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「289話」
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「すまん、頼むわ」
「あいよ。後方警戒よろしく」
「おう」
下がる中村から、すれ違いざまに打刀を受け取り前にでる。
中村を切りつけた鎧はすくっと立ち上がると、こちらに向けて刀を構えていた。
先ほどの中村への攻撃を見るに、ノーダメージで倒すのは難しそうだ。
急所部分へ攻撃を食らわないように気を付けてどうにか倒すしかないだろう。
大きく踏み出し、鎧……武者でいっか。武者との距離を一気に詰める。
武者はすぐに反応し、俺に向かい袈裟斬りに刀を振り下ろしてきた。
「ん?」
左に一歩ずれ、攻撃を避けようとするが……あまり早くない。
そのことに少し燻かんだが、俺は動きを止めることなく相手の手を狙い思いっきり刀を打ち下ろした。
ギャリッと嫌な音がして、武者の刀を叩き落すことには成功した。
腕を切り落とせなかったのは、おそらくだが篭手に金属が入っているのだと思う。
良い装備してんな。
「しねぇい!」
足で落ちた相手の刀を踏みつけ、無防備になった喉元へと横なぎに刀を振るう。
鎧が重いのか、相手の動きはそこまで早くはない。武者はわずかに身じろぎしたが、避けること叶わず喉元に刃が吸い込まれる……が。
「かてえ」
斬ったというよりは、滑るような感触が手に残る。
喉元にある防具によって防がれたようだ……HPも先ほどの2発で4割ほどしか減っていない。
刀があたったことで大きく仰け反る武者だが、すぐさまこちらへと手を伸ばしてきた。
どうやら刀を拾うのではなく、素手で俺とやり合うつもりらしい。
タフだし、切り替えも早いし結構やっかいな敵だ。
動きが遅いのが幸いだけど、一対一なら手こずるだろう。
「おいしょー」
悪いけど一対五なんだ。
若干気の抜ける掛け声と共に、武者の脇の下に槍の穂先がズブリと潜り込む。腕を伸ばしたことで防具で覆われていない箇所が剥き出しになったのだ。
そこを見逃す北上さんではない。戦闘経験豊富だし、さすが頼りになるわ。
クロと太郎が武者の脚をズタボロにしていくが、あれはおまけみたいなもんだろう。
北上さんの一撃でHPバーは削り切れていたのが見えた。
……しかし最初の一撃が早かったのはなんでだろうな? 何かしらスキル的なものを使ったんだろうかね。
座った状態の一撃のみ、何かしら補正が掛かるみたいな……だとしたらやっぱ中村はついてないなっ。
まあ次回以降は座ってるところに遠距離から攻撃するとしよう。
反応して立ち上がって対処してくるかもだけど、立ち上がってしまえば最初の一撃は飛んでこないだろう。たぶんね。
幸い火柱の術に北上さんの持つ槍と、遠距離の攻撃手段はあるしなんとかなると思う。
あとは念のため亡霊になって復活しないかだけ確認して先に進むとしよう。
それから3つほど階層を進んだ。
あれから新たに出た敵としては、巨大なヒキガエル、鬼火、管狐、空飛ぶ日本人形――みた瞬間、思わず叫んで叩き落してしまった――傘のお化け、やたらでかいウリボウ、一本だたら? と一部よく分からないやつもいるけど、大体が日本の妖怪なりをベースにした敵が多いね。武者みたいなやつはあれから継続して出てきてるけど、他のタイプは出てきてない。そのうち槍とか持ったのが出てきたりするかもね。
「素手でもわりといけるなあ」
ちなみにまだ武器は手に入ってない。
防具はかなり充実してきてるんだけどね、鎧一式まであと半分って感じ。
術は影縛りと華厳ってのが新たに手に入った。
影縛りは印を結んだあと、相手の陰に向かって武器を突き立てると数秒間動きを止めることが出来る術だった。クナイ投げたりするやつじゃなかったね。
でも数秒とはいれ動きを止められるのはかなり強いと思う。
それだけあればボッコボコにできるし。
華厳は大量の水で相手を押し流す感じの術だった。
ダメージはそれなりだけど、相手の動きを封じて距離とれるのが便利かなー。
そんなわけで素手でも結構いけたりするんです。
「そうかあ?」
「ヒキガエルはちょっと辛いくなーい?」
うん、ごめん。
嘘ついた。
正直ちょっと辛い……鬼火は殴るとダメージくらうし、ヒキガエルなんか触れると毒になるしでむっちゃキツイ。
特に毒はやばいよ。なにせ毒消し草の在庫があまりないからねえ。時間経過でHPゴリゴリ削られる。
まあ、それに気づいてからは中村と北上さんが相手することで対処してるけど、相手が複数の場合はそうもいかんのがねえ。
「ほんと武器落ちてねえからなあ」
「さすがにずっと素手はねー」
「術があるからギリギリなんとかなってはいるんすけどねー」
身体能力もかなり上がって印を結ぶのもかなり早くなったから、術で対応するのもありだけどMPがネックになってくるし……ん?
