161 / 304
「161話」
しおりを挟む「悪いなまじで奢ってもらっちゃって」
叙〇苑で食べ放題してきた。
久しぶりに普通のお店で焼き肉食べたけど、やっぱこっちはこっちで美味しいね。
諭吉が結構な枚数飛んでったけど、まあ気にしない。
「いいよいいよー。ま、オークション終わったら今度は中村に奢ってもらうけどねっ」
「おう!いいぞ、儲かったらな!」
今度はそっちの番だぞーと言う俺に対し、笑顔でサムズアップする中村。
だが、その顔が不意に曇る。
「……儲かるよね?」
「たぶん」
不安そうな所悪いけど、たぶんとしか言いようがない。
相場なんて無いしねえ。
「売れないと生活がまじでやばい……」
「切実だねえ。実際いくらで売れるかは……中村、自分が買うとしたらいくら出す?」
「俺?そうだなー……5階のは配布されるから除外するとして、10階のポーションなら10万とか……そもそも金の無い俺に聞くのが間違ってね?身内もそこまで必要そうなの居ないし」
俺の質問に対して自分ならと答える中村であったが、特に急いで欲しい理由もなく、金も無い中村だとそこまでの額を出す気にはならないのだろう。
「まあ、仮で考えると……ポーションあれば介護とか必要なくなるとかなら、百万単位なら出すんじゃない?年間それぐらい掛かるって話っしょ?」
「あとはでかい病気持ってる人とか。元々治療費とかも掛かってそうだし、それが無くなるか減ると思えば出す気がする。5階のってそこまで効果ないっしょ?……まあ、そんなもんかな」
なら自分以外であれば?と考えた中村……予想は100万単位なら出すんじゃ?との事である。
俺もそれぐらいなら出すんじゃないかな?って気はする。
でも実際に出せるかどうかとなると……今後供給が増える事を考えて、もう少し下がるかも知れない。
あ、でも金持ちであれば若返りや病気に治すためにそれぐらいポンッと出しそうだよな。
……うん、分からんな!
「ふーむ。オークションまでに10階までは行きたいところだね」
分からんので、とりあえず10階のポーション確保出するところまでは進めたいね。
5階のポーションも売れるとは思うけど、配布が決まっている以上は安くなると思うからね。
「そうだな!」
「頑張れば行けると思うよ。宝石なくてもドラゴンの素材で装備改造済みだしね」
牛さん結構強いけど、中村の装備であれば手足を失うような怪我はしないだろう……骨折ぐらいはすると思うけど。
オークションに間に合うようガンガン狩らないとだね。
とりあえずは俺たちだけの時はレベルアップと階層の更新を主として、それ以外は隊員さん達と一緒にダンジョン潜る感じかな。
中村も今後のことを考えればカードは絶対揃えた方が良いしね。
と、言うわけで日は変わり、皆とダンジョンに潜る日がやって来ましたよっと。
「人数的に大かなー」
「そうだな」
今日のメンバーは俺とクロと中村、それに都丸さん太田さん北上さんである。
中だと正直温すぎなので大に潜ることにしたよ。
1階だと大でも温いんですけどね。
まあ、主目的はカードなので問題なしである。
「とりあえず今日中に一人一枚確保したいところですね」
「時間かけるとしんどいもんねー」
俺の言葉に大きく頷く隊員さん達。
いやー、皆カード集めには苦労したからねえ……弱い敵をひたすら狩り続ける作業感がかなーりキツいんだよね。
「それじゃサクッと行きますかー」
なのでサクッと終わらせて次の階層へと進みたい。
とりあえず少し進んだところで砂トカゲが飛び出してきたので、これを瞬殺する。
そして直ぐに次へと向かうのだが……その前に。
「クロお願い」
実はモンスターを効率良く狩るのに考えていた事が有る。
クロにお願いすると、クロはその場で前足をもにもにしたかと思うと、勢い良く上空へと跳び上がる。
そして空中でクルッと一回転し、すとんっと地面に降り立った。。
「次向こうです」
そしてクロが前足でビシッと示した方向、そちらへと向かい皆で走って向かう。
すると進んだ先には30体程の砂トカゲの群れがいた。
「よし、クロお願いね」
そしてさくっと殲滅し、再びクロに跳び上がってもらう。
「ドロップなし」
「よし、次に行こう」
倒してからドロップを確認するまで少し時間が掛かる。
その間にクロに索敵をしてもらい、直ぐに移動して……と繰り返すことで、このフィールドタイプのダンジョンフロアでも効率良く狩りを進める事が出来るだろう。
現にうちのダンジョンでRTAやった時よりも、良いペースで狩ることが出来ている。
この分なら今日中に全員分のカードを出すのは難しくないはずだ。
……物欲センサーが発動しなければ。
「でた」
30分ほど経ったところでやっと一枚目が出た。
昼前に終わるかなこれ……。
「……手分けします?」
ぶっちゃけ敵が弱いので、6人全員で固まって動く必要は無いのだよね。索敵も……まあ、やろうと思えば皆ある程度出来るし。中村以外。
「それが良いかもな」
「6人だし3つに分かれますか」
「どう分ける?」
「ぐーちょきぱーで合った人」
個人的な欲望に基づくと、クロか北上さんと一緒が嬉しいのだけど……さすがにちょっとそれは言えない。
なのでここは運に任せようと思う。
誰と組んでも戦力的には問題ないしね。
とりあえず盾で目隠し……盾の下でグーかチョキかパーを出し合って、盾を避けて組合せを決める。
俺が全力でみると何を出すか事前に分かっちゃうから……その手があったか!だがもう遅い……ぐぬぬ……ぬ?
