家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

文字の大きさ
上 下
220 / 304

「220話」

しおりを挟む

自ら率先してぶっさすとか、まず出来るもんじゃない。

なんて俺が少しベジタリアンを見直していると、休憩所の入り口……あ、俺たちが今いるのは、アメリカの特大ダンジョンの休憩所ね。 特大ってだけあって、休憩所もかなり広いんだ。それこそ1000人ぐらいなら入れそうって程度に。

んで、その休憩所の入り口から、ちょっと階級高そうな人が入ってきたんだ。
政府高官とかそんなんじゃなくて、たんに軍の偉い人って感じ。

その人は休憩所の……なんか、演説する台みたいあのがあるな。そこに向かうとマイクに向かい話始める。


「それでは本日の日米合同訓練の内容について説明する」

挨拶もそこそこに、合同訓練の……訓練だったのか、まあいいや。その、合同訓練の内容についてざっと説明が始まった。
勿論、みんな事前には聞いているのだろうけどね。みんな知ってはいるだろうが……ってやつだ。

まあ、内容をざっくり言うと。
先行組同士でパーティー組んで、レベル上げと階層更新がんばれよ。装備は用意してあるから借りるのを忘れずにな。それじゃ、諸君の検討を祈る。
そんな感じだ。ざっくりしすぎな気もするけど、大体これであってるんだからしゃーない。

さてさて、それじゃさっそく装備の用意しますかね。
借りないのかって? だって、用意してある装備って10階で買えるやつなんだもん。

「せっかくだから良いの買っちゃおうかなと」

「日本にも特大ダンジョンはありますからね、いずれ向こうを攻略することを考えれば借りるよりは買ったほうが良いでしょう」

俺たちが装備を借りに行かないのを、ちょっと困惑した様子でウィリアムさんが見ていたので、俺と都丸さんとで理由を説明しておく。

別に装備借りるのは強制じゃないしね。
性能良いのがあるならそっちを使いたいし、どうせ今後も自分で使うことになるんだから、使い込んで強化したやつを手元に置いておきたいじゃん?

ここで借りた装備を使うと、せっかく強化した装備を返すことになっちゃうからな。アメリカとしてはそっちの方が嬉しいんだろうけどね。

ウィリアムさんは、それを聞いて納得したように頷いていた。

「確かにその通りかと。経費として申請して頂ければ、全額は無理かも知れませんが出ますので忘れずに申請をしてくださいね」

お? 経費で落ちるのか。ポイントで帰ってはこないだろうから、お金になって戻ってくるんだろうか。
なかなかありがたいね

と、言う訳でさっそく装備を探すとしようか。

「猫用のあるかな……ん、いいから自分の探せって? ほいほい」

クロの装備探そうとしたら『うにゃっ』と注意を受けた。
自分の分は自分で探すから、俺もそうしろとのことだ。ちょっと残念……まあでも、クロは装備のセンス悪くないし、きっとよさげなものを見つけることだろう。

俺は俺で自分のを探そっと。


つーわけで、Dパッド起動して装備欄をみていたのだけどね。
特大ダンジョンで装備可能なのってどんなのがあるのかなーって思っていたら……。

「おぉ、パワードスーツっぽい」

鎧って感じではなかったね。
自分より一回り大きな、駆動付きの骨格を纏うみたいな感じ? これはこれで中々恰好よくて良いと思います。

ここでちらっとウィリアムさん達をみたら、特大ダンジョン用の装備に着替えるところだった。
個室じゃないのね。まあ見られるからこちらとしては良いんだけど。

んで、ウィリアムさん達も同じようにパワードスーツぽいのを着ていたから、基本特大ダンジョン用の装備ってこの手のタイプなんだろう。

頭とお尻に申し訳程度に耳と尻尾がついてるのが、なんかうける。


さて、それじゃ……どれにしようね?
いやさ、一応パワードスーツにもいくつか種類があるんだよ。おそらく違うのは見た目だけで、性能は変わらないと思うけど……これは中々センスが問われるんじゃないだろうか? ちょっとカンニングしちゃおう。

「皆さんどれにしました? とは言ってもそんなに種類なさそうですけど」

教えてみんなー!