「そういや……レベル上がる速度はやいっすね?」
「あ、やっぱし?」
「どんどん上がってるねー」
俺の気のせいじゃなかったか。
短時間でどんどん身体能力あがってるんだよなあ。
1階層で1ぐらい? 数時間でこれだけ身体能力あがると、レベル上がってるなあって体感できて良いな。
アマツダンジョンだとなっかなかレベルあがらんからなー。そのへんが辛くてダンジョン攻略やめちゃった人も居るかも知れんし。やっぱ需要あるよな、生首ダンジョン。
まあ、それはそれとして。
ドロップの片寄りはもうちょっとどうにかして欲しいと思うんだっ。
モンハウにでもあたればさすがにアイテム確保できるだろうけど、装備が整ってない状態でモンハウとか、下手すりゃ全滅するしなあ。あれって一種のトラップみたいなもんだもん。
ま、モンハウなんて早々あたるもんじゃないんだけどね。
なんて思いっきりフラグを立てたわけだけど。
……まさかさ、ほんとにその直後にフラグ回収するなんて思わないじゃん?
次の階層に向かおうと階段を下りた先の部屋。
それがモンハウだったのだ。
ふぁっきゅー生首。
お前絶対俺の思考読んでるだろっ!
「あいよ。後方警戒よろしく」
「おう」
下がる中村から、すれ違いざまに打刀を受け取り前にでる。
中村を切りつけた鎧はすくっと立ち上がると、こちらに向けて刀を構えていた。
先ほどの中村への攻撃を見るに、ノーダメージで倒すのは難しそうだ。
急所部分へ攻撃を食らわないように気を付けてどうにか倒すしかないだろう。
大きく踏み出し、鎧……武者でいっか。武者との距離を一気に詰める。
武者はすぐに反応し、俺に向かい袈裟斬りに刀を振り下ろしてきた。
「ん?」
左に一歩ずれ、攻撃を避けようとするが……あまり早くない。
そのことに少し燻かんだが、俺は動きを止めることなく相手の手を狙い思いっきり刀を打ち下ろした。
ギャリッと嫌な音がして、武者の刀を叩き落すことには成功した。
腕を切り落とせなかったのは、おそらくだが篭手に金属が入っているのだと思う。
良い装備してんな。
「しねぇい!」
足で落ちた相手の刀を踏みつけ、無防備になった喉元へと横なぎに刀を振るう。
鎧が重いのか、相手の動きはそこまで早くはない。武者はわずかに身じろぎしたが、避けること叶わず喉元に刃が吸い込まれる……が。
「かてえ」
斬ったというよりは、滑るような感触が手に残る。
喉元にある防具によって防がれたようだ……HPも先ほどの2発で4割ほどしか減っていない。
刀があたったことで大きく仰け反る武者だが、すぐさまこちらへと手を伸ばしてきた。
どうやら刀を拾うのではなく、素手で俺とやり合うつもりらしい。
タフだし、切り替えも早いし結構やっかいな敵だ。
動きが遅いのが幸いだけど、一対一なら手こずるだろう。
「おいしょー」
悪いけど一対五なんだ。
若干気の抜ける掛け声と共に、武者の脇の下に槍の穂先がズブリと潜り込む。腕を伸ばしたことで防具で覆われていない箇所が剥き出しになったのだ。
そこを見逃す北上さんではない。戦闘経験豊富だし、さすが頼りになるわ。
クロと太郎が武者の脚をズタボロにしていくが、あれはおまけみたいなもんだろう。
北上さんの一撃でHPバーは削り切れていたのが見えた。
……しかし最初の一撃が早かったのはなんでだろうな? 何かしらスキル的なものを使ったんだろうかね。
座った状態の一撃のみ、何かしら補正が掛かるみたいな……だとしたらやっぱ中村はついてないなっ。
まあ次回以降は座ってるところに遠距離から攻撃するとしよう。
