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「219話」
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「えぇ……まじかよ」
大体、軽くあてるだけで付く仕様なんだし、挿す必要なんてないんだけどさ……誰かが仕様変えてとアマツにお願いでもしない限り変わらないはずだ。
どこのバカだこんなことしたのは。
その時であった。
俺の脳裏にフラッシュバックするかの如く、突如として嘗ての光景が思い浮かぶ。
『お前の尻に尻尾生やすんだよぉっ!』
『周りの人らが、おーまいがっ!とかじーざすとか騒いでるけど、どうせすぐこの隊長さん見たいに大人しくなるさ』
『次はお前らが生やす番だ』
『それとも物理的に刺さっているほうが良かったのだろうか? あいにく俺はその手の趣味は無いので理解は出来ないが……今度アマツに言っておいてあげよう』
『アメリカ版の尻尾は物理的に刺して使う仕様にして欲しいそうだ、と』
犯人、俺だった。
やべーな、バカは見つかったようだ。
しかし、ひどいセリフだ。これじゃまるで俺が鬼畜の様ではないか。
てかまじでどうしよう。
すっかり忘れてたんだけど……これ、もしも彼らがアマツに仕様戻してください! とか直談判しようものなら。
『あれ? おかしいな、アメリカ版の尻尾は物理的に刺して使う仕様にしてほしいと君たちが望んでいる。と島津くんから聞いたんだけど』
とか、そんな感じのことをアマツが口走った時点で終わる。
やばい、ヤバすぎる。
てかあれだよね。
アメリカが苦戦してるのって、一部は俺のせいだよな!
これは……ばれる前に行動せねば。
「ウィリアムさん、ちょっと良いですか?」
「……はい」
俺が声を掛けると、ウィリアムさんは震える声で答える。
その目には薄っすらと涙が浮かんでいる……おう、まじすまん。
俺は心の中で謝りながら、ウィリアムさんにアメリカ版の尻尾の仕様がどうも違うようだと伝えた。
「使用している尻尾が違う……?」
そのあまりにショックな内容に、ウィリアムさんの顔から表情が抜け落ちた。
……俺は申し訳なさ過ぎて、すっと顔をそらして……自分の尻尾をつかむと、すっと取り外してみせた。
「ええ、俺たちが使用しているのは……この通り、くっつくタイプです」
「そんな……バカな。いや、確かに最初はそうでした……だがある日、急に変わってしまったんです……うぅっ」
ごめんなさいぃぃ! 変えたの俺です! いや、てっきりそっちの方が嬉しいかと思って……まさかこんな事になってるとは思ってなかったんです。 てか、忘れてたんです。まじで酷いな俺!?
「少しお待ち頂いても良いですか?」
俺はウィリアムさんにそう一言残し、全力でダンジョン内の自室へと向かった。
「アマツゥゥゥ!! アマツさぁあああん!? ごめん緊急事態発生!!」
そして部屋に入るなり、俺は全力でアマツをよんだ。
今、アマツは休んでいるが緊急事態であれば対処してくれるはず……これ、緊急事態よね?
たぶん、様子は伺ってるはずだから来てくれると……きたっ!
「やあ、どうしたんだい?」
そう言いながら、寝間着姿のアマツが眠そうに目をこすりながら現れた……まさか普通に寝てたのか?
それは悪いことをした……が、今は緊急事態だ。
俺はアマツにここまでの話をして、どうにかアメリカ版尻尾の仕様を元に戻すよう拝み倒すのであった。
「そうか、私もすっかり忘れていたよ。いやあ、彼らには済まない事を……ブフォッ」
「なにわろてんねん」
笑い事じゃないよー! わりと大惨事だよっ。
原因俺だけどなあっ!
俺がはやくはやくと急かすと、アマツは自分の端末を取り出しぽちぽちと操作を始める。
「はい、元に戻しておいたよ」
「ありがと! 助かったー! あ、このことは秘密でお願いしますっ」
「ああ、もちろんだよ。これ下手すると私も怒られそうだからねえ。ハハハ!」
いや、ほんと、まじで頼むね??
