192 / 304
「192話」
しおりを挟む
さあ、戦闘だ!……の前に、少し歩いた先に看板があるのに気付いた俺たちは、戦闘前にそれを見ておくことにする。
おそらくアマツからのメッセージだろう。無視したら泣きそうだからしょうがないね。
歩いている内に天使との距離も縮まり、遠くからは見えなかった細部が見えてきた。
天使と言うことでめっちゃ美形なのを想像していたのだけど……こう来たか。
「近付いてみるとそこまで人って感じじゃないね」
「なんかロボットぽいな」
顔が人じゃ無かったんだよね。ひどく無機質だ。
仮面付けてるのかな?と一瞬考えたけどそうでもなさそうだし、あれが本物の顔ってことらしい。
見えてる皮膚なんかも人とは違う。
綺麗な肌を陶器に例えたりするけど、これは本当に陶器って感じだ。生き物の肌じゃないね。
中村が言ったようにロボか何かと考えた方が良さそうである。
「そうだな……まあ、大勢の一般人みてるんだ。そんな外見がモロに人の奴と戦わせたりはしないだろう」
「だよねー」
ま、そゆことだよね。
明らかに外見が人なのをばっさー切り捨てたらさすがに不味かろう。
ちなみに天使の数は俺たちと同じだったりする。
一人一体担当かな……一体だけ他と見た目違うの居るから、リーダー格だろうか?あいつは俺がやろう。
おっと、天使を眺めている内に看板が近付いてきたぞっと。
「えーっと……ステージ3到達おめでとう!このフィールドに居る敵を全て倒せばクリアだよ!結構手強い相手だから、道中拾ったアイテムを駆使して戦って欲しい!それじゃ健闘を祈ってるよ!みんなのダンジョンマスター、アマツより」
「うーん、なんだろうこの脱力感」
「ははは……」
前の看板もだけど、なんか見る度に気力がゴリって削られてる気がする。
こんなところで難易度上げてくるなし。
まあ、気を取り直して戦闘の準備をしよう。
敵はまだ動く気配がない、おそらくこちらが一定距離に近付くか、遠距離攻撃を仕掛けるまで動かないと思う。
なのでせっかく取ってきたお菓子を使い、がっちり強化した上で挑もう。
「それじゃアイテム使いますか。大量に手に入ったんで、皆使って――」
蜘蛛から必死こいて確保した大量に確保したお菓子……それらを皆にも分けようと取り出した瞬間だった。
手に取ったはずのお菓子が、全て消えて無くなったんだ。
「――は?」
突然の出来事に理解が追いつかない。
決して俺が超速度でお菓子を食ったとかそんな事じゃない。
本当に手に取ったはずのお菓子が消えた……それに消えたのは俺のだけじゃないようだ。
隊員さん達が取ってきたお菓子も消えたらしく、袋をゴソゴソあさったり、ひっくり返してみたりしている……いったい何があったと言うのか。
そして俺たちが落ち着くより先に事態は進む。
上空から風切り音がしたかと思うと、地面にすさまじい勢いで何かが落ちてきた。
それは天使のリーダー格の真上へと落ち、地面にクレーターを生む。
……天使のリーダー格は即死だろう。
一体何があったのかと驚き固まる俺たちだったが、それは天使にとっても想定外の出来事だったらしい。
落ちてきた何かをみて、戸惑っている様子が伺える。
だが、それが……そいつが口を開き、高音で何かを発したかと思うと、天使たちは一斉にこちらへと振り向いた。無機質なその顔に宿るのは明らかな殺意。
「っ……来るぞ!」
戦闘になる。そう思い皆に注意を促した俺は、即座に竜化を使いこちらへと一斉に向かってきた天使達に向かいブレスを吐き出した。
数が多かったので多少広がるようにしてはいるため威力は下がるが、それでもまともに食らえばタダでは済まないはず。
……だと言うのに天使たちは避けるそぶりすら見せる事無く、ブレスに飲み込まれていく。
