家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

文字の大きさ
上 下
249 / 304

「249話」

しおりを挟む
さて、ゴブリンの犠牲を最後に今日撮る予定の映像はすべて撮り終わった。

「とりあえず映像はたりそう?」

「おう、これだけあれば大丈夫だろ。いくつか分けてアップするよ」

「さよか」

中村はそう言うとすぐに動画編集に入る。
ウサギ、でかウサギ、犬にゴブリンと各モンスターごとに動画を作成するつもりのようだ。

最初のネズミの動画を考えれば、おそらくは夕飯前に終わるだろう。
隊員さんたちと夕飯一緒に食べて、ちょっと感想聞いてみたりするのも良いかもね。


「さって、どんな反応くるかね」

なんか適当にだべったり、クロと遊んでいる内に動画が出来上がっていた。
んで今はゴブリン以外の動画をアップしてどんな反応があるか見ているところである。

「1本目の動画と違って、視聴者も落ち着いてきてるっぽいな」

ウサギについてはそこまでの反応はなかった。
いや、あるにはあったんだけどネズミの時ほどではない。
あー、やっぱそうなるよねーみたいな感じ。

クロがずっと寝ていたもんで『まだ寝てるよ』とか『猫ちゃんよくこの状況で寝られるな』とか『もう猫だけ映して』とかそんなコメントが目立ったかな。


ただこれが犬の映像になると大分反応が違ってきた。

「あー、実際に犬やべえもんね」

「ウサギからの差が激しすぎっからな」

でけえ犬が殺意むき出して襲い掛かってくるもんで、迫力あるんだよね。
あと主観視点もあったほういいんじゃね? ってことで、俺がつけてるカメラからも映像を提供したもんで、余計迫力ある映像に仕上がっている。

カメラの存在すっかり忘れていたけれど、ちゃんとつけてるんだぞ。映像も提供してるしね。

視聴者の反応は色々だ。
ダンジョンに関しては、犬にビビッて『こっわ、まじこっわ! 警告いれとけよ!』とか『わんちゃんいじめるなんてかわ……いそうじゃねえな』それと『こんな危険なところに猫つれてきて何考えてんの?』といったコメントがあった。

あとはこの動画というか、俺たちに対する個人的な質問も増えてきてたね。

「収入聞くとかちょっと……いや、気になるのはわかるけど」

「答えにくい質問多いな、おい」

収入、年齢、ダンジョンの場所、性別(どういうことなの)、二人と猫の関係、レベル、働いてるの? などなど。他にも色々あるけど、ぱっと見でこんな感じかな。

「答えにくいのはスルーして、答えれるのは答えていこうか」

収入はちょっとね。
知らない親戚がダース単位で増えそう。いとこのはとこの知り合いとか。

年齢もなー……まあ若いってのは分かるとは思うけど、あえて言う必要はなかろう。
場所はちょっと言えない……まあ、そのうちバレるだろうけど。

性別はスルーした。
関係については知らない人と我が家の飼い猫ですと答えておいた。

レベルは一応秘密ってことに。
働いてるの? については俺たちニートですって言っておいたよ!


「装備はどこのメーカーのですか……米軍のお下がりとアメリカの警察? の盾でしょ」

「鉈と靴は?」

「鉈は小屋にあったやつだしなー……なんか銘がはいっとんな。画像だけ上げておく? 靴は海外のブランドっぽい。これもロゴの画像あげよか」

装備についても聞かれたもんで、鉈をよくよく見てみると何やら銘が入ってたんだよな。
これもしかして量産で作ったやつじゃなくて、職人の手作りとかだったりするのだろうか? 確か量産品よりそっちのほうが性能良くなるとかって話だったよな。

小屋に放り込んであったから、なんてことはないタダの鉈だと思ったら……まあ、これに関しては嬉しい誤算ってとこだね。

まあ、銘は読めなかったので画像あげれば詳しい人が調べるでしょ。


さてさて、あとはゴブリンの動画をあげるだけだ。
クロの戦闘シーンもあるし盛り上がるのは間違いないだろう。
盛り上がらなかったらちょっとゴブリンにブレス吐いてもらおうかな。


