。
(何だ?)
聖樹の周りの地面に咲いている白い花が、突然赤い光を放ち始めたのだ。
「……ふげ?」
と、今まで辺りの喧騒にも全く構わずすやすやと眠っていたエミールが、ここにきてようやく目を覚ました。エミールはぱちっと開いた目でマルクを見上げ、赤い光を放つ聖樹の花を見下ろした。
「ふんぎゃー!」
赤い花を見た瞬間、エミールが今まで聞いた事もないような声で絶叫した。その声に呼応するように、マルクの一番近くに咲いていた花が突如ミチミチと花弁を広げ、大人の顔ほどの大きさだった花が大人一人が余裕で座れるほどの大きさにまで広がった。
「ひいっ!」
マルクが驚いて腰を抜かし、地面にぺたりと座り込んだ。セルジュが慌てて腕を伸ばしたが、勢いをつけて走ってきたフランソワが無慈悲にもマルクの腕からエミールを引き剥がした。
「あっ!」
掴み上げたエミールを、フランソワが巨大化した花の上へと放り投げた。大声で泣きながら花の上に落ちる寸前、ありったけの力で前に飛び出したセルジュがエミールをキャッチすることに成功した。
(うわっ!)
宙を飛んだセルジュが花弁の中心に見たのは、赤い光を湛えた巨大な穴であった。大口を開けて獲物を待ち構える生き物の口のようなその姿に、セルジュは全身の毛が逆立つのを感じた。
「セルジュ!」
クロードの血でぬめった手がセルジュの手首をギュッと掴んだ。しかしセルジュと同じように飛んだらしいクロードもセルジュたちを引き上げることはできず、一緒に花の中へと落ちてきた。
「あっ! 放せ!」
フランソワの悲鳴が聞こえた気がした次の瞬間、まるで水の中に落ちたかのように視界がぼやけ、膜が張ったように周りの物音が聞こえなくなった。
「え、何だって? エミールがフェアリー?」
「そうだよ」
「そんなはずないだろ。だってあんなに俺にそっくりで、目だって緑……」
セルジュははっと突拍子もない事を思いついた。
「まさか俺はクロードとの前に、緑眼のフェアリーと体の関係を持っていた?」
「何言ってんの? セルジュ、覚えて無いの?」
「だって怪我が原因で記憶を失ってる間に、あいつの子供を出産したってクロードが……」
手袋をしている手から血を流しながらも、クロードは両手で挟んだ剣をフランソワの好きにはさせなかった。フランソワは額から汗を流しながらも、冷やかすような口調でクロードに話しかけた。
「まさかフエリト村でフェアリーの赤ん坊を一匹取りこぼしているとは驚きましたよ。しかもちゃっかりステヴナン伯爵が自分の子供として育ててるなんてね。まあでもいい保険になりましたよ。閉じ込めたフェアリーが一匹逃げ出すなんて想定外でしたから」
「お、お前、俺たちをどうするつもりなんだ?」
勇気を振り絞って叫んだシモンを、フランソワは流し目で冷たく睨んだ。
「なぜそんな事をわざわざ君に説明しなければならないんだ? というか、この私がフエリト村にあの日いた人間だとよく分かったな。顔は隠していたはずなんだが」
「フェアリーを舐めるなよ! 俺たちは弱小種族な分、身を守るための特殊な察知能力を持ってるんだ。それよりお前中央の騎士団員なんだろ? 国民を守るのが仕事なんじゃないのか? それなのに罪のない村人を殺して、部下まで殺そうとするなんて。みんな、い、良い人たちだったのに!」
「私は別になりたくて騎士になったわけじゃない」
セルジュは驚いてフランソワを見た。
「フランソワ?」
「そんなことは今はどうでもいい。そろそろ日付が変わってしまう。マルク、そのガキを閉じ込めろ」
マルクは頭のてっぺんからつま先までガタガタ震えていたが、フランソワがさっと投げてよこした琥珀の塊を拾うために、膝をガクガクさせながらゆっくりかがみこんだ。
「マルク!」
「も、申し訳ありません、伯爵。中央にいる子供たちを人質に取られているんです」
セルジュがすぐに飛び出して琥珀に手を伸ばしたが、横からヒヤリと鋭い気配を感じ、すんでのところで体を捻って地面に再び転がった。
「スティーブ!」
「セルジュ、お前どうやって逃げ出したんだ?」
剣を構えたスティーブは丸腰のセルジュを見て余裕の表情を浮かべていたが、フランソワに睨まれて途端に笑顔が消えた。
「この役立たずが。フェアリー一匹まともに連行できないのか」
「申し訳ありません! 邪魔が入りまして、私も気絶させられて今さっき目覚めたばかりなんです」
「仕事もろくにできないオメガのくせに、言い訳だけは一丁前だな。さっさとセルジュを始末するんだ」
スティーブはギリ、と歯を食いしばると、セルジュに向かって剣を振り下ろした。
(まずい! 俺もやるか? 真剣白刃取り!)
クロードと同じ芸当が自分にできるはずがなかったが、避けるのはもっと難しそうだった。そもそも真剣に熟考する時間など無く、セルジュはほとんど反射的に両手をぱっと額の前に上げた。
「セルジュ!」
クロードとシモンが同時に叫び、手が切られる痛みを感じる前に、キンッ! と鋭い音がセルジュの耳に届いた。
「う、ぐああああぁぁ!」
スティーブが剣を取り落として地面にひっくり返っていた。セルジュの左手薬指の指輪から緑の光が伸びて、棘のある植物のような形を取ってスティーブの体に絡み付いている。
「え、何だこれ?」
驚いたセルジュが左手を動かすと、スティーブは光に体をより締め付けられてさらに叫び声を上げた。
「それ、その指輪からは、魔法生物の強い怒りを感じるよ」
シモンがそう言うと同時に、締め上げられたスティーブがかはっと血を吐いた。
「ちょ、これ以上は死んじゃうって! 一体どうすれば……」
「念じてみて! 所有者はセルジュなんだ。今はまだ創作者の意志に引きずられてるんだよ!」
セルジュは慌てて右手でそっと左手の指輪を包み込んだ。
(なんかよく分からないけど、俺の言うことを聞いてくれないか? こいつは罪人で、聞かなければならないこともまだあるし、俺の一存で殺すわけにはいかないんだ)
セルジュの願いが届いたのか、光の植物はスティーブを締め上げるのをやめ、ポワッと拡散するように光を散らして姿を消した。
(良かった。何とかコントロールできたみたいだ。あれ、でも胸に刺さってる光の棘が消えてないんだが……)
「うわああああああぁぁぁ!」
突然スティーブが絶叫した。
「スティーブ!?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
スティーブは胸をかきむしりながら地面の上を転げ回っている。
「逆らえなくて! オメガは普通の方法じゃ騎士にはなれないんです!」
スティーブは地面に落ちている自分の剣を拾い上げると、逆手に持って自分の胸を突き刺そうとした。
「ちょっと!」
セルジュが慌ててスティーブの手を押さえつけると、スティーブは血走った目をカッと見開いてセルジュを睨みつけた。
「放せ!」
「落ち着けって! 急にどうしたんだ?」
「お前が! お前らが俺のことを責めるからだろ!」
スティーブは錯乱状態なのか、口角から泡を飛ばして訳のわからない事を叫んでいた。
「お前だって普通の方法じゃ騎士になんかなれなかったくせに!」
「それはそうかもしれないけど、だからって……」
「俺は知ってるぞ! フランソワは危険な仕事や骨の折れる仕事の依頼が来た時、自分の代わりにお前を行かせてたんだ。そのためにフエリト村から拾ってきたんだからな」
「……え?」
セルジュが彼の言葉に一瞬気を取られた隙に、スティーブは押さえつけられていた手をさっと振り払うと、ちょうど心臓真上に刺さっていた棘めがけて両手で剣を突き刺した。
「あっ!」
胸に剣を突き刺して絶命したスティーブを、セルジュはただただ茫然と見下ろすしかなかった。
(そんな……)
「何してるんだマルク! 早くガキを……」
フランソワの鋭い声が、セルジュを現実へと引き戻した。
(しまった! そっちが……)
「や、やっぱりできません!」
マルクは琥珀を一度は拾い上げたものの、再び地面に放り投げて弱々しい声で叫んだ。
「こ、こんな小さな子供を……」
フランソワはちっと舌打ちすると、剣を捨ててマルクに向かってだっと駆け出した。セルジュも慌ててマルクに向かって腕を伸ばした。
「マルクさん! エミールを渡して!」
「え……」
マルクは怯えたような表情で隠すようにエミールを抱え込んだ。
「早く!」
その時、視界の端に赤い光が見えた気がして、セルジュははっと振り返った。
(何だ?)
聖樹の周りの地面に咲いている白い花が、突然赤い光を放ち始めたのだ。
「……ふげ?」
と、今まで辺りの喧騒にも全く構わずすやすやと眠っていたエミールが、ここにきてようやく目を覚ました。エミールはぱちっと開いた目でマルクを見上げ、赤い光を放つ聖樹の花を見下ろした。
「ふんぎゃー!」
赤い花を見た瞬間、エミールが今まで聞いた事もないような声で絶叫した。その声に呼応するように、マルクの一番近くに咲いていた花が突如ミチミチと花弁を広げ、大人の顔ほどの大きさだった花が大人一人が余裕で座れるほどの大きさにまで広がった。
「ひいっ!」
マルクが驚いて腰を抜かし、地面にぺたりと座り込んだ。セルジュが慌てて腕を伸ばしたが、勢いをつけて走ってきたフランソワが無慈悲にもマルクの腕からエミールを引き剥がした。
「あっ!」
掴み上げたエミールを、フランソワが巨大化した花の上へと放り投げた。大声で泣きながら花の上に落ちる寸前、ありったけの力で前に飛び出したセルジュがエミールをキャッチすることに成功した。
(うわっ!)
宙を飛んだセルジュが花弁の中心に見たのは、赤い光を湛えた巨大な穴であった。大口を開けて獲物を待ち構える生き物の口のようなその姿に、セルジュは全身の毛が逆立つのを感じた。
「セルジュ!」
クロードの血でぬめった手がセルジュの手首をギュッと掴んだ。しかしセルジュと同じように飛んだらしいクロードもセルジュたちを引き上げることはできず、一緒に花の中へと落ちてきた。
「あっ! 放せ!」
フランソワの悲鳴が聞こえた気がした次の瞬間、まるで水の中に落ちたかのように視界がぼやけ、膜が張ったように周りの物音が聞こえなくなった。
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