ひどく嫌な予感がした。
「!?」
嫌な予感はあたるものだ。
ブレスの火線を突き抜け、天使たちが一斉に飛び出してきた。
その外見には焦げ一つ見当たらない。
天使たちは俺を避けて後ろにいる隊員たちへと向かおうとしていた。
俺は手近な奴に切り掛かろうとして……視界の端にあいつがこちらに向かい突っ込んでくる姿を捉え、ターゲットを移す。
速度差からいって、あきらかにこっちが格上だ。
……正直この速さは俺の手に余る予感すらしている。隊員さんの援護に入る余裕は無さそうだ。
一瞬で俺の目前へと迫ったそいつは、恐ろしい速度で手に持つ武器を振るった。
「ぐっ」
それを俺はかろうじて盾や、装甲の厚い部分で受けるが……まるで紙を切るかのように切り裂かれ、体に痛みが走る。
流血の量からして深手ではないが……問題は痛みがあるのと流血していることだ。
今の俺はアバターではなく、生身だ。
……痛みがあるだけで動きが鈍くなる。
戦闘中に痛みを感じなくするとか、そんな人間離れしたことは俺には出来ない、どうにかこの猛攻を凌いで倒すしかないのだ。
「こっの」
が、いかんせん速度が違いすぎる。
痛みをこらえ何度も武器を振るうが、かすりすらしない。
幸いなのはこいつの攻撃力自体がさほどでは無いことだろうか。
防具をたやすく切り裂いたのは何か特殊な力が働いてそうである。そしてそれは防具のみにしか効果はない、と……なので何とか耐えて一撃を入れれば流れは変わる可能性はある。
と、そんな事を考えたのがいけなかったのだろうか。
そいつが口を開き、何かを言ったかと思った直後、今までの比じゃない速度で、武器がまっすぐこちらへと向かい伸びてくる。
切っ先が向かう先は……心臓だ!
「げフぉっ!」
ほんのわずか、ほんのわずかであるが身を捻る事が出来た。
切っ先は心臓をわずかに避け、肺を貫き背から飛び出る。
喉の奥から込みあがる血を、俺はたまらず吐き出した。
液体操作を使い、針状に変えた血液をそいつの顔面へと向かって。
眼前で広範囲に巻き散らかされた血液の針……普通は避けられないはずであるが、そいつは大勢を崩しながらも全てを避け切る。
……1発も当たらないとはさすがにショックだ。
でも、まあ良い。
本命は次だから。
「ッ土蜘蛛!」
体勢を崩したところに追撃の土蜘蛛を放つ。
狙うのは体の中心だ。たとえ避けようとしても、体のどこかには当たるだろうと言う狙いである。
そして俺の目論見は半分成功する。
土蜘蛛はそいつの左腕を付け根から吹き飛ばし、胴体も僅かに抉り取った。
このダメージは大きい。これで少しはこちらが有利になる……と思ったが。
そいつは空に飛びあがると、距離を取り……そして徐々にではあるが、気付いた体を再生していった。
こいつも再生持ちか。
持っていたナイフも投げたが、追尾以外は全て避けられた。
その当たった一つも致命傷には程遠い。塗った毒も効いた様子はない。
ブレスと言い毒と言い、どうやらこいつは属性攻撃のたぐいを無効化してしまうようだ。
……そして再生が終われば再び猛烈な攻撃が始まる。
切りつける速度が速すぎて、俺の体から飛び散った血が、まるで血煙のようになっている。
それに時折出す、高速の一撃……さらには手を大きく振るうと、光が扇状に広がり……それに触れると体がばっさりと切断されると言う、凶悪極まりない攻撃なんかも追加された。
最初に食らったときは避けそこなって、腕がスライスされた上に耳まで持っていかれた。
逆に俺の攻撃はまったくと言っていいほど当たらない。
特に土蜘蛛は警戒されているらしく、使うそぶりをみせると大きく距離をとるか、腕を切り落とそうとしてくる。
「ジリ貧か……吐き気がする」
戦闘中ずっとこちらを見つめているそいつの口は大きく弧を描いている。
