家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

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「184話」

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かくかくしかじかと北上さんに話をすると、北上さんは納得したようにうんうんと頷く。

「イベントに着ていく服かー。なっるほどねー」

……俺の服装はやっぱダメだったのだろうか。
そんな納得されると不安になっちゃうのですが。

「たぶんイベント会場は寒くないよねー……そうなると上は脱ぐ事になるから……うーん、島津くんの私服ちょっと見せて貰っても良い-?」

「ちょっと取ってきます!すぐ戻るんでー!」

前のオークション時も一応私服だったけど……そういや上は脱いでなかったっけ?
上にジャケット羽織ってたら中は誤魔化せるからなー。

でもイベント会場だと脱ぐことになるかもだし……おっと、とりあえず服を取りに行こうっと。


「……つってもこれぐらいしか無いんだよな」

ゴソゴソと服をあさるが、ぶっちゃけ余り数は無い。
体格変わったから昔のは着られないしね。

とりあえず最近通販でぽちった服だけ持っていくとしよう。


「こんなんしか無いんすけど……」

「おー…………あー」

とりあえずある物を持ってきて、北上さんに見せたは良いけど……微妙な反応されてしまった。

俺の服のセンスはやっぱダメなのか、そうなのか。

「無地のTシャツが何枚か、冬用のモコモコした地味なパーカー1着、ジーンズが3つ、チェック柄の上着が3着、あとは冬用のジャケットが1枚…………下着は……あー、でもせっかくだから買った方が良いよねー」

「す、すんません」

なんで下着持ってきたんだよおおお!?
北上さんむっちゃフリーズしたやんけえ!

もう……俺のバカ!


「まあ、でも仕方ないよー。筋トレで体格変わっちゃったんだし……普通のお店だとサイズ合うの無いかも」

「特注なっちゃうんすかね」

通販だとたまにでかいの売っててそれ買えば良かったんだけど、そうか……普通のお店だと俺みたいな体格の奴にあう服って扱ってないのか。

特注すると絶対時間掛かるよねえ。


「んにゃあ、大きめの扱ってるお店あるからだいじょーぶ」

おお?そういうお店もあるんだ。
なんだろ、輸入品メインのお店とか?
なんにせよありがたいこっちゃ。



その後、北上さんと一緒にその大きめの扱っているお店に向かい……2時間ぐらい着せ替え人形となりました。

最初は1着ぐらい買うのかなーって思ってたんだけど、せっかくだから色々買いなよーと言うことになったのだ。

んまあ、色々お話ししながらなので楽しかったよ。


……店員さんにも色々聞いたんだけど、なんか俺を見る目が怖かった。そんなに良い体してるんだから、ちょっとラインが分かるようにとかなんとか……忘れよう。

「とりあえずこんなもんかなー」

「いやー、大量っすねえ」

結果、カゴ二つに一杯の洋服を買うことになりもうした。

「そんだけあればしばらく大丈夫でしょー。春になったらまた付き合ったげるー」

「ありがとうございますっ!」

ありがてえ、ありがてえ。
買い物に何時間も付き合ってくれるとか、感謝しかない。拝んどこ。

「でも、いいのー?私のも買って貰っちゃって」

「ええ、服選んでもらったお礼ってことで!」

「へへー、ありがとねえ」

あ、そうそう。
行ったお店はやはりと言うか輸入品メインのお店だったんだよね。
俺から見ても……俺から見てってのがちょっと不安あるけど……と、とにかく結構良いデザインのものが一杯だった。

んで扱ってるのは男性ものだけじゃないので、北上さんの分も買ったんだよね。

色々試着した姿を見れて満足です。



あと、敢えて言う程じゃないかもだけど……。
買ってからあることに気が付いてしまって……気が付かなかったことにした。
まあ、あれだ……ダンジョンの機能でサイズ調整……いや、忘れるんだ、俺。

忘れとけば春にまた一緒に買い物行けるしなっ!
よっし、忘れた!忘れたかんな!


さって、あとは北上さんを家……というか俺んちのダンジョンに送り届けてー、せっかくだしご飯も一緒に食べるかな?

なんかアメリカ服とか買ったし、ピザ食いたい。
BBQ広場いけば作ってくれるだろうか?

まあ、とりあえず帰って荷物置いてご飯にすんべさ。


久しぶりのピザは大変美味しゅう御座いました。
てか腹きっつい。コーラ飲んだから炭酸で余計腹が膨れて……しばらく動きたくない。げぷう。


「食べ過ぎた……ねえ、クロ」

ごろりと横になるとふと横で丸くなっているクロの姿が目に入る。
そう言えば、と思いついたことがあったので、クロに話し掛ける俺。

「クロもおめかしする?」

尻尾を軽く振って返事を返すクロに、そう提案するが……。

「あ、はい……」

何言ってんのお前って視線を返されたので、大人しく引き下がることにした……。

いやね、イベントに参加するのであればクロもさ、尻尾にリボンとかちょっとお洒落するかなーって思ったんよ……今の反応見るにクロにその気は一切無さそうだけど。

……まあ、たぶんずっと俺の帽子にすっぽり収まってることになるだろうし、何もしなくて良いか。

さって、イベントに備えてどの服着てくか考えておくかなっと。




それから1週間が過ぎた。
ついにイベント当日がきたのである。

その日は朝からニュースでイベント会場の様子が放映されていた。

「……すんごい混んでる」

告知から開催まで余り時間が無かったのと、さらには早朝にも関わらず会場はすでに人でごった返していた。

イベント会場は各地のダンジョンへと繋がる扉から入ることが出来る。
そのため例えば北海道だろうが、沖縄だろうがどこに住んでいようとも最寄りの扉へと向かえば参加することが可能だ。

混んでいる理由の多くはきっとそこにあるんじゃなかろうか。

もちろんダンジョン関連のイベントって事も大きいとは思うけどね。


「いくつかの部屋に分けてるっぽいけど、中の混み具合もやべえ……あと何か一瞬やばいの映ってた気がする」

日本各地から参加するので、普通の会場では人が溢れる事になる。
なのでアマツも会場をいくつかに分けたらしい……が、それでもかなりの混み具合だ。

ちなみにイベント自体は1週間続くそうだけど、これ日程がもっと短かったら更にヤバいことになってただろうな。


あとね、さっきね、ちらっとだけど変なのが映像に映り込んだ気がする。

このまま見ていればその内また映るとは思うけど……庭が騒がしくなってきた。

そろそろ集合時間なんだよね。

「あ、皆揃ったぽいかな」

ちらっと窓から外を覗けばすでに皆揃っているのが分かった。
すでに準備は終えてるので、俺はクロをジャケットの帽子につめて外へと向かう。

そして皆へと挨拶をするのだが……。

「こんにちわー……中村お前はまたなんでそんな薄着で……」

一人だけ季節感ガン無視な奴が居た。
そんな薄そうなパーカーだけって、それ普通の人は凍死すっからね。

「寒くないし、それに中入ったら上脱ぐべ?」

「まあねえ」

中村もレベル上がってるから、ダンジョン外でもそこそこ体強くなっちゃって、寒さも大分平気になっとんのよなー。

……でもここに来るまでずっとその格好だったって事でしょ?まあ、変人だと思われるのは中村だからいーんだけど。

「んまあ、行きましょか。さっきニュースでやってましたけど、むっちゃ混んでるっぽいんで、はぐれないように気を付けましょー」

「まあ、そりゃ混むだろうな……本当は子供も連れて行きたかったが……」

「ちょっと落ち着いてからのが良さそうっす」

「間違いなく迷子になるのが目に見えとるからな」

そっか、お子様居る隊員も結構居るんだよな。
でも太田さんとかそうだったけど、まだ小さいからこのイベントみたいに人が多いとちょっと無理なんだろうね。

んまあ、今回の評判が良ければ毎年やるだろうし、また来る機会はあるだろう。


んま、とりあえず入るべか。
とりあえず休憩所向かって……と思ったら、入って直ぐ目の前にアマツがいた。

「やーやー!いらっしゃい!はい、これパンフレットだよおおお!!」

「テンションたっか」

入り口でパンフレット配ってるよこの人。
俺らのこと待ち構えてたんかい。イベントのお仕事しなくて良いんだろうか……?まさかマーシーとかに任せっきりとかじゃあるまいな。

「いやー!これだけ人が来てくれるとね、嬉しくて嬉しくて」

ほんと嬉しそう。何時になくにっこにこしてるし。

「あ、そうそう。新しく実装する新要素の展示会もあるから、ぜひ見ていってくれると嬉しいな!」

「新要素……」

それは初耳だ。
なんかそんな発表あるあたり、イベント!って感じがして良いね。


「内容は見ての楽しみだよおおぉぉぉ……!」

どんなのかちょっと聞こうかと思ったら、叫びながらどこかに走って行ってしまった。
……仕事ほっぽり出してパンフ配りに来たんかな。
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