「これが最後な訳だけど……どんな反応くると思う?」

「クロを崇め奉るような?」

「……」

なに無言なっとん。
冗談だよ。

さって、どんな反応あるかなー?
ちなみに動画は無修正だよ! モザイクなしとかチャレンジャーだよね。今更だけど。
これでBANされたら笑う。

「わあ、ちょう荒れてる」

「……まあ罵詈雑言ってわけじゃないから良いけどさ」

なんか阿鼻叫喚って感じ。
そんなことよりもっとクロのこと褒めなさいよ!

まったく……。
とりあえずコメントちゃんと読むか。

「……クロはCG説。実は島津とかが攻撃しててクロは何もしていない説。猫又説。癒しなんてなかった? は?」

最後の書いたのどこのどいつだ。
見つけ次第ブレスぶっぱなして……まあ、なんかクロは満足そうだからしないけどさ。

まったくもー。


……ざっと見た感じ、最後のあれ以外は変なコメントはなかったよ。
クロに襲いかかるゴブリンを見て焦ったり、爆散したゴブリンをみて混乱したり、その後の俺の解説を聞いて、納得したりしなかったりと……まあ、そんな感じだ。

「そこまで過激な反応はないね」

「下手すりゃ自分の首絞めることになるしな。てかお前の反応が過激で怖いわ」

「冗談だよ」

ほんとだよ?

「あと島津は猫の言葉わかるのか? ってのも多いな」

「猫耳尻尾勧めよう。これがあればそのうち猫と会話できるようになるぞ! ってやっとけばダンジョン潜る人増えるかもよ」

「まあ、あとで作るか。猫以外もあるってのは付け加えるけど」

それは残念。
まあ、人類の半分は猫好きらしいから、半分は猫耳尻尾になることだろう。よし!


あ、そうそう言ってなかったけどね。
視聴数だけどね、すんごい勢いで増えてたりするよ。

中村が言うにはSNSやらどこぞの掲示板で広まっているらしく、そこから人が大量に流れてきたんだろうってことだ。
これ、また掲示板が凄いことになってそうだな。あとでちらっと見てみるかな?


ま、何はともあれ動画の投稿に関しては成功したと言ってもいいんじゃないかな?
チャンネル登録者もすごい勢いで増えてるみたいだし、これからも動画を上げればみんな見てくれることだろう。

……ん? 中村がしかめっ面して画面みてるな。何かあったんじゃろか。

「あとは……彼女いますか? なんでいると思った?」

「え?」

「え?」

うん?
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

追放されたら無能スキルで無双する

ゆる弥
ファンタジー
無能スキルを持っていた僕は、荷物持ちとしてあるパーティーについて行っていたんだ。 見つけた宝箱にみんなで駆け寄ったら、そこはモンスタールームで。 僕はモンスターの中に蹴り飛ばされて置き去りにされた。 咄嗟に使ったスキルでスキルレベルが上がって覚醒したんだ。 僕は憧れのトップ探索者《シーカー》になる!

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

スキル:浮遊都市 がチートすぎて使えない。

赤木 咲夜
ファンタジー
世界に30個のダンジョンができ、世界中の人が一人一つスキルを手に入れた。 そのスキルで使える能力は一つとは限らないし、そもそもそのスキルが固有であるとも限らない。 変身スキル(ドラゴン)、召喚スキル、鍛冶スキルのような異世界のようなスキルもあれば、翻訳スキル、記憶スキルのように努力すれば同じことができそうなスキルまで無数にある。 魔法スキルのように魔力とレベルに影響されるスキルもあれば、絶対切断スキルのようにレベルも魔力も関係ないスキルもある。 すべては気まぐれに決めた神の気分 新たな世界競争に翻弄される国、次々と変わる制度や法律、スキルおかげで転職でき、スキルのせいで地位を追われる。 そんななか16歳の青年は世界に一つだけしかない、超チートスキルを手に入れる。 不定期です。章が終わるまで、設定変更で細かい変更をすることがあります。