それは戦闘開始から徐々に吊り上がり、今では狂気じみて見える。
こいつは戦闘が楽しくて仕方がないらしい。
……別に吐き気がするのは、笑っているのを見て……と言う訳ではない。
初めに言わなかったが、こいつの容姿は他の天使と大きく異なっている。
肌は非常にきれいだが、無機質ではなく生物のそれだ。
それに顔も中村がロボといったような見た目ではなく、人間のそれに近い。
……殺し合っている相手に言う言葉ではないかも知れないが、恐ろしく美形だ。
プロポーションも完璧と言っていいだろう。
ただ、こいつは……綺麗すぎるのだ。
綺麗すぎて、逆にそこが違和感となって気持ち悪く感じてしまっているのだと思う。
ずっと見ていると気が狂うかも知れない。
……まあ、向こうも同じような事を思っているかも知れないがな。
血だらけになって、なんど致命傷を負っても戦う事をやめない俺の姿は普通は異常に見えるはずだ。
まあ、こいつが普通の感覚を持っているとは思えないから、何とも思っていない可能性もあるけどさ。
目に走る激痛、それに奪われた視界……頭部を突き抜けていく激痛を感じながらそんな事を考えていると、後ろの方からこちらに駆け寄る複数の足音が聞こえてきた。
「島津!無事か!」
隊員さん達であった。
これが他の天使だったら泣いてたね。
どうやら隊員さん達は天使を全て倒したようだ。
見ると装備がボロボロになってはいるが、誰も欠けてはいない……中村がすっごいボロボロになってるな。中村だけまだレベル低いから仕方ないね、てかよく無事だったと思う。
さて、仲間が全員揃ったのでこっちが有利に……って思ったんだけどさ。
ちょっとこれは無いんじゃないかな?
「なんだこいつら!?」
俺の元へと駆け寄ってきてた隊員さん達の足が止まる。
彼らの前に立ちふさがったのは倒したはずの天使……頭がなかったり、体が真っ二つになっていたり、上半身しかなかったりと、どうやって動いてるんだと突っ込み入れたくなるが、動いているものは動いているのだ。
……視線をそいつに戻すと、顔に浮かぶ弧が3つに増えた。
邪魔は入れさせないからやろうぜ?ってことか。
いいよ、その首刎ねてやる。
おそらくアマツからのメッセージだろう。無視したら泣きそうだからしょうがないね。
歩いている内に天使との距離も縮まり、遠くからは見えなかった細部が見えてきた。
天使と言うことでめっちゃ美形なのを想像していたのだけど……こう来たか。
「近付いてみるとそこまで人って感じじゃないね」
「なんかロボットぽいな」
顔が人じゃ無かったんだよね。ひどく無機質だ。
仮面付けてるのかな?と一瞬考えたけどそうでもなさそうだし、あれが本物の顔ってことらしい。
見えてる皮膚なんかも人とは違う。
綺麗な肌を陶器に例えたりするけど、これは本当に陶器って感じだ。生き物の肌じゃないね。
中村が言ったようにロボか何かと考えた方が良さそうである。
「そうだな……まあ、大勢の一般人みてるんだ。そんな外見がモロに人の奴と戦わせたりはしないだろう」
「だよねー」
ま、そゆことだよね。
明らかに外見が人なのをばっさー切り捨てたらさすがに不味かろう。
ちなみに天使の数は俺たちと同じだったりする。
一人一体担当かな……一体だけ他と見た目違うの居るから、リーダー格だろうか?あいつは俺がやろう。
おっと、天使を眺めている内に看板が近付いてきたぞっと。
「えーっと……ステージ3到達おめでとう!このフィールドに居る敵を全て倒せばクリアだよ!結構手強い相手だから、道中拾ったアイテムを駆使して戦って欲しい!それじゃ健闘を祈ってるよ!みんなのダンジョンマスター、アマツより」
「うーん、なんだろうこの脱力感」
「ははは……」