「まあ、無難にこれかな」

そういって都丸さんが操作していたDパッドを見せてくれた。
うつっていたのは、ウィリアムさん達がつけているのと同系統のものだ。
深い階層の装備だけあって、都丸さんが見ていた装備のほうが強そうに見える。
実際にはウィリアムさん達の装備は改造とか諸々やってあるだろうから、どちらが強いかは一概に言えないのだけどね。

まあ、やっぱ無難にこのタイプだろうなあ。
となると俺も同系統で揃えるべきか……と、考えていたら、俺たちの様子をみに来たのか、ウィリアムさんが近付いてきて、俺たちが見ている端末に、すっと指を近づける。

「こちらではないのですか?」

そういってウィリアムさんが指し示したのは、日本風の……いわゆる当世具足みたいな装備であった。
これかー……実は俺も悩んでいたんだよね。実はこれ、めっちゃ恰好良いのだ。所々に駆動部分が見えていて、鎧武者と機械が合わさったように見えて……すごく良いのだ。語彙力しんでるけど、すごく良いのだ。

ならなんでそれを選ばないかと言うと。

「ちょっとコスプレ感があって、恥ずかしいかなと」

それな。
じゃあ、パワードスーツはいいのかって話だけど、ほら、もうウィリアムさん達が身に着けてるし?

「猫耳尻尾生やしておいて今更感がすごいっす」

「……まあそうだな」

「そっすね……」

ああ、はい、確かに。
言われてみれば猫耳尻尾もそうっすね……みんなもう麻痺しちゃってるよね。これもコスプレっちゃコスプレなのに。俺? 俺は別に最初から抵抗は無かったよ。

「じゃあ……これにするか?」

「良いんじゃないっすかね」

まあ、そういう事であればと、俺たちは当世具足のような装備を選ぶことにした。
そして実際に身に着けたりしていると、まわりに居た他の隊員さん方も、『じゃあこっちもあれにするか』みたいな感じで同じ装備を選び、結局自衛隊員は全員鎧武者のような姿になることになる。ただし耳と尻尾付き。

さて、これで俺と隊員さんの装備は決まった。
あとは……。

「クロは何かよさそうなのあった?」

俺がクロに声をかけると、クロは無言でスッとDパッドを差し出す。
見てみろってことかな。どれどれ。

「ん……え、これが?」

……Dパッドにうつっていたのは、なんて言ったらいいのだろうか。
あれだ、ペット用の二足歩行の着ぐるみだ。

むかーし、ケルベロスっぽい装備があったけど、見た目はあれが近いかな。
ただ、こっちは武器扱いではないからか、首が3つのとかは無いけどね。

いやー……この中から選ぶしかないのか。どれもひどいぞ。
なんとかましなのを選ぶしかないけど……ねえ?


「クロがやさぐれてしまった」

「これはひどい」

「アマツさんの趣味は分からんな」

結局クロが選んだのは、ちょっと着物っぽいやつ……なんだっけね、これ。
陣羽織とか、陣傘とか言われる奴かな? あれをデフォルメしたのを想像してもらえば良いと思う。
正面からみると、二足歩行のにゃんこがそんな格好している風に見えて、なかなか似合うと思うのだが、いかんせんやさぐれてしまっている。眼光だけで人を殺せそうだ。
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

スキル盗んで何が悪い!

大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物 "スキル"それは人が持つには限られた能力 "スキル"それは一人の青年の運命を変えた力  いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。  本人はこれからも続く生活だと思っていた。  そう、あのゲームを起動させるまでは……  大人気商品ワールドランド、略してWL。  ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。  しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……  女の子の正体は!? このゲームの目的は!?  これからどうするの主人公!  【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

処理中です...