ばれたら袋叩きにあいそう。
……さて、戻るか。
さっきの操作で元の尻尾に戻っているはずだ。
おそらく尻尾もお尻から……どうなるんだ? そういえば、根本がどういう構造なのか知らないな。
単純に今俺がつけてる尻尾をむりやりねじ込んでいるのか、それとも根元にこう……深く考えるのは止めよう。
とりあえず戻るぞー!
部屋から戻ると、すぐに歓声に包まれる。
どうやら尻尾は自然とお尻から抜け落ちた? らしい。
落ちた尻尾を慌てて付け直そうとして、挿さずとも付けられることに気が付いた……ってとこだろう。
まあ、中には勢いでぶっさした人もいるかもだけど。
なむさん。
盛り上がる彼らの様子を眺めていると、ウィリアムさんがこっちを見て、ダッシュで駆け寄ってきた。
「おお、島津さん! みてください! 尻尾が、ほら!」
「よかったです。 どうにか願いを聞き届けて貰えたようで……」
めちゃくちゃ喜んでるね。
よかったよかった。
でもあんまり近付けないでくれると嬉しいな?
「ありがとうございます!! あ、ありが、とう……うぅっ」
いやあ、そんな泣かれて感謝されると……心が痛む。なんか鼓動早くなってきて、気付かれないかと背中に冷や汗かいてきたぞ。
しっかしほんっと、ひどいマッチポンプである。
まわりを見ればウィリアムさん程では無いにしろ、泣きそうになってたりする人もちらほらいる。
中にはそうでもない人もいるけど……あれは、尻尾をつけてないし、手にも持ってないから……なんだろね。尻尾つける人が決まってたんだろうか? パーティーで一人だけとか。
……ん???
あれ、ちょっと待てよ。
そういやウィリアムさんが指示を出す前に、尻尾つけてた奴おったよな?
確かあいつは……ベジタリアンだ。
あいつだけ、最初から尻尾生えてたよな。
……ベジタリアン、お前、凄い奴だったんだ
大体、軽くあてるだけで付く仕様なんだし、挿す必要なんてないんだけどさ……誰かが仕様変えてとアマツにお願いでもしない限り変わらないはずだ。
どこのバカだこんなことしたのは。
その時であった。
俺の脳裏にフラッシュバックするかの如く、突如として嘗ての光景が思い浮かぶ。
『お前の尻に尻尾生やすんだよぉっ!』
『周りの人らが、おーまいがっ!とかじーざすとか騒いでるけど、どうせすぐこの隊長さん見たいに大人しくなるさ』
『次はお前らが生やす番だ』
『それとも物理的に刺さっているほうが良かったのだろうか? あいにく俺はその手の趣味は無いので理解は出来ないが……今度アマツに言っておいてあげよう』
『アメリカ版の尻尾は物理的に刺して使う仕様にして欲しいそうだ、と』
犯人、俺だった。
やべーな、バカは見つかったようだ。
しかし、ひどいセリフだ。これじゃまるで俺が鬼畜の様ではないか。
てかまじでどうしよう。
すっかり忘れてたんだけど……これ、もしも彼らがアマツに仕様戻してください! とか直談判しようものなら。
『あれ? おかしいな、アメリカ版の尻尾は物理的に刺して使う仕様にしてほしいと君たちが望んでいる。と島津くんから聞いたんだけど』
とか、そんな感じのことをアマツが口走った時点で終わる。
やばい、ヤバすぎる。
てかあれだよね。
アメリカが苦戦してるのって、一部は俺のせいだよな!