前の看板もだけど、なんか見る度に気力がゴリって削られてる気がする。
こんなところで難易度上げてくるなし。
まあ、気を取り直して戦闘の準備をしよう。
敵はまだ動く気配がない、おそらくこちらが一定距離に近付くか、遠距離攻撃を仕掛けるまで動かないと思う。
なのでせっかく取ってきたお菓子を使い、がっちり強化した上で挑もう。
「それじゃアイテム使いますか。大量に手に入ったんで、皆使って――」
蜘蛛から必死こいて確保した大量に確保したお菓子……それらを皆にも分けようと取り出した瞬間だった。
手に取ったはずのお菓子が、全て消えて無くなったんだ。
「――は?」
突然の出来事に理解が追いつかない。
決して俺が超速度でお菓子を食ったとかそんな事じゃない。
本当に手に取ったはずのお菓子が消えた……それに消えたのは俺のだけじゃないようだ。
隊員さん達が取ってきたお菓子も消えたらしく、袋をゴソゴソあさったり、ひっくり返してみたりしている……いったい何があったと言うのか。
そして俺たちが落ち着くより先に事態は進む。
上空から風切り音がしたかと思うと、地面にすさまじい勢いで何かが落ちてきた。
それは天使のリーダー格の真上へと落ち、地面にクレーターを生む。
……天使のリーダー格は即死だろう。
一体何があったのかと驚き固まる俺たちだったが、それは天使にとっても想定外の出来事だったらしい。
落ちてきた何かをみて、戸惑っている様子が伺える。
だが、それが……そいつが口を開き、高音で何かを発したかと思うと、天使たちは一斉にこちらへと振り向いた。無機質なその顔に宿るのは明らかな殺意。
「っ……来るぞ!」
戦闘になる。そう思い皆に注意を促した俺は、即座に竜化を使いこちらへと一斉に向かってきた天使達に向かいブレスを吐き出した。
数が多かったので多少広がるようにしてはいるため威力は下がるが、それでもまともに食らえばタダでは済まないはず。
……だと言うのに天使たちは避けるそぶりすら見せる事無く、ブレスに飲み込まれていく。
ひどく嫌な予感がした。
「!?」
嫌な予感はあたるものだ。
ブレスの火線を突き抜け、天使たちが一斉に飛び出してきた。
その外見には焦げ一つ見当たらない。
天使たちは俺を避けて後ろにいる隊員たちへと向かおうとしていた。
俺は手近な奴に切り掛かろうとして……視界の端にあいつがこちらに向かい突っ込んでくる姿を捉え、ターゲットを移す。
速度差からいって、あきらかにこっちが格上だ。
……正直この速さは俺の手に余る予感すらしている。隊員さんの援護に入る余裕は無さそうだ。
一瞬で俺の目前へと迫ったそいつは、恐ろしい速度で手に持つ武器を振るった。
「ぐっ」
それを俺はかろうじて盾や、装甲の厚い部分で受けるが……まるで紙を切るかのように切り裂かれ、体に痛みが走る。
流血の量からして深手ではないが……問題は痛みがあるのと流血していることだ。
今の俺はアバターではなく、生身だ。
……痛みがあるだけで動きが鈍くなる。
戦闘中に痛みを感じなくするとか、そんな人間離れしたことは俺には出来ない、どうにかこの猛攻を凌いで倒すしかないのだ。
「こっの」
が、いかんせん速度が違いすぎる。
痛みをこらえ何度も武器を振るうが、かすりすらしない。
幸いなのはこいつの攻撃力自体がさほどでは無いことだろうか。
防具をたやすく切り裂いたのは何か特殊な力が働いてそうである。そしてそれは防具のみにしか効果はない、と……なので何とか耐えて一撃を入れれば流れは変わる可能性はある。
と、そんな事を考えたのがいけなかったのだろうか。
そいつが口を開き、何かを言ったかと思った直後、今までの比じゃない速度で、武器がまっすぐこちらへと向かい伸びてくる。
切っ先が向かう先は……心臓だ!