反応して立ち上がって対処してくるかもだけど、立ち上がってしまえば最初の一撃は飛んでこないだろう。たぶんね。
幸い火柱の術に北上さんの持つ槍と、遠距離の攻撃手段はあるしなんとかなると思う。
あとは念のため亡霊になって復活しないかだけ確認して先に進むとしよう。
それから3つほど階層を進んだ。
あれから新たに出た敵としては、巨大なヒキガエル、鬼火、管狐、空飛ぶ日本人形――みた瞬間、思わず叫んで叩き落してしまった――傘のお化け、やたらでかいウリボウ、一本だたら? と一部よく分からないやつもいるけど、大体が日本の妖怪なりをベースにした敵が多いね。武者みたいなやつはあれから継続して出てきてるけど、他のタイプは出てきてない。そのうち槍とか持ったのが出てきたりするかもね。
「素手でもわりといけるなあ」
ちなみにまだ武器は手に入ってない。
防具はかなり充実してきてるんだけどね、鎧一式まであと半分って感じ。
術は影縛りと華厳ってのが新たに手に入った。
影縛りは印を結んだあと、相手の陰に向かって武器を突き立てると数秒間動きを止めることが出来る術だった。クナイ投げたりするやつじゃなかったね。
でも数秒とはいれ動きを止められるのはかなり強いと思う。
それだけあればボッコボコにできるし。
華厳は大量の水で相手を押し流す感じの術だった。
ダメージはそれなりだけど、相手の動きを封じて距離とれるのが便利かなー。
そんなわけで素手でも結構いけたりするんです。
「そうかあ?」
「ヒキガエルはちょっと辛いくなーい?」
うん、ごめん。
嘘ついた。
正直ちょっと辛い……鬼火は殴るとダメージくらうし、ヒキガエルなんか触れると毒になるしでむっちゃキツイ。
特に毒はやばいよ。なにせ毒消し草の在庫があまりないからねえ。時間経過でHPゴリゴリ削られる。
まあ、それに気づいてからは中村と北上さんが相手することで対処してるけど、相手が複数の場合はそうもいかんのがねえ。
「ほんと武器落ちてねえからなあ」
「さすがにずっと素手はねー」
「術があるからギリギリなんとかなってはいるんすけどねー」
身体能力もかなり上がって印を結ぶのもかなり早くなったから、術で対応するのもありだけどMPがネックになってくるし……ん?
「そういや……レベル上がる速度はやいっすね?」
「あ、やっぱし?」
「どんどん上がってるねー」
俺の気のせいじゃなかったか。
短時間でどんどん身体能力あがってるんだよなあ。
1階層で1ぐらい? 数時間でこれだけ身体能力あがると、レベル上がってるなあって体感できて良いな。
アマツダンジョンだとなっかなかレベルあがらんからなー。そのへんが辛くてダンジョン攻略やめちゃった人も居るかも知れんし。やっぱ需要あるよな、生首ダンジョン。
まあ、それはそれとして。
ドロップの片寄りはもうちょっとどうにかして欲しいと思うんだっ。
モンハウにでもあたればさすがにアイテム確保できるだろうけど、装備が整ってない状態でモンハウとか、下手すりゃ全滅するしなあ。あれって一種のトラップみたいなもんだもん。
ま、モンハウなんて早々あたるもんじゃないんだけどね。
なんて思いっきりフラグを立てたわけだけど。
……まさかさ、ほんとにその直後にフラグ回収するなんて思わないじゃん?
次の階層に向かおうと階段を下りた先の部屋。
それがモンハウだったのだ。
ふぁっきゅー生首。
お前絶対俺の思考読んでるだろっ!
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