これは……ばれる前に行動せねば。
「ウィリアムさん、ちょっと良いですか?」
「……はい」
俺が声を掛けると、ウィリアムさんは震える声で答える。
その目には薄っすらと涙が浮かんでいる……おう、まじすまん。
俺は心の中で謝りながら、ウィリアムさんにアメリカ版の尻尾の仕様がどうも違うようだと伝えた。
「使用している尻尾が違う……?」
そのあまりにショックな内容に、ウィリアムさんの顔から表情が抜け落ちた。
……俺は申し訳なさ過ぎて、すっと顔をそらして……自分の尻尾をつかむと、すっと取り外してみせた。
「ええ、俺たちが使用しているのは……この通り、くっつくタイプです」
「そんな……バカな。いや、確かに最初はそうでした……だがある日、急に変わってしまったんです……うぅっ」
ごめんなさいぃぃ! 変えたの俺です! いや、てっきりそっちの方が嬉しいかと思って……まさかこんな事になってるとは思ってなかったんです。 てか、忘れてたんです。まじで酷いな俺!?
「少しお待ち頂いても良いですか?」
俺はウィリアムさんにそう一言残し、全力でダンジョン内の自室へと向かった。
「アマツゥゥゥ!! アマツさぁあああん!? ごめん緊急事態発生!!」
そして部屋に入るなり、俺は全力でアマツをよんだ。
今、アマツは休んでいるが緊急事態であれば対処してくれるはず……これ、緊急事態よね?
たぶん、様子は伺ってるはずだから来てくれると……きたっ!
「やあ、どうしたんだい?」
そう言いながら、寝間着姿のアマツが眠そうに目をこすりながら現れた……まさか普通に寝てたのか?
それは悪いことをした……が、今は緊急事態だ。
俺はアマツにここまでの話をして、どうにかアメリカ版尻尾の仕様を元に戻すよう拝み倒すのであった。
「そうか、私もすっかり忘れていたよ。いやあ、彼らには済まない事を……ブフォッ」
「なにわろてんねん」
笑い事じゃないよー! わりと大惨事だよっ。
原因俺だけどなあっ!
俺がはやくはやくと急かすと、アマツは自分の端末を取り出しぽちぽちと操作を始める。
「はい、元に戻しておいたよ」
「ありがと! 助かったー! あ、このことは秘密でお願いしますっ」
「ああ、もちろんだよ。これ下手すると私も怒られそうだからねえ。ハハハ!」
いや、ほんと、まじで頼むね??
ばれたら袋叩きにあいそう。
……さて、戻るか。
さっきの操作で元の尻尾に戻っているはずだ。
おそらく尻尾もお尻から……どうなるんだ? そういえば、根本がどういう構造なのか知らないな。
単純に今俺がつけてる尻尾をむりやりねじ込んでいるのか、それとも根元にこう……深く考えるのは止めよう。
とりあえず戻るぞー!
部屋から戻ると、すぐに歓声に包まれる。
どうやら尻尾は自然とお尻から抜け落ちた? らしい。
落ちた尻尾を慌てて付け直そうとして、挿さずとも付けられることに気が付いた……ってとこだろう。
まあ、中には勢いでぶっさした人もいるかもだけど。
なむさん。
盛り上がる彼らの様子を眺めていると、ウィリアムさんがこっちを見て、ダッシュで駆け寄ってきた。
「おお、島津さん! みてください! 尻尾が、ほら!」
「よかったです。 どうにか願いを聞き届けて貰えたようで……」
めちゃくちゃ喜んでるね。
よかったよかった。
でもあんまり近付けないでくれると嬉しいな?
「ありがとうございます!! あ、ありが、とう……うぅっ」
いやあ、そんな泣かれて感謝されると……心が痛む。なんか鼓動早くなってきて、気付かれないかと背中に冷や汗かいてきたぞ。
しっかしほんっと、ひどいマッチポンプである。
まわりを見ればウィリアムさん程では無いにしろ、泣きそうになってたりする人もちらほらいる。
中にはそうでもない人もいるけど……あれは、尻尾をつけてないし、手にも持ってないから……なんだろね。尻尾つける人が決まってたんだろうか? パーティーで一人だけとか。
……ん???
あれ、ちょっと待てよ。
そういやウィリアムさんが指示を出す前に、尻尾つけてた奴おったよな?
確かあいつは……ベジタリアンだ。
あいつだけ、最初から尻尾生えてたよな。
……ベジタリアン、お前、凄い奴だったんだ
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