生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ
ファンタジー
世界が退屈でしかなかった1人の少年〝稗月倖真〟──彼は生まれつきチート級の身体能力と力を持っていた。だが同時に生まれた現代世界ではその力を持て余す退屈な日々を送っていた。  そんなある日いつものように孤児院の自室で起床し「退屈だな」と、呟いたその瞬間、突如現れた〝光の渦〟に吸い込まれてしまう!  気づくと辺りは白く光る見た事の無い部屋に!?  するとそこに女神アルテナが現れて「取り敢えず異世界で魔王を倒してきてもらえませんか♪」と頼まれる。  だが、異世界に着くと前途多難なことばかり、思わず「おい、アルテナ、聞いてないぞ!」と、叫びたくなるような事態も発覚したり──  でも、何はともあれ、女神様に異世界召喚されることになり、生まれた世界では持て余したチート級の力を使い、異世界へと魔王を倒しに行く主人公の、異世界ファンタジー物語!!

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

チートを貰えなかった落第勇者の帰還〜俺だけ能力引き継いで現代最強〜

あおぞら
ファンタジー
 主人公小野隼人は、高校一年の夏に同じクラスの人と異世界に勇者として召喚される。  勇者は召喚の際にチートな能力を貰えるはずが、隼人は、【身体強化】と【感知】と言うありふれた能力しか貰えなかったが、しぶとく生き残り、10年目にして遂に帰還。  しかし帰還すると1ヶ月しか経っていなかった。  更に他のクラスメイトは異世界の出来事など覚えていない。  自分しか能力を持っていないことに気付いた隼人は、この力は隠して生きていくことを誓うが、いつの間にかこの世界の裏側に巻き込まれていく。 これは異世界で落ちこぼれ勇者だった隼人が、元の世界の引き継いだ能力を使って降り掛かる厄介ごとを払い除ける物語。

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!(改訂版)

IXA
ファンタジー
凡そ三十年前、この世界は一変した。 世界各地に次々と現れた天を突く蒼の塔、それとほぼ同時期に発見されたのが、『ダンジョン』と呼ばれる奇妙な空間だ。 不気味で異質、しかしながらダンジョン内で手に入る資源は欲望を刺激し、ダンジョン内で戦い続ける『探索者』と呼ばれる職業すら生まれた。そしていつしか人類は拒否感を拭いきれずも、ダンジョンに依存する生活へ移行していく。 そんなある日、ちっぽけな少女が探索者協会の扉を叩いた。 諸事情により金欠な彼女が探索者となった時、世界の流れは大きく変わっていくこととなる…… 人との出会い、無数に折り重なる悪意、そして隠された真実と絶望。 夢見る少女の戦いの果て、ちっぽけな彼女は一体何を選ぶ? 絶望に、立ち向かえ。

目覚めた世界は異世界化? ~目が覚めたら十年後でした~

白い彗星
ファンタジー
十年という年月が、彼の中から奪われた。 目覚めた少年、達志が目にしたのは、自分が今までに見たことのない世界。見知らぬ景色、人ならざる者……まるで、ファンタジーの中の異世界のような世界が、あった。 今流行りの『異世界召喚』!? そう予想するが、衝撃の真実が明かされる! なんと達志は十年もの間眠り続け、その間に世界は魔法ありきのファンタジー世界になっていた!? 非日常が日常となった世界で、現実を生きていくことに。 大人になった幼なじみ、新しい仲間、そして…… 十年もの時間が流れた世界で、世界に取り残された達志。しかし彼は、それでも動き出した時間を手に、己の足を進めていく。 エブリスタで投稿していたものを、中身を手直しして投稿しなおしていきます! エブリスタ、小説家になろう、ノベルピア、カクヨムでも、投稿してます!

処理中です...