上 下
210 / 304

「210話」

しおりを挟む

「……逃げたりしないよな?」

首を刎ねればいいだろうとひたすら攻撃していたのだけど、あからさまに狙うようになってから、飛竜の動きがどうも……こう、逃げ腰というのかな? じりじりと距離をとって、積極的に攻撃を仕掛けなくなってきたんだよね。

某ゲームの飛竜の如く飛んで逃げだしたらどうしよう。

まあ、定期的にクロが翼にダメージいれてるから、大丈夫とは思うけどね。
たださ、あの巨体であの速度で飛び回るのって翼から得る力だけじゃ無理な気がするんだよね。
だから魔法とかそういった力も使って飛んでるんじゃないかなーと思うのですよ。いざとなってそれでもって逃げだしたりとかありえなくはない。

もし飛んだらすぐ叩き落せるようにしておこうか。



「死んだよな? 首なしで動いたりすんじゃねーぞ……」

それから10分ぐらいがどつきまわして、どうにか飛竜の首を落とせたよ。
結局逃げたりはしなかったね。

もうね、タフ過ぎ。
首落としたけどまだ動くんじゃないかと不安になるぐらいだ。

「くっそタフかったなあ」

たいして山場もなく、ただひたすら消耗戦をしていたのだけど、ポーションの残りがあと1個とかになってたから、実はギリギリの戦いだったりする。

「こいつが複数出てきたらどうすりゃいいんだ……?」

どうにかして早めに首を落とせる方法を考えないとあかんね。ポーションをどれだけ用意することになるのやら……まあ、とりあえず飛竜を回収して、帰ってから考えるか。

「……何、尻尾気になるの?」

飛竜をバックパックに詰め込んでいると、ちぎれた尻尾の匂いをしきりに嗅いでるクロの姿に気が付いた。
……飛竜といえば、尻尾から良いアイテムが出るイメージがあるのだよね。某狩りゲームのせいだろうけど。

ダンジョンを造るにあたって、地球のゲームを参考にしているとかそういう話だったよな?
もしかするともしかするかも知れない。

狩りゲームだし、ダンジョンとあまり関連ないかもだけど……探してみる価値はありそうだ。



「よっしゃ帰るぞー!」

2時間かけて! 何も出ませんでしたとさっ!
くっそ、逆鱗みたいのあるんじゃないかなーとか思ってさ、鱗を一枚一枚はいだりしたのにさ!
ていうか、解体所もっていくなりすれば、素材ごとに分けてくれるんだしそれで良いじゃんって話だ。あほじゃん俺。
くそう、時間無駄にしたぜ。まあクロが楽しそうだったから良いけど……。

ぬう……さっき吐いたせいで、お腹も空いてるしBBQ広場に突撃だー!




帰りも飛んでかないとダメなの忘れてたわ。
まあ、ブレス無しでも大丈夫だったから良いけど。

ああ、そうそう。
一応次の階層覗いてみたけど、やはりというか浮島エリアだったね。
幸い島から島の距離はそんな遠くなさそうではあったけど、問題は飛竜の数がそこそこ居たことかな。
囲まれるとやべえですわ。何かしら対策してからじゃないと進めそうにはないね。



さて、とりあえず飛竜をマーシーに渡してっと……これで、食用に向いてませんとか言われたら泣くが。ないよね?

「ところでこいつ食えるよね?」

「勿論でございます」

OKOK。
じゃあ、食べようか。

「ふむ。それじゃあ調理はマーシーにお任せして……北上さんご飯ご一緒しませんかーっと」

クロと二人でも良いけど、せっかくの新しいお肉なんだし、北上さんを呼んでしまおう。
他の隊員さんは今度あったらだな!

中村? 次の週末にでも声かけるかね。

よっし、北上さんおいでませー。


「きったよー!」

1分掛からずにきたね!

さすがダンジョンに住んでるだけある。
それでも1分は早いから、たぶん今日は休日だったんだろうね。
最初から私服だったから、着替えずにさくっとこれたってことだろう。

まあ、そんな分析はさておき。
さっそくとれたての飛竜を北上さんに見せてあげよう。
頭だけだけど。

「うわっ? もしかしてこれが飛竜?」

「でっす」

バックパックから頭を取り出し、ごろんと転がす。
ぱっと見では以前倒したドラゴンに見えなくもないが、その大きさや色は大きく異なっているので、すぐに別物だとわかる。

かなり黒っぽいんだよね、こいつ。
それに少し緑掛かってる感じだ。

正直おいしそうには見えない。
ああ、でもウナギとかはこんな色だったかも。

……いや、でもこいつトカゲだしな。
やっぱ美味しそうにみえんなっ。

「前のドラゴンよりずっと大きいねえ……突破おめでとう」

「ありがとうございます!」

褒められると照れるけど、初回のドラゴンほどじゃないけど、苦労したからねえ。
ここは素直に喜んでおこう。変に格好つけて北上さんに「こいつめんどくさっ」とか思われても困るし。

すなおが一番だね。


さて、そろそろマーシーの料理も出来上がるころかな。
一体どんな味なのやら。




「お腹くるしい……」

「うー。お腹はじけるぅ」

1時間後。
広場にて、お腹を押さえて転がる俺と北上さんの姿があった。

味はとても美味しい。

てか美味しすぎる。
気が付いたら無言でひたすら肉食ってたよ……。
カニを食べる時よりずっと集中してたと思う。

これは、世の中に出しちゃあかんお肉なのではなかろうか?
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

スキル【縫う】で無双します! 〜ハズレスキルと言われたけれど、努力で当たりにしてみます〜

藤花スイ
ファンタジー
コルドバ村のセネカは英雄に憧れるお転婆娘だ。 幼馴染と共に育ち、両親のように強くなることが夢だった。 けれど、十歳の時にセネカが授かったのは【縫う】という非戦闘系の地味なスキルだった。 一方、幼馴染のルキウスは破格のスキル【神聖魔法】を得て、王都の教会へと旅立つことに⋯⋯。 「お前、【縫う】なんていうハズレスキルなのに、まだ冒険者になるつもりなのか?」 失意の中で、心無い言葉が胸に突き刺さる。 だけど、セネカは挫けない。 自分を信じてひたすら努力を重ねる。 布や革はもちろん、いつしか何だって縫えるようになると信じて。 セネカは挫折を乗り越え、挑戦を続けながら仲間を増やしてゆく。 大切なものを守る強さを手に入れるために、ひたむきに走り続ける。 いつか幼馴染と冒険に出る日を心に描きながら⋯⋯。 「私のスキルは【縫う】。  ハズレだと言われたけれど、努力で当たりにしてきた」 これは、逆境を乗り越え、スキルを磨き続けた少女が英雄への道を切り拓く物語!

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~

夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。 が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。 それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。 漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。 生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。 タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。 *カクヨム先行公開

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

処理中です...