「げフぉっ!」
ほんのわずか、ほんのわずかであるが身を捻る事が出来た。
切っ先は心臓をわずかに避け、肺を貫き背から飛び出る。
喉の奥から込みあがる血を、俺はたまらず吐き出した。
液体操作を使い、針状に変えた血液をそいつの顔面へと向かって。
眼前で広範囲に巻き散らかされた血液の針……普通は避けられないはずであるが、そいつは大勢を崩しながらも全てを避け切る。
……1発も当たらないとはさすがにショックだ。
でも、まあ良い。
本命は次だから。
「ッ土蜘蛛!」
体勢を崩したところに追撃の土蜘蛛を放つ。
狙うのは体の中心だ。たとえ避けようとしても、体のどこかには当たるだろうと言う狙いである。
そして俺の目論見は半分成功する。
土蜘蛛はそいつの左腕を付け根から吹き飛ばし、胴体も僅かに抉り取った。
このダメージは大きい。これで少しはこちらが有利になる……と思ったが。
そいつは空に飛びあがると、距離を取り……そして徐々にではあるが、気付いた体を再生していった。
こいつも再生持ちか。
持っていたナイフも投げたが、追尾以外は全て避けられた。
その当たった一つも致命傷には程遠い。塗った毒も効いた様子はない。
ブレスと言い毒と言い、どうやらこいつは属性攻撃のたぐいを無効化してしまうようだ。
……そして再生が終われば再び猛烈な攻撃が始まる。
切りつける速度が速すぎて、俺の体から飛び散った血が、まるで血煙のようになっている。
それに時折出す、高速の一撃……さらには手を大きく振るうと、光が扇状に広がり……それに触れると体がばっさりと切断されると言う、凶悪極まりない攻撃なんかも追加された。
最初に食らったときは避けそこなって、腕がスライスされた上に耳まで持っていかれた。
逆に俺の攻撃はまったくと言っていいほど当たらない。
特に土蜘蛛は警戒されているらしく、使うそぶりをみせると大きく距離をとるか、腕を切り落とそうとしてくる。
「ジリ貧か……吐き気がする」
戦闘中ずっとこちらを見つめているそいつの口は大きく弧を描いている。
それは戦闘開始から徐々に吊り上がり、今では狂気じみて見える。
こいつは戦闘が楽しくて仕方がないらしい。
……別に吐き気がするのは、笑っているのを見て……と言う訳ではない。
初めに言わなかったが、こいつの容姿は他の天使と大きく異なっている。
肌は非常にきれいだが、無機質ではなく生物のそれだ。
それに顔も中村がロボといったような見た目ではなく、人間のそれに近い。
……殺し合っている相手に言う言葉ではないかも知れないが、恐ろしく美形だ。
プロポーションも完璧と言っていいだろう。
ただ、こいつは……綺麗すぎるのだ。
綺麗すぎて、逆にそこが違和感となって気持ち悪く感じてしまっているのだと思う。
ずっと見ていると気が狂うかも知れない。
……まあ、向こうも同じような事を思っているかも知れないがな。
血だらけになって、なんど致命傷を負っても戦う事をやめない俺の姿は普通は異常に見えるはずだ。
まあ、こいつが普通の感覚を持っているとは思えないから、何とも思っていない可能性もあるけどさ。
目に走る激痛、それに奪われた視界……頭部を突き抜けていく激痛を感じながらそんな事を考えていると、後ろの方からこちらに駆け寄る複数の足音が聞こえてきた。
「島津!無事か!」
隊員さん達であった。
これが他の天使だったら泣いてたね。
どうやら隊員さん達は天使を全て倒したようだ。
見ると装備がボロボロになってはいるが、誰も欠けてはいない……中村がすっごいボロボロになってるな。中村だけまだレベル低いから仕方ないね、てかよく無事だったと思う。
さて、仲間が全員揃ったのでこっちが有利に……って思ったんだけどさ。
ちょっとこれは無いんじゃないかな?
「なんだこいつら!?」
俺の元へと駆け寄ってきてた隊員さん達の足が止まる。
彼らの前に立ちふさがったのは倒したはずの天使……頭がなかったり、体が真っ二つになっていたり、上半身しかなかったりと、どうやって動いてるんだと突っ込み入れたくなるが、動いているものは動いているのだ。
……視線をそいつに戻すと、顔に浮かぶ弧が3つに増えた。
邪魔は入れさせないからやろうぜ?ってことか。
いいよ、その首刎ねてやる。
10
お気に入りに追加
932
あなたにおすすめの小説

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中
追放されたら無能スキルで無双する
ゆる弥
ファンタジー
無能スキルを持っていた僕は、荷物持ちとしてあるパーティーについて行っていたんだ。
見つけた宝箱にみんなで駆け寄ったら、そこはモンスタールームで。
僕はモンスターの中に蹴り飛ばされて置き去りにされた。
咄嗟に使ったスキルでスキルレベルが上がって覚醒したんだ。
僕は憧れのトップ探索者《シーカー》になる!

生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】
雪乃カナ
ファンタジー
世界が退屈でしかなかった1人の少年〝稗月倖真〟──彼は生まれつきチート級の身体能力と力を持っていた。だが同時に生まれた現代世界ではその力を持て余す退屈な日々を送っていた。
そんなある日いつものように孤児院の自室で起床し「退屈だな」と、呟いたその瞬間、突如現れた〝光の渦〟に吸い込まれてしまう!
気づくと辺りは白く光る見た事の無い部屋に!?
するとそこに女神アルテナが現れて「取り敢えず異世界で魔王を倒してきてもらえませんか♪」と頼まれる。
だが、異世界に着くと前途多難なことばかり、思わず「おい、アルテナ、聞いてないぞ!」と、叫びたくなるような事態も発覚したり──
でも、何はともあれ、女神様に異世界召喚されることになり、生まれた世界では持て余したチート級の力を使い、異世界へと魔王を倒しに行く主人公の、異世界ファンタジー物語!!
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…

チートを貰えなかった落第勇者の帰還〜俺だけ能力引き継いで現代最強〜
あおぞら
ファンタジー
主人公小野隼人は、高校一年の夏に同じクラスの人と異世界に勇者として召喚される。
勇者は召喚の際にチートな能力を貰えるはずが、隼人は、【身体強化】と【感知】と言うありふれた能力しか貰えなかったが、しぶとく生き残り、10年目にして遂に帰還。
しかし帰還すると1ヶ月しか経っていなかった。
更に他のクラスメイトは異世界の出来事など覚えていない。
自分しか能力を持っていないことに気付いた隼人は、この力は隠して生きていくことを誓うが、いつの間にかこの世界の裏側に巻き込まれていく。
これは異世界で落ちこぼれ勇者だった隼人が、元の世界の引き継いだ能力を使って降り掛かる厄介ごとを払い除ける物語。

孤児院で育った俺、ある日目覚めたスキル、万物を見通す目と共に最強へと成りあがる
シア07
ファンタジー
主人公、ファクトは親の顔も知らない孤児だった。
そんな彼は孤児院で育って10年が経った頃、突如として能力が目覚める。
なんでも見通せるという万物を見通す目だった。
目で見れば材料や相手の能力がわかるというものだった。
これは、この――能力は一体……なんなんだぁぁぁぁぁぁぁ!?
その能力に振り回されながらも孤児院が魔獣の到来によってなくなり、同じ孤児院育ちで幼馴染であるミクと共に旅に出ることにした。
魔法、スキルなんでもあるこの世界で今、孤児院で育った彼が個性豊かな仲間と共に最強へと成りあがる物語が今、幕を開ける。
※他サイトでも連載しています。
大体21:30分ごろに更新してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる