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「170話」
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人とは言うのは脳内で処理しきれない様に場面に合うと固まるものらしい。
俺が笑みを浮かべたまま凍り付いていると、北上さんはこてんと首を傾げる。
「興味ないー?」
「いいいいえ!決してそんなことは無いのですが!こ、心の準備と言いますかそのですね」
危ねえ、ちょっと意識がどこかいってた。
決して興味が無いわけじゃないんです!
いえ、決して変な意味など御座いませんとも、俺としてクロと俺の部屋をいじる参考にでもなればと思っただけであって、けっして下心なんて物はありはしないのです。
なのに何故だ、声が震えて止まらない……静まりたまえ静まりたまえ……。
「? まあ、覗いていきなよー。島津くん達って物置にしか使ってないでしょー。いじるとちゃんとした部屋になるんだよー」
「へ、へえ……そうなんですかー」
首を傾げ、頭にはてなマークを浮かべていた北上さんであったが、気にしないことにしたのかDパッドを操作し始める。
そうして俺は入出許可を貰い、北上さんの部屋へと入ることになったのであった……。
「あ、靴は脱いでねー」
「お、おおお邪魔します」
扉をくぐり、俺は北上さんに言われるがまま靴を脱ぐと、先を行く北上さんの後ろ姿をぼーっと眺めていた。
思い返せばこれまでの人生で女性の部屋に入った事なんぞ無かったよなーと。
幼稚園の記憶はほぼ無い。小学生の時は近所の悪ガキ共と外で遊ぶか、家でゲームをするか……もちろん悪ガキ共の中に女子は含まれてない。
中学生の時の似たようなもんだ。
高校は……ほぼ男子校みたいなものなので察して欲しい。
そう思い返すと中々に感慨深いものがある。
……っと、何時までも入らないでいたら北上さんに不審に思われてしまう。
後を追い掛けよう、そう思い一歩踏み出そうとしたところで、ふいに足元をしゅるりと何かが通り抜けていった。
「……クロ」
しゅるりとした何かの正体はクロであった。
俺は気付いていなかったが、何時の間にか合流していたのである……そう言えばさっき俺たちの部屋の話をするときに、島津君たちって言ってたなー……あの時には既にクロが居たって事だろうか。
……色々と恥ずかしい光景をクロに見られてしまった気がするが……当の本人は気にした様子は無い。
初めて入る部屋でスンスンと匂いを嗅ぐのに夢中だ。
まるでここがあの女のハウスねと言わんばかりに……。
あー、何か急に気が抜けたぞう。
まあ、変に不審に思われても困るし、これで良かったのだろう。
さってさて、せっかく見せてくれるのだからじっくり見せて貰うとするかねー。
と言うわけで北上さんの部屋を見せて貰ったのだけどね。
「15畳ぐらいの部屋が二つ、10畳が一つ。ユニットバスにキッチン付き……あれ、施設無くてもいけるんじゃこれ」
全部の部屋が広いんだこれが。
ユニットバスにキッチンも割と立派なのがついてたりする。
それに家具なんかも揃っているし……ある部屋には楽器とかが一杯置いてあった。
北上さんにキャンプ以外にもそんな趣味が合ったとは知らなかった。
俺?その手のはさっぱりですわ。
リコーダーぐらいなら吹けるけどなっ。
しっかし、こうも部屋が整っていると施設のアップデート無くても良かったんじゃね?と思えてくる……と思ったのだけど。
「汚れた状態で部屋に戻るのはちょっとねー。ご飯もここじゃ作る気ないしー」
部屋は整っているけれど、それはそれ。
施設の方は施設で使いたいものが一杯あるのだそうな。
シャワー浴びたり、洗濯なり、食事なりは施設ですませ。
個室では映画みたり、楽器弾いたりと趣味的な事を楽しんでいるらしい。
映画と言えば、部屋にでっかいテレビあるんだよなー。
「……そう言えば、あのテレビすっごい大きいですけど、どうやって持ち込んだんです?」
いや、でかすぎる気がするけど。
100型とかそんなんじゃないだろうか、あれ。
一般のご家庭にあるもんじゃないぞ。
「あ、あれねー。部屋の設備なんだよー」
「うそぉっ」
まさかの設備だった!
もしかしてテレビ以外にも、冷蔵庫とか電子レンジとかソファーとか諸々、全部設備なのか……?やばいな、ダンジョンに引き籠らせる気満々じゃん。
とりあえずアマツにグッジョブと言っておこう。
「ほんとほんと。映画とかみると凄く良いんだよー」
映画かー。
たまに見るけど……ああ、でもこんだけデカい画面だと、映画館で見ている雰囲気になるのかな?
それは良いかも知れない。
と、俺がふんふんと頷きながら話を聞いてると、北上さんが再び首をこてんと傾げる。
考えてる時の癖なのかな?
「……せっかくだし、何か見ながらご飯にする?デリバリーも出来ちゃうんだよねー、これが」
「すっご」
まじかよ。
まさに至れり尽くせりじゃん。
「何たのむー?」
「色々ありますね。せっかく映画見るんなら何かつまんで食べられそうもの、かなあ」
北上さんにDパッド見せて貰ったけど、出〇館とかで頼めるのは一通り揃ってる感じだった。
映画見ながらなんだしーってことで、ピザとかちょっとジャンクっぽいのを一杯頼んで、コーラとか買いまくってそれで夕飯にしたよ。
ちゃんと猫用……と言うかペット用のメニューも揃っているあたりはさすがアマツって感じ。
「もう1本みる?」
「いいっすね!」
映画も見始めると面白いんだよね、やっぱ。
ついつい次のやつ、次のやつと結局3本丸々見てしまった。
見終わった時にはもう0時過ぎてたよ……。
俺が笑みを浮かべたまま凍り付いていると、北上さんはこてんと首を傾げる。
「興味ないー?」
「いいいいえ!決してそんなことは無いのですが!こ、心の準備と言いますかそのですね」
危ねえ、ちょっと意識がどこかいってた。
決して興味が無いわけじゃないんです!
いえ、決して変な意味など御座いませんとも、俺としてクロと俺の部屋をいじる参考にでもなればと思っただけであって、けっして下心なんて物はありはしないのです。
なのに何故だ、声が震えて止まらない……静まりたまえ静まりたまえ……。
「? まあ、覗いていきなよー。島津くん達って物置にしか使ってないでしょー。いじるとちゃんとした部屋になるんだよー」
「へ、へえ……そうなんですかー」
首を傾げ、頭にはてなマークを浮かべていた北上さんであったが、気にしないことにしたのかDパッドを操作し始める。
そうして俺は入出許可を貰い、北上さんの部屋へと入ることになったのであった……。
「あ、靴は脱いでねー」
「お、おおお邪魔します」
扉をくぐり、俺は北上さんに言われるがまま靴を脱ぐと、先を行く北上さんの後ろ姿をぼーっと眺めていた。
思い返せばこれまでの人生で女性の部屋に入った事なんぞ無かったよなーと。
幼稚園の記憶はほぼ無い。小学生の時は近所の悪ガキ共と外で遊ぶか、家でゲームをするか……もちろん悪ガキ共の中に女子は含まれてない。
中学生の時の似たようなもんだ。
高校は……ほぼ男子校みたいなものなので察して欲しい。
そう思い返すと中々に感慨深いものがある。
……っと、何時までも入らないでいたら北上さんに不審に思われてしまう。
後を追い掛けよう、そう思い一歩踏み出そうとしたところで、ふいに足元をしゅるりと何かが通り抜けていった。
「……クロ」
しゅるりとした何かの正体はクロであった。
俺は気付いていなかったが、何時の間にか合流していたのである……そう言えばさっき俺たちの部屋の話をするときに、島津君たちって言ってたなー……あの時には既にクロが居たって事だろうか。
……色々と恥ずかしい光景をクロに見られてしまった気がするが……当の本人は気にした様子は無い。
初めて入る部屋でスンスンと匂いを嗅ぐのに夢中だ。
まるでここがあの女のハウスねと言わんばかりに……。
あー、何か急に気が抜けたぞう。
まあ、変に不審に思われても困るし、これで良かったのだろう。
さってさて、せっかく見せてくれるのだからじっくり見せて貰うとするかねー。
と言うわけで北上さんの部屋を見せて貰ったのだけどね。
「15畳ぐらいの部屋が二つ、10畳が一つ。ユニットバスにキッチン付き……あれ、施設無くてもいけるんじゃこれ」
全部の部屋が広いんだこれが。
ユニットバスにキッチンも割と立派なのがついてたりする。
それに家具なんかも揃っているし……ある部屋には楽器とかが一杯置いてあった。
北上さんにキャンプ以外にもそんな趣味が合ったとは知らなかった。
俺?その手のはさっぱりですわ。
リコーダーぐらいなら吹けるけどなっ。
しっかし、こうも部屋が整っていると施設のアップデート無くても良かったんじゃね?と思えてくる……と思ったのだけど。
「汚れた状態で部屋に戻るのはちょっとねー。ご飯もここじゃ作る気ないしー」
部屋は整っているけれど、それはそれ。
施設の方は施設で使いたいものが一杯あるのだそうな。
シャワー浴びたり、洗濯なり、食事なりは施設ですませ。
個室では映画みたり、楽器弾いたりと趣味的な事を楽しんでいるらしい。
映画と言えば、部屋にでっかいテレビあるんだよなー。
「……そう言えば、あのテレビすっごい大きいですけど、どうやって持ち込んだんです?」
いや、でかすぎる気がするけど。
100型とかそんなんじゃないだろうか、あれ。
一般のご家庭にあるもんじゃないぞ。
「あ、あれねー。部屋の設備なんだよー」
「うそぉっ」
まさかの設備だった!
もしかしてテレビ以外にも、冷蔵庫とか電子レンジとかソファーとか諸々、全部設備なのか……?やばいな、ダンジョンに引き籠らせる気満々じゃん。
とりあえずアマツにグッジョブと言っておこう。
「ほんとほんと。映画とかみると凄く良いんだよー」
映画かー。
たまに見るけど……ああ、でもこんだけデカい画面だと、映画館で見ている雰囲気になるのかな?
それは良いかも知れない。
と、俺がふんふんと頷きながら話を聞いてると、北上さんが再び首をこてんと傾げる。
考えてる時の癖なのかな?
「……せっかくだし、何か見ながらご飯にする?デリバリーも出来ちゃうんだよねー、これが」
「すっご」
まじかよ。
まさに至れり尽くせりじゃん。
「何たのむー?」
「色々ありますね。せっかく映画見るんなら何かつまんで食べられそうもの、かなあ」
北上さんにDパッド見せて貰ったけど、出〇館とかで頼めるのは一通り揃ってる感じだった。
映画見ながらなんだしーってことで、ピザとかちょっとジャンクっぽいのを一杯頼んで、コーラとか買いまくってそれで夕飯にしたよ。
ちゃんと猫用……と言うかペット用のメニューも揃っているあたりはさすがアマツって感じ。
「もう1本みる?」
「いいっすね!」
映画も見始めると面白いんだよね、やっぱ。
ついつい次のやつ、次のやつと結局3本丸々見てしまった。
見終わった時にはもう0時過ぎてたよ……。
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