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「138話」

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さて、着替え終わったしさっそく病院に向かうとしよう。
……っとその前に。

「連絡しておくか」

誰が病院に残っているかは分からないけど、誰かしら残っているはずだ。
病室に連絡用のスマホを置いてあるので誰か電話には出るだろう。


「おお!突破したのですか!?本当にありがとう……これで彼女も……」

この声は大塚さんかな。


「今から向かいます。30分もあればそちらに着きますんで、よろしくお願いします」

「はい、島津さんが来たらすぐ通すようには伝えてます。それじゃ私は他のメンバーに伝えておきますね」

よし、連絡したし向かうとしよう。
治すのは出来るだけ早いほうが良い。

……3日経ってしまったけど、大丈夫かな。精神的にきてないといいけど……。




病院に向かい、受付の人に話すと直ぐに面会の許可が下りる。

病室の前では大塚さんが俺の到着を待っていた。
挨拶もそこそこに、俺は病室へと入る。

「お待たせしました」

中にいたのは北上さん、都丸さん、太田さん……あと宇佐美さんがいた。
仕事中だったりですぐ来られない人も居るのだろう。

てか宇佐美さんが居るとは思わなかったなあ……いつまでこっちに居るんだろね、東京戻らんでいいのかな?

まあいいや、とりあえずポーションを取り出してっと。

「島津くん……本当に取ってきてくれたんだ。……ありがとう」

「勿論ですよ。それじゃ……えっと、おそらく飲んでも行けると思いますけど」

北上さんに手渡して……ちょっとここで気になる事があった。


「そのカメラはあれですか、会見の時に見せるようです?」

カメラが用意してあったんだよね。
目的はどう考えても治す場面を撮ることだろう。

おそらく会見の際に使用するんだとは思うけど……ちらっと北上さんの様子を伺ってみる。

嫌そうだったら他の人にお願いして貰おうと思う。
ポーションはまだ多少は用意できるしね……ポイントくっそ高かったから大量には無理だけど。


「ん、私は問題ないよ。顔とかは映さないって話だし。島津くんは?」

「俺は北上さんが問題ないなら構わないです」

北上さんは問題ないらしい。
顔を見てみたけど、無理してもそうな感じはしない。

北上さんがOKなら俺も問題ない。

医者が包帯を外すと傷口が露わになる……と言っても15階のポーションで傷自体は塞がっているのだけどね。

医者がどうぞ、言ったのでカメラの撮影を開始する。
それに合わせて北上さんがポーションを飲み干した。


「……なんかムズムズする」

変化はすぐに現れた。
北上さんがそう言うや否や、腕の断面から肉が盛り上がり、腕をかたどっていく。

こう、ボコボコボコォッて感じでちょっときも……なんでもないです。


「お、おぉお……!?」

「本当に生えたぞ……」

「うわっ……」

全員ドン引きである。
生えると聞いてはいても、いざ実際目にするとねえ……俺? 俺はまあ……俺の時もこんな感じで生えたのかなーぐらい感想である。
俺の時は見ている暇なかったしね。


さて、生えたのはいいけど皆固まってるな。

「動きます?あと痛みとかは……」

とりあえずちゃんと治ったか確認して貰わないとだ。

「あ、痛みはないよ……うん、問題なく動くね。違和感もほとんど無いよー」

俺の言葉に北上さんは手をぐっぱしてみたり、肘を曲げたり伸ばしたりして見せる。

痛みも無いし問題なく動くと。
違和感はちょっとあるのかな?でも3日間も手足が無かったのだから、そこはしょうが無い……かな。たぶんすぐ違和感も無くなるだろう。

無くならなかったらアマツに相談しよう。

てか治ると言うかなんだろう……日焼けとかも元通りみたいだし、治ると言うか復元って感じなのかな?

生えた境で肌の色が違うとかないのよね。
本当にもとどおりって感じ。凄いねポーション。
太もも結構もっちり……いや、なんでもない。



いやー、しかし本当に治って良かったよ。
これで治らなかったらねえ……さらに数か月……いや、あのドラゴンの強さを考えたら、半年……下手すると1年は次のポーション入手まで掛かっていたかも知れない。

……まあ、施設追加されるからそれより前に治ると思うけど。
ただ施設も何時追加されるか分かんないしねー。あまり時間掛かってトラウマになってしまったら……うん、やっぱ早めにポーション入手できて良かったよ。


「えへへ……ありがとねっ」

北上さんも凄い嬉しそうだし。
今まで見たので一番良い笑顔でお礼言われたよっ。

頑張った甲斐があると言うものだ。





その後色々と検査したり、雑談したりしている内に続々と隊員やお偉いさん方が病室に集まってきた。

隊員さんはともかく、お偉いさん方はそれで良いのか思わなくもない……アマツと会うとき以外は東京で仕事してるんじゃ……いや、しょっちゅうダンジョンで見掛けるしそれはないな。

ま、まあ今はダンジョンの対応するのが優先になっているだろうし、それで東京離れているんだと思うよ……たぶん。


ハチ公ダンジョンからアマツに会いに行けば良いじゃ無い、と思わなくもないけど。あっちはまだ施設とか充実してないんだろうねえ。

休憩所もあるかどうか分からないし……その内ほかのダンジョンも覗いて見たいところではある。



「そういえばゲートキーパーはどんな敵だったんだ?」

「あ、それ気になるっすね」

集まったメンバー色々と雑談していると、話題がゲートキーパーへと移った。

聞いて驚け、まさかのドラゴンだぞい。


「あ、ドラゴンでしたよ」

亜種だけどね。
ドラゴンには変わりないので嘘では無い。


「ドラゴン!?」

「え、うっそ、まじで?」

「そんなのまで出るのか……いや、ダンジョンだから出てもおかしくはない、か?」


みんな良い反応するね。
やっぱファンタジーって言ったらドラゴンだよねっ。


「映像みてみたいな」

「確かに」

「あー……カメラ壊れちゃったんですよね。……アマツに言えば見れるかもですが」

カメラとか影も形も無くなってましたわよ。
猫耳とかヘルメットにフェイスガードがあの有様だもん。

ただのカメラが無事で済むわけがない。

「やはり強かったのか?」

「強かったですねえ……でもそれでも本当のドラゴンじゃないと言うか、亜種だったらしいんですよね。本物どんだけ強いんだって話ですよ」

「……」

俺の話を聞いて隊員さんたちが黙り込んでしまった。

今後自分達も戦うことになるだろうし、まあ色々と考えてしまうよね。でも大丈夫さ!

「アマツが言うには、これからメーカーさんがダンジョンの素材でダンジョン向けの装備と作るだろうから、それを揃えれば倒せるとか……なんかそんな感じのこと言ってましたね」

今後はメーカーさんが頑張って装備作ってくれるだろうし、俺の時と違って人数居るし、行ける行ける。


「そう言うことなら……いや、それ本当に良く倒せたな?」

「ハハハッ」

本当だよねっ!
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