「……クロのそれは何だろ……あ、グーですか」
クロも出してはいるんだけど、ぱっとみ何か分からない。
裏からみたら、肉球がぐっとなっていたのでグーだったらしい。
「中村か……」
「お前かよ」
何度かやった後、結局こんな組合せになった。
クロは北上さんとだった。悲しみ。
おのれ中村め……まあ、いいや。
明日は明日でまたばらけて狩る事になるだろうしっ。
ちょっぴり悲しいだけである。
とりあえず皆と別れ、狩りを開始した俺と中村であったが……。
「まっ……まって、くれ。……し、死ぬ」
走っているだけで中村が息も絶え絶えになっていた。
「拾ったポーション飲んでいいのに」
「ぜぇ……はぁ……も、勿体ないだろ」
中村はポーションを飲んだら体力も回復することは当然知っている。
だが、オークションで売るつもりなのか狩りの最中に入手したポーションに手を付けるうもりは無いようだ。
使った方が効率良いと思うんだけどね……おっと。
「飲んだほうが結果としていっぱい稼げそうだけどー……ん、出た出た!2枚目やっと出た!」
ついに念願のカードがでた!
実は皆と別れてから、既に一枚出しているのでこれで二枚目だったりする。
これとりあえずの目標は達成した訳だけど……。
「おっしゃああああぁぁぁあ解放される!!」
「されないよ」
「なんで!?」
「まだ集合時間まであるし、もうちょい狩るよー。3枚目出るかもだしね」
「……ハイ」
カードの在庫はあるに越した事は無い。
目のハイライトを引き摺るように連れ、次のモンスターの群れへと向かうのであった。
「そういや」
「ん?」
追加でもう一枚のカードを入手し、集合場所へと向かっている最中、ふいに中村が何かを思い出したように話し始めた。
「この前ネットでダンジョンについて調べてみたんだけどさ。掲示板がかなーり荒れてたな」
「ほう?」
中村が言っているのはネットの巨大掲示板の事だろう。
しかし荒れているとはどういう事だろうか?話題がつきないだろうなーとは思うが、荒れる理由がいまいち分からない。
「俺たちの事も話題になってたぞ……て言うか主に島津とクロだな」
「え、まじで」
「まじ。あれだけ目立ったんだしそりゃ話題になるべ」
「うへー……」
なんで俺たちが……と言うつもりは無いけど、まさか主な話題になっているとは……やはり一人だけ猫耳つけてるのはダメだったのだろうか?やはりアマツにお願いして、性能抑えた猫耳も購入可能にして貰うしかないか……?
しかし俺を含めて皆がどう話題になっているのか気になるな。
写真とか晒されてないと良いけど……注意されたのって講義の中でだから、部屋に入る前にどこかに投稿されている可能性あるんだよなあ。
うーん……しゃあない、家に帰ったら調べてみるかー。
0
お気に入りに追加
929
あなたにおすすめの小説
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
ダンジョン配信 【人と関わるより1人でダンジョン探索してる方が好きなんです】ダンジョン生活10年目にして配信者になることになった男の話
天野 星屑
ファンタジー
突如地上に出現したダンジョン。中では現代兵器が使用できず、ダンジョンに踏み込んだ人々は、ダンジョンに初めて入ることで発現する魔法などのスキルと、剣や弓といった原始的な武器で、ダンジョンの環境とモンスターに立ち向かい、その奥底を目指すことになった。
その出現からはや10年。ダンジョン探索者という職業が出現し、ダンジョンは身近な異世界となり。ダンジョン内の様子を外に配信する配信者達によってダンジョンへの過度なおそれも減った現在。
ダンジョン内で生活し、10年間一度も地上に帰っていなかった男が、とある事件から配信者達と関わり、己もダンジョン内の様子を配信することを決意する。
10年間のダンジョン生活。世界の誰よりも豊富な知識と。世界の誰よりも長けた戦闘技術によってダンジョンの様子を明らかにする男は、配信を通して、やがて、世界に大きな動きを生み出していくのだった。
*本作は、ダンジョン籠もりによって強くなった男が、配信を通して地上の人たちや他の配信者達と関わっていくことと、ダンジョン内での世界の描写を主としています
*配信とは言いますが、序盤はいわゆるキャンプ配信とかブッシュクラフト、旅動画みたいな感じが多いです。のちのち他の配信者と本格的に関わっていくときに、一般的なコラボ配信などをします
*主人公と他の探索者(配信者含む)の差は、後者が1~4まで到達しているのに対して、前者は100を越えていることから推察ください。
*主人公はダンジョン引きこもりガチ勢なので、あまり地上に出たがっていません
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
異世界災派 ~1514億4000万円を失った自衛隊、海外に災害派遣す~
ス々月帶爲
ファンタジー
元号が令和となり一年。自衛隊に数々の災難が、襲い掛かっていた。
対戦闘機訓練の為、東北沖を飛行していた航空自衛隊のF-35A戦闘機が何の前触れもなく消失。そのF-35Aを捜索していた海上自衛隊護衛艦のありあけも、同じく捜索活動を行っていた、いずも型護衛艦2番艦かがの目の前で消えた。約一週間後、厄災は東北沖だけにとどまらなかった事を知らされた。陸上自衛隊の車両を積載しアメリカ合衆国に向かっていたC-2が津軽海峡上空で消失したのだ。
これまでの損失を計ると、1514億4000万円。過去に類をみない、恐ろしい損害を負った防衛省・自衛隊。
防衛省は、対策本部を設置し陸上自衛隊の東部方面隊、陸上総隊より選抜された部隊で混成団を編成。
損失を取り返すため、何より一緒に消えてしまった自衛官を見つけ出す為、混成団を災害派遣する決定を下したのだった。
派遣を任されたのは、陸上自衛隊のプロフェッショナル集団、陸上総隊の隷下に入る中央即応連隊。彼等は、国際平和協力活動等に尽力する為、先遣部隊等として主力部隊到着迄活動基盤を準備する事等を主任務とし、日々訓練に励んでいる。
其の第一中隊長を任されているのは、暗い過去を持つ新渡戸愛桜。彼女は、この派遣に於て、指揮官としての特殊な苦悩を味い、高みを目指す。
海上自衛隊版、出しました
→https://ncode.syosetu.com/n3744fn/
※作中で、F-35A ライトニングⅡが墜落したことを示唆する表現がございます。ですが、実際に墜落した時より前に書かれた表現ということをご理解いただければ幸いです。捜索が打ち切りとなったことにつきまして、本心から残念に思います。搭乗員の方、戦闘機にご冥福をお祈り申し上げます。
「小説家になろう」に於ても投稿させて頂いております。
→https://ncode.syosetu.com/n3570fj/
「カクヨム」に於ても投稿させて頂いております。
→https://kakuyomu.jp/works/1177354054889229369
ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~
楠富 つかさ
ファンタジー
地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。
そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。
できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!!
第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!
倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~
乃神レンガ
ファンタジー
謎の白い空間で、神から異世界に送られることになった主人公。
二重取りの神授スキルを与えられ、その効果により追加でカード召喚術の神授スキルを手に入れる。
更にキャラクターメイキングのポイントも、二重取りによって他の人よりも倍手に入れることができた。
それにより主人公は、本来ポイント不足で選択できないデミゴッドの種族を選び、ジンという名前で異世界へと降り立つ。
異世界でジンは倒したモンスターをカード化して、最強の軍団を作ることを目標に、世界を放浪し始めた。
しかし次第に世界のルールを知り、争いへと巻き込まれていく。
国境門が数カ月に一度ランダムに他国と繋がる世界で、ジンは様々な選択を迫られるのであった。
果たしてジンの行きつく先は魔王か神か、それとも別の何かであろうか。
現在毎日更新中。
※この作品は『カクヨム』『ノベルアップ+』にも投稿されています。
平和国家異世界へ―日本の受難―
あずき
ファンタジー
平和国家、日本。 東アジアの島国であるこの国は、厳しさを増す安全保障環境に対応するため、 政府は戦闘機搭載型護衛艦、DDV-712「しなの」を開発した。 「しなの」は第八護衛隊群に配属され、領海の警備を行なうことに。
それから数年後の2035年、8月。
日本は異世界に転移した。
帝国主義のはびこるこの世界で、日本は生き残れるのか。
総勢1200億人を抱えた国家サバイバルが今、始まる――
何番煎じ蚊もわからない日本転移小説です。
質問などは感想に書いていただけると、返信します。
毎日